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腰をひねると痛い場合に考えられる原因と対処法を理学療法士が解説

 

腰痛は誰でも一度は感じたことがあると言っても過言ではないくらい、多くの方が悩む痛みです。

そんな腰痛ですが、こんな悩みありませんか?

  • 腰をひねると痛い
  • 腰をひねった拍子に痛くなった
  • 腰が痛くて寝返りを打ったり、体を起こしたりできない

腰はひねる動きに弱い構造なので、ひねる動きを繰り返したり、強くひねると痛くなる可能性が高いです。

ただ、腰をひねると痛い原因は様々で、病院に受診した方が良いケースもあります。

今回は、腰をひねると痛い場合、病院を受診した方が良いケースとそうでないケースの違い、腰が痛くなる原因とその対処法を解説します。

 

腰をひねると痛い時に考えられる4つの症状

 

腰をひねると痛い時に考えられるのは主に以下の4つです。

  • 腰の関節の痛み
  • 筋肉の痛み
  • 圧迫骨折
  • 腰椎分離症

それぞれ具体的にどういうものか解説します。

 

1.腰の関節の痛み

背骨は1つ1つがそれぞれ関節を構成しており、1つ1つの関節の動きは小さいですが、それぞれが動くことで大きな背骨の動きとなります。

この背骨の関節を椎間関節ついかんかんせつと言います。

この椎間関節由来の腰痛を椎間関節障害ついかんかんせつしょうがい変形性脊椎症へんけいせいせきついしょうと呼びます。

関節の周りの筋肉や靭帯が硬くなることで、椎間関節の動きが悪くなり、関節の周りの神経を刺激したり、炎症が起こることで痛みを感じます。

また、背骨と背骨の間にはクッションの役割を持つ椎間板ついかんばんというものがあります。

椎間板が変性するとその異常な動きを止めるように骨棘こつきょくが形成されます。

参照元:公益社団法人 日本整形外科学会

骨棘というのは、繰り返し加わる負担で骨の一部がとげのように変形した状態です。

この骨棘が関節の動きによって、周りの神経や筋肉を刺激することで、痛みにつながります。

加齢によって生じるもので、軽症なものは無症状のことも多く、病的とは言えないこともあります。

参照元:公益社団法人 日本整形外科学会

なので、このタイプの腰痛は基本的に腰を痛めるようなきっかけはありません。

ですが、腰をひねった拍子に椎間板や関節の周りの筋肉や靭帯を傷つけてしまうことで、関節の動きが悪くなり、その結果、腰の痛みを起こすことがあります。

 

2.筋肉の痛み

筋肉には、痛みを感じとる侵害受容器しんがいじゅようきというものがあります。

筋肉に伸ばされたり、縮んだりといった動きが過剰に加わると、侵害受容器が反応して痛みを感じます。

長時間座っていたり、立ったままの作業で、腰の筋肉が伸ばされたまま、あるいは、縮んだままの状態が続くと、この筋肉の痛みを感じます。

また、後ろを振り向くのに急に腰をひねったり、重たい物を持ち上げたり、急に起き上がったりすると、腰の筋肉には急激に伸びたり、縮んだりする力が加わります。

この時、筋肉には急激に力が加わるので、筋繊維が損傷したり、筋肉が付着している部分で炎症が起こり、それも痛みの原因となります。

 

3.圧迫骨折

比較的弱い外力によっても生じる骨粗鬆症こつそしょうしょうによるものや転移性骨腫瘍てんいせいこつしゅようによる病的椎体骨折、強い外力によって生じる外傷性椎体骨折などがあります。

参照元:公益社団法人 日本整形外科学会

背骨の前側が潰れてしまうことによって痛みが起こります。

高齢で骨密度が低い場合は、外傷がなくても骨折してしまう、いわゆる、いつの間にか骨折で圧迫骨折となってしまうことがあります。

多くは、尻もちをついたり、重い物を持ち上げる、事故で腰を強く打つなど、腰に強い力が加わった時に発症します。

 

4.腰椎分離症

多くは体が柔らかい中学生頃に、ジャンプや腰の回旋を行うことで腰椎ようついの後方部分に亀裂が入って起こります。

参照元:公益社団法人 日本整形外科学会

腰椎とは背骨の腰にあたる部分で、腰椎の後ろ側で亀裂が入り、2つに分離することが腰椎分離症の由来です。

1回で起こるわけではなく、スポーツの練習などで繰り返して腰椎をそらしたり回したりすることで起こります。

参照元:公益社団法人 日本整形外科学会

若くてスポーツをする方に多く発症する病気ですが、青少年から高齢者まで幅広く発症する可能性はあります。

 

腰をひねると痛い人に共通する5つの原因

腰をひねると痛い人にはある共通点があります。

それが以下の5つです。

  • 腰をひねる動きをよくする
  • 筋肉が硬い
  • 股関節が硬い
  • 胸椎きょうついが硬い
  • 膝が硬い

それぞれ解説します。

 

1.腰をひねる動きをよくする

単純に、スポーツや体を後ろへ反らすような作業、重い物を持ち上げたり運んだりする作業をする方は、腰に負担がかかりやすいです。

腰はそもそもひねるのに適した構造ではありません。

腰は曲げたり反らしたりする動きは、比較的大きく動くことができます。

特に曲げる動きは大きな範囲を動くことができます。

ですが、腰椎が本来ひねることができる範囲を超えてひねると、関節や筋肉を痛める、重症の場合は圧迫骨折や腰椎分離症となる可能性があります。

 

2.筋肉が硬い

関節が動くには、筋肉の柔らかさが必要です。

筋肉が硬いと、関節は本来動くことのできる範囲を十分に動くことはできません。

その状態で、筋肉が伸びる範囲を超えて関節を動かすと、筋肉の損傷や炎症が起こって、腰の痛みを起こします。

 

