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ゴルフで肘が痛い時に考えられる原因と対処法を理学療法士が徹底解説

 

ゴルフによる肘の痛みに悩まされていませんか?

「ただの疲れかな。」と思って我慢してしまう人も多いですが、ゴルフによるスポーツ障害の一つである『ゴルフ肘』になってしまっているかもしれません。

特に、

  • 肘の内側が痛む
  • 手打ちになってしまうクセがある
  • よくダフってしまう

という人は要注意です。

正しい対処をせずに放っておくと、どんどん痛みが強くなってしまいます。

この記事では、ゴルフで肘が痛くなる場合の原因から対処法まで詳しくお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

すでに痛みに悩まされている人は先に『対処法』覗いて、後からじっくり内容について理解を深めてみましょう!

 

ゴルフで肘が痛い時に考えられる事

ゴルフで肘が痛くなる時に考えられる疾患は大きく2つあります。

  • 変形性肘関節症へんけいせいひじかんせつしょう
  • 上腕骨内側上顆炎じょうわんこつないそくじょうかえん

この内、ゴルフ特有のスポーツ障害であるのが上腕骨内側上顆炎じょうわんこつないそくじょうかえんと呼ばれ、練習のやり過ぎやスイングに問題がある場合に見られます。

それぞれの特徴について詳しくみてみましょう。

 

変形性肘関節症

肘の痛みに関与する疾患として、考えられるのが変形性肘関節症です。

この病気は肘の関節の摩耗によるものが大きな原因で起こる疾患です。

日常的な肘への負担が原因となる等、ゴルフの練習以外にも以下に示すように肘の負担や痛みにつながる原因がある場合が多いです。

原因と病態

肘関節の酷使(スポーツ、重労働)肘関節内骨折などの肘関節外傷、関節炎などが原因としてあげられます。

病態は、外傷では関節軟骨が摩耗して骨が関節面に露出し、おもに内側では過剰な骨の突起(骨棘)ができます。骨棘は出っ張っているため関節の動きを制限します。
さらに進行すると骨棘が折れてかけらとなり、関節内の遊離体となって引っかかり、ロッキングの原因となります。

変形性肘関節症の原因と病態

参照元:公益社団法人 日本整形外科学会

症状としては、肘を動かした時に痛みが出るのが特徴で、安静にしているとほとんど痛みを感じません。

関節が変形してしまうと肘を動かしにくくなってしまいます。

また、ひどくなると肘部管症候群ちゅうぶかんしょうこうぐんを併発し、薬指の半分〜小指の感覚が鈍くなったり痺れが生じることもあります。

日常生活に支障をきたすほど、症状がひどくなってしまう場合は手術をすることもありますが、それ以外は以下に示すように保存療法となる場合が多いです。

予防と治療

肘を曲げて、口に手が届き、トイレの始末ができるなど日常生活に支障がなければ、保存療法が行われます。保存変形性肘関節症の予防と治療療法には、1.三角巾、シーネ・装具を用いた安静・外固定、2.消炎鎮痛剤や関節内に注射をする薬物療法、3.温熱療法・レーザーなどを用いたり、筋力トレーニング・ストレッチングなどの理学療法があります。

日常生活に支障のある場合には、可動域の改善と疼痛の軽減を目的とした手術療法が行われます。これには、直視下で行う方法と関節鏡視下に行う方法とがあります。手術では、骨棘・滑膜の切除と遊離体の摘出術がおもに行われます。

参照元:公益社団法人 日本整形外科学会

 

上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)

ゴルフの練習前後やプレー中に肘の内側が痛くなるのが、上腕骨内側上顆炎じょうわんこつないそくじょうかえん(別名:ゴルフ肘)です。

スポーツなどで肘を使い過ぎることによって、上腕骨(腕の骨)の上内側上顆ないそくじょうかと呼ばれる部分に痛みを生じます。

その一般的な原因と病態は以下の通りです。

原因と病態

中年以降のテニス愛好家に生じやすいのでテニス肘と呼ばれています。

一般的には、年齢とともに肘の腱がいたんで起こります。病態や原因については十分にはわかっていませんが、おもに短橈側手根伸筋の起始部が肘外側で障害されて生じると考えられています。 この短橈側手根伸筋は手首(手関節)を伸ばす働きをしています。

