体を鍛えたくて懸垂を始めたが、首が痛くてできなくなってしまった。
懸垂で体を鍛えようと思うが、首が痛くなって思うようにできない。
このような悩みありませんか?
懸垂は正しいフォームで行えば、背中の筋肉を鍛えることができます。
ですが、間違った悪いフォームで行うと、首や肩の筋肉を過剰に使ってしまうため、首の痛みを引き起こす原因になるのです。
そこで、今回は懸垂で首を痛める原因から、首が痛い時に何が考えられるか、正しい懸垂のフォーム、首が痛い時の対策を解説します。
懸垂で首を痛める原因
懸垂で肩を痛める原因としては、主に以下の4つが考えられます。
- 肩がすくんでいる
- 肩をひねっている
- 頭が下がっている
- 肩甲骨とバーの位置がずれている
それぞれ解説していきます。
肩がすくんでいる
背中には、背骨を挟んで左右に肩甲骨という骨があります。
肩甲骨とは、上腕骨とともに肩関節を形成している骨で、腕を動かすと上腕骨に合わせて肩甲骨も動きます。
懸垂で体を持ち上げていく際、本来は左右の肩甲骨が寄って背骨に近づく、内転という動きが起こります。
ですが、首を痛める人は左右の肩甲骨の内転があまり起こらず、上に上がってしまう挙上という動きが起こっています。
挙上すると何がいけないのかというと、首から肩甲骨にかけて伸びる僧帽筋や肩甲挙筋という筋肉が過剰に働きやすく、首を痛める原因になります。
また、肩のはまりが悪く、腱を挟み込んだり、骨同士がぶつかって肩の痛みを起こす可能性も高くなります。
懸垂で体を持ち上げる時には、肩を下げながら肘に力を入れていきますが、この時の肩甲骨の動きとしては挙上ではなく内転するのが正しい動きです。
肩をひねっている
上述したように、悪いフォームで首を痛める人は肩甲骨を挙上する人が多いです。
この時、肩を内側へひねるように体を持ち上げていることがあります。
肩を内側へひねると、頭から首が前に出やすく、首の前側の胸鎖乳突筋や斜角筋が過剰に働きやすくなります。
肩甲骨を挙上ではなく下げると、肩を外にひねる動きが起こりやすいです。
そうすることで、首の力は使わず、背中の力を使って体を持ち上げることができます。
頭が下がっている
懸垂で体を持ち上げていく際、頭が下がっていると背中が丸くなりやすく、肩甲骨の挙上や肩を内側にひねってしまう原因になります。
肩甲骨はあばらの上を滑るように動きますが、あばらは真っ直ぐではなく、背中側に少し丸みを帯びた形状をしています。
なので、背中が過度に丸くなると、自然と肩甲骨が上に動いて挙上してしまいます。
それに伴い、肩も内側にひねりやすい状況になってしまうので、結果として首を痛めやすいフォームになってしまいます。
肩甲骨とバーの位置がずれている
正しいフォームで懸垂を行う場合、少し胸を張るように背中を反らし、胸をバーに近づけていくように行います。
この時、横から見ると、肩甲骨とバーの位置がほぼ直線上にきます。
ですが、胸を張らず何も考えずにただぶら下がっているだけだと、肩甲骨はバーの位置より後方に位置しているはずです。
悪いフォームの場合、バーと肩甲骨の位置が離れており、この距離が離れるほど懸垂する時に大きな力が必要となります。
なので、足りない力を首や肩、腕の力を使って無理やり体を持ち上げるといった方法になってしまいがちです。
ですが、肩甲骨とバーの位置が直線上で距離が近い状態であれば、小さい力で体を持ち上げることができ、背中を使って懸垂することができます。
本来は背中を使って体を持ち上げるところを、首周りの筋肉を過剰に使ってしまうことが首の痛みの原因となるということです。
懸垂で首を痛めた時に考えられる事
首の痛みがある時に考えられる事としては、主に以下の3つです。
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 頚椎症性脊髄症
- 頚椎症性神経根症
それぞれ解説していきます。
頚椎椎間板ヘルニア
ヘルニアと聞くと腰をイメージするかもしれませんが、同じ背骨の首でもヘルニアは起こる可能性があります。
原因としては、背骨をつなぐクッションの役割をしている椎間板が主に加齢変化により後方に飛び出すことによって起こります。
30~50歳代に多く、しばしば誘因なく発症します。
■参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
症状としては、首や肩にしびれ・痛みが出たり、指の細かい動きが難しくなり、ボタンをとめにくくなったり、箸が使いにくくなったりします。
ただ、頚椎は第1頚椎から第7頚椎まで7つの頚椎から構成されており、ヘルニアが頚椎のどこで起こるかによって症状は異なります。
