この記事を監修している人:木城 拓也(理学療法士免許所有)
理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。
木城先生
「アキレス腱やかかとが痛いけど原因がわからない…」
「アキレス腱の痛みを治すにはどうしたらいいの?」
このようにアキレス腱や踵の痛みでお困りではありませんか。
結論、アキレス腱やかかとが痛くなったという方は、アキレス腱炎かもしれません。
アキレス腱炎は足首の後ろにある太い腱が炎症を起こしている状態です。
アキレス腱炎にははっきりとした原因があり、放置してしまうのは最も危険です。
足首が硬くなったり、痛みが悪化したりして歩くのも困難になる可能性もあります。
ほかにもアキレス腱やかかとに痛みを起こすのは、以下の原因が考えられます。
- アキレス腱断裂
- 足底筋膜炎
- アキレス腱周囲炎
しっかりと原因を明確化することで正しい対処法が行え、痛みを改善することができます。
本記事では、アキレス腱炎に対する正しい知識と適切な対処法を紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
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目次
アキレス腱炎ってなに?
激しい運動や繰り返し起こされる負荷によって、アキレス腱に炎症が生じることで引き起こされるのがアキレス腱炎です。
そもそもアキレス腱炎とは一体どのような病態なのか、解説します。
まずはアキレス腱の構造について簡単に理解しておきましょう。
ふくらはぎには、以下の大きな筋肉が2つ付着しています。
- 腓腹筋
- ヒラメ筋
これらの筋肉は下腿三頭筋と呼ばれ、身体の深層と表層に重なってついており、かかとに向かって折り重なって大きな腱になります。
それがアキレス腱です。
下腿三頭筋はつま先立ちをしたり、体重を支えたりといったとても強い役割を担っています。
アキレス腱は縮むように動くため常に摩擦が生じており、パラテノンといわれる腱上の膜や脂肪組織に守られています。これらの組織が損傷し、炎症が起きている状態をアキレス腱炎と言います。
アキレス腱炎の状態を放置していると腱の損傷が悪化し、アキレス腱断裂のきっかけにもなりうるため注意が必要です。
似たような病態として、以下のものがあります。
- アキレス腱周囲のパラテノンや脂肪組織の炎症・・・アキレス腱周囲炎
- アキレス腱下方にある滑液包の炎症・・・アキレス腱滑液包炎
不安な方は、整形外科で相談してみましょう。
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引用:綾瀬ライズモール接骨院
アキレス腱炎の症状について
アキレス腱炎の特徴的な症状は、以下のものがあります。
- 動き始めや体重がかかったときのアキレス腱やかかと周りの運動時痛
- 足首を反らしたときの伸長時痛
- アキレス腱を押したときの圧痛
- 足首後方が腫れている
- 足首周りが赤くなっている、熱を持っている
症状には個人差がありますが、軽傷であっても1週間程度では完治しにくいでしょう。
また重症の場合は、痛みが半年以上続いてしまう場合もあります。
理由としてアキレス腱は足の裏にある足底筋膜とつながっており、体重を支えるために頻繁に使われています。
十分な安静期間を確保するのが難しく、同じような負荷で炎症が再発しやすいため注意が必要です。
アキレス腱炎の原因について
アキレス腱炎になってしまう原因として、以下のようなものが考えられます。
- 運動不足だが、ランニングを始めた
- 普段からハードな練習を行っている
- 靴擦れを起こしやすい
- 偏平足になっている
上記のような条件に当てはまる方は、アキレス腱炎になりやすいかもしれません。
運動不足でランニングを始めるのは、運動の計画を立てるうえであまりおすすめではありません。
普段運動をしない方の場合は身体が硬くなっていることが多く、ランニングのような地面を足で強く蹴る動作はアキレス腱への負担を高めます。
最初は、軽いウォーキングなどから始めてみましょう。
普段から競技などでハードな練習を行っている方は、練習の負荷に注意しましょう。
短い距離でも休息期間が十分でなければオーバーワークとなります。
足首やかかとに違和感を感じたら、違和感が消えるまで休息をとるようにしましょう。
靴擦れや扁平足の場合は、靴のサイズや足裏の機能が低下していることが考えられます。
足がむくみやすい夕方や軽い運動後などに靴の調整を行うのも効果的です。
アキレス腱炎の診断について
身体上の症状である運動時痛や圧痛を自覚することはとても大切です。
