朝起きると、股関節を動かすと痛い、歩くと股関節が痛い、なんて事ありませんか?
それは、もしかしたら股関節を寝違えたのかもしれません。
首を寝違えたというのはよく聞くが、股関節を寝違えるなんて聞いたことない!そんなことあるの?と思うかもしれません。
確かに首を寝違える方が圧倒的に多いので、股関節を寝違えることは少ないですが、股関節でも寝違えることはあります。
そこで、今回は股関節を寝違えた場合の原因とその治し方を理学療法士の視点で解説します。
股関節って寝違えるの?
まず、一番の疑問が股関節を寝違えることはあるのか?という点ですよね。
それを理解するには、そもそも寝違えとはどういった状態なのかを知る必要があります。
そして、股関節を寝違えた時にどんな症状が起こるのかもあわせて理解しておきましょう。
そもそも寝違えとは
そもそも寝違えとは、眠っていて目が覚めたときに、首の後ろや首から肩にかけての痛みが出ることがあり、それをいわゆる「寝違え」と言います。
■参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
この説明でもあるように、一般的には寝違えというと首をイメージしますが、この痛みの原因の1つは筋肉とされているので、首だけではなく股関節でも寝違えは起こる可能性はあります。
睡眠中不自然な姿勢が続いたために一部の筋肉が阻血(血液の供給が不足)におちいり、しこりとなっていると考えられています。
■参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
寝違えやすい股関節の筋肉としては、寝る時の姿勢に関係しており、寝る時に下になって圧迫されている、あるいは伸ばされている部分が血流が悪くなりやすく、寝違えやすいです。
例えば、横向きで寝る方は下になっている側の筋肉で、お尻の真横に位置する中殿筋や大腿筋膜張筋が寝違えやすいです。
あるいは、上側の足を大きく前に出して寝る方は、上側のお尻の筋肉である大殿筋が過剰に伸ばされて寝違えやすいです。
股関節を寝違えた時の症状
股関節を寝違えた時の症状としては、以下のような症状が挙げられます。
- 特定の方向へ股関節を動かすと痛い
- 歩くと痛い
- 靴を履く時など股関節を深く曲げると痛い
基本的には動かすと痛い場合が多いですが、安静にしていても痛い場合があり、その場合は関節で炎症が起こっていたり、別の病気が隠れている場合もあります。
股関節を寝違える原因
寝るという行為は誰しもが毎日行う行為ですが、誰もが寝違えるわけではありません。
では、寝違えてしまう方はどんな原因があるのでしょうか。
主な原因としては以下の4つが考えられます。
- 寝返りの少なさ
- 筋肉が硬い
- 疲労が溜まっている
- 普段から同じ姿勢や動作をしている
それぞれ解説します。
寝返りの少なさ
寝返りが少ないと、長時間同じ姿勢で寝ることになるため、特定の筋肉が圧迫される、あるいは伸ばされたままになるので、その筋肉がこわばりやすくなります。
例えば、夫婦二人で並んで寝ていて寝返りを打つスペースがない、ベッド以外のソファなどで寝てしまい寝返りできない、布団が重く寝返りしにくいなどが考えられます。
筋肉が硬い
元々、筋肉が硬く柔軟性が低いと寝違えやすくなります。
筋肉が硬いということは、股関節の動きが制限されていることになり、寝返りしようとしてもそれに適応できるだけの柔軟性がないことがあります。
なので、リラックスできる場所に足を持ってこれず、変に力が入ってしまったり、不自然な姿勢で寝てしまうことに繋がります。
また、動きが悪いので、そもそも寝返り自体が少なくなってしまう要因にもなります。
疲労が溜まっている
疲労が溜まっていると、寝返りする回数が少なくなります。
私たちは普段、寝てから起きるまでに約20回寝返りしているとされています。
寝返りは筋肉や関節にかかる負担を軽減するために必要なことですが、夜間に20回もの寝返りを行うのはそれなりに体力も使います。
疲労が溜まっている状態では、無意識に寝返りもしないように体が反応するので、自然と寝返り回数は少なくなる傾向にあります。
本来、疲れをとるために必要な寝返りではありますが、疲れが溜まりすぎていることでかえって寝返りが少なくなってしまうという悪循環におちいってしまうのです。
普段から同じ姿勢や動作をしている
