あなたはジョギングとランニングの違いについて理解していますか??
同じ「走る」動作を意味する用語ですが、実はその「速さ」や「効果」には大きな違いがあります。
ダイエットのため、健康維持のため、トレーニングのため、、、と走る目的はその人によって様々です。
速さが違えば、体に掛かる負担や消費するカロリーも変わるので、その運動の効果も当然変わってきます。
これから体力を付けたいと考えている人や、ダイエットを考えている人は効率的に効果を出すにはランニングとジョギングのどちらが良いのか気になるところですよね。
本記事では、皆さんが目的に沿った効果を出すために知っておきたいランニングとジョギングの違いについて詳しく解説していきます。
ジョギングとランニングは『走る速さ』が違う
ジョギングとランニングの大きな違いの一つに「走る速さ」があります。
なんとなく、ジョギングはゆっくりでランニングは少し速いようなイメージがありますが、実際その速さはどれくらいか考えたことはありますか?
実はこの速さの違いによって、体にかかる「負荷量」や「消費カロリー」が大きく変わってきます。
運動の負荷量を考えるに当たって、その運動の強度を数値化したものにメッツ(METs)と呼ばれる単位があります。
メッツ / METs(めっつ)
運動強度の単位で、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示したもの。
メッツとは運動や身体活動の強度の単位です。
安静時(静かに座っている状態)を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示します。
歩く・軽い筋トレをする・掃除機をかける・洗車する・子どもと遊ぶなどは3メッツ程度、やや速歩・ゴルフ(ラウンド)・通勤で自転車に乗る・階段をゆっくり上るなどは4メッツ程度、ゆっくりとしたジョギングなどは6メッツ、エアロビクスなどは7メッツ、ランニング・クロールで泳ぐ・重い荷物を運搬するなどは8メッツ程度といったように、様々な活動の強度が明らかになっています。
(最終更新日:2021年9月21日)
これらの観点から、ジョギングとランニングのそれぞれの速さの違いについてもう少し詳しく解説していきます。
1.ジョギングの速さ
ジョギングの速さはランニングよりもゆったりとした速さで、息が切れない程度に走り続けられる程度と言われています。
友達と喋りながらでも快適に走れる速さを目安にするとちょうど良いです。
具体的な数値で言うと、先ほどの運動強度の目安を表す「Mets値」の中ではランニングが6.4km/h以上で、ジョギングはそれ以下のスピードと分類されています。
これから体力を付けたいと考えている人や、あまり疲れを溜めない範囲で運動したいといった人におすすめで、継続して行いやすいのも特徴です。
運動を行っている人の中では運動前後のウォーミングアップやクールダウンとしてもジョギングを取り入れている人も多いです。
2.ランニングの速さ
ランニングの速さは、先ほどの「Mets値」の中では6.4km/h以上と示されています。
ジョギングよりは速いペースで、競技としてこれからマラソン大会への出場を考えている人やアスリートのトレーニングの一貫として取り入れられています。
息が弾む・息切れが生じる程度の速さで行うため、その分体への負担も大きくなります。
運動を初めて行う人や、これまでにあまり運動経験の無い人は、ランニングから始めると体への負担が大きくなってしまうので、ジョギングからスタートしてみましょう。
ジョギングとランニングは『効果』が違う
続いて、速さの違いに応じて変化する体への反応について詳しくみてみましょう。
同じ走るという動作でも、ジョギングとランニングには期待される効果に違いがあります。
ここでは、
- ジョギングの効果
- ランニングの効果
- どちらにも共通する効果
の3つに分けて解説していきます。
自分が得たい効果がどれに当てはまるか、探しながら読み進めてみましょう。
1.ジョギングの効果
心地よい速さで楽しみながら行えるジョギングの主な効果は、免疫力のアップや無理なく健康的な範囲で運動ができることの2つです。
免疫力アップ
細菌やウイルスから体を守り、健康状態を維持するためには免疫力を高めることが重要です。
その免疫力というのは、ジョギングのような適度な運動を行うことが効果的であると言われています。
