足を開いたり、足を持ち上げたりすると、股関節の辺りから音が鳴ることありませんか?
関節から音が鳴ること自体はそれほど珍しいことではありません。
ですが、場合によっては危険な兆候を表すサインかもしれません。
今回は、股関節から音が鳴る場合の原因と治し方を理学療法士の視点から解説します。
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股関節はどんな時に鳴る人が多い?
股関節が鳴るのはどんな時が多いのか、主に以下の3つが挙げられます。
- 足パカをすると股関節が鳴る
- 股関節を回すと鳴る
- 股関節を深く曲げると鳴る
股関節は6方向への動きがあり、それらを分けると2つずつ上記の3つに分けることができます。
それぞれ解説していきます。
足パカをすると股関節が鳴る
足パカとは、仰向けになって両足を持ち上げ、足を伸ばしたまま閉じたり開いたりする運動を指します。
これは股関節を閉じる内転と股関節を開く外転という動きの組み合わせです。
足パカで股関節が鳴る人は、股関節を閉じたり開いたりする内転・外転の動きに問題があると考えられます。
股関節を回すと鳴る
股関節を内回し、あるいは外回しに大きく回した際、股関節が鳴る人がいます。
これは股関節を内に回す内旋と股関節を外に回す外旋という動きの組み合わせです。
股関節を回すと音が鳴る人は、股関節の内旋・外旋の動きに問題があると考えられます。
股関節を深く曲げると鳴る
前にかがんだり、しゃがみ込んだりして股関節を深く曲げると音が鳴る人がいます。
これは股関節を曲げる屈曲という動きにあたります。
股関節を曲げると音が鳴る人は、股関節の屈曲の動きに問題があると考えられます。
ちなみに、屈曲の反対は伸展と言い、股関節を後ろへ伸ばす動きを指します。
股関節が鳴る原因は?
股関節が鳴る原因は主に以下の3つです。
- 筋肉や腱が擦れた音
- クラッキング
- 変形性股関節症
それぞれ解説します。
筋肉や腱が擦れた音
関節の近くには筋肉や腱が多く存在しています。
それは股関節も例外ではなく、腸腰筋や大腿直筋、梨状筋などをはじめ、他にも多くの筋肉があります。
これらの筋肉は重なりなったり、隣り合って位置していますが、関節の動きに合わせて互いに滑り合うようにできています。
ですが、関節の炎症や骨折のなどの外傷の影響を受けると、滑る動きが悪くなり、関節の動きに合わせて上手く滑ることが難しくなります。
互いに上手く滑ることができないと、必要以上に強く擦れたり、関節運動の軌道が変わって本来擦れない部分で筋肉や腱が擦れたりすることがあります。
筋肉や腱が擦れることで、股関節から音が鳴ったように聞こえることがあります。
クラッキング
クラッキングとは、関節内の中にある関節液と呼ばれる液体の中にできた気泡が多数でき、それらが弾ける時に出る音を指します。
詳しい原理は解明されてはおらず、諸説言われていますが、最も有力なのは上記の通り気泡の弾ける音です。
馴染みのなるもので言うと、指の関節がポキッと鳴ったり、あるいは意図的にポキポキ鳴らす人がいますよね。
あの音をクラッキングと言います。
さすがに股関節を意図的にクラッキングする人はいないと思いますが、股関節でも指と同様にクラッキングで音が鳴ることもあります。
変形性股関節症
股関節が変形している変形性股関節症では音が鳴ることがあります。
股関節症の主な症状は、関節の痛みと機能障害です。
股関節は鼠径部(脚の付け根)にあるので、最初は立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。
関節症が進行すると、その痛みが強くなり、場合によっては持続痛(常に痛む)や夜間痛(夜寝ていても痛む)に悩まされることになります。
参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
痛みと股関節の動きの悪さや筋力の低下が主な症状ですが、股関節から音が鳴る場合もあります。
ごく初め(前期関節症)では関節がきゃしゃであったり変形しているだけですが、関節症がすすんで初期関節症になると、関節の隙間が狭くなったり(軟骨の暑さが薄くなる)、軟骨下骨が硬くなったり(骨硬化)します。
さらに進行期関節症、末期関節症となると、関節の中や周囲に骨棘よばれる異常な骨組織が形成されたり、骨嚢胞と呼ばれる骨の空洞ができたりします。
最終的には体重がかかる部分(荷重部)の関節軟骨は消失し、その下にある軟骨下骨が露出します。
参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
このように、関節症が進行するにつれて、関節の隙間が狭くなったり、骨棘ができたりするので、骨と骨がぶつかりゴリゴリと音が鳴ることがあります。
鈍い音とともに痛みも生じる場合は、変形性股関節症の可能性があるので、一度病院で整形外科を受診することをお勧めします。
また、既に変形性股関節症の診断を受けている方であれば、骨と骨がぶつかっている音である可能性が高いです。
股関節を鳴らすのは良いこと?悪いこと?
