この記事を監修している人:木城 拓也(理学療法士免許所有)
理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。
木城先生
腕の付け根の痛みには、さまざまな原因があります。
「最近腕の付け根が痛む…」
「肩の前側が痛くて生活しにくい…」
このような症状は、肩関節の問題やリンパの腫れなどが原因かもしれません。
とはいえ、痛みをなくすために何をすればいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、腕の付け根や前側の痛みが気になっているあなたに、痛みの原因や対処する方法について分かりやすく解説しています。
この記事をきっかけに、悩んでいた肩の問題を解決して、痛みが気にならない生活へ戻れる手助けになれば幸いです。
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腕の付け根が痛いときに考えられる原因
腕の付け根が痛い原因は、加齢や使いすぎなどが考えられます。
以下、腕の付け根が痛いときのおもな原因です。
- 肩関節周囲炎
- 腱板損傷
- 頚椎への負担
- 寝違え
簡単に解説していきます。
1.肩関節周囲炎について
肩関節周囲炎は、肩周りの筋肉や組織が何かしらの原因で炎症を起こし、腕の付け根に痛みが生じている状態です。

痛みは、関節包や肩峰下滑液包、上腕二頭筋の付着部といった、肩の上側だけでなく、下側や外側などの広い範囲で痛みが発生します。
年をとるごとに肩回りの筋肉は劣化していき、肩関節周囲炎を発症する可能性が高まるでしょう。
肩関節周囲炎は、40〜50代で悩まれる方が多く五十肩とも呼ばれています。
「関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などが老化して肩関節の周囲の組織に炎症が起きることがおもな原因と考えられています。肩関節の動きをよくする袋(肩峰下滑液包)や関節を包む袋(関節包)が癒着するとさらに動きが悪くなります(拘縮または凍結肩)。」
明確な原因は分かっておらず、年齢による筋肉や組織の老化がおもな要因です。
肩関節周囲炎では痛みのせいで肩を動かさなくなるため、肩周りの筋肉が固まってしまい長く続く慢性的な痛みになりやすいです。
肩関節周囲炎のおもな症状には、以下のようなものがあります。
- 何もしていなくても痛む
- 夜に痛む
- 肩周りが硬い
- 腕が持ち上がらない
肩が動かないため、服が着れなかったり、髪を洗えなかったりなどの日常動作にも悪い影響を与えます。
2.腱板損傷について
腱板損傷は、腱板にストレスがかかることで筋肉が損傷している状態です。
腱板は、肩甲骨と上腕骨を結んでいる4つの筋肉のことです。
肩関節は身体のなかでも動く幅が大きく、不安定な関節と呼ばれていますが、腱板は不安定な肩関節を補強するという大事な役割があります。
年をとると筋肉の量は減りやすく、肩関節を補強する力も年々弱まっていくため、腱板にかかる負荷に耐えられなくなり筋肉が傷ついてしまうのです。

腱板損傷は、40歳以上の男性の右肩に発症しやすいですが、使いすぎも原因の一つのため、スポーツをしている若者でも発症することがあります。
症状の特徴は、以下のとおりです。
- 運動時や夜間の痛みがある
- 痛いが腕の上げ下げはできる
- ジョリジョリ、ゴリゴリという音がなる
- 腕を左右に動かすと痛い
- 腕を上げると肩ごと持ち上がる
また、腕立て伏せで肩が痛くなり腱板損傷を起こす場合があります。
3.頚椎への負担
肩や腕に原因が見つからない方や、腕の付け根だけでなく背中も少し痛い方は頚椎(首)に大きな負担がかかっているかもしれません。
頚椎は頭と身体をつないで重たい頭を支えており、肩や腕を司る神経は頭から頚椎を経由して肩や腕に命令を出しています。
頚椎に負担がかかると神経の通り道が狭くなり、痛みだけでなく痺れなどの神経症状が出ることもあります。
近年ではパソコンやスマホの使用によって、背中が丸まって首に負担のかかる姿勢の方が増えているため注意が必要です。
4.寝違えもありえる?
