この記事を監修している人:木城 拓也(理学療法士免許所有)
理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。
木城先生
肩が痛くて腕が上がらない。
腕の痺れが続いている。
日常生活でそういった悩みを抱えている方は少なくないでしょう。
本記事では肩や腕、手などの上肢と呼ばれる部位の痛みについて、おもな原因や疾患について解説します。
事例別の症状についても解説しているため、ぜひ最後までご覧ください。
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腕(肩・腕・手)の痛みとは
腕の痛みは大きく分けて肩・腕・手の3つの部位に生じ、それぞれおもな原因と疾患などが異なります。
通常痛みが生じても血行が改善されすぐに痛みは治まりますが、血行が改善されずに痛みが長引いてしまうと痛みの原因となる炎症物質が多く発生します。
腕(肩・腕・手)の痛みのおもな原因と疾患について
腕の痛みのおもな原因と疾患について、部位別にみていきましょう。
肩の痛み
肩の痛みは肩関節を構成している骨や軟骨、腱板の周囲に炎症が起こることで痛みが生じます。
特に肩峰という骨が飛び出ている部分で腱を摩擦したり、腱板の血流が不足したりするのが原因です。
また外傷や加齢に伴う肩関節組織の変性、肩関節周囲の筋肉の炎症、自律神経の乱れなども原因として挙げられます。
肩に痛みが生じた場合に考えられる疾患は、以下のとおりです。
- 肩凝り
- 肩関節周囲炎
- 腱板損傷
- 石灰沈着性腱板炎
- 肩峰下滑液包炎
- 肩関節前方脱臼
- 胸郭出口症候群 など
肩に痛みがあり、病院に通ってもなかなか症状が改善しない方に向けてた記事も公開しているので、ぜひご覧ください。
肘の痛み
肘関節は日常生活のなかで同じ動作を何度も繰り返したり、長時間作業を行なったりすることで、肘関節周囲の神経や筋肉に炎症が起こり痛みが生じます。
また、激しいスポーツによる肘関節への負担も痛みの原因の一つです。
肘関節に痛みが生じた場合に考えられる疾患は、以下のとおりです。
- テニス肘
- 野球肘
- 変形性肘関節症へんけいせいひじかんせつしょう/rt]
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 肘部管症候群
- 肘内障 など
手の痛み
日常生活で手で何かを書いたり、持ったりといった動作を行う機会は非常に多いため、指を使いすぎることで痛みを生じます。
また手の変形や加齢による関節軟骨の摩擦、腱や腱鞘の肥厚(肥大)による神経圧迫などでも痛みを生じる可能性があります。
手関節や指に痛みが生じる場合に考えられる疾患は、以下のとおりです。
- 中手骨・舟状骨骨折
- 頚椎椎間板ヘルニア・変形性頚椎症
- 指捻挫
- 手根管症候群
- ばね指
- 尺骨・橈骨神経麻痺 など
肩から手首までの痛みの原因
肩から手首までの痛みが起こる部位は大きく分けると、以下の3箇所に分けられます。
- 肩と肘の間の上腕
- 肘関節周囲
- 肘と手首の間の前腕
ピリピリと痺れるような痛みとズキっとした鋭い痛みが生じる場合がほとんどです。
痺れるような痛みが生じた場合は首や肩、腕にかけての神経に障害が起きている可能性があります。
また腕を動かしたり、物を持ったりした際に鋭い痛みが生じた場合は筋肉の腱や関節に炎症が起きている可能性があります。
腕の痛みの原因となる疾患を詳しくみていきましょう。
肩から手首までの痛みの原因①:ゴルフ肘(内側上顆炎)
ゴルフ肘は手首を内側に曲げる動作を行なった際に、肘の内側にズキっとした鋭い痛みが生じます。
ゴルフや野球をしたり、フライパンを持ったりなどの手首を曲げる反復動作によって、手首を内側に曲げる作用を持つ筋肉がついている部位である肘の内側の骨に炎症が生じます。
ゴルフ肘の多くが痛み止めや湿布薬、ステロイド注射などの治療では症状が改善しないほどひどい傾向にありますが、逆に負担の軽い反復動作の場合は炎症が起きない場合もあります。
肩から手首までの痛みの原因②:テニス肘(外側上顆炎)
テニス肘はおもに手首から肘の外側にかけてついている筋肉の腱に、ラケットでボールを打ち返す際の負荷がかかり炎症および痛みを生じます。
またデスクワークやPC作業で、マウスを使いすぎるなども原因の一つです。
