「ボールに当たって突き指した!」
突き指は、誰もが一度は経験したことがあるでしょう。
「痛くて腫れてるけど、病院には行ったほうが良いの?」
「これって本当に突き指?それとも他の怪我?」
「痛みはいつ治るの?」
痛みをこらえながらも、いろいろな考えが頭をよぎりますよね。
この記事では、突き指を早く治すための方法や他の怪我との見分け方・病院受診の目安を解説します。
自分でできる対策法が知りたい方。
病院を受診する必要があるか知りたい方。
元通りに曲げ伸ばしできるのか不安な方。
このようなお悩みをお持ちの方は、是非読み進めてみてください。
目次
突き指とは?
はじめに、突き指とはどのような状態でしょうか?
「突き指」とは怪我の名前ではありません。
指を突いたときに指に無理な力が加わることで起こる、指の怪我の総称です。
「突き指」は、その名の通りボールや物で指を突いて、指先に大きな力が加わることによって起こる指のけがの総称として広く一般的に用いられています。
参考:日本整形外科学会
突き指は、親指(母指)では指の付け根の関節(MP関節)、人指し指(示指)から小指では指先から2番目の関節(PIP関節)で起こることが多いです。
転んで手をついた時や、バスケットボールやバレーボールなどのスポーツで頻繁に起こります。
突き指の主な症状は指の腫れや痛み、動かしにくさです。
症状の程度にもよりますが、多くは受傷後2〜3日までに症状のピークを迎え、1〜2週間で痛みが治まります。
突き指を早く治すために知っておくべき3つのこと
では、なぜ突き指で痛みや腫れの症状が出るのか、解説していきます。
突き指で痛みが出る原因
突き指では、指が衝撃を受けることで、指の周りの血管や腱、靭帯、骨、これらを包む膜がダメージを受けます。
すると、それぞれの組織にある痛みセンサーが反応します。
これらのセンサーの反応が脳に伝わると”痛い”と判断されます。
ダメージを受ける組織が多ければ多いほど、痛みも強くなると考えられます。
これが、突き指で痛みが出るメカニズムです。
突き指で指が腫れる原因
突き指で指がダメージを受けると、体が傷を治そうと自然に反応します。
このとき、傷の修理役や修理剤が血液に乗って指まで運ばれます。
また、突き指で血管が損傷すると、指先から心臓に血液が戻りにくくなります。
これらの結果、指先に血液やリンパ液などの水分が溜まりやすくなります。
これが、突き指で指が腫れるメカニズムです。
傷の修復は体には欠かせないシステムですが、この反応は時にやりすぎてしまうことがあります。
指が腫れることで血管がさらに圧迫されると、どんどん悪循環に陥ってしまいます。
指が腫れ過ぎないよう、体の外から治療をすることも大切です。
突き指の一般的な治療法
突き指の治療は、RICE(安静・冷却・圧迫・挙上)処置を行います。
指がわずかにぐらつく程度の場合は、テーピング・隣接指テーピング(バディーテーピング)の他、サポーターを用いた固定が有用です。
痛みや腫れが治まる時期(1〜2週間後頃)から屈伸練習を開始します。
指が大きくぐらつく場合は、靱帯の完全断裂が疑われます。
この場合は靱帯修復手術が行われます。
また、骨折を伴う例のうち、骨片の転位(ずれ)の大きい場合や、関節の脱臼・亜脱臼を伴う場合では手術療法が選択されます。
圧迫力が加わって関節面の陥没を伴う関節内骨折を伴う例では、持続的な牽引を行うために創外固定器を設置することもあります。
手術療法の後療法(リハビリ)も、損傷部位の安定性が手術で獲得されれば、できるだけ早く可動域訓練を開始することが大切です。
突き指と勘違いしやすい3つの危険なケース
一口に「突き指」と言っても、中には骨折や靭帯・腱の損傷が混じっていることがあります。
以下のケースは、医療機関での適切な診断と治療が必要です。
骨折
指を突いた衝撃で、指の骨が損傷すると骨折となります。
中でも指の第一・第二関節に挟まれた骨(中節骨)の骨折が多いです。
中節骨骨折の多くは、指先が手の甲側にずれます。
病院では、X線診断の後に整復して骨接合を行います。
また、骨折に腱・靭帯の損傷が加わると、関節が外れます(脱臼)。
脱臼は第二関節(PIP関節)で起こることが多いです。
脱臼骨折は関節の骨折のため、治療が困難です。
治療までに日数がかかると後遺症を残しやすいので、早く整形外科を受診すべきです。
治療はピンで固定したり、スクリューで固定したりと、脱臼骨折の形態により変わります。
また、骨折により指が伸ばせなくなる状態(骨性槌指:こつせいつちゆび)もあります。
これは指を伸ばす筋の腱が指先の骨(末節骨)に付く部分で裂離骨折を生じることにより、末節の関節が伸ばせなくなる状態です。
骨折のため、骨を接合する手術が必要です。