普段から同じ姿勢や動作をしている方は、特定の筋肉ばかりを使ってしまう傾向にあるので、筋肉がこわばりやすいです。
肩こりなんかが分かりやすい例で、長時間パソコン作業していると肩がこることありますよね。
あれと同じで、股関節も長時間座ってたり、立ったまま作業したりすることで、筋肉がこることがあります。
その結果、寝返りが打ちにくい状態となり、寝違えやすくなってしまいます。
股関節を寝違えた時にやってはいけないこと
寝違えた際、ご自身で何とかしようと思うのも良いのですが、やってはいけないこともあります。
良くしようとしているのに、かえって痛みを強くしてしまう恐れもあるので、注意が必要です。
痛みが悪化しても動かし続ける
基本的に動かして痛みがある場合は安静にするのが第一で、痛いのに我慢して動かし続けるのは控えましょう。
特に動かすと痛みが悪化する場合、股関節で炎症が起こっている可能性があります。
炎症がある場合は安静が必要で、動かしていても良くなりませんし、余計に悪化させてしまう可能性が高いです。
安静にしても良くならないなら、炎症を抑えるために患部に湿布を貼ったり、鎮痛消炎薬を飲むことも有効です。
股関節を寝違えた時にやるべきこと
股関節を寝違えた時にやるべきこととしては主に以下の4つです。
- 痛みが強ければ病院を受診
- 動かして楽になるようであれば様子をみて動かす
- ストレッチして楽になるならストレッチする
- マッサージして楽になるならマッサージする
それぞれ解説します。
痛みが強ければ病院を受診
痛みが強ければ、そのままにせず整形外科を受診しましょう。
安静にしていれば良くなるものが多いですが、筋肉のこわばりが強かったり、炎症が強かったりすると中々良くならず、生活に支障が出る場合もあります。
たかが寝違えだとしても、痛みが強ければ無理せず受診し、湿布や鎮痛消炎薬を処方してもらいましょう。
動かして楽になるようであれば様子をみて動かす
動かして痛みが強くなる場合は安静にするのが一番ですが、動かして楽になる場合は少しずつ動かして様子をみましょう。
筋肉のこわばりは少し動かすことで和らぐ場合もあります。
痛くて動かせない場合は無理できませんが、動かさずに同じ姿勢でいることは筋肉のこわばりをさらに助長してしまう可能性もあるため注意が必要です。
安静に拘らずに、動かして楽なら動かしていきましょう。
ストレッチして楽になるならストレッチする
筋肉のこわばりをとるには、ストレッチが有効な場合があります。
ストレッチは筋肉の柔軟性を改善させ、血流の改善効果もあるため、血流が悪くてこわばった筋肉には効果的です。
ですが、ストレッチはこわばって硬くなった筋肉を伸ばすため、無理にすると痛みを強くしてしまう可能性もあります。
なので、動かしても痛みが強くならず、一度ストレッチしてみて楽になるなら続けてみましょう。
今回は中殿筋のストレッチをご紹介します。
- 足を伸ばして座る
- 片方の膝を曲げ、足を組むように反対側の足をまたいで足をつく
- 体を組んだ足側にひねり、腕で組んだ足を倒す
- そのまま10〜20秒キープする
マッサージして楽になるならマッサージする
マッサージもストレッチと同じく、血流を改善させ、筋肉のこわばりを和らげる効果があります。
ただ、これもストレッチと同じですが、痛いのに無理にマッサージしてもかえって痛みを強くする可能性もあります。
こわばった筋肉は硬く、指でマッサージしても反発するようにさらに緊張して硬くなってしまう場合もあります。
マッサージするなら、優しく軽めのマッサージを行い、マッサージ後に痛みが和らぐのなら続けてマッサージしましょう。
今回は前ももにある大腿四頭筋という大きな筋肉のマッサージの方法をご紹介します。
- 膝のすぐ上を手の水かき部分に当たるようにつかむ
- 軽く圧迫したまま、左右に動かす
- 膝の上から股関節の付け根まで満遍なく行う
まとめ
今回は股関節を寝違えた場合の原因と治し方について理学療法士の視点で解説しました。
寝違えと言うと首のイメージが強いかもしれませんが、股関節にも起こりうるという事がわかっていただけたでしょうか。
寝違えるにも原因があって、ちゃんと予防しておけば寝違えることも少なくなります。
また、筋肉を柔らかい状態に保つことで、寝違えてしまっても重症化せず、治りも早くなることでしょう。
股関節を寝違えて困っている方、今回の記事を参考に対処してみてくださいね。