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股関節の筋に痛みがある5つの原因と対処法を理学療法士が解説

 

股関節に痛みを感じた時、今までなかった痛みだったら不安になりますよね。

筋肉の痛みなのか、関節の痛みなのか、医学的な知識がないと何が原因で痛いのか判断するのは難しいです。

かと言って、病院を受診するほどでもない気がすると悩むこともあるかもしれません。

ですが、股関節の筋肉の痛みの場合、場合によってはご自身で治すことも可能です。

本記事では、股関節の筋に痛みがある場合の原因と治し方を理学療法士の視点から解説します。

 

股関節の筋に痛みがある時に初めに確認すること

股関節の筋に痛みがある場合、初めに確認することとしては以下の2つです。

  • 関節の痛みではないか?
  • 安静にしていても強い痛みがないか?

もし、筋の痛みではなく、安静時も強く痛みがあるのであれば、自分で何とかしようとせずに病院で整形外科を受診することが望ましいです。

それぞれ解説します。

 

関節の痛みではないか?

人体は運動器で構成されています。

運動器とは、身体運動に関わる骨、筋肉、関節、神経などの総称です。

参照元:公益社団法人 日本整形外科学会

運動器を構成する組織の内、何か病気や怪我がなければ、多くは関節または筋肉の痛みで説明することができます。

関節と筋肉の位置関係を考えると、身体の表面から以下のように位置しています。

  • 皮膚
  • 脂肪
  • 筋膜
  • 筋肉
  • 関節

上記のように、関節は身体の奥の方に位置しています。

なので、関節の痛みだとしたら、身体の奥の方に痛みを感じますし、筋肉の痛みであれば、比較的身体の表面に痛みを感じます。

関節の痛みの場合は、変形性股関節症など関節の変形を伴う病気の可能性があるので、その場合は自分で何とかすることはできません。

もし、筋肉ではなく関節の痛みだと思うなら、一度病院で整形外科を受診し、レントゲンを撮って検査してもらうことが望ましいでしょう。

 

安静にしていても強い痛みがないか?

安静にしていても強い痛みがある場合、筋肉の痛みではない可能性があります。

筋肉の痛みは、基本的に関節を動かしたり力を入れた際に痛みが出ます。

関節を動かすと筋肉が伸び縮みしますし、力を入れると筋肉は縮むので、筋肉が動くことで痛みが出ていると考えることができます。

ですが、安静にしている限り、筋肉の動きは伴いません。

それにもかかわらず、痛みがある場合は筋肉ではなく、関節で炎症が起こっていたり、骨折や神経の痛みである可能性があります。

この場合も、自分で何とかするのは難しいので、病院で整形外科を受診することをお勧めします。

 

股関節の筋に痛みがある時に考えられること

筋に痛みだとしても、股関節には複数の筋肉があります。

ここでは、以下の痛みが出やすい5つの筋肉について解説します。

  • 腸腰筋ちょうようきんの痛み
  • 大腿直筋だいたいちょっきんの痛み
  • 臀筋群でんきんぐんの痛み
  • 大腿筋膜張筋だいたいきんまくちょうきんの痛み
  • 内転筋群ないてんきんぐんの痛み

 

腸腰筋の痛み

腸腰筋は背骨の腰部分にあたる腰椎ようついから大腿骨だいたいこつの内側にある小転子しょうてんしに付着しています。

この筋肉の役割としては主に以下の3つです。

  • 腰を真っすぐに保つ
  • 股関節を安定させる
  • 股関節を曲げる

腸腰筋は身体の奥の方に位置する、いわゆるインナーマッスルと呼ばれる筋肉です。

腸腰筋が上手く働かなくなると、腰を真っすぐ保てず、曲がってきます。

股関節を安定させることができないので、周りの他の筋肉を緊張させて無理やり安定させるため、股関節が全体的に硬く動きが悪くなります。

股関節を曲げる筋肉なので、長時間座っていることが多いと、腸腰筋が縮んで硬くなるため、股関節を伸ばした時に痛みが出る場合があります。

 