人の免疫力を高めてくれる免疫細胞(ナチュラルキラー細胞)は、適度な運動によって増殖します。
また、適度に筋力が付くことで、体が温まり細胞の活動が活発になることから免疫力のアップにつながります。
しかし、アスリートが行うような激しい運動や、ランニングのような強度の強い運動では、逆に一時的に免疫力が下がってしまうことも知られています。
そのため、健康の為に運動をしたい人にとってはランニングよりもジョギングが効果的です。
健康的な範囲で運動ができる
健康を維持する為にランニングやジョギングを続けている人はたくさんいます。
確かにランニングもジョギングもある程度の範囲までは筋力が付くことで、基礎代謝が上がり健康面でも嬉しい効果が得られます。
しかし、運動強度が強くなってしまうと疲労が蓄積されて筋肉や腱の炎症や肉離れ、疲労骨折などの怪我つながってしまうことがあります。
また、運動強度が強過ぎると心肺機能に負担が掛かり、(心臓にリスクを抱える人には特に)心筋梗塞などの心血管障害の危険が高まるといった健康被害が出てしまうこともあります。
それと比較すると、ジョギング程度の低負荷の運動では上記の健康被害が起こりにくく、健康な範囲内で運動を継続することができます。
これも、ジョギングならではの効果の一つとも言えます。
2.ランニングの効果
ある程度の運動強度が加わるランニングでは、筋力・持久力の向上や達成感を得られるといったジョギングでは得られない効果もあります。
筋力向上
ジョギングよりも速度が速いことで、より強く蹴り出す力や着地の時に体を支える為に、下半身の筋力が向上します。
また、走っている間に体がぶれてしまわないように腹筋や背筋にも力が入ることで下半身だけではなく上半身の筋力の向上も見込めます。
このように、筋力向上の面ではジョギングよりランニングの方がより高い効果を得られます。
達成感が大きい
子供の頃は日々出来ることが増え日常的に味わうことが多い達成感ですが、大人になった途端に感じる場面が極端に少なくなってしまいます。
もちろん、仕事で大きなプロジェクトを成功させた時や、プライベートで目標としてきたことが達成できた時はそれなりの達成感を味わうことが出来るでしょう。
ですが、大人になると自分の得意なことは選んで行う反面、わざわざ自分が苦手なことや出来ないことに挑戦する人は珍しく、そのため達成感を感じる機会が減ってしまうのです。
ランニングだけではなく、ジョギングでも1km、2kmと走れる距離が伸びることでの達成感は得られます。
しかし、競技としてランニングに取り組む人は、特により高い達成感を味わうことができます。
たとえばマラソン大会に出場し完走したときや、目標の順位を獲得出来た瞬間は、普段の日常では味わえないような高揚感や達成感を感じることができるでしょう。
このように、ジョギングでは味わえない体験ができることもランニングならではの良さの一つです。
持久力がアップする
持久力とは簡単には、より長い時間運動し続けられる力のことを言います。
心肺持久力(しんぱいじきゅうりょく)/ 全身持久力 /
全身持久力とも呼ばれる。心臓や肺の機能に依存する身体のスタミナや粘り強さのこと。
ジョギングよりもハードなランニングでは、より強い持久力が必要です。
特に大会などに参加するランナーは、長いと5〜7時間以上も走り続ける力が必要となります。
その為には、長時間の運動中も酸素をしっかりと身体中に届けられるための心肺機能や、長い時間走るために働き続けられる筋力の持久性(筋持久力)が大切です。
これに加えて、最後まで走りきるための精神的な持久力も必要となります。
ランニングでは段階的に距離や時間を延ばしてトレーニングを行うことで、こういった様々な持久力が鍛えられていきます。
3.どちらにも共通する効果
ジョギングとランニング、どちらも走るという動作であり誰もが始めやすい有酸素運動の一つです。
もちろん、健康の為にもダイエットの為にも走る人は多いですが、どちらにも共通する効果はたくさんあります。
その、代表的なものには以下の7つがあります。
- 体脂肪燃焼
- 生活習慣病の予防
- 美肌効果
- 睡眠の質が上がる
- 脳活動アップ
- メンタル向上
体脂肪燃焼
速さの違いはありますが、どちらも継続して長時間走り続ける有酸素運動です。
