運転中や運転直後に感じる「腰の痛み」
じわじわとやってくる腰痛にお悩みではありませんか?
一度なら我慢できても、繰り返す痛みは生活に支障が出て嫌ですよね。
この運転での腰痛に悩む方、実は少なくないんです。
厚生労働省のデータでは、陸上貨物運送事業では、労働災害としての腰痛で、毎年500〜600人もの方が4日以上休業しています。
長引く腰痛が原因で仕事を辞めてしまう方もいるのだそうです。
このように、深刻な問題にもなる腰痛。
『運転での腰痛って危険なの?』
と不安になる方もいらっしゃることと思います。
ご安心ください。
運転による腰痛は、適切な対処で解消したり、予防することが可能です。
この記事では、運転で腰痛を引き起こす理由と5つの対処法を、人の体と運動の専門家である理学療法士が解説します。
運転での腰痛の痛みをいち早く解消したい方は、専門店への相談をおすすめします。
目次
運転中に腰痛になる5つの理由
運転で腰痛を引き起こす方は「長時間」「狭い空間」で「座った姿勢」でいることが多いです。
このことを踏まえると、運転で腰痛になる理由は、次の5つが考えられます。
- そもそも座り姿勢は腰に負担がかかる
- 座り姿勢が悪い
- 長時間同じ姿勢でいる
- もともと体が硬い
- もともと姿勢が悪い
これらを順に見てみましょう。
そもそも座り姿勢は腰に負担がかかる
そもそも、座り姿勢は腰に負担をかけます。
特に、ヘルニアと関連のある椎間板にかかる負荷(内圧)は、仰向けと比べて座位で5.6倍、立った姿勢と比べて1.4倍が上がるという報告があります(※体重70kgの人の場合)。
椎間板の内圧が高い状態が断続的に繰り返されると、椎間板が変性し、腰痛に繋がります。
座り姿勢が悪い
無意識にとっている姿勢の「クセ」が身体に負担をかけていることも多いです。
まず、AT車は左足を使わないため、座ったときにおしりにかかる体重が左右均等になりません。
つまり、腰にかかる負担も左右均等ではありません。
さらに、ドライバーの間違った運転姿勢も腰痛の原因になります。
特にシートに浅く座り過ぎたり、背もたれを倒し過ぎたりすると、腰の筋・筋膜や椎間板に負荷がかかります。
この積み重ねが、腰痛を引き起こしてしまうことがあります。
長時間同じ姿勢でいる
長時間同じ姿勢でいることは、血流と筋膜の滑走性に問題を起こします。
血流は、筋肉が動くことで保たれます。
同じ姿勢で動かないと筋肉を使わないため、血流も悪くなってしまいます。
また、腰はさまざまな動きができるよう、たくさんの筋肉・筋膜が周りを囲んでいます。
体を痛みなく、柔かく動かすためには、筋膜の滑りの良さ(滑走性)が不可欠です。
運転など同じ姿勢を長く続けると、筋膜の滑りが悪くなり硬くなってしまいます。
すると、筋肉が十分に伸び縮みできなくなります。
そのため、腰を動かす時に詰まるような感覚や痛みが出やすくなります。
筋膜は、30分動かないと滑走性に影響が出るとも言われています。
もともと体が硬い
いわゆる”体が硬い”ことも、運転での腰痛に繋がることがあります。
特に腹筋やおしり、太ももの後ろ側(ハムストリングス)が硬い方に多く起こります。
なぜなら、これらが硬いと猫背やズッコケ座りになりやすく、姿勢が崩れやすいからです。
もともと姿勢が悪い
運転中に限らず、姿勢の悪さと腰痛は関連が深いです。
普段から猫背の方は、頭や背中が背もたれに預けられず、頭の重さを背中や腰で支え続けなければなりません。
反り腰の方は、座ったときに腰がシートから浮いてしまい、腰の力が抜けません。
どちらか一方の肩が下がっていたり、みぞおちが真正面を向いていない場合は、おしりへかかる体重が左右均等ではありません。