大腿直筋の痛み

大腿直筋は前ももにある大腿四頭筋という大きな筋肉の内の1つです。

前ももの真ん中を股関節の付け根から膝まで伸びており、主に膝を伸ばす時に働きます。

ただ、膝を伸ばす時だけではなく、曲げる時にも大腿直筋は働きます。

立っている時に膝が曲がると、それ以上曲がらないように大腿直筋が働いてくれることで、姿勢を保つことができます。

もし、膝のケガや変形性膝関節症などで膝が完全に伸びない状態だと、常に大腿直筋が働いて膝が曲げるのを防ぐ必要があるので、負担がかかりやすいです。

 

臀筋群の痛み

臀筋群はお尻にある中臀筋ちゅうでんきん大臀筋だいでんきんなどの筋肉の総称です。

主に股関節を後ろへ伸ばしたり、外側へ開く時に働く筋肉です。

私たちは普段立っている時、左右均一に体重をかけて立っている方はおらず、どちらか一方へ体重をかけやすい方へかけて立っていることがほとんどです。

大腿直筋で解説したように、臀筋群も股関節を曲げる、内側へ閉じるといった反対の動きをする時にも働きます。

立っている時に片側へ体重をかけると、かけた側の股関節は内側へ閉じる動きとなり、臀筋群は必要以上に内側へいかないように常に力を発揮しないといけません。

そのため、体重をかけている側の臀筋群は常に力を発揮していないといけず、負担がかかってしまいます。

 

大腿筋膜張筋の痛み

大腿筋膜張筋は骨盤の外側から大腿骨の外側に付着しています。

主に股関節を曲げる、内側にひねる時に働く筋肉です。

この筋肉は、太ももの外側にある腸脛靭帯ちょうけいじんたいという大きな靭帯へ繋がっています。

腸脛靭帯は太ももの外側全体にあり、立っている時に片側へ体重をかけると、かけた側の大腿筋膜張筋を含めた腸脛靭帯が伸ばされます。

靭帯は関節が一定の角度以上動かないように止める役割があります。

なので、片側へ体重をかけると腸脛靭帯がそれ以上伸びないように止めますが、常に引き伸ばされるストレスがかかります。

慢性的に伸ばされるストレスがかかると、痛みに繋がります。

 

内転筋群の痛み

内転筋群は内ももにある長内転筋ちょうないてんきん大内転筋だいないてんきんなどの筋肉の総称です。

主に股関節を内側に閉じる時に働きます。

立ち仕事が多い方や立っている時に体重がかかっている側の内転筋群は、縮んで硬くなりやすいです。

縮んでいることが多いと、内転筋群の柔軟性が低くなり、股関節を外に開いた時などに強く伸ばされて痛みが出やすいです。

 

股関節の筋に痛みがある時の対処法

股関節の筋に痛みがある場合、上記の5つの筋肉をほぐすことに加え、以下の2つをすることが効果的です。

  • 負担がかかる動きの修正
  • 筋力強化

それぞれ解説します。

 

腸腰筋をほぐす

腸腰筋は身体の奥の方にあるため、直接ほぐすことは難しいです。

なので、腸腰筋をほぐす場合はストレッチが効果的です。

腸腰筋は股関節を曲げる、背骨を真っ直ぐに保つ筋肉なので、股関節を伸ばしつつ腰を曲げるようにストレッチすることで、効果的に伸ばすことができます。

具体的には以下のように行います。

  1. 膝立ちになる
  2. 片足を前に出し、反対側の膝をできるだけ遠くに着く
  3. 前足に体重をかけ、後ろ足の股関節が伸びるように伸ばす
  4. そのまま10〜20秒キープする

ポイントは、腰を軽く丸めながら股関節を伸ばすことです。

股関節を伸ばそうと思うと、腰が反ってしまいやすいですが、腰が反ると十分に腸腰筋が伸びないので注意が必要です。

 