長時間走り続ける為は、必要なエネルギーを全身に送り続けなければなりません。
そのエネルギー源となるのが、私たちの体内に眠っている体脂肪です。
この体脂肪を燃焼してどんどんエネルギーにするため、ランニングやジョギングではダイエット効果が得られます。
一般的には、この体脂肪がエネルギーとして利用されるまでには15〜20分程度の時間が必要と言われています。
その為、効率的にダイエット効果を得たい人は15分〜20分程度を目標に走ってみるのがおすすめです。
生活習慣病の予防
日本人の死因で特に多いのががんや脳血管疾患、心疾患ですが、いずれの病気の危険因子となるのが生活習慣病です。
生活習慣病は、高血圧や動脈硬化、糖尿病や脂質異常症など、現代人の食生活や運動習慣の低下などから起こる病気です。
生活習慣病(せいかつしゅうかんびょう)/ 成人病 /
生活習慣が原因で起こる疾患の総称。重篤な疾患の要因となる。
食事や運動・喫煙・飲酒・ストレスなどの生活習慣が深く関与し、発症の原因となる疾患の総称です。
以前は「成人病」と呼ばれていましたが、成人であっても生活習慣の改善により予防可能で、成人でなくても発症可能性があることから、1996年に当時の厚生省が「生活習慣病」と改称することを提唱しました。
ジョギングやランニングを継続的に行うことによって血流を促し代謝を上げ、糖や脂肪を燃焼させやすくすることは、こういった生活習慣病の予防に最も効果的です。
美肌効果
今では、ランニングを始める女性も多くいますが、その嬉しい効果の一つに美肌効果があります。
美肌を遠ざける肌荒れやくすみ、シワやシミ、毛穴のつまりなど女性を悩ませる要因は様々です。
そもそもこれらを引き起こすのは、肌の細胞の働きが鈍くなり新しい細胞に生まれ変わるターンオーバーのサイクルが遅れることで生じます。
ランニングやジョギングによって、全身の血流が良くなると代謝が上がり肌の再生能力も高まり、古い細胞から新しい細胞へのターンオーバーのサイクルが早まり美肌に近づきます。
適度に汗を流すことで、毛穴の汚れや老廃物も一緒に流れ毛穴の詰まりが解消されていきます。
また、便秘などの腸内環境の乱れなどによっても肌荒れを起こしていしまう原因となりますが、全身の血流が促進され腸の動きが活性化されることで便秘の解消にも繋がります。
ただ走るだけで美肌になれると聞くと嘘のように聞こえるかもしれませんが、しっかりと理にかなっているのです。
ストレス発散効果
よく、ストレス解消の為に運動やスポーツを行う人もいますが、ランニングやジョギングでも同様の効果は得られます。
適度に体を動かし、軽く汗を流すことで感じる爽快感は日々のストレスを吹き飛ばし、心身共にリフレッシュすることができます。
早朝の静かな時間帯や、空気が綺麗な自然の中を走ると、その効果はより一層高まります。
ここで注意したいのが、強度が強すぎると反対にストレスが溜まってしまう可能性があるということです。
辛いと感じるほど頑張ってしまうと逆効果となってしまうので、自分が気持ちよく走れるペースで行ってみましょう。
睡眠の質が上がる
誰もが、適度に運動を頑張った日に、疲れて夜ぐっすり眠ってしまった経験があると思います。
軽めのランニングやジョギングによって感じる適度な疲労感は、寝付きを良くしてくれたり、夜中に何度も目覚めること無く深い眠りに誘ってくれます。
また、ランニングによって分泌されるセロトニンというホルモンは、通称「幸せホルモン」と呼ばれ、気持ちを落ち着かせてくれたり、自律神経の働きを整えてくれます。
このセロトニンによって自律神経の働きが調整され、体内時計がしっかりと働くことで、夜になると睡眠を誘うメラトニンという睡眠ホルモンが分泌され、質の良い睡眠に繋がります。
また、この睡眠ホルモンであるメラトニンは、起床後14〜16時間後に分泌が高まると言われています。
特に朝にランニングやジョギングで日光を浴びると体内時計がリセットされるため、夜になると自然と眠くなるような生活リズムに導いてくれます。
脳活動アップ
ランニングやジョギングには脳活動のアップにも実は効果的です。
なんとなく、朝ランニングをすると頭がスッキリとして、仕事が捗ったり新しいアイデアが浮かんだりすることがありますよね。
これは、適度なランニングやジョギングによって全身の血流が良くなり、脳への血流も促進されることによって生じています。
脳の中でも走った後に血流が増えるのは