足首の外側を痛めているあなたは、こんな悩みを持っていませんか?
- 歩くたびに足首の外側が痛くて気になる
- しゃがんだり階段を昇り降りする時に足首の外側が痛い
- 足首が不安定でグラグラしている気がする
足首は関節の構造上、内側にひねりやすくなっています。
そのため、筋肉や腱、靭帯、骨を痛めやすく、足首の外側が痛くなっている場合が多いです。
しかし、内側にひねりやすいという特徴があるので、特徴をふまえた対処法を行うことで痛みを改善することができます。
今回は足首の外側が痛い場合に考えられる原因と対処法を理学療法士が解説していきます。
足首の外側が痛い4つの原因

足首の外側が痛い原因は主に以下の4つです。
- 足関節内反捻挫
- 足関節外果骨折
- アキレス腱炎
- 腓骨筋腱炎
それぞれどんな症状で、何故足首の外側が痛くなるのかを解説します。
足関節内反捻挫
冒頭で足首は内側にひねりやすい構造になっていると言いました。
つまさきを内側に向ける場合と外側に向ける場合では、内側に向ける場合の方が足首が大きく動くはずです。
反対に、つまさきを外側に向ける場合はあまり足首は動きません。
日本整形外科学会でも以下のように明言されています。
捻挫のほとんどは足首を内側にひねって生じます。
参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
内側にひねって捻挫すると、足首の外側にある外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)が強い力で伸ばされます。
そのため、靭帯が損傷、あるいは断裂して足首の外側に痛みが起こります。

症状としては以下のようなものがあります。
- つまさきを内側に向けると、足首の外側が痛い
- 足首の外側(外側のくるぶし辺り)を押さえると痛い
- 足首の外側、あるいは足首全体が腫れる
捻挫した時の衝撃が強い場合は、靭帯だけではなく、外果と呼ばれる外側のくるぶしを骨折する可能性もあります。
足関節外果骨折
足首の外側のくるぶしである外果が骨折することを指します。
跳躍や高所よりの転落・転倒などによって、足首の周りの靭帯や骨に強い力が加わることで発症します。
参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
転落・転倒時の足首の向きによって、骨折する部分が変わります。
外果を骨折する場合は、足首を内側にひねった状態で転落・転倒して足を着くことで受傷する場合が多いです。
足首の捻挫は足首の向きがこれに近いので、外果の骨折を伴う場合があります。
アキレス腱炎
ふくらはぎから足首に近くなると細い腱のようなものがあるのが分かるかと思います。
ふくらはぎの筋肉は腓腹筋という筋肉で、足首に近づくにつれて腱になって足首に付きます。
この腓腹筋と足首をつなぐものが、アキレス腱と呼ばれる腱です。
アキレス腱炎はこのアキレス腱が周りの脂肪とこすれて炎症を起こすことを指します。
ランニングなど長距離を走る場合にアキレス腱の炎症は起こりやすいです。
ランニング中、足首で地面を蹴って前へ足を出す時はふくらはぎの腓腹筋が働いています。
この時、腓腹筋によってアキレス腱が繰り返し伸ばされたり縮んだりすることが原因で炎症が起こります。
腓骨筋腱炎
腓骨筋はすねの外側にある腓骨に沿って外果に向かい、腱になって外果の後ろを通り、足の裏に付いています。
外果の後ろを通る時、腓骨筋腱は急激に角度を変えて足の裏に向かうため、非常に摩擦が起こりやすい構造になっています。
その部分での腓骨筋腱と周りの骨や脂肪とこすれて炎症を起こすことを腓骨筋腱炎と呼びます。

また、腓骨筋は足関節内反捻挫と深く関係します。
足関節内反捻挫は足首が内側にひねることで受傷すると言いましたが、足首が内側にひねるのを防ぐ役割を果たすのが腓骨筋です。
例えば、足首が柔らかい方は足首を内側にひねりやすいのですが、ひねらないように腓骨筋が常に頑張って働いている状態なのです。
なので、腓骨筋腱に加わる負担は大きくなり、より炎症を起こしやすくなります。
足首の外側が痛むメカニズム

