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野球肩で痛い場合に考えられる4つの原因と改善方法を理学療法士が徹底解説

「ボールを投げた時に肩が痛い・・・。」そんな症状で困っている人は多いようです。

「ボールを投げる動作」は肩に負担が掛かりやすく、『野球肩』になってしまう可能性があります。

我慢して続けてしまうと、生活に支障が出てしまうほど症状が悪化してしまうこともあります。

本記事では、野球肩の痛みの原因と改善法を解説していますので、参考にしてみてくださいね。

 

野球肩で痛い場合に考えられる4つの原因

野球のようなボールを投げる動作によって引き起こされる肩の障害を総称し【野球肩】といいます。

野球以外にもバドミントンやバレーボール、ハンドボールなどオーバーヘッドスポーツによっても発症します。

野球肩の痛みの原因疾患は主に4つあります。

  • インピンジメント症候群
  • リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開じょうわんこつこったんせんりかい)
  • 腱板損傷けんばんそんしょう
  • SLAP損傷(上方関節唇じょうほうかんせつしん損傷)

この4つの疾患について、詳しくお伝えしていきます。

 

インピンジメント症候群

肩の先端部分にある肩峰と腱板の間には、肩の動きをスムーズにするため肩峰下滑液包けんぽうかかつえきほうがあります。

ボールを投げる動作などの肩を上げる動作を頻繁に繰り返すことや不良姿勢での動作により、炎症を起こしてしまうと痛みにつながります。(※下記イラスト参照)

  • 肩を上げる動作の途中で痛みが出る
  • 特に肩の高さより上に上げたときに痛みが強くなる

この2つの特徴的な痛みが生じたときは肩蜂下インピンジメント症候群を疑います。

 

リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開じょうわんこつこったんせんりかい

成長期の子供に多いことからリトルリーグショルダーと呼ばれています。

ボールを投げる動作(肩を回す動作)がストレスとなり、上腕骨じょうわんこつの成長線と呼ばれる部分が離開りかいしてしまいます。

子供の骨は大人と比べると強度が低く、このような障害につながってしまいます。

  • ボールを投げた後の鋭い痛み
  • 成長期の子供が痛みを訴える

この2つの特徴に当てはまる場合は、リトルリーグショルダーを疑いましょう。

放っておくと成長障害につながる恐れもあるので早めに受診しましょう。

予防に関しては『リトルリーグショルダーを予防するフォーム修正方法』を覗いてみてください。

 

腱板損傷けんばんそんしょう

肩の関節は棘上筋きょくじょうきん棘下筋きょくかきん小円筋しょうえんきん肩甲下筋けんこうかきんの4つの筋肉の腱で支えられています。

ボールを投げる動作を繰り返すことで、この腱の集合体である腱板けんばんと肩の骨が衝突してしまうことが原因となります。

  • 夜眠れなくなるほど痛い
  • 痛みで手が挙らない(※軽度の損傷を除く)

この2つの特徴が見られる場合は、腱板損傷を疑います。

ひどくなると、傷ついた腱板が切れ腱板断裂につながってしまいます。

MRI検査で明確に診断ができるので、早めに受診しましょう。

 

SLAP損傷(上方関節唇じょうほうかんせつしん

肩の関節は、球状の上腕骨を受け皿となる肩甲骨の関節窩かんせつかが包み込むような形をとっています。

この受け皿の部分は骨頭(上腕骨の頭の部分)4分の1〜3分の1程度しかなく、不安定な構造となっています。

ここの不安定性を助けるために、関節唇かんせつしんと呼ばれる軟骨が補強しています。

この関節唇かんせつしんの上部はSLAP(スラップ=Superior Labrum from Anterior to Posteriorの頭文字)とよばれ、ボールを投げる時に働く筋肉の腱や靭帯と繋がっています。

ボールを投げる動作の繰り返しでこの部分に負担が掛かり、傷ついたり裂けてしまことにより起こる障害のことをSLAP損傷(上方関節唇損傷)といいます。

 