テニス肘の原因と病態

①長橈側手根伸筋:手首(手関節)を伸ばす働きをします。
②短橈側手根伸筋:同様に手首を伸ばす働きをします。
③総指伸筋:指を伸ばす働きをします。

参照元:公益社団法人 日本整形外科学会

ゴルフプレイヤーに生じる主な症状としては、ゴルフのスイング動作などで動かしたときに肘の内側に痛みが生じますが、安静にしている時には特に痛みが生じないことが多いです。

日常生活の中では、以下に示すように手首や肘を曲げた時や、曲げた状態で重たい荷物を持った時、タオルを絞るような指先に力を入れた状態で捻る動作が加わった時などに痛みが生じます。

症状

ものをつかんで持ち上げる動作やタオルをしぼる動作をすると、肘の外側から前腕にかけて痛みが出現します。多くの場合、安静時の痛みはありません。

テニス肘の症状

参照元:公益社団法人 日本整形外科学会

また、肘の内側にある骨の出っ張った部分や、そこから1cm程度下を押すと痛みが生じます。

特にゴルフの場合では、肘に負担が掛かるような無理なスイングをしていたり、ダフったりすることが多い人に多く見られるのが特徴です。

同じ病名でテニス肘とも呼ばれていますが、テニス肘の場合は肘の外側に痛みが生じることが多く、稀にフォアハンドの時にゴルフ肘と同じく肘の内側に痛みが生じることもあります。

軽症のうちは、少し休むことで痛みが和らぎますが、ひどくなると痛みが長引いてしまい安静にしていても痛みがみられる場合があります。

その場合は、手術が必要となってしまうこともあるので、早めの対処が必要です。

ゴルフ肘の痛みに対する『対処法』については後ほど詳しく記載していきます。

 

ゴルフで肘が痛くなるメカニズム

肘の内側には、肘を曲げる筋肉、指や手首を手の平側に曲げるときや内に返す時に働く筋肉が多数存在します。

その中でも、肘の痛みに関連しやすいのが以下の筋肉です。

肘の内側についている筋肉
  • 橈側手根屈筋とうそくしゅこんくっきん
  • 尺側手根屈筋しゃくそくしゅこんくっきん
  • 長掌筋ちょうしょうきん
  • 円回内筋えんかいないきん

手首や肘を曲げたり返したりする動作の繰り返しにより、筋肉や筋肉の付け根である腱に負担が掛かってしまうと炎症を引き起こしてしまいます。

また、ダフってしまうなど直接衝撃が加わることも炎症を引き起こす原因となってしまいます。

これらの炎症により、辛い痛みが生じてしまいます。

 

ゴルフで肘が痛くなる原因は使いすぎ?

ゴルフによって肘が痛くなる原因は多くの場合、使い過ぎが原因となっています。

  • 練習量が多すぎる
  • ケア不足

上記の2つに心当たりがある人は注意が必要です。

 

練習量が多すぎる

単純に練習量が多過ぎると、その分手首や肘に加わる負担が大きくなってしまいます。

打ちっぱなしの練習で、つい夢中になってしまい、何時間もクラブを振り続けてしまうことは少なくありません。

しかし、意外と重さのあるゴルフクラブを長時間振り続けることは、肘には大きな負担となってしまいます。

また、コースに出ると平均100回以上はスイングをすることになります。

しっかりと休まずにただ闇雲に練習を続けてしまうと、肘を痛めてしまう原因となってしまいます。

 

ケア不足も原因になる

意外と多いのが、練習は一生懸命頑張るけれどストレッチなどのケアが不十分となってしまうケースです。

手や足など、体の他の部位と同様に運動前後に十分なストレッチを行わないと関節やそれを支える筋肉に負担が掛かってしまいます

ゴルフ前後のストレッチを怠ってしまったり、たくさん練習して疲れや怠さを感じた時に休ませたり冷やすなど適切な処置を行わないことも痛みに繋がる原因となってしまいます。

 

スイングに問題がある人も多い

同じように練習をしていても、肘が痛くなる人とならない人の違いは一体どこにあるのでしょう?