手首を上に動かす反復動作によって肘の外側に痛みが生じる場合もあります。
ただ安静時は痛みの症状が少なく症状の現れ方には個人差があり、急に痛みを感じる方や徐々に痛みが強くなっていく方などさまざまです。
治療には保存療法と手術療法があり、保存療法の場合は以下のような治療を行います。
- 安静にしてストレッチを行う
- 湿布や消炎鎮痛薬の処方
- 麻酔薬やステロイドの注射
- テニス肘用のバンド装着
肩から手首までの痛みの原因③:頚椎症
頚椎症は首に痛みが生じたり、筋肉が凝ったりするといった首周囲のみに症状がみられる疾患です。
一方で、首周囲以外で症状がみられる場合とは別の呼び方をします。
たとえば頚椎を通っている神経が圧迫されて手足に痺れが生じた場合、頚椎症性脊髄症や頚椎症性神経根症と考えられます。
頚椎症の診断は触診や画像診断、可動域検査、スパーリングテストやジャクソンテストなどの神経テストが用いられます。
頚椎症の治療法は、以下のとおりです。
- 頚椎周囲筋のストレッチ
- 枕選び
- マッサージ
- 消炎鎮痛薬の処方
- 頚椎カラーの装着
肩から手首までの痛みの原因④:胸郭出口症候群
胸郭出口症候群は、なで肩や痩せ型の女性に多く骨や筋肉により首や鎖骨、一番上の第一肋骨周辺を通っている神経が圧迫されて、腕にだるさや痺れ、痛みが生じる疾患です。
また血管が圧迫されることもあり、腕に血液がたまって腫れたり、腕や指先に冷えを感じたりします。
デスクワークや長時間前かがみで作業を行い、首や胸の筋肉の柔軟性が低下してしまうことで症状が起こる場合がほとんどです。
胸郭出口症候群は圧迫が起こっている部位によって、以下の3つの種類に分けられます。
- 斜角筋症候群(首の前から横)
- 小胸筋症候群(小胸筋の内側)
- 肋鎖症候群(鎖骨と一番上の第一肋骨)
おすすめのマッサージについて、動画で一部紹介します。
斜角筋のマッサージ
- 肩をすくめる
- その状態で盛り上がってくる筋肉の前の部分を触る
- 首に向かって押し当てた状態で、上下左右、斜めにマッサージする
小胸筋のマッサージ
- 鎖骨の中央より少し少し外側で、鎖骨の下を触る
- 指で上下左右、斜めにマッサージする
肩から手首までの痛みの原因⑤:肘部管症候群
肘部管症候群は、上腕から指先にかけて、おもに小指側の動きや感覚を支配している尺骨神経が障害されて起こる疾患です。
野球の投手などスポーツや大工などの仕事で、肘に大きな負担がかかる生活を続けている方に多いとされています。
肘の内側にある肘部管という骨や靭帯で構成されたトンネルを通っている尺骨神経が圧迫されたり、引っ張られたりすることで起こります。
症状としては薬指や小指、その周囲の皮膚にチクチク、ピリピリといった痺れが生じ、肘を曲げると症状が強くなるのが特徴です。
さらに症状が悪化すると、繊細な手の動作ができなくなり、手がかぎ爪のように変形する方もいます。
肘部管症候群は症状をみればある程度の判断は可能で、一般的な診断方法は診察と画像診断です。
そのほか痺れの有無、肘を曲げたときの症状の悪化などの特徴的な症状があるかどうかの確認を行います。
比較的軽度の肘部管症候群の治療法として用いられるのが、肘を一時的に固定した保存療法と神経の回復を促進させる薬や消炎鎮痛薬の処方です。
保存療法では症状の改善が見込めないほどひどい方は、圧迫している人体の切り離しやガングリオンの切除などの手術が適用されます。
肩から手首までの痛みの原因⑥:円回内筋症候群
円回内筋症候群は、おもにマウス操作やキーボード操作のように手首を内側に回転させる動作を、何度も行っている方に多くみられます。
手首を内側に回転させる円回内筋が過剰に緊張することで、その筋肉の下を通っている正中神経が圧迫され、肘の内側や手のひらの親指から薬指にかけて痺れや痛みが生じる疾患です。
円回内筋症候群の治療法は、一般的にストレッチなどを行いながら安静にする保存療法が用いられますが、消炎鎮痛薬の処方や注射を打つなどの方法も行います。
保存療法では症状が改善しない場合は手術を行うこともあります。
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腕の痛みや痺れ、手の痺れ(事例)
腕や手の痛みや痺れについて、実際の事例をみていきましょう。
人差し指、中指が痺れる(特に明け方)