野球肩で痛い場合に考えられる改善方法

野球肩になりやすい原因は、

  • 肩に負担のかかる投げ方をしてしまっている
  • 肩周りや体幹の柔軟性が低く肩に負担がかかってしまう

この2つが当てはまるときに多くなります。

痛みにつながりやすいフォームを修正し、ストレッチと併用して予防することが大切です。

 

痛みにつながりやすいフォームをチェック

ボールを投げる動作(投球動作)は詳しくみると5つのフェーズに分かれています。

投球動作の5つのフェーズ
  1. ワインドアップ期 :構え〜ステップ足が最も高い位置に上がるまで
  2. 早期コッキング期 :ステップ足が着地するまで
  3. 後期コッキング期 :ステップ足が着地してから投球側の肩が最も開くまで
  4. 加速期 (アクセラレーション):投球側の肩関節が最も開いてからボール離すまで
  5. 減速期(フォロースルー) :ボールを離した以降

この中で、最も肩に障害が起こりやすいのが、コッキング期や加速期(アクセラレーション期)です。

フォーム修正箇所は、個人によって問題にバラつきがありますが、肩の障害が起こりやすい原因のは大きく、「肘の位置」「体幹の開き・傾き」の2つに絞られます。

肩を痛めやすいフォーム
  • コッキング期:肘の高さが下がり過ぎている・上がり過ぎている・体幹を開くタイミングが早すぎる
  • 加速期(アクセラレーション期):肘が下がり過ぎている・体が左(左利きの場合は右)に傾き過ぎている

このようなフォームになってしまっている場合は、肩を痛めてしまう可能性があります。

 

肩を痛めにくいフォームとは?

コッキング期や加速期(アクセラレーション期)に肩を痛めにくいフォームを紹介します。

一番のポイントとなるのが、肘の高さについてです。

早期コッキング期までの肘の高さは、前肩-後ろ肩-肘が一直線を目安にすると、肩に負担を軽減できます。

また、振りかぶる際に腕を背中に引きすぎると、体の開きが過度になったり、反り過ぎてしまい左に傾いてしまう原因になります。

そういう場合は、最初の構えの姿勢を見直してみましょう。

一番最初の構えの姿勢で顎が上がっていたり、手の位置が胸まできてしまっていると結果的に体が反りすぎる・開き過ぎてしまう原因となります。

顎は引き、手の位置はおへその少し下あたりに持ってくることを意識してみましょう。

 

痛みの予防法

フォームの修正をスムーズに行うためには、肩周りや体幹の柔軟性をしっかりと保つことが大前提となります。

以下のストレッチを日課にし、怪我の予防に努めましょう。

胸のストレッチ
  1. 伸ばしたい方の腕を壁につける(※肘は曲げ、肩より高くなるように)
  2. 胸を開きゆっくりと深呼吸をしながら伸ばす

※20〜30秒を2セット

肩のストレッチ
  1. 伸ばしたい方の肘を曲げ頭の上にあげる
  2. 反対の手で肘を真後ろに押す(※腕の後ろの筋肉が伸びていれば◎)

20〜30秒で2セット

体幹のストレッチ
  1. 伸ばしたい方の肘を曲げ頭の上にあげる
  2. そのまま体を反対の手の方に傾け体側を伸ばす(20〜30秒)
  3. 2の状態から顔を下に向け、背面を伸ばす(20〜30秒)

 

まとめ

野球肩の痛みの原因となる疾患は、インピンジメント症候群、リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開)、腱板損傷、SLAP損傷(上方関節唇損傷)の4つがあります。

大きな原因としては、肩の使い過ぎや過労です。

痛みが強いときは安静にし少し肩を休ませることも必要です。

その他にも、間違ったフォームで投球動作を続けてしまうと痛みを強くしてしまいます。

早い段階でフォームの修正や、ストレッチを行い肩に負担を掛けない動きを身につけることが解決につながります。


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ABOUT US
木城 拓也
理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。 その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。 筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。
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