これらはいずれも、腰の筋肉の使い過ぎやアンバランスを助長し、腰痛を引き起こす可能性があります。
運転時の腰痛で危険な3つのケース
運転時の腰痛の多くは、痛みの原因を特定できない『非特異的腰痛』と診断されます。
しかし、腰痛の中にも、痛みの原因がハッキリしている場合があります。
特に、以下の3つのケースは、症状が重くなる危険があるため注意が必要です。
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
- 坐骨神経痛
これらの症状や病院を受診するべきケースについて解説します。
腰椎椎間板ヘルニア
椎間板は、背骨同士を繋ぎ、クッションの役割をしている組織です。
この椎間板が何らかの原因で壊れ、中身が飛び出てしまった状態を椎間板ヘルニアと言います。
腰椎(腰の骨)の隣には体幹や脚の感覚や運動、尿や便の排泄(はいせつ)を制御する神経があり、ヘルニアがこれらの神経を圧迫することがあります。
すると、体幹から足の指先にかけてしびれや動かしにくさ、歩行困難、排泄困難(尿や便の制御ができない)などの症状がでます。
腰椎椎間板ヘルニアになると、腰や臀部(でんぶ)が痛み、下肢に痺れや痛みが放散したり、足に力が入りにくくなります。
椎間板ヘルニアは重いものを持ち上げるときや腰を捻る動作で発症することが多いです。
また、重症となる例は、20~40 歳代の男性に多いと言われています。
運送業など、運転に加えて物を運搬する仕事をされている方は、注意が必要と言えます。
腰痛に加えてしびれや歩きにくさ、排泄障害などを伴う場合は早急に医療機関を受診してください。
腰部脊柱管狭窄症
脊柱管は神経(脊髄)のトンネルであり、背骨、椎間板、関節、靱帯などで囲まれています。
背骨の変形や椎間板の膨隆、靱帯の変性(肥厚や骨化)などが起こると、脊柱管が狭くなります。
これにより神経が圧迫され、神経の血流が低下すると、腰部脊柱管狭窄症の症状を引き起こします。
腰部脊柱管狭窄症の一番の特徴は、長い距離を続けて歩くことができないことです。
安静時にはほとんど症状はありませんが、背筋を伸ばしたり歩いたりすると、太ももから足の指先にかけてしびれや痛みが出て歩きづらくなります。
進行すると、足の筋力が落ちたり、排泄困難などの症状も出ることがあります。
腰部脊柱管狭窄症は、椎間板ヘルニアに比べ中高年に発症することが多いようです。
腰痛よりもしびれが気になる場合や、しびれで長時間歩けなかったり、排泄障害がある場合には早急に医療機関を受診してください。
坐骨神経痛
坐骨神経痛は、坐骨のすぐ隣を通る坐骨神経がダメージを受けることで、痛みやしびれなどの症状が起こります。
坐骨神経痛とは、腰から足にかけて伸びている「坐骨神経」がさまざまな原因によって圧迫・刺激されることであらわれる、痛みやしびれるような痛みなどの症状のことを指します。
多くの場合、腰痛に引き続いて発症し、次におしりや太ももの後ろ、すね、足先などに痛みやしびれるような痛みがあらわれます。
参考:疼痛.jp
症状はおしりや太ももから脚の指先にかけての鋭い痛みやしびれるような痛みです。
ふくらはぎの張りや異常感覚(冷感や灼熱感)、締めつけ感などの症状もあらわれます。
こうした症状は、坐骨周りだけに強く感じることもあれば、脚全体に感じる場合もあります。
長時間の運転は、坐骨神経が座面と坐骨の間に挟まれ続けることでダメージを受け坐骨神経痛の症状を引き起こすことがあります。
安静にしていても鋭い痛みやしびれが出る場合は、医療機関の受診をおすすめします。
また、稀な症状ですが、尿もれなど膀胱や直腸などの排泄障害があらわれた場合は、必ず病院を受診しましょう。
運転時の腰痛は治る?
