ドアノブを捻った時、本のページをめくるときなどの手首を反らす動きで起こる痛みに悩む方へ。
手首を反らす動きの痛みは、手の使い過ぎが主な原因となって違和感や痛みにつながることが多いです。
この痛みは放っておくと、重大な病気につながったり手が動かせなくなるほど痛くなってしまうこともあります。
本記事では、手首を反った時の痛みに絞って原因と対処法を理学療法士が解説していきます。
本記事で、どんな原因で対処法があるのかを把握した上で、どんな治療院に行くべきか判断できるように構成しています。
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手首を反らせると痛い時に考えられる4つの症状と痛みのメカニズム


手首の痛みに関係する疾患は実に様々ですが、
- 『どういう時』に痛くなるか
- 『どこが』痛くなるか
- 『その他の症状』には何があるか
によって原因がわかります。
手首を反らしたときに感じる痛みの原因疾患で特に多いのが
- インターセクション症候群
- 筋肉に由来する痛み
- 腱鞘炎
- TFCC損傷
この4つの疾患です。
それぞれの特徴や見分け方についてみていきましょう。
1.インターセクション症候群
難しい名前に聞こえますが、大きくいうと手首の腱鞘炎の一種です。
家事や育児の中で手首を反らす動きを頻繁に行う女性や、パソコン作業や職人などの手仕事を主に行う職種の人に多くみられます。
手首を反らす動きや親指を広げた時に痛みを生じ、ときに腱が擦れるようなギシギシ・ジャリジャリという音がすることもあります。
同じ腱鞘炎であるドケルバン病と症状が似ており見分けるのが難しいのですが、痛みが生じる範囲や特徴に違いがあります。
- ドケルバン病:手首の親指付近に痛みや腫れが生じる
- インターセクション症候群:手首の親指側で少し肘寄りの部分に痛みが生じ、腱が擦れる音がすることがある
判断が難しい場合は、痛みの部位を細かくチェックしてみましょう。
痛みの原因
主に手首を反らす動作を伴うスポーツや、手作業による手首の使い過ぎ、重たい荷物を手で持ち上げた時にかかるストレスが原因です。
痛みのメカニズム
手首には、手首の動きを司る筋肉や、5本の指の動きを司る筋肉の腱が複数通っています。
手首の親指側より少し手前の部分では、親指を伸ばしたり外に広げたりする筋肉の腱と、手首を反らす筋肉が交叉しています。
手首を反らす時には、どちらの筋肉も一緒に働くことが多いため使い過ぎや重たい荷物を持ち上げた際に交叉している部分にストレスが掛かることで炎症が起きてしまいます。
これが痛みにつながってしまうのです。
もし『インターセクション症候群』の疑いがある場合には、『痛みの対処法』を覗いてみましょう。
2.筋肉自体の痛み
手首の動きには『曲げる(掌屈)・反らす(背屈)・親指側に倒す(橈屈)・小指側に倒す(尺屈)』の4つの動きがあります。
しかし、実際には腕の骨と一体になって『ひねる(回内・回外)』動きを可能にしたり、そこに指の動きを伴ったりと多種多様です。
そんな繊細な動きを可能にするのが、腕から指先まで通るたくさんの筋肉です。
手の内側には内在筋といって、小さな筋肉がたくさんあり、主に指の細かい動きに働きます。
手の外側(肘から手先に掛けて)には、比較的長い筋肉である外在筋が手首や指の動きに働きます。
体の他の部位と同じように、これらの筋肉も使い過ぎると筋肉痛のような痛みやだるさを生じることがあります。
原因
手を使うスポーツや手作業、パソコン作業などで手を酷使してしまうことによるストレスや重たいものを持つなどの動作でストレスがかかってしまうことが原因です。
痛みのメカニズム
筋肉痛には、
- 運動中や運動直後に痛みを生じる即発性筋肉痛
- 運動後数時間〜数日後などしばらく経ってから痛みを生じる遅発性筋肉痛
の2種類があります。
即発性筋肉痛は、一時的に筋肉が酸欠状態となってしまい痛み物質が蓄積されることによって生じると言われています。