人差し指や中指が痺れる方、またその症状が特に明け方に強く生じる方は、手根管症候群の可能性があります。
痺れの原因:手根管症候群
手根管症候群は、手首の中心に位置する手根管というトンネル上の中を通っている正中神経が圧迫されて人差し指や中指に痺れが生じる疾患です。
また徐々に母指の付け根の筋肉が衰えてきたり、感覚障害を起こしたりするため、縫い物などの繊細な作業を行いにくくなるのが特徴です。
特に手関節の外傷後や前腕の骨折した方、手をよく使う職業の方に多くみられます。
手根管症候群の治療法は、安静にする保存療法が基本です。
場合によっては、飲み薬の処方や注射を打つ場合もあります。
小指、薬指、肘の内側が痺れる
小指や薬指、肘の内側が痺れる方は、肘部管症候群の可能性が考えられます。
痺れの原因:肘部管症候群
肘部管症候群は、尺骨神経が障害されて痺れが生じたり、小指側の筋肉が衰えたりする疾患です。
肘部管症候群の原因として、以下のようなものが挙げられます。
- 肘に大きな負担がかかる
- 加齢
- 成長過程の骨の変形
肘部管症候群の治療法は、安静にする保存療法が基本です。
場合によっては、飲み薬の処方や注射を打つ場合もあります。
腕に痺れや痛みがあり、首を動かすと痛みが増す。
腕に痺れや痛みがあったり、首を動かしたり上を見る動作で痛みが強くなったりする方は頸椎症性神経根症の可能性があります。
原因:頸椎症性神経根症
頸椎症性神経根症は、頚椎を通る神経や脊髄が圧迫されることで、痺れや痛みが生じる疾患です。
加齢などで頚椎の間にある椎間板の弾力性がなくなり、頚椎の骨同士がぶつかることで形成される骨棘によって圧迫されます。
おもに円背姿勢の方に多い疾患ですが、首への負荷が大きい仕事やスポーツをされている方にも多いとされています。
頸椎症性神経根症で行う治療法は、リハビリと薬物療法です。
理学療法士による頚椎に負担のかからない日常生活動作の訓練や姿勢指導を行いながら、湿布や塗り薬、消炎鎮痛薬などの薬物療法を行います。
物を干す動作や腕を挙げる動作で痺れがある
つり革につかまったり、ものを干したりする際に腕を挙げる動作で腕の痺れがある方や、肩や腕、肩甲骨周囲に痛みが生じる方は、胸郭出口症候群の可能性が考えられます。
原因:胸郭出口症候群
胸郭出口症候群は、首から腕に向かう神経と血管が圧迫されて起こる疾患です。
デスクワークをしている方やなで肩の女性、重いものを持つ仕事をしている方に多くみられます。
胸郭出口症候群の一般的な治療法は、リハビリによる姿勢改善や筋肉の柔軟性の確保です。また、リハビリと並行して薬物療法による症状の改善と再発防止を目指します。
腕を動かすと腕や肩、肩甲骨周辺が痛む
腕を動かすと腕や肩、肩甲骨周囲が痛む方は、肩関節周囲炎症(五十肩)の可能性があります。
原因:肩関節周囲炎(五十肩)
肩関節周囲炎(五十肩)は、肩の痛みや関節の可動域制限など、明確に疾患として判断できない症状の総称です。
50代に多く発症しますが、70代でもみられます。
肩関節周囲炎の治癒過程として、以下の3期に分けられます。
- 炎症期
- 拘縮期
- 解凍期
炎症期は急性期とも言われ、安静時痛や運動時痛、夜間痛などの症状が強く、肩の動作が制限される時期です。
この時期は日常生活動作や睡眠時の姿勢などの指導を行い、肩関節への負担を避けます。
炎症期を過ぎ、拘縮期に入ると痛みは軽減しますが、肩関節の可動域制限が顕著にみられ、最後の解凍期で痛みと可動域制限が回復します。
この時期は無理のない範囲で関節を動かしていきますが、徐々に動かす範囲を広げていくのが重要です。
ただ腱板損傷や石灰性腱板炎は、保存療法では完治しないため手術適応になる場合があります。
※上記のほかにも痛みを根本から改善できるよう、あなたの痛みに効果的な筋膜リリース動画をLINEにて無料でお伝えしています

まとめ
今回は肩や腕、手などの上肢と呼ばれる部位の痛み、おもな原因や疾患について解説しました。
上肢の痛みや痺れにはさまざまな原因があり、事例ごとに症状や治療法が異なります。
理学BODYでは腕の痺れや痛みの根本の原因となる筋膜へアプローチし、症状の改善と再発の予防を行います。
もし病院や整体院へ通ってもなかなか症状が改善しない場合は、筋膜のプロである私たちに一度ご相談ください。
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