足首の外側の痛みに関わるのは主に以下の3つあります。
- 炎症
- 靭帯、腱の損傷
- 筋肉の使い過ぎ
まず、炎症が起こると痛みを起こす発痛物質と呼ばれるものが体の中で作られます。
炎症で痛みを感じるのはそのせいです。
炎症は足首の外側を通る腱と周りの脂肪や骨などとこすれることで起こります。
また、捻挫に伴う靭帯や腱の損傷で傷がつくと、それを治すためにも炎症が起こります。
そして、同じ動きの反復などで筋肉を使い過ぎると、筋膜という筋肉の周りを包んでいる組織に無理な力が加わることで痛みが生じます。
まとめると、足首を内側にひねりやすいという構造から、足首の外側が伸ばされやすいので、それを繰り返すことで炎症が起こったり、強く力が加わると靭帯の損傷などにつながるのです。
足首の外側が痛い時に病院に行く目安
基本的には明確にひねったという事実がある、痛みがある、腫れを伴っている、この3つがあれば受診し医師の判断を仰ぐことをお勧めします。
捻挫はその重症度によって3つに分けられます。
- 第Ⅰ度:靭帯の伸張、部分的な断裂
- 第Ⅱ度:靭帯の完全な断裂
- 第Ⅲ度:2つの靭帯の断裂
第Ⅰ度と第Ⅱ、Ⅲ度との違いは以下の通りです。
- 押した時の痛みが無いか軽い
- 皮下出血が無いか軽い
- 歩いた時の痛みは軽い
- 押した時の痛みが強い
- 皮下出血が広範囲、強い
- 歩いた時の痛みが強く、普段通りに歩けない
- 足首が思うように動かせない
- 歩いた時や動かした時に足首がぐらぐらするのを感じる

第Ⅰ度でも受診するのが望ましいですが、特に第Ⅱ度やⅢ度に当てはまる場合は早急に受診しましょう。
それ以外でも以下のような症状に当てはまる場合は受診を検討しましょう。
- じっとしていても痛みがある
- 足にしびれがある
- 眠れないくらい痛みがある
- 足を動かすと痛みがある
- 足が熱い感じがする
- 痛みが次第に強くなって経過している
- 以前に原因となる疾患の診断を受けている場合
足首の外側が痛い場合に考えられる対処法

足首の外側が痛い時の対策として、主に以下の3つが挙げられます。
- 応急処置(RICE処置)
- 固定
- 足の指を動かす
それぞれ解説します。
応急処置(RICE処置)
RICEとは、安静(rest)、冷却(ice)、圧迫(compression)、挙上(elevation)の頭文字をとったものです。
特に受傷直後72時間以内は行うことを推奨されています。
安静は損傷した組織の治癒を遅らせず、組織の損傷がさらに進行させないために必要です。
冷却することで、血管を収縮させて出血を止める、発痛物質が作られるのを抑える、腫れを抑える効果があります。
圧迫は損傷した毛細血管から血管の外へ体液が漏れて腫れないように止める役割があります。
損傷した部位を高く挙上することで、出血を抑え、腫れを抑える効果があります。
固定
第Ⅰ度の捻挫ではサポーターによる固定、第Ⅱ度以上の捻挫はギプスによる固定が推奨されるので医療機関で適切な処置をしてもらう必要があります。
サポーターにも様々なタイプがあります。
ご自身の症状に合わせて以下のように選択すると良いでしょう。
- 腫れが強い場合:前開きでサイズ調整が簡単なタイプ
- 痛みが強い場合:足首の両側にプラスチック製の支えがあるタイプ
- 上記2つ以外の場合:靴下のように履くタイプ
足の指の運動
足首の外側が痛い場合、痛みが強い時期はあまり動かさず、サポーターを付けたりして対応することが望ましいです。
この間、足首はあまり動かせないのですが、動かさないままでいると足首の筋肉や腱、靭帯が硬くなって動きが悪くなります。
すると、腫れが引いたとしても痛みが残ったり、歩くのに支障が出たりする場合も考えられます。
そうなってしまうのをなるべく防ぐために、足の指を動かすことが有効です。
何故なら、足の指を曲げ伸ばしする筋肉は足首の周りを通っており、足首の動きにも関係するからです。
なので、足の指を動かしておくことで、足首が硬くなるのを予防することができます。
足首の外側が痛い時の予防方法

捻挫の症状に当てはまらないが足首の外側が痛い、捻挫後痛みは良くなってきたがまだ少し痛い、病院受診し足首の運動やストレッチの許可が出た場合は下記の運動とストレッチを実践しましょう。
足の外側の筋肉の運動
- かかとを合わせ、つまさきを45度程度外側へ向けて立つ
- 母指球にしっかりと体重をかける
- 母指球への体重をかけたまま、かかとを持ち上げる
- ゆっくりとかかとを降ろす
- 3~4を繰り返す
足の内側の筋肉のストレッチ
- 立った状態から1歩前に足を出す
- 後ろ足のつまさきを45度程度外側へ向ける
- かかとを床から離さないように、前足へ体重をかける
- 後ろ足のふくらはぎからアキレス腱が伸びるように足の位置を調整する
- 伸ばしたまま10~20秒キープする
まとめ
足首の外側が痛い時に考えられる原因、痛むメカニズム、対策と予防方法について解説しました。
繰り返しますが、捻挫の場合はまず病院を受診し、医師の判断を仰ぐことが優先です。
捻挫してないのに足首の外側が痛い、受診したがまだ足首の外側が痛む、受診して足首の運動やストレッチの許可が出ている場合は、本記事をよく読んで対策や予防方法を実践してみてください。