実は、多くの場合はゴルフのスイングが関係しています。

本来、正しいスイングでゴルフが出来ている場合は体幹や骨盤の回旋動作(回す動き)がしっかりと出ていて、肘や手に負担が掛かることが少なくなります。

しかし自己流のスイングで練習を続けると、

  • グリップを強く握り過ぎている
  • 手打ちになっている
  • 脇がしまっていない

など、肘や手に負担が掛かってしまい、痛みにつながってしまうことがあります。

 

グリップを強く握りすぎている

グリップを強く握り過ぎてしまうと、手の指を曲げる力や手首を曲げる力が必要以上に働いてしまい、筋肉が終始緊張状態となってしまいます。

また、指先や手首に力が入った状態のままスイングをすると、自然と肘も曲げる方向へ力が入りやすくなってしまいます。

この状態でゴルフを続けることで、肘につながる筋肉に過度な負担が掛かってしまう原因となってしまいます。

 

手打ちになっている

本来、正しいスイングでは手首の動きはほとんど見られません。

しかし、肩や体幹・腰を回す動きが不十分な場合、体幹がうまく使えずに手首で打ついわゆる『手打ち』の状態となってしまいます。

手首の動きと肘の動きは連動して起こるため、手首を過剰に使うことで肘にも負担が掛かり痛みに繋がってしまいます。

 

脇がしまっていない

スイングの際に、脇が開いてしまうクセがある人も要注意です。

脇が開いてしまうと体幹を回す動きが上手く伝わらず、手に力が入りやすくなってしまいます。

また、体から手が離れることで、肘や手が不安定となり負担が掛かりやすくなってしまいます。

このように、ゴルフのスイングにも大きな影響があることがわかります。

 

ゴルフ肘の対処方法

ゴルフ肘による痛みは、早期から正しく対処することが重要です。

その具体的な対処方法には

  • ストレッチ
  • マッサージ
  • フォーム改善
  • サポーター
  • 体外衝撃波

があります。

一つ一つについて、詳しくみていきましょう。

 

ストレッチ

筋肉が硬くなった状態が続いてしまうと、血流が悪くなり疲れが溜まりやすくなったり、痛みを悪化させてしまいます。

肘〜手首のストレッチ

肘や手首は日常生活でも特に使う頻度が高いので疲れが溜まりやすくなります。

普段から肘周りのストレッチを習慣にすることで、筋肉の柔軟性を保つことが出来、痛みの軽減につながります。

  1. 手の平を上に向け、肘を真っ直ぐ伸ばす
  2. 反対の手で指と手首を反らすように10〜20秒ストレッチする

胸周りのストレッチ

胸周りの筋肉が硬くなってしまうと、猫背の姿勢になりやすく身体を伸ばしたり・捻ったりする動きに制限が出てしまいます。

その結果、ゴルフのスイングの際にも肘や手首の力が過剰に働いてしまいます。

普段から、痛みのある部分だけではなく胸周りの柔軟性を高めることも重要です。

  1. うつ伏せで手の平を頭の横に持ってくる
  2. 手の平で床を押し、体を起こして背中を伸ばす
  3. 腰が反らないように軽く腹筋に力を入れつつ、背中を反らすように10〜20秒ストレッチする

肩周りのストレッチ

肩周りの筋肉が硬くなってしまうと、それをカバーしようと肘や手首にどうしても過剰な力が入ってしまいます。

どうしても手打ちの状態になりやすくその分、肘への負担が大きくなってしまいます。

ミスショットが増えてしまうことに加え、肘の痛みにもつながってしまいます。

  1. 背筋を伸ばして立ち、伸ばしたい方の腕を水平に伸ばして反対の手で肘を抱える
  2. ゆっくりと腕を自分に近づけるようにして肩の後方を伸ばす
  3. 腕は肩の高さから下がらないように注意し10〜20秒ストレッチする

 