しかしアキレス腱炎が疑われる場合は、体の表面のみでは診断が難しく、超音波(エコー)検査やMRIなどの結果をもとに診断するのが一般的です。
エコー検査の場合、炎症を起こしている部位が赤く表示されることで部位が特定できます。
アキレス腱炎の治療について
アキレス腱炎と診断された場合、以下のような治療を行います。
- まずは安静が最優先
- 患部を冷やすためのアイシング
- 消炎鎮痛剤の内服や外用剤
- アキレス腱の負担を減らすためのインソール
上記の治療法はあくまで一部であり、医療機関によって異なります。
またアキレス腱周囲炎の場合も、同様の治療方法を行っていくことが多いです。
痛みや炎症などの症状が強く、生活にもかなりの支障をきたすと判断がされた場合は、手術による治療が行われる場合もあります。
痛みが急に悪化した場合や初期の痛みの場合の応急処置として、POLICE処置があります。
POLICE処置は、以下の頭文字をとったものです。
- Protection(保護)
- Optimal Loading(適切な負荷)
- Ice(アイシング)
- Compression(圧迫)
- Elevation(挙上)
アキレス腱炎の場合はまず足首に荷重をかけず、袋に氷水を入れて患部を冷やしましょう。
保冷材などでアイシングするのは、凍傷になる恐れもあるため控えましょう。
痛いアキレス腱炎の治し方!自宅でできるセルフケアのポイントとは?
自宅でできるアキレス腱炎のセルフケアは、以下のとおりです。
- 安静・ストレッチ
- 運動療法
- サポーター、インソールの使用
- お薬の使用
- 整体、整骨院などでの治療
具体的にどのようにケアを行えば良いか解説していきます。
安静・ストレッチ
最も重要なのが安静にすることです。
個人差はありますが2〜6週間は、スポーツや立ち仕事などは控え、足首をしっかりと休ませることが大切です。
痛みが落ち着いてきたら改めて医師の診察を受け、状態を確認してもらいましょう。
競技や仕事で足を良く使う方の場合は、診察を受けるときに復帰時期に関しても確認しておきましょう。
痛みが落ち着いて運動開始の指示を受けたらアキレス腱が硬くならないようにストレッチを実施していきます。
開始姿勢:壁に手をついて立った姿勢
- 片方の足を後ろに置く
- つま先をまっすぐ伸ばし、かかとを上げない
- 膝を伸ばし、体を起こす
- 上半身が前かがみにならないよう意識する
ポイント:つま先がまっすぐ前を向くように足をセットしましょう。
痛みが強くなった場合は直ちに中止して安静にし、医師の診察を受けましょう。
運動療法
医師の運動開始の指示を受けて、ストレッチが行えたら再発予防のために運動療法を行っていくことが大切です。
特に下腿三頭筋は、体重を支えるために強い筋力が必要です。
継続を意識して、負荷をかけすぎないように注意しましょう。
開始姿勢:壁に手をつき立った姿勢(慣れてきたらつま先を台に乗せる)
- ゆっくりとかかとを上げる
- 足の親指を使い上に動く
- 上げるときよりも下ろすときにゆっくりと行う
慣れてきたら段差につま先を乗せて負荷を上げましょう。また片足でやるとより負荷が強くなります。
負荷の調整は段階的に行い、強すぎに注意しましょう。
サポーター、インソールの使用
アキレス腱が炎症を起こしている場合、負荷を繰り返し与えないのがとても大切です。
またサポーターやインソールを使用するのも効果的です。
スポーツ店などで足の計測をしてもらったり、アドバイスを受けながら足に合うサポーターやインソールを選んでみるのもおすすめです。
お薬の使用
アイシングは、患部が冷えた後も続けてもあまり効果がありません。
患部が冷えても痛みや腫れ、熱感などの炎症がある場合は、消炎鎮痛剤の内服や湿布などを使用してみましょう。
鎮痛剤を使用しても完治までの期間が急に短くなるということはないため、用法用量を必ず守って使用しましょう。
整体、整骨院などでの治療
セルフケアで行うのがなかなか心配な方は、整体や整骨院で専門家の指導を受けながら改善していく方法もおすすめです。
専門家の指導を受けることで間違った方法を避け、自宅でも適切な方法を行えるかもしれません。
当院は、足の痛みや体の違和感を解消するために筋膜を中心とした施術を行う筋膜専門の整体院です。
実際に当院で施術を受けた方のお言葉も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
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アキレス腱炎を慢性的に放っておくとどうなる?