ここで疑問なのが、股関節を鳴らすのは良いことなのか、悪いことなのかという点です。
悪いという意見、良いという意見の両方を解説します。
悪いという意見
悪いという意見を考えてみると、音が鳴るのは上述したように、筋肉や腱が擦れた音である場合があります。
なので、あまり頻回に、意図的に音を鳴らすと筋肉や腱に小さな傷を作ってしまったり、炎症を起こす原因になってしまうかもしれません。
それが股関節の痛みにもつながるので、そう考えると股関節を鳴らすのは悪いことと言えます。
良いという意見
良いという意見を考えてみると、音を鳴らすことで股関節がフィットするような感覚になる場合は、必ずしも悪いとは言えません。
この場合、股関節が少しずれている状態から適切な場所に戻す際に音が鳴っているので、悪いとは言えません。
ですが、股関節が鳴るのは少なからず負担にはなっており、音が鳴らないのが理想なので、鳴らないように治すことを考えていく必要はあります。
また、クラッキングのように高い音は問題ないとされているので、一概に悪いとは言えません。
ですが、鈍く低い音の場合は骨と骨がぶつかっている可能性があるので、注意が必要です。
股関節が鳴るのを改善する方法
股関節が鳴るのを改善する方法としては、主に以下の3つです。
- 股関節の筋肉の柔軟性を改善する
- 股関節の筋力強化
- 軽めの運動をする
それぞれ解説します。
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股関節の筋肉の柔軟性を改善する
股関節の筋肉が硬く柔軟性が低いと、股関節の動きが制限されます。
動きが制限されると、本来の関節運動の軌道からずれて動いてしまい、筋肉や腱が擦れて音が鳴ることがあります。
筋肉の柔軟性を改善することは、関節の動きを正しい軌道に誘導してくれ、股関節がフィットした状態で動かすことができます。
ここでは股関節の筋肉の中でも特に硬くなりやすい腸腰筋のストレッチを紹介します。
腸腰筋は股関節を安定させる上で重要な筋肉の1つです。
腸腰筋が硬くなって上手く働かないと、他の筋肉で腸腰筋に代わって股関節を安定させようと過剰に働いてしまい、硬くなってしまいやすいです。
腸腰筋をしっかりとストレッチするには、太ももを後ろへ反らすことと骨盤を後ろへ倒すことです。
この2点を守って以下のストレッチを実施してみてください。
- 伸ばしたい側と反対側を壁に向けて膝立ちになり、壁に手をつく
- 壁側の足を前に出し、反対側の足は少し後ろへ伸ばす
- 前足に体重をかけ、後ろ足を後ろへストレッチする
- その状態で10〜15秒ストレッチする
股関節の筋力強化
股関節の筋力が弱いと、股関節を安定して動かすことができません。
股関節の周りの筋肉が適切な筋力を発揮することで、股関節は安定して動くことができます。
ですが、股関節の筋力が弱いと、股関節が安定した位置で保つことができず、不安定な状態となってしまいます。
不安定な状態で動かすと、骨と骨がぶつかったり、筋肉と腱が擦れて痛みが出る可能性があります。
股関節を安定させるための筋肉として重要ですが、弱くなりやすい股関節の外旋筋群を鍛える運動を紹介します。
外旋筋群は全部で6つの筋肉の総称で、お尻の深い部分で股関節を後ろから安定させてくれます。
外旋筋群を働かせるには、股関節を深く曲げた位置で、股関節を外へ開く外旋の動きを行うことがポイントです。
以下に具体的な運動の手順を示しますので、試してみてください。
- 仰向けで両膝を立てる
- 膝を立てたまま、股関節を外へ開く
- 開ける位置まで開いたら、元の位置に戻る
- 2〜3を繰り返す
軽めの運動をする
股関節の筋肉の柔軟性の低さや筋力の弱さも原因ではありますが、それ以前に日々の運動不足などで全身がなまっているだけの可能性もあります。
股関節は股関節だけで動くというよりは、体幹や膝などの他の関節とも連動して動きます。
例えば、ベッドから起き上がる際には、腕や背中、腰などを大きくひねって動かしていますよね。
他の日常的に行うような動作で考えても、決して股関節だけ動くということはないと思います。
なので、股関節の柔軟性や筋力だけを改善しても音が鳴らなくなるとは限りません。
全身を動かして運動不足を解消するという意味では、ヨガやピラティスなど全身を使うような運動やランニングなど有酸素運動を取り入れることも必要です。
ヨガやピラティスは全身を使いながら、股関節の柔軟性を高めたり筋力を鍛えるような運動もあるので、股関節のストレッチや運動だけでは変わらない人にはお勧めです。
ゴリゴリ音がして痛みがある人は病院へ
ゴリゴリと鈍く低い音がして痛みも伴う場合は、ストレッチや運動以前にまずは病院で整形外科を受診しましょう。
そこで適切な診断を受けた上で、どんな治療、対策を取るべきなのか相談しましょう。
ゴリゴリ音が鳴って、痛みもある場合は変形性股関節症の可能性が考えられるので、自分で判断して無理はせず、早めに受診することがお勧めです。
まとめ
股関節は曲げたり伸ばしたり、回したりと様々な方向へ動くことのできる関節です。
ですが、大きな動きが求められる関節である故に、筋肉の柔軟性が低くなったり筋力が弱くなることで、筋肉や腱が擦れて音が鳴ることもあります。
重症の場合は変形性股関節症に進行することもあるので、注意が必要です。
ただ、股関節が鳴る人でも問題ない人も多いので、痛みがなくゴリゴリと鈍い音でないのであれば、ストレッチや筋力運動で自分で対策することもできます。
ただ、痛みも伴ってゴリゴリと鈍い音が鳴る場合は無理をせず、早めに整形外科を受診して適切な判断を受けることをお勧めします。