運転時の腰痛は、多くが痛みの原因を特定できない『非特異的腰痛』と診断されます。
これらの原因は『筋・筋膜』にあると言われています。
腰痛の頻度が少なかったり、しびれなど他の症状がない場合、多くはこの『筋・筋膜』の痛みに分類されるでしょう。
『筋・筋膜』の痛みの場合、正しい対処をすることで痛みを解消できたり、再発を予防できたりします。
以下に5つの対処法を解説しますが、『筋・筋膜』の痛みをいち早く解消したい方は、筋膜リリースの専門店への相談をおすすめします。
運転による腰痛に効く!5つの対処法
では、運転による腰痛を自分で解消したい方向けに、効果が期待できる対処法をお伝えします。
運転による腰痛を解消するためには、以下の5つの対処法があります。
- 座り姿勢を整える
- シートの位置を調整する
- シートの素材やクッションを工夫する
- ストレッチ
- 筋トレ
順に解説していきます。
座り姿勢を整える
一番早く実践できる対処法は、座り姿勢を整えることです。
以下のポイントに気をつけて、自分の姿勢を調整してみましょう。
- 腰をシートの奥まできっちりとつける
- 背もたれは垂直から少し(20°程度)倒す
- 両膝は90°よりも伸ばす
- 左足はフットレストに置く
- ヘッドレストも使う(頭が前に出てこないように)
- ハンドル操作は、肘が少し曲がる程度に
背もたれなしの椅子に座るときと違い、背もたれやヘッドレストを使い、リラックスした姿勢を心がけます。
ただ、長時間の運転は自然と姿勢が崩れやすいものです。
こまめに座り直して、良い姿勢をキープできるようにすると良いでしょう。
シートの位置を調整する
姿勢を整えるためには、シートの位置の調整も欠かせません。
上述の姿勢が整うよう、シートの高さや前後位置、背もたれの角度を調整しましょう。
車によりシートの調整機能は異なりますが、概ね以下の順番で調整すると良いでしょう。
- シートの高さ
- 背もたれの角度
- シートの前後位置
- ハンドル位置
シート上での腰・頭のポジションを決めてから膝や肘の位置を決めていくと、再現性の高いシート調整ができます。
シートの素材やクッションを工夫する
もし、車の買い替えなどでシートが変更できるのであれば、シートそのものにこだわってみるのも1つの対処法です。
シート選びのポイントは以下の3つです。
- 座面が滑りにくい材質のシートであるか
- 芯がつぶれにくいシートであるか
- シートに快適性を高めるクッション性があるか
シートの材質を滑りにくさで選ぶなら、本革が良いでしょう。
「芯のつぶれにくさ」と「クッション性」は相反する機能と感じるかもしれません。
芯の強さは座面の安定に繋がり、体の余計な力を抜くことができます。
しかし、硬い芯に直接座ると、すぐにおしりが痛くなってしまいます。
これを適度に覆い、おしりの圧を緩和してくれるクッション性もあると良いでしょう。
また、サイドサポートがない平坦なシートでは、横方向の動きに対して身体を十分に支えられません。
おしりの形に沿うようなサイドサポートがあると理想です。
シート調節が細かくできなかったり、シートを換えることができない場合には、クッションやタオルの使用をおすすめします。
腰や首の後ろの隙間をタオルで埋めてあげると、シートと体の接触面積が増えるため、体の余計な力が抜けます。
ストレッチ
どんなに良い姿勢を心がけても、狭い空間に長時間いると体は縮こまってしまいます。
1時間に1回程度は車から降りて休憩し、ストレッチで体を伸ばしましょう。
ここでは、車から降りてすぐできるストレッチを紹介します。
胸のストレッチ
胸から肩につく筋肉(大胸筋)のストレッチです。
猫背の姿勢や長時間の運転では、この筋肉が硬くなりがちです。
この筋肉が柔らかくなると、背中を伸ばしやすく、背もたれやヘッドレストが使いやすくなります。
以下の手順でやってみましょう。
- 車に対して横を向いて立つ
- 肘を肩の高さまで挙げ、手のひらから肘を車につける
- 手のひらから肘を車につけたまま、手と反対から後ろを振り向くようにする
- 胸の筋肉が伸びる位置で10~20秒ストレッチ
車から手のひらから肘が離れると、十分に筋肉が伸びないので注意しましょう。
体幹のストレッチ
腰を含めた、体幹全体を引き伸ばすストレッチです。
長時間の運転で縮こまった腹筋や背筋を伸ばし、リフレッシュさせる効果があります。
以下の手順でやってみましょう。
- 両手を頭の上で組み、手のひらが空を向くように返す
- 足裏全体が地面に付くよう意識する
- 踵と手のひらを引き離すように、体幹全体をゆっくりと引き伸ばす
- 気持ちよく引き伸ばしたところで20秒ストレッチ
- さらに手を右に倒し、左脇腹を20秒ストレッチ
- 手を左に倒し、右脇腹を20秒ストレッチ