朝起きたときに首や肩が動かせないなどの症状が出たときは、寝違えかもしれません。
寝違えは、おもに首や肩にかけて症状が出るため、首を動かそうとすると痛みを感じます。
「睡眠中不自然な姿勢が続いたために一部の筋肉が阻血(血液の供給が不足)におちいり時にしこりとなっている、前日などにいつもはしないスポーツや労働をして一部の筋肉が痙攣している(こむら返り)、頸椎の後ろの関節(椎間関節)の袋(関節包)に炎症がおこる、などの原因が考えられています。」
引用元:日本整形外科学会
枕やマットレスが身体に合っていないと、睡眠中に不自然な姿勢をとりやすいです。
疲れがとれにくいと感じる夜が続く場合は、寝具の変更を検討してみてください。
症状としては、数時間〜数日で消えるため痛みを気にしない方も多いです。
ただ、症状が治らない場合は頚椎椎間板ヘルニアやむち打ち、関節リウマチなどほかの疾患も考えられるため、病院での検査が必要かもしれません。
腕の付け根の痛いときに考えられる内科的な原因
肩関節周囲炎や腱板損傷など、整形外科的な原因だけでなく、リンパや乳がんなど身体の臓器に異常があると、腕の付け根が痛むこともあります。
一時的な症状で治まる場合もありますが、乳がんでは長期的な治療が必要になることもあるでしょう。
1.リンパの腫れ
リンパ管の役割は、体内の水分や壊れた細胞、細菌・ウイルスなどの異物の運搬です。
リンパ節は免疫機能をもっており、全身から流れてきたリンパ液に含まれる細菌やウイルスなどを破壊しています。
免疫機能がうまく働かないときには、リンパ節が炎症を起こして腫れるため、そのリンパの腫れによって神経を圧迫し痛みが発生します。
腕の付け根である脇の下には、リンパ節が多く存在するためほかの部位より腫れやすいのです。
2.乳がん
一般的に、乳がんで痛みを伴うことは少ないとされています。
ただ乳がんがリンパ節に転移したときは、リンパの腫れで腕の付け根に痛みを感じることが多いです。
リンパに転移した乳がんでは神経を圧迫して、痺れや触ると硬い腫れも出現します。
乳がんの症状としては、ほかに以下のようなものがあります。
- 乳房が左右非対称
- しこり
- 乳頭のただれ
腕の付け根の痛みに加えて、これらの症状がある場合は乳がんの可能性が高いです。
病院で外科を受診するようにしましょう。
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腕の付け根の痛みを対処する方法
腕の付け根の痛みには、さまざまな原因があります。
どのような痛みなのか、いつから痛みが出ているのかで対処法は変わってきます。
腕の付け根に対するおもな治療は、以下の4つです。
- 痛い箇所を冷やす(炎症しているとき)
- 痛みが続く場合は血行を良くする(慢性のとき)
- 腕の付け根の痛みには整体もおすすめ
- なかなか治らない場合は病院へ
➀や②を試してみてそれでも症状が良くならないときは、整体や病院など専門家を受診したほうが早く良くなることもあります。
1.痛い箇所を冷やす(炎症しているとき)
痛みや腫れ、皮膚が赤いといった炎症の所見があるときには、痛い箇所を冷やす(アイシング)必要があります。
保冷剤や氷を包んだタオルなどで、痛い場所を約15〜20分冷やしてみてください。
炎症している場所では、免疫細胞を早く届けるために血管が広がり血流が良くなります。
アイシングをすると血管を縮ませて流れる血の量が少なくなるため、腫れが減り痛みも感じにくくなります。
腫れや皮膚が熱を持っている場合には、炎症している部分を冷やしつつ、安静にして動かさないようにしてください。
2.痛みが続く場合は血行を良くする(慢性的なとき)
腫れや皮膚の赤みなどがないのに痛みが続く場合には、腕の付け根を温めて血行を改善するのが効果的とされています。
肩関節周囲炎や肩こりなど慢性的に痛みが出る疾患では、肩周りの組織が硬くなりやすいです。
腕を動かすと痛むためより動かさなくなる悪循環が起こり、筋肉や組織が固まってしまい十分な血液が行き届かなくなります。
少しずつ動かす・温めることで血流が良くなるため、筋肉の凝りがほぐれやすくなります。
血行を良くする方法は、以下の3つがあります。
- ストレッチやマッサージをする
- 湯船に浸かる
- 温めたタオルを乗せる
自宅でできるストレッチやマッサージは、以下のような方法があります。
どれも1分間あれば終わるため、1度試してみてください。
- 右手の親指を下にして、柱に引っかける
- 右足を後ろに下げて、身体を少し前に倒す
- 脇の下から胸ごと右側を覗き込む
(右側の場合)
覗き込むときは首だけでなく、胸が右側を向くようにしましょう。
また、首から肩にかけてのマッサージは、以下の4つです。
肩の前側
- 鎖骨の間にある窪みを触る
- その高さで肩の丸みがある部分の筋肉まで移動する
- 指で上下左右、斜めにマッサージ
肩の後ろ側
- 肩をすくめたときに盛り上がる筋肉の後ろと内側を触る
- 指2本で上下左右、斜めにマッサージ
肩の外側
- 肩甲骨を触る
- 肩に向かっている横向きの骨を肩の先端までたどる
- 指2本ほど下がったところを指でマッサージ
- 肩の外側の出っ張りを見つける
- 出っ張りの指2本ほど下のところを上下左右、斜めにマッサージ
3.腕の付け根の痛みには整体もおすすめ
冷やしたり温めたりしたけど良くならなかった方や、自分で変に動かすのが怖い方は整体に通ってみるのも一つの方法です。
整体は、豊富な知識を持った身体の専門家が在籍しています。
いつから痛いのか、何をしたときに痛いのかといった問診や、動きの癖・特徴から痛みの原因を探ります。
腕の付け根の痛みに応じて、一人ひとりに合わせたケアを提供することが可能です。
整体でケアをしてもらえるだけでなく、自宅でやるストレッチやマッサージなど痛みが再発しないようなアドバイスももらえるでしょう。
4.なかなか治らない場合は病院へ
いろいろな方法を試したけど、腕の付け根の痛みが治らない場合は、病院を受診しましょう。
痛みの原因が、関節リウマチや変形性肩関節症といった疾患である可能性も考えられます。
病院では血液検査やMRIなどの精密な検査を行い、どの疾患にあてはまるかを判断してくれます。
腕の付け根の痛みに長い期間悩まされている方は、受診すると痛みの原因が分かり、解決策が見つかるかもしれません。
この記事のまとめ
この記事では、腕の付け根が痛い原因や対処法について解説しました。
腕の付け根が痛むのは肩関節周囲炎や腱板損傷、リンパの腫れなどさまざまな原因が考えられます。
対処法として、状態に合わせてアイシングや温めることが必要ですが、間違った方法は症状を悪化させるリスクもあります。
また肩を動かさなければ、より筋肉が硬くなってしまい痛みが強くなりやすいです。
セルフケアとして、今回紹介した自宅でできる簡単なストレッチやマッサージを試してみてください。
理学BODYでは腕の痛みの根本の原因となる筋膜へアプローチし、症状の改善と再発の予防を行います。
もし、病院や整体院へ通っても症状が思うように改善しない場合は、筋膜のプロである私たちに一度ご相談ください。
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