3.股関節が硬い

腰の動きは股関節と関係しています。

股関節を曲げると腰も曲がり、股関節を伸ばすと腰も伸びるように、股関節と腰の動きは連動して動いています。

これには理由があって、例えば、腰を曲げる時に股関節が一緒に曲がることで、腰だけに負担がかかるのを防いでいます。

股関節と腰を曲げて90度曲げるのと、腰だけで90度曲げるのでは、腰にかかる負担が大きいのは後者ですよね。

腰にかかる負担を減らすためにも、股関節の硬さは重要です。

 

4.胸椎が硬い

胸椎は背骨の背中にあたる部分です。

胸椎は腰椎と違い、大きくひねることができます。

体をひねる時に動くのは、腰ではなく、胸椎がほとんどです。

ですが、胸椎が硬いと、本来なら胸椎が動くところを腰でひねることになってしまいます。

股関節と腰の関係と同じように、胸椎と腰もお互いに負担がかかりすぎないように、一緒に動いて負担が一ヶ所にかかりすぎないようになっています。

 

5.膝が硬い

膝は股関節の動きに関係しており、関節的に腰にも関係します。

膝の裏側にはハムストリングスと言う、膝を曲げる筋肉が付いています。

この筋肉は膝の裏に付いていますが、骨盤の下の方にも付いています。

腰を曲げる時、骨盤は前に倒れ、股関節は曲がります。

ですが、ハムストリングスが硬くなると、骨盤を後ろから引っ張る形になるため、骨盤が前に倒れにくくなります。

その状態で腰を曲げても、腰を上手く曲げることはできず、無理に曲げようとすると、腰には負担が大きく加わるので、痛みを起こしてしまいます。

 

腰をひねると痛い時の対処法

痛みが強い場合の対処法

以下の項目に当てはまる場合、自分で何とかしようとせず、整形外科を受診して医師の判断を仰いでください。

  • 最近大きな怪我をした
  • 痛みがどんどん強くなっている
  • じっとしていても強い痛みがある
  • 痛くて全く動けない
  • 胸の痛みもある
  • 腰を軽く叩いただけで激痛
  • 熱がある
  • お尻や太ももがしびれる

自分で対処できる痛みとそうではない痛みがありますので、上記に少しでも当てはまる場合、まずは受診して指示を仰ぐのが無難でしょう。

 

動かした時に痛い場合の対処法

ここでは、以下の3つの硬さに対して自分でできる対処法を解説します。

  • 股関節
  • 胸椎

股関節のストレッチ

  1. 椅子に腰かける
  2. 片側の膝の上に反対側の足首を乗せる
  3. 足首と膝を抱えるようにする
  4. 乗せた方のすねと胸を近づけるようにし、10〜20秒キープする
  5. 反対側も同様に行う

胸椎のストレッチ

  1. 横向きに寝て、上側の股関節を曲げ、下側の股関節を後ろへ伸ばす
  2. 上側の手で後頭部をさわる
  3. 肘を床に近づけるように、後ろ側を振り向く
  4. 動けるところまでいったら、そこで10〜20秒キープする
  5. 反対側も同様に行う

膝のストレッチ

  1. 立った状態から両側の足首を後ろからつかむ
  2. 足首をつかんだまま、膝を伸ばす
  3. 膝を伸ばせる位置まで伸ばし、そこで10〜20秒キープする
  4. 反対側も同様に行う

 

腰をひねると痛い人が日頃から気を付けること

上述したストレッチも有効ですが、そもそも腰に負担をかけない意識が大事です。

腰痛で日常生活がされてしまうと体力が低下し、腰を支える筋力も衰え、また精神的にも落ち込むために、さらに腰痛がおきやすくなります。

参照元:公益社団法人 日本整形外科学会

ストレッチやマッサージで一時的に筋肉や関節の動きが良くなったとしても、腰痛を起こしてしまうような習慣が変わらないと、結局また腰痛となってしまいます。

それがまた体力や筋力の低下、落ち込む原因にもなるので、その悪循環を断ち切るために以下の2つを普段の生活から心がけましょう。

 

急に腰をひねらない

上述したように、腰は大きくひねるような構造ではありません。

ひねる時に腰が動くのはわずかなので、急激にひねると腰が大きく動いてしまう可能性があります。

また、筋肉や関節が硬い場合、急激にひねると、筋肉や関節はその動きについてこれないので、筋肉の損傷や関節周りの炎症を起こすことで、腰を痛めてしまう可能性があります。

 

重いものを持って腰をひねらない

重いものを持つだけでも、腰には負担がかかっています。

重いものを持つと、重さで体は前に倒れそうになるので、それを支えるために腰の筋肉が常に頑張って力を入れている状態です。

そんな腰に力が入った状態で、ひねる動きなんてしてしまうと、確実に痛めます。

腰でひねるのも腰にとっては負担が大きいですし、重いものを持つのも腰にとって負担が大きいことなので、両方同時にするというのは、かなりの負担が腰に加わってしまいます。

 

まとめ

腰痛は誰しもが感じたことのあるくらい訴えが多いものですが、それだけに痛くなる理由がちゃんとあります。

筋肉、関節、骨折、あるいは腰椎分離症、自分の腰の痛みはどれに近いのかを把握し、それに適した対処法をとるのが大事です。

自分の腰の痛みの原因もよく分からないまま、自己流の対処法をしても治るものも治りません。

今回の記事を読み、自分で対処できそうになければ、整形外科を受診するという選択をするのも大事です。

いずれにせよ、早く腰の痛みが良くなる選択をしましょう。


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ABOUT US
木城 拓也
理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。 その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。 筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。
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