ゴルフをした後、あるいはゴルフ中にこんな悩みを抱えたことありませんか?
- かかとが痛くなる
- 歩くと足の裏が痛い
- 土踏まずが張っているような感じがする
かかとや足の裏の痛み、張り感は足底筋膜炎の可能性があります。
足底筋膜炎になるのは、そうなってしまう理由があります。
今回は理学療法士の視点から、ゴルフで足底筋膜炎になりやすい理由と原因、治療まで解説します。
ゴルフでかかとが痛いのは足底筋膜炎?
ゴルフでかかとや足の裏が痛くなるのは、足底筋膜炎の可能性があります。
ここでは、足底筋膜炎とはどういうものか、その特徴を解説します。
足底筋膜炎とは?
足は、足根骨と中足骨が靭帯で結ばれ、縦横のアーチを形成し、筋肉や腱がこれらを補強しています。
スポーツにより、衝撃が続くと、足の骨や軟骨、靭帯や腱に障害をきたし疼痛が発生します。
参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
これが土踏まずの部分で発生したものが、足底筋膜炎と呼ばれます。
足根骨はかかとの前に位置する骨で5つの骨で構成されおり、中足骨は足根骨の前に位置し、各指の延長上にあるため、5つ存在します。
足底筋膜はかかとから各指へ向かって伸びています。
親指からかかとにかけての土踏まずにあたる部分はアーチと言って、足にかかる衝撃を吸収するためにドーム状になっており、体重がかかるとたわむ構造です。
通常は、アーチがたわんで衝撃を吸収してくれますが、繰り返す衝撃や強く足底筋膜が引き伸ばされる力が加わると、足底筋膜に微細な傷がつきます。
それが原因で痛みを感じたり、炎症が起こったりするのです。
ゴルフでかかとが痛くなりやすい理由
ゴルフでかかとが痛くなりやすい理由は以下の3つです。
- ふくらはぎや足の裏に負担がかかりやすい
- ホールの移動で長く歩く人もいる
- そもそも運動不足の可能性あり
それぞれ解説していきます。
ふくらはぎや足の裏に負担がかかりやすい
真っ直ぐ立っているようでも、人によってはつま先重心であったり、反対にかかと重心であったり個人差があります。
つま先重心の方は前に倒れないように、ふくらはぎや指を曲げる筋肉に力を入れてバランスを取ります。
反対に、かかと重心の方は後ろへ倒れないように、すねや指を反らす筋肉に力を入れてバランスを取ります。
いずれにせよ、足底筋膜も影響を受けて、慢性的に伸ばされる、あるいは縮こまる力が加わってしまいます。
立つというのは日常的にとる姿勢なので、小さな負担の積み重ねが将来的に大きな負担となって現れます。
ホールの移動で長く歩く人もいる
1ラウンドで歩く距離は最大10kmにもなります。
それだけの距離を歩くとなると、足にはかなりの負担となっているはずです。
ここは人によって個人差が出るところですが、シンプルに歩き過ぎで負担となっている可能性があります。
そもそも運動不足の可能性あり
ゴルフをする方の年齢層は、60〜70代が最も多いとされています。
65歳以上は高齢者と分類される年代でもあり、加齢による身体機能の低下は少なからずあるはずです。
ましてや、普段あまり運動しない方は運動不足で体が硬くなっている可能性があります。
身体機能の低下や体の硬さがある状態でスイングやホールの移動を行うと、若い方がするよりも負担は大きいです。
なので、そもそもの運動不足が原因となっている可能性があります。
かかとに痛みが出る足底筋膜炎の原因
足底筋膜炎の原因は以下の2つです。
- ふくらはぎの筋肉の硬さ
- 足の裏への負担
それぞれ解説していきます。
ふくらはぎの筋肉の硬さ
ゴルフでは、ホールの移動で歩くことでふくらはぎに負担がかかります。
歩くということは、つま先で地面を蹴り出して進むので、蹴るときに働くふくらはぎの筋肉は歩くたびに働いています。
ということは、歩くたびにふくらはぎには負担がかかっており、歩く距離が伸びるほど負担が大きく、筋肉は硬くなっていきます。
さらに、スイングの時には、つま先や指先の力で体を安定させます。
もちろん、つま先や指先だけの力ではありませんが、それらに加わる力は大きいです。
指先には指を曲げる働きをする筋肉が付いていますが、これもふくらはぎから筋肉が伸びています。
なので、ふくらはぎの筋肉はつま先で蹴り出す筋肉と指先を曲げる筋肉があるということになります。
また、ふくらはぎの筋肉は足底筋膜に筋膜を介してつながっています。
ふくらはぎが伸びれば足底筋膜も伸びますし、力が入って縮こまれば足底筋膜も縮こまります。
そういった関係性もあり、歩くことやスイングによってふくらはぎに負担がかかると、つながりのある足底筋膜にも負担がかかってしまうということが考えられます。
足の裏への負担
ふくらはぎによって間接的に足底筋膜へ負担がかかる場合もありますが、足の裏へ直接負担がかかることで、足底筋膜への負担となることもあります。