遅発性筋肉痛は、使い過ぎて傷ついてしまった筋繊維が回復する途中で炎症を起こし痛みが生じると言われています。
世間一般で言う筋肉痛は後者の遅発性筋肉痛であるとされています。
スポーツで使いすぎることはもちろん、長い時間手を使い続けたり重たい荷物を持ち続けたり等日常生活の中でも筋肉が原因となる痛みは生じてしまいます。
もし『筋肉自体の痛み』の疑いがある場合には、『痛みの対処法』を覗いてみましょう。
3.腱鞘炎
手首を反らした時や、親指を広げた際に痛みが生じる際は腱鞘炎である可能性が高いです。
特にドアノブをひねる動きや、本のページを捲るなど親指の動作を伴った動きで痛みが生じる場合は、ドケルバン病と言われる親指の腱の腱鞘炎の可能性があります。
症状
手首(手関節)の母指側にある腱鞘(手背第一コンパートメント)とそこを通過する腱に炎症が起こった状態で、腱鞘の部分で腱の動きがスムーズでなくなり、手首の母指側が痛み、腫れます。母指を広げたり、動かしたりするとこの場所に強い疼痛が走ります。
注:短母指伸筋腱は主の母指の第2関節を伸ばす働きをする腱の1つです。
長母指外転筋腱は主に母指を広げる働きをする腱の1つです。①短母指伸筋腱(たんぼししんきんけん)
主に母指を伸ばす働きをする腱の一本です。
②長母指外転筋腱(ちょうぼしがいてんきんけん)
主に母指を広げる働きをする腱の一本です。
③腱鞘(けんしょう)
①と②の腱が通るトンネルです。
原因と病態
原因
妊娠出産期の女性や更年期の女性に多く生じます。手の使いすぎやスポーツや指を良く使う仕事の人にも多いのが特徴です。
病態
母指の使いすぎによる負荷のため、腱鞘が肥厚したり、腱の表面が傷んだりして、さらにそれが刺激し、悪循環が生じると考えられています。
特に手背第1コンパートメント内には、上記の2種類の腱を分けて通過させる隔壁が存在し、これがあるために狭窄が生じやすいです。
※ドケルバン病の見分け方や痛みの原因、対処法は下記の記事にわかりやすく解説しています。
腱鞘炎の場合、多くは痛みだけではなく炎症が起きている部分に腫れや熱っぽさもみられます。
また、ひどくなると親指の筋肉が痩せてしまい力が入らなくなってしまうこともあるので、早めに受診することが大切です。
痛みの原因
親指の使い過ぎ(スマホ・パソコン作業・職業病など)が主な原因です。
また、女性の場合はホルモンバランスの変化が原因となり、妊娠・出産期や更年期以降に痛みや腫れが出現することもあります。
痛みのメカニズム
親指を伸ばしたり広げたりする動きには、短母指伸筋腱と長母指外転筋腱の2本の筋の腱がはたらきます。
その2本の腱と腱を覆うトンネルである腱鞘が使い過ぎや何らかのストレスが掛かり炎症を起こすと痛みにつながってしまいます。
従来は美容師さんやピアニストなど指先を多く使う仕事をする人に多くみられていました。
しかし、近年ではスマホの操作によって引き起こされる若者が多くみられるようになってきています。
他にも、女性に多いこの疾患は、妊娠・出産期や更年期に訪れる女性ホルモンの影響を受けることも知られています。
生活に支障が出てしまう前に、早めに受診することが大切です。
もし『腱鞘炎』の疑いがある場合には『痛みの対処法』を覗いてみましょう。
※腱鞘炎の本当の原因や痛みの対処法については下記の記事にもわかりやすくまとめています。
4.TFCC損傷
手首の小指側に特徴的な痛みの原因には、TFCC損傷の可能性があります。
TFCCとは、前腕(手首と肘の間)小指側の骨と手のひらをつなぐ靭帯や腱などの総称を指します。
手をついたり手首を動かす際、手首にかかる負担や衝撃を減らしてくれるクッションのような役割を果たしています。
ここに何らかのストレスが加わり、炎症を起こしてしまうと痛みに繋がってしまします。
原因
手首を捻ってしまうことや、転んだ時に変な方向で手をついてしまったなどの外傷によるものが多いです。
他にも特に身に覚えがないうちに仕事やスポーツなどで手を酷使することで損傷してしまうこともあります。