大腿直筋をほぐす

大腿直筋は本来、膝を伸ばすために働きます。

ですが、股関節にも付いているため、股関節の痛みにも関わります。

前ももに広い範囲であるため、比較的自分でもマッサージしてほぐすことができます。

上述した通り、大腿四頭筋の一部ですが、厳密に大腿直筋だけ触り分けるのは難しいので、前もも全てをほぐすイメージで行うと良いでしょう。

  1. 膝のすぐ上を手の水かき部分に当たるようにつかむ
  2. 軽く圧迫したまま、左右に動かす
  3. 膝の上から股関節の付け根まで満遍なく行う

 

臀筋をほぐす

臀筋群はお尻なので、自分でマッサージしてほぐすのは何か道具を使わないと難しいです。

なので、今回はストレッチの方法をご紹介します。

臀筋群は股関節を伸ばす働きがあるので、反対に股関節を曲げる動きをするとストレッチすることができます。

ポイントは、太ももと胸を近づけるようにすることです。

  1. 座った状態で、足を組むように一方の足首を反対側の膝に乗せる
  2. 足首と膝がなるべく真っ直ぐになるように膝を外に倒す
  3. 足首と膝の位置を保ったまま、太ももと胸を近づける
  4. そのまま10〜20秒キープする

 

大腿筋膜張筋をほぐす

大腿筋膜張筋は股関節の外側についていますが、中々自分でストレッチするのは難しい場所です。

なので、ストレッチではなく、マッサージでほぐす方が簡単でしょう。

へその少し下から外側にいくと、骨盤の出っ張りがあるのが分かると思います。

大腿筋膜張筋はそこから大腿骨に向かって伸びているので、骨盤の出っ張りのすぐ下をマッサージすることでほぐすことができます。

  1. 足を伸ばして座る
  2. 骨盤の出っ張りのすぐ下を押さえる(母指球で押さえるのがおすすめです)
  3. 押さえたまま、足全体を内側・外側へ交互にひねる
  4. 20〜30回程度行う

 

内転筋群をほぐす

太ももの内側にあり、普段の生活ではあまり伸びる機会がないので硬くなりやすいです。

あまり伸びる機会がないからこそ、ストレッチでケアしてあげることが大切です。

  1. 膝立ちになる
  2. 片足を体の真横にくるように置き、つま先と膝が真横を向くようにする
  3. 真横に置いた膝に体重をかけ、反対側の足の内ももを伸ばす
  4. そのまま10~20秒キープする

 

負担がかかる動きの修正

普段から負担のかかりやすい姿勢や動きをしている場合は、それを修正することで筋肉の痛みを予防することができます。

例えば、座っている時間が長くなりやすい方は、30分〜1時間に一度立って体を伸ばすことがお勧めです。

他にも、普段から右側に体重をかけて立ってしまう癖があるなら、たまに左側へ意識して体重をかけるようにしてみるのもお勧めです。

 

筋力強化

普段から運動習慣がないと、筋力が低下している可能性があります。

また、筋肉の特性には、ある筋肉が緊張すると反対側の筋肉は伸ばされて筋力が発揮しにくくなるというものがあります。

今回挙げた筋肉で例えると、腸腰筋は身体の前側にあり股関節を曲げる働きですが、臀筋群は身体の後ろ側にあり股関節を伸ばす働きがあるので、互いに反対の働きがあります。

なので、腸腰筋が緊張して硬くなったとすると、反対の働きを持つ臀筋群は伸ばされて筋力が弱くなってしまうのです。

この場合は、臀筋群を中心に筋トレし、腸腰筋をストレッチでほぐすことが必要になります。

 

まとめ

股関節の痛みがある場合、まずは関節の痛みなのか筋の痛みなのかを考えましょう。

筋の痛みである可能性が高そうであれば、本記事を参考にどの筋肉が原因なのかを実際に身体を動かしたり、触ったりしつつ確かめてみましょう。

そして、原因となっていそうな筋肉があれば、記事中で紹介しているストレッチやマッサージに取り組んでみてください。

筋肉の痛みであれば、そういった自分でもできるケアで良くなることも十分にあるので、試してみる価値はあります。

じっくり読んで実践してみてください。


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ABOUT US
木城 拓也
理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。 その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。 筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。
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