よく起こりやすい場所は、第5頚椎から第7頚椎の間で、首の後ろ側で付け根辺りから肩の外側、腕の外側から親指にかけて症状が出やすいです。
加齢による影響でなくても、普段から首に負担がかかっている方は首の背骨や椎間板、靭帯が傷みやすいので、首周りの筋肉を過剰に使うようなフォームで懸垂をしている場合も注意が必要でしょう。
頚椎症性脊髄症
頚椎が何らかの原因で変形してしまう病気を頚椎症と言います。
頚椎症によって神経が圧迫されることでしびれや痛みが出現するのですが、その中でも背骨の後方にある脊髄の通り道である脊柱管で脊髄が圧迫されることで症状が出現する場合を頚椎症性脊髄症と呼びます。
原因としては、加齢変化による頚椎症(椎間板の膨隆・骨のとげの形成)の変化によって、頚椎の脊柱管(骨の孔)の中にある脊髄が圧迫されて症状が出ます。
日本人は脊柱管の大きさが欧米人に比較して小さく、「脊髄症」の症状が生じやすくなっています。
■参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
症状が出る場所は脊髄が頚椎のどこで圧迫されるかによって異なります。
頚椎症性脊髄症がよく起こるのは第4頚椎から第6頚椎の間とされています。
しびれや痛みの出る場所としては、首の後ろ側で真ん中辺りから肩の外側から腕の外側を通って親指までの範囲です。
これも頚椎椎間板ヘルニアと同じで、加齢による影響だけに限らず、首の筋肉を酷使するようなフォームでの懸垂は注意が必要です。
頚椎症性神経根症
脊柱管で脊髄が圧迫される頚椎症性脊髄症に対し、脊髄から枝分かれして背骨と背骨の間から出ている神経が圧迫されるのが頚椎症性神経根症です。
原因としては、加齢変化による頚椎症(椎間板の膨隆・骨のとげの形成)の変化によって、脊髄から分かれて上肢へゆく「神経根症」が圧迫されたり刺激されたりして起こります。
遠近両用眼鏡でパソコンの画面などを首をそらせて見ていることも原因となることがあります。
■参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
症状としては、頚椎症性脊髄症と似ており、よく起こる場所も同じで、首、肩の外側から腕の外側、親指にかけてしびれや痛みが生じる可能性があります。
頚椎症性脊髄症との違いは、神経が圧迫される部位が違うという点です。
懸垂の正しいフォーム
ここまでを踏まえ、懸垂で首を痛めないための背中を使った正しい懸垂のフォームを解説します。
具体的には以下の4点に注意して懸垂を行いましょう。
- スタートの姿勢は軽く胸を張り上を向く
- 肩はすくまず下へ下げながら体を持ち上げる
- 胸をバーへ近づけるように体を持ち上げる
- 肘をお尻の方へ近づけるイメージで力を入れる
それぞれ解説します。
スタートの姿勢は軽く胸を張り上を向く
スタートの姿勢からかなり大事で、ここで間違うと後のフォームも正しくできない可能性が高いです。
ただぶら下がるだけではなく、軽く胸を張るようにして上を向きましょう。
そうすることで、横から見た時に肩甲骨とバーの位置が直線上になり、背中を使って体を持ち上げやすくなります。
肩はすくまず下へ下げながら体を持ち上げる
スタートの姿勢や体を持ち上げる際に、肩がすくんでしまうと、僧帽筋や肩甲挙筋といった筋肉が過剰に働き、首から肩にかけての痛みを起こしやすいです。
体を持ち上げる際は、肩を下げる意識を強く持ち、肩を下げながら体を持ち上げていくように心がけましょう。
そうすることで、首の筋肉を過剰に使わず背中で体を持ち上げることができます。
胸をバーへ近づけるように体を持ち上げる
スタートの姿勢で胸を張っているので、あとはそのまま胸をバーへ近づけるだけで、背中を使って懸垂することができます。
胸の真ん中とバーが近づくイメージで持ち上げていくと良いでしょう。
肘をお尻の方へ近づけるイメージで力を入れる
体を持ち上げる時の肘の使い方も重要です。
肘が実際に下がってしまうと、肩が上がりやすくなってしまうので、実際には肘はほとんど動きません。
肩を下げつつ、肘をお尻に近づけるイメージで力を入れることで、肩甲骨の内転が起こりやすく、背中の筋肉を使って胸をバーへ近づけていくことができます。
肩が上がってしまったり、肘を曲げて体を持ち上げる力の使い方では、肩甲骨の内転は起こりにくいので、肘の使い方にも注意しましょう。
懸垂で首を痛めた時の対策
正しいフォームを身につけることも大事ですが、首を痛めてしまった場合や予防的な意味でも下記に解説する対策を併せて実践することをお勧めします。