約5週間固定して、骨癒合が完成したらピンを抜きます。
靭帯や腱の損傷
指を突いた衝撃で、指の周りの靱帯や腱が損傷すると、関節が不安定な状態となります。
少しのぐらつきであれば、靭帯の不全損傷が疑われます。
この場合はセルフケアでも対処は可能だと思われます。
ただし、ぐらつきが大きかったり、指が動かしにくくなったりすると、靭帯や腱の完全断裂が疑われます。
この場合は、切れてしまった靭帯や腱をつなぎ合わせる手術が必要です。
速やかに医療機関を受診しましょう。
また、腱が切れて指先が動かせなくなる状態(腱性槌指:けんせいつちゆび)にも要注意です。
腱性槌指は突き指で指の末端の骨(末節骨)に付着している伸筋腱(指を伸ばす腱)が断裂することにより、末節の関節が伸ばせなくなる状態です。
この場合も、切れた腱をつなぎ合わせる手術が必要なため、まずは医療機関を受診しましょう。
その他のスポーツ外傷
スポーツ現場では、これら以外の怪我が起こることもあります。
突き指と出血が同時に起きた場合や、指以外の場所も同時に損傷してしまった場合、傷が深い場合は感染症などの二次障害のためにも医療機関を受診しましょう。
こんなときは病院へ
突き指は、放っておけばそのうち治ると軽く考えられがちです。
しかしお伝えした通り、「突き指」には骨折や腱・靭帯の損傷などが含まれていることがあります。
早期に正しく診断されないと、適切な治療の時期を逃すこともあります。
以下のような場合は、迷わず病院(整形外科)を受診しましょう。
- 指が変な方向に曲がっている
- 関節がグラグラする感じがする
- 指が青黒く変色している
- 突き指から3・4日経っても腫れが悪化している
- (指を伸ばすときに)指先に力が入らない
病院でレントゲン撮影や超音波検査・診察をもとに医師が指の状態を診断します。
正しい診断を元に、適切な治療を受けましょう。
絶対だめ!突き指でやってはいけないこと
突き指をした時、何とか治そうと自分で指を触りたくなりますよね。
しかし、ここで間違った対処をしてしまうと、かえって怪我が長引いたり、症状が悪化する危険があります。
突き指の間違った対処法とはどのようなものなのでしょうか。
1つめは、無理に動かすことです。
突き指をした時、痛みをごまかすために痛む場所を揉みたくなるかもしれません。
これは筋肉や血管の損傷をさらに深めてしまう可能性があるため止めましょう。
また、指が骨折・脱臼してしまった時、変形を治そうと指の先を引っ張ったり、まっすぐにしようと捻ってはいけません。
骨折した部分に負担がかかってしまいます。
骨の亀裂が大きくなったり変形してしまうと、更に治癒に時間がかかってしまいます。
2つめは、我慢することです。
突き指をした時、痛みや腫れで指が動かしにくいことがあります。
この時、痛みを我慢して無理に動かすのは止めましょう。
無理に動くと、怪我した部分に負担がかかり、治癒に時間がかかってしまいます。
後ほど紹介するRICE処置をしながら、できるだけ安静に過ごしましょう。
指は固定して、できるだけ動かさないようにしましょう。
多少不慣れではありますが、他の指で代用することをおすすめします。
3つめは、放っておくことです。
突き指をした時、腫れや内出血を放っておくと、後遺症で指が動かしにくくなることがあります。
こちらも、まずRICE処置で腫れや痛みが最小限になるよう努めましょう。
また、骨折を放っておくと、治癒が長引くだけでなく、骨が曲がったまま修復される危険性があります。
骨が曲がったままくっついてしまうと、簡単には治すことができません。
骨が曲がっている場合は、曲がった骨を整復(骨の向きを戻す治療)する必要があります。
また、レントゲン画像で骨折の程度を確認したり、治療方針を決定する必要があります。
骨折の疑いがある場合は、放っておかず直ちに整形外科を受診しましょう。
突き指を早く治す4つの方法
「腫れはさほどなく、慌てて病院に行く必要はなさそう」
そのような方に向けて、一刻も早く突き指を治すための方法を紹介します。
突き指を早く治すには、以下の4つの方法があります。
- 安静
- アイシング
- 固定
- ストレッチ
それぞれ詳しく見てみましょう。
痛みや腫れがひどい時は安静
動くのが苦痛になるくらい痛みが強い時は、無理をせず安静にしましょう。
痛みが強いのに無理をして動くと、かえって逆効果になりかねません。
まずは安静にして様子を見ましょう。
併せて痛み止めの薬や湿布(消炎鎮痛剤)を使ってみても良いでしょう。
症状が緩和してきたら、痛みの程度に合わせて徐々に活動範囲を広げましょう。
仕事や家事は、痛みの出ない範囲で少しずつ再開しましょう。
荷物を持ったり、急なスポーツ復帰は症状を悪化させる可能性があります。