マッサージ

痛みに繋がりやすい肘の内側に付着する筋肉を緩めるマッサージです。

ストレッチではなかなかほぐしにくい部分は、マッサージを行うことで痛みが軽くなることもあります。

痛みの状態に合わせて、無理のない範囲で行ってみましょう。

  1. 手のひらを下に向けて肘を伸ばす
  2. 反対の手で上から肘をつかむように水かき部分を当てる
  3. 水かき部分を当てたまま、水かきが当たっている部分の筋肉を左右へ動かす
  4. 腕に沿って水かきを上下動かし、そこでまた左右へ筋肉を動かす
  5. 3〜4を繰り返す

 

フォーム改善

肘の痛みを予防するためにはフォームの改善が大切になってきます。

簡潔にいうと、手先の力を抜き体幹や腰を使ったフォームを意識することが肘の負担を軽減する上で最も重要です。

もう少し深掘りし具体的にフォーム改善についてみてみると、以下の4つのポイントがあります。

  1. グリップを握る手は力み過ぎない
  2. スイング時は肘を曲げずに柔らかく伸ばす
  3. クラブを高く上げようとし過ぎない
  4. 肩だけでなく、腰の回旋動作をうまく使う

1・2は最初の構え(アドレス)の姿勢の時に注意します。

構えた時におヘソがボールの方向に向くように膝や腰を軽く曲げ、しっかりと下半身に重心を置きます。

その状態から垂直に腕を伸ばし、クラブを軽く握ります。

どうしても肘が曲がってしまう・手に力が入ってしまう場合は、脇を締めることと両肩を後ろに引くことを意識して見ましょう。

これで正しい構え(アドレス)の状態を作ります。

3はあまり高くクラブを振り上げることに意識せず、左手が左肩の高さ程度の位置にくるまでに留めておきましょう。

4では、スイング時に腰→肩の回旋の順番になるように意識します。

イメージがしやすいように、ボールを投げる動作を例に挙げて考えてみます。

ボールを遠くに投げようとした時、手や肩だけで投げるよりも腰を先にしっかり回した方がうまく投げることができますよね。

同じように、ゴルフでも腰の回旋をしっかりと入れることでボールに上手く力が伝わり、そこまで手先に力を入れなくても楽に打てるようになります。

結果的に肘への負担を減らすことができます。

 

サポーター

痛みがある場合は、基本的には安静が必要です。

しかし、軽度の場合や痛みの悪化を予防する上では肘用のバンドやサポーターで負担を軽減することも効果的です。

しかし、サポーターは痛みを改善させるためのものではないので、その使い方には注意が必要です。

 

体外衝撃波

最近では、新しい治療法の一つとして体外衝撃波も取り入れられています。

体外衝撃波治療は痛みの出ている部分に照射することで、短期的な効果としては痛みを和らげることや、長期的な効果としては血流の促進や組織の修復効果が見込められます。

整形外科分野の除痛目的として足底腱膜炎・テニス肘・ゴルフ肘など多くの疼痛性疾患の治療に応用するようになってきており、おもにスポーツ選手を中心に広まってきています。

ただ、注意したいのが現在のところ、日本では難治性の足底腱膜炎のみにしか保険適応が認められていない為、治療費がやや高額となってしまう部分です。

疼痛の改善までには個人差がありますが、おおよそ3回程度の照射が必要であり、その除痛効果は60〜80%であると言われています。

「今すぐ痛みを取りたい」という人には効果的ですが、痛みや炎症の状態に合わせて、医師と相談する必要があります。

 

まとめ

ゴルフによる肘の痛みには、変形性肘関節症と上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)が考えられます。

その中でもゴルフの練習の前後やプレー中に肘の内側が痛くなる場合は上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)である可能性が高いです。

すでに痛みが出てしまっている場合は、痛みが軽減するまでは無理をせず安静にすることも大切です。

自分で行える対処法には、練習前後のストレッチやマッサージ、正しいフォームを身に付け肘への負担を減らすことが重要です。

また、サポーターや体外衝撃波治療を検討することも痛みを和らげる効果があります。

日頃から痛みの軽減に努め、大好きなゴルフを長く楽しめる体をつくっていきましょう。

 


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ABOUT US
木城 拓也
理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。 その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。 筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。
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