懸垂で首を痛めた時の対策としては、以下の3つです。
- 背中を鍛える違う種目を行う
- 肩のインナーマッスルを鍛える
- ストレッチ
それぞれ解説していきます。
背中を鍛える違う種目を行う
懸垂は自重を使ったトレーニングですが、負荷はかなり高い種目です。
なので、そもそも背中の筋力が弱い方は、正しいフォームで行うことが難しく、肩をすくめたり首に力を入れて、無理やり体を持ち上げた結果、悪いフォームになってしまいます。
なので、懸垂にこだわらず、別の種目で背中を鍛えてから懸垂を行うことも1つの手段でしょう。
懸垂より負荷が低く、背中を鍛えられる具体的な方法を以下に解説します。
- 肩幅より少し足を広く開いて立つ
- 体を前へ倒し、下半身と上半身を直角に近い角度にする
- 両肘を伸ばし、下へ垂らす
- 腕を横から肩の位置まで持ち上げる
- 再び垂らし、持ち上げる動きを繰り返す
- 10〜20回程度繰り返す
ポイントは、腕を横から持ち上げる際に肩がすくまないようにしましょう。
また、負荷が軽すぎる場合は、中身が入ったペットボトルやダンベルを持って行うとより負荷を高めることができます。
反対に負荷が強いという場合は、肘を曲げて同様に行うと負荷を低くすることができます。
自分の筋力に合った方法で行いましょう。
肩のインナーマッスルを鍛える
肩のインナーマッスルは棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋群のことを指します。
これらが協調して働くことで、肩を前後、上下から安定させ、スムーズに腕を動かすことができます。
反対に、肩のインナーマッスルが働かないと、肩が不安定になるので肩をすくめたり、首に力を入れて体を持ち上げる悪いフォームになりやすいです。
具体的な鍛え方としては以下の2つがおすすめです。
横向きでのトレーニング
- 横向きになる
- 腕を体の横にピッタリつけ、肘を90度に曲げる
- 肘は曲げたまま、手のひらをお腹側、天井側へと交互に繰り返す
- 20〜30回程度行う
ポイントは、手首で動かさずにあくまでも肘を支点に肩を動かしましょう。
また、素早く行わず、ゆっくりと時間をかけて行いましょう。
座ったままでのトレーニング
- 椅子に腰かけ、目の前にテーブルを用意する
- 体がやや前傾して肘をつける位置に椅子を調整する
- 両肘をテーブルにつき、肘は90度に曲げる
- 軽く肘でテーブルを押しつつ、肘から手首を内外へ動かす
- 20〜30回程度繰り返す
ポイントは、肩がすくんだり、あごが上がったりしないように、軽く肘でテーブルを押した状態をキープすることです。
また、先ほどと同様に、手首で動かさないこととゆっくり時間をかけて行いましょう。
ストレッチ
肩をすくめると首から肩にかけて伸びる僧帽筋や肩甲挙筋が過剰に緊張し、首の痛みにつながります。
なので、僧帽筋や肩甲挙筋をストレッチして肩を下げやすくするとともに、痛みを和らげることが必要です。
具体的には以下の方法で行いましょう。
- 片手で頭の上を通って反対側の耳の辺りをさわる
- その手で首を手と同じ側へ倒す
- 反対側の手を下へ伸ばすようにし、肩を引き下げる
- そのまま15〜20秒キープする
- 2〜3セット行う
ポイントは、反対側の肩を引き下げることで、首を倒すだけでもストレッチはできますが、肩を下げることでさらに効果を高めることができます。
反対に、首を倒しても肩がすくんでしまうと、上手くストレッチできませんので注意しましょう。
理学ボディのおすすめ
今回紹介した対策を実践しても中々首の痛みがなくならないという方は、理学ボディで施術を受けることがおすすめです。
理学ボディでは、最短で痛みを改善させることにこだわっており、筋膜という組織に対して施術を行います。
筋膜は筋肉を覆っている膜状の組織で、筋膜が硬くなると筋肉の柔軟性が低下、筋力が発揮しにくいなどが起こります。
筋膜の硬さのある場所はピンポイントで存在しているため、ストレッチやマッサージでは中々ほぐすことができません。
もし、筋膜の硬さが首の痛みに影響しているのなら、ストレッチやマッサージをしていても中々改善することは難しいでしょう。
ですが、筋膜の施術に精通している理学ボディのセラピストなら、ピンポイントの硬さでも見つけることができます。
もし、首の痛みがなくならなくて困っているという方は、ぜひ理学ボディにお越しいただき、筋膜の施術を受けてみてください。
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