痛みのメカニズム
転ぶ・捻るなどの外傷が加わり、TFCCが損傷してしまうとクッションの役割が果たせなくなってしまいます。
その結果、周囲の骨や靭帯、腱同士が擦れてしまい、炎症を起こすことで痛みが出現します。
生活に支障が起きないためにも、早めに受診することが大切です。
もし『TFCC損傷』の疑いがある場合には、『痛みの対処法』を覗いてみましょう。
※TFCC損傷の原因や痛みの対処法については下記の記事にわかりやすくまとめています。
手首を反らせると痛い場合に共通する3つの原因


他の関節と同じように痛みが出るのは、手首に大きな負担がかかった場合がほとんどです。
これまではピアニストや手作業を職持つ人などに多かった手首の痛みですが、近年では若い世代の人にも痛みで悩まされる人が増えています。
同じ生活の中でも、手の痛みを訴える人にはある程度共通した原因があります。
- パソコン作業やスマホ操作などの手首の使い過ぎ
- 手首の周辺の筋肉が凝り固まってしまっている
- 出産前後や40〜50歳以降の更年期の女性
の大きく分けて3つとなっており、それぞれ詳しく解説していきます。
1.手首の使い過ぎはNG
手首付近の痛みで一番多いのが手の使い過ぎで生じる腱鞘炎です。
腱鞘炎の一番の原因は使い過ぎによる腱や腱鞘の摩耗や炎症です。
テニスなどの手首を使うスポーツはもちろん、介護職や重たいものを持ち運びする仕事をしている人には手首の腱鞘炎につながるリスクが高まります。
また、パソコンのタイピングやスマートフォンの操作では、親指を広げたり曲げたりする動きが多く、親指の腱に負担が掛かります。
他のスポーツ等と違って肉体的な疲労を伴わない分、つい夢中になって何時間も手を酷使し続けてしまい腱鞘炎につながるケースが多くなってきています。
1時間に1回は休憩をするなど、疲労を感じる前に適度な休憩を挟むことを心がけることが大切です。
2.手首周りの筋肉の硬さ
特に、スポーツや手作業をしていなくても、通勤・通学や、スーパーの買い物など、意外と重たい荷物を持つ機会は日常の生活の中でも多々あります。
知らず知らずのうちに、手首周りの筋肉が凝り固まってしまっているかもしれません。
手首の筋肉が硬くなってしまうと、血流が滞り筋肉痛や炎症を起こしやすくなります。
また、筋肉が骨に付着する部分である腱が少しの衝撃でも切れやすくなったり、滑りが悪くなると腱鞘炎につながることもあります。
手首以外でも、猫背気味の人や肩や首の筋肉が凝り固まって知る人は、自然と手指にも力が入ってしまっていることが多いです。
日頃から、背筋を正し姿勢に気をつけること、ストレッチやマッサージなどを習慣にし疲労を残さないようにするのが痛みの予防にもつながります。
もし『手首周りの筋肉の硬さ』が原因だと考える場合には『ストレッチやマッサージの方法』を覗いてみましょう。
3.女性ホルモンの影響
先程、親指側の腱鞘炎についての説明で少し触れましたが、妊娠・出産期や更年期などで変化する女性ホルモンの働きによっても手首の痛みが生じることがあります。
これには、
- 妊娠・出産期:プロゲステロン
- 更年期以降:エストロゲン
と呼ばれる2つの女性ホルモンの働きが関係しています。
妊娠・出産期に多く分泌される「プロゲステロン」は、トンネル(腱鞘)を収縮させ狭めてしまい、痛みや腫れが生じます。
更年期以降に減少する「エストロゲン」は、腱や関節の柔軟性を低下させてしまいます。
その他、ホルモンバランス以外でも女性は赤ちゃんを抱く際に頭を支える際に親指を使ったり、や家事で手首や指を駆使することが多く、手や手首へのストレスを抱えやすくなり、痛みの原因になります。
手首を反らせると痛い場合に考えられる3つの対処法


手首を反らせた時に生じる痛みには、その痛みの程度や原因によって対処法が変わります。
代表的な対処法には
- サポーターなどの固定具を使用する
- マッサージをする
- ストレッチをする