痛みが完全になくなるまでは控えるようにしましょう。
アイシング
アイシングとは、痛みのある部位を冷やすことです。
アイシングには、過剰な炎症を抑え、痛みのセンサーの感度を鈍らせるはたらきがあります。
特に、指が腫れて痛むときには、アイシングが有効です。
アイシングは、以下の手順で行いましょう。
- 指の痛みのある部位の周りに氷(アイスバッグ)を当てます。
- 氷を当てたら、弾性包帯を使いアイスバッグを固定します。
- 固定ができたら、手を心臓より高い位置に挙げて、安静にします。
※アイシングを行う前に、痛みのある部位に出血や傷がないことを確認してください。
出血や傷がある場合は、止血や傷の処置が優先です。
アイシングを実施する際は、アイスバッグの使用をおすすめします。

持ってない場合はビニール袋に氷を入れても良いです。
ただしビニール袋は薄いため、直接皮膚に当てると凍傷になる恐れがあるので注意しましょう。
氷を薄手のタオルで覆ってから患部に当てるようにしましょう。
冷却時間は15~20分程度が望ましいとされています。
始めは冷えた感じがしますが、15~20分ほどで徐々に感覚が消失していきます。
凍傷を防ぐためにも、感覚がなくなったらアイシングを終了するようにしましょう。
突き指の場合は、このアイシングを1~2時間おきに行います。
そして、炎症がピークを迎える受傷後24~72時間は継続することが望ましいと言われています。
固定
突き指をした時は安静が望ましいですが、指はどうしても使ってしまいがちです。
そんなときは、指を固定しましょう。
自分でできる固定方法には、テーピングがおすすめです。
テーピングには、怪我の悪化を予防する効果が期待できます。
突き指の直後で痛みや腫れが強いときには、他の指を添えた固定(バディーテープ)がおすすめです。
バディーテープの方法はこちら 参考:佐久平整形外科クリニック
また、試合などでやむを得ず指を使わなければならないこともあります。
痛みが残っているようであれば、症状に合わせて、下記のテーピングを試してみてください。
指を曲げて痛むときは下記の動画をご参照ください。
これらのテーピングを実施するときは、以下の点に注意しましょう。
- きつく巻かない(内出血の恐れ)
- 痛みが出る一歩手前のところで固定する
- 活動直後はすぐに剥がす
- 剥がしたあとはアイシングなど他の対処法を行う
ストレッチ
安静やアイシングで痛みが治まってきたら、適度に動いたほうが症状が軽くなります。
突き指から1週間ほどを目安に、痛みの状況を見ながら指を動かしてみてください。
指を曲げる動きに制限がある時は、次の順番でストレッチしてみてください。
- 自力で曲げられるところまで曲げ伸ばしを繰り返す
- 反対の手で制限のある指の背中側を包み込み、曲げるのを補助する
反対に、指を伸ばす動きのストレッチの時は、制限のある指のお腹側を支えて伸ばすのを補助しましょう。
どちらの動きも、痛みが強くならない範囲で行うことがポイントです。
後遺症を残したくない人は理学ボディへ
突き指をしたら、まずは病院の受診かセルフケアを試してみてください。
それでもし、「1週間以上経って腫れや痛みは減ったのに、指が動かしにくい」
と後遺症に悩むことがあれば、ぜひ私たち理学ボディにご相談ください。
理学ボディは全員が理学療法士という国家資格を取得しており、医学的知識をもとに施術します。
私たちは特に筋膜に特化した治療(筋膜リリース)を行います。
筋膜リリースは突き指の後遺症の症状にも有効です。
なぜならば、後遺症でよくある指の動かしにくさは、筋膜に原因があることが多いからです。
筋膜リリースは硬くなった筋膜を解きほぐすことで、指の動きを良くすることができます。
ちなみに、突き指の後遺症は時間経過と共にどんどん治りにくくなります。
骨折や腱・靭帯の断裂がなければ、遅くとも1〜2週間で施術を始めるのがおすすめです。
また、私たちは体に負荷がかかりにくい姿勢や動作のアドバイスも得意です。
怪我の再発予防のため、自分の全身状態を整えたい方にも来ていただきたいです。
理学ボディは北海道から九州まで店舗を展開しています。
症状にお困りの方は、一度お近くの店舗にご相談ください。
まとめ
この記事では、突き指を早く治すための方法や他の怪我との見分け方・病院受診の目安を解説しました。
突き指は初期治療が大事です。軽度の突き指ならRICE処置、骨折や腱・靭帯の断裂が疑われる時は速やかに医療機関を受診しましょう。
腫れや痛みが治まってきたら、少しずつ動かして後遺症を残さないようにしましょう。
突き指の後遺症で指の曲げ伸ばしが出来ずお困りの場合は、私たち理学ボディにご相談ください。