アキレス腱に違和感があったり、軽い痛みがあったりしても病院に行けないという方やなんとなく放置してしまう方も少なくありません。
もし慢性的に放置してしまった場合、本来症状が治る期間になっても治らなかったり、再発しやすくなったりする可能性があります。
炎症を繰り返すとアキレス腱周囲の組織が硬くなり、手術を余儀なくされる場合もあるため早めに対応しましょう。
アキレス腱炎が悪化する前に知っておきたいこと
アキレス腱炎と診断された場合や違和感があって不安な方は、以下の処置を覚えておきましょう。
- 患部を安静にする
- 患部をアイシングする
- POLICE処置を行う
早期の段階で適切な処置が行えれば、状態が悪化する可能性を軽減することができます。
アキレス腱炎についてよく聞かれる質問
アキレス腱炎についてよく聞かれる質問について回答していきます。
今回ご紹介した内容がすべてではありません。他に気になることがある場合は、早期の段階で医師に確認しておきましょう。
アキレス腱炎を自分で診断する方法はありますか?
アキレス腱炎は、体の深部にある腱の損傷および炎症です。
触ってみて痛い場合はアキレス腱炎が疑われますが、痛みや圧痛があっても筋肉痛の場合もあります。
しっかりと損傷を見分けるには、画像所見が確実なため医師もしくは専門医の診察を受けましょう。
アキレス腱炎がなかなか治らない。完全に治るのでしょうか?
一般的な捻挫や筋肉痛と比較して、完治までの期間がかかりやすいのが特徴です。
軽傷の場合でも2カ月ほどの期間がかかる場合もあります。
医師の指導のもと治療を行うことである程度決まった期間で治る可能性が高いため、なかなか治らないからといって自己流で対処したり、運動を再開したりするのは控えましょう。
アキレス腱炎のときにスポーツするときは、どのようなサポーター、インソールを使えばいいですか。
アキレス腱専用のサポーターを使用することをおすすめします。
医師の指導でサポーターが処方されれば運動時も使えるか確認してみましょう。
またどのような運動を行うかを説明したうえで、どんなサポーターを使えばよいか聞いてみるのも良いでしょう。
マッサージはどのように行えばいいですか。
炎症がある場合は、患部を直接触ることはおすすめしません。
マッサージを行う場合は、整体院や整骨院で指導を受けてから痛みを悪化しないように行うことをおすすめします。
ストレッチを行うことで、ふくらはぎ全体を効率よく伸ばせるためおすすめです。
病院や自分で治療をしていてもよくなりません。
改善まである程度の期間を要する病態のため、適切なケアを継続する必要があります。
4ヵ月経過しても改善がみられない場合、手術になる可能性もあります。
治療スケジュールがどのようになるのか、予後予測を含めて医師に相談してみましょう。
当院は痛みの改善を最優先とする筋膜専門の整体院です。
当院でしか受けられない筋膜施術もあるため、運動再開の指示を受けてもどうして良いかわからないという方はぜひ一度ご相談ください。
また、当院では、症状や部位ごとにあなたに最適な筋膜リリース動画を配信しています。
LINEで無料でご案内しているため、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、アキレス腱やかかとの痛みの原因としてアキレス腱炎について紹介しました。アキレス腱に痛みが生じた場合は、安静とアイシングを早期に行ないましょう。
運動が再開できても最初は軽いストレッチから行ない、痛みが再発しないように注意しましょう。
痛みや違和感を感じた場合はまず、医師の診断を受けましょう。