の3つがありますが、基本的に炎症や痛みが強く腫れなどが生じている場合は、安静が第一優先となります。
特に、腱鞘炎の場合は痛いからといって無理にマッサージをしてしまうと、返って炎症を悪化させてしまいます。
痛みが生じる動作は避け、早めに受診しましょう。
1.サポーター
痛みが強い場合は安静が第一優先ですが、その際に手首や痛みが生じる部位が動かないように保護するサポーターを使用することがあります。
その他にも、スポーツをするときや仕事等で、どうしても安静にできない場合などはサポーターの装着が効果的です。
サポーターにも、その目的や痛みが出現する部位によって様々な種類があり、きちんと症状にあったものを装着することが大切です。
いずれの場合も、まずは受診し医師に正しい診断をしてもらう必要があります。
2.マッサージ
※関節や腱、筋に炎症がすでに生じている場合はマッサージが炎症を強めてしまうことがあるので注意が必要です。
親指のマッサージ
5本の指の中で一番使用頻度が多く疲れが溜まりやすいのが親指です。
また、他の指よりも可動範囲が広いため負担が掛かりやすく、腱鞘炎の原因にもなります。
スマホ操作やパソコン作業の合間などに意識的に行うと、血流が良くなり疲れも取れやすくなります。
- 手の平の親指の付け根部分で、筋肉が厚く盛り上がっている部分を反対の手で優しく揉みます
- 一箇所だけではなく、徐々に場所を変えてマッサージしてみましょう
小指の付け根のマッサージ
手を開く時、何かを掴む時など親指と一緒に働くことが多い小指の筋肉も意外と凝り固まりやす部分です。
- 手のひらの外側で、小指の付け根部分を反対の2本の指で優しくつまみ、外側に引っ張るようにマッサージをしていきます
- 少し硬い部分や痛みが出る部分は無理に行わなくても、自分が気持ち良いと思う程度で十分です
3.ストレッチ
※関節や腱、筋に炎症がすでに生じている場合はマッサージと同様無理なストレッチが炎症を強めてしまうことがあるので注意が必要です。
マッサージと合わせて行うと効果的なのが手首のストレッチです。
手首周りをゆっくりと伸ばし、関節の動きを出すことや、関節周りの筋肉を柔軟に保つことは痛みの軽減だけでなく、予防にも効果的です。
軽い筋肉痛や、手首にだるさを感じるときには積極的に行います。
他にも、パソコン作業の前後や、スマホ操作の合間にも行ってみましょう。
指のストレッチ
生活の中で、指を曲げる動作は頻回に行われますが、反対に指を伸ばすことはあまりありません。
指を曲げる筋肉ばかり酷使してしまい、凝り固まってしまうと痛みだけではなく、関節の炎症や変形にもつながってしまいます。
指先を柔軟に保つためにも気づいた時にストレッチを行いましょう。
- 手の平が下を向くように手を机にのせます
- 5本の指を1本ずつ机から離すように反らせます
- ※20秒〜30秒を目安に
手首のストレッチ2種
手首には腱がたくさん通っていますが、その細い腱には日常的に大きな負担がかかっています。
軽い痛みやだるさが生じるときは、やさしく伸ばし筋肉を休ませてあげましょう。
▼ストレッチ①
- 伸ばしたい方の手を前に伸ばし、手の平を上に向けます
- 反対の手で4本の指を支え自分の方へ引き込むように伸ばします
- ※20秒〜30秒を目安に
▼ストレッチ②
- 伸ばしたい方の手を前に伸ばし、手の平を下に向けます
- 反対の手で手の甲を支え自分の方へ引き込むように伸ばします
- ※20秒〜30秒を目安に
※上記の他に当店では効果的に痛みを改善出来るよう、あなたの痛みに効くおすすめの筋膜リリース動画をLINEから無料でお伝えしています。
まとめ
手首を反らした時に生じる痛みの原因は、インターセクション症候群や腱鞘炎、TFCC損傷や筋肉の由来の痛みなど、実に様々です。
それぞれの痛みの原因やメカニズムを理解することで、症状の悪化を防ぐことや受診までの間の痛みの対処ができるようになります。
今回の記事を参考に、早期回復に繋げられるように必要な知識を学びましょう。