歩くこと自体が足の裏をつけて行うものなので、少なからず足の裏にとっては負担となっています。
また、ふくらはぎから足の裏へ伸びている筋肉もありますが、足の裏にも小さな筋肉がたくさん存在しています。
例えば、指が曲げ伸ばしされると、足の裏の小さな筋肉は伸ばされたり縮こまったりするので、その積み重ねが負担となることも考えられます。
歩く時に地面を蹴り出す瞬間、指が反りかえって足の裏がピーンと突っ張る感覚があると思います。
その際に、足の裏の筋肉や足底筋膜が強く伸ばされ、負担がかかっている可能性があります。
かかとに痛みが出る足底筋膜炎の治療
足底筋膜の治療としては以下の5つが考えられます。
- ストレッチやマッサージ
- 歩く距離を減らす
- 重心を乗せる位置を変えてみる
- 体外衝撃波
- インソール
それぞれ解説していきます。
ストレッチやマッサージ
ふくらはぎや足の指、足の裏の筋肉が硬いと、足底筋膜も強く伸ばされます。
強く伸ばされるのを防ぐには、ある程度柔軟性が必要です。
そのためにはストレッチやマッサージが効果的です。
ここでは、足底筋膜炎を和らげるためのストレッチを紹介します。
ふくらはぎのストレッチ
ふくらはぎをストレッチする際、ふくらはぎに伸びている感覚が得られない場合は上手くストレッチできていない可能性があります。
その場合は、後ろ足をより遠くに伸ばしてかかとを床に近づけるように伸ばしてみましょう。
かかとが浮いていると、上手くふくらはぎが伸ばされませんので、かかとはしっかり床に付けて行いましょう。
- 壁に両手をついて立つ
- 片足を後ろへ伸ばして足の裏をつける
- 後ろ足の裏をつけたまま、前足へ体重をかける
- 後ろ足のふくらはぎが伸びた状態で10〜20秒キープする
足の指のストレッチ
指を床にひっかけて正座となった時、かかとができるだけ上を向くようにすることがポイントです。
かかとが床や体の後ろ側を向いていると、足の指は上手く伸びません。
出来る限りかかとは上を向くようにして行いましょう。
- 正座となる
- 指先を床に引っかけて正座となる
- そのまま10〜20秒キープする
歩く距離を減らす
ゴルフの際に歩き過ぎているかもと自覚がある場合は、歩く距離を減らすことも考えましょう。
もし、歩く距離を減らして足底筋膜炎が少しでも和らぐなら、歩く距離の長さが少なからず足底筋膜炎に関わっていることが考えられます。
その場合は、歩く距離を意識的に減らしてみてください。
重心を乗せる位置を変えてみる
立った時に、自分がつま先やかかとに偏って立っていないか確認してみてください。
自分では分からない方は、鏡を見たり誰かに見てもらってどちらに偏っているか見てもらいましょう。
理想は、内くるぶしの真下に重心を乗せることです。
内くるぶしはすねの骨である脛骨の一部です。
脛骨の外側にある腓骨に比べると、脛骨は太くて体重を支えるのに適しています。
脛骨で体重を支えるには、脛骨の真下にあたる内くるぶしの下で支えるように重心を乗せることがポイントです。
普段から意識して、内くるぶしの下に重心がくるようにしてみてください。
体外衝撃波
衝撃波を皮膚の上から患部へ照射する治療法です。
体外衝撃波は痛みを和らげる効果や組織を修復する効果が期待されます。
足底筋膜炎に対しても効果は期待され、組織が損傷した部位に対して治癒を促進させたり、痛みを起こす物質を減少させることで治療します。
これはどこにでもあるわけではないので、体外衝撃波を扱っている施設を探して実施してもらう必要があります。
インソール
インソールは、ゴルフでのスイングや歩行によって足底筋膜にかかる衝撃を和らげてくれるため、足底筋膜炎に効果が期待できます。
選ぶポイントは、土踏まず部分のアーチを支えてくれるものが効果的です。
足底筋膜炎になるのは、土踏まず部分に負担がかかっているのが原因なので、インソールで足底筋膜の役割をサポートしてあげると考えましょう。
なので、土踏まず部分の高さがあるものが良いですが、高過ぎても下から土踏まずが圧迫されて痛みの原因になるので、高過ぎず低過ぎないものが良いです。
これは人によって個人差があるので、市販のものなら複数試してみるか無難に中間の高さのものを選択するのが良いでしょう。
あるいは、金額は高くなりますが、インソールを作成できる専門家に依頼して作成してもらうのも1つの手です。
まとめ
ゴルフで足底筋膜が痛くなる理由、原因、治療を解説しました。
足底筋膜炎はふくらはぎの筋肉とも間接的につながりがあるので、歩き過ぎや立っている時の姿勢の傾きによって、負担がかかります。
なので、直接痛めたようなきっかけがなくても、日頃の負担の蓄積が足底筋膜炎を発症させる可能性があります。
自分は何が原因になっているのかを振り返ってよく考え、本記事を参考に自分に合った治療法を見つけてみてください。