- 背中から前に倒れるようにして背筋を20秒ストレッチ
- みぞおちを引き上げるように軽く後ろに倒れて腹筋を20秒ストレッチ
※⑦や⑧は腰痛が悪化するようであれば控えましょう
このストレッチは手に意識が向きがちですが、踵が浮かないよう足裏は常に地面につけておくことがポイントです。
ドライブ前に休憩(ストレッチ)場所を決めておくのも、痛みの予防のためには良い方法です。
また、元々腰痛のある方はより頻回に休憩やストレッチを取り入れるよう心がけましょう。
筋トレ
座った姿勢を支える筋力を鍛えることは、痛みの解消や予防に繋がります。
そのため、痛みが気になる時だけでなく、日常で取り入れてみることをおすすめします。
ドライバーにおすすめの筋トレは、おしり(大臀筋)、腸腰筋、体幹の3つです。
トレーニングの時は、鍛えている場所に力が入っているか感じたり、手で触ったりながら行いましょう。
体幹の筋トレ
体幹は体の”幹(みき)”という字の通り、体の軸になる部分のことです。
運転中、不安定な座面の上で座った姿勢を整えるためには、体の軸である体幹の安定が大切です。
地味なトレーニングですが、1ヵ月続けると足が動かしやすくなると思います。
体幹のトレーニングは、次の順番でやってみましょう。
- うつ伏せで寝て、肘を肩の真下につく
- 両肘・両膝で体を支えるようにして、お腹を持ち上げる
- そのまま15秒キープする(慣れてきたら秒数を増やしてもOK)
- 2〜3セット繰り返す
この運動の際は、肩から膝が一直線になるようキープすることがポイントです。
腰が捻れたり反ったりしないよう注意しましょう。
応用メニューもあるので、慣れてきたらさまざまなバリエーションでチャレンジしてみてください。
腸腰筋の筋トレ
腸腰筋は、座った姿勢で骨盤を引き起こす役割のある筋肉です。
また、MT車のクラッチ操作でも使います。
腸腰筋のトレーニングは、次の順番でやってみましょう。
- 仰向けに寝て、肩甲骨が浮くくらいまで頭を持ち上げる(両手は腰に置く)
- 片足を上げる
- もう一方の足を入れ替える
- 10回程度繰り返す(慣れてきたら回数を増やしてもOK)
おしり(大臀筋)の筋トレ
おしり(大殿筋)を鍛えると、自前のクッションにもなります。
次の順番でやってみましょう。
- 仰向けに寝て、両膝を立てる
- 片足を上げ、両手を太ももの裏で組み足を支える
- もう一方の足で地面を支え、おしりを上げる
- おしりを上げ切ったら、ゆっくり下ろす
- 10回程度繰り返す(慣れてきたら回数を増やしてもOK)
- 左右を入れ替えて同じ動きを繰り返す
運転で悩む腰痛は筋膜リリースが有効?
運転で悩む腰痛には、筋膜リリースが有効なのでしょうか?
結論から言うと、運転で悩む腰痛のほとんどは筋膜リリースで改善することができます!
なぜなら、前述した腰痛と筋膜の関係が、運転での腰痛の原因の多くを占めているからです。
「筋膜リリース」は、筋膜を柔らかくし滑りを良くして、解きほぐす方法です。
運転により硬く滑りが悪くなった筋膜も、筋膜リリースで解きほぐされて痛みが解消されることが多いのです。
今すぐ痛みをとるなら理学ボディ
筋膜リリースは運転での腰痛に効果が期待できますが、自己流でのケアには限界があるかもしれません。
筋膜はいくつもの層になって全身を覆っており、時に互いに影響を及ぼします。
そのため、腰痛の原因がふくらはぎの筋膜にある、ということもあります。
自己判断で正確に原因を特定することは難しいです。
専門家であれば、全身の筋膜の状態をみながら、時には症状がある部位から離れた筋膜にアプローチすることができます。
ご自身でのケアに限界を感じたら、私たちプロを頼ってください。
私たち理学ボディは全員が理学療法士という国家資格を取得しており、医学的知識をもとに施術します。
また、私たちは筋膜に特化した施術(筋膜リリース)を行います。
そして3回以内に卒業できることにこだわっています。
もちろん、全員が1〜3回の施術で改善するわけではありませんが、他の整体や病院に行くよりは少ない回数で改善できる自信があります。
ですので、なかなか腰痛が改善しない方は、一度ご相談いただければと思います。
理学ボディは北海道から九州まで店舗を展開しています。
症状にお困りの方は、一度お近くの店舗にご相談ください。
まとめ
この記事では、運転で腰痛を引き起こす理由と5つの対処法を、人の体と運動の専門家である理学療法士が解説しました。
運転での腰痛の多くは、座りっぱなしや悪い姿勢による筋膜のすべりの悪さや硬さが原因です。
5つの対処法を実践すると共に、症状に悩むようなら無理せず私たち理学ボディを頼ってください。
現在、理学ボディではLINEで痛み診断や改善動画のプレゼントを行っています。
ご自身の痛みが気になっている方は、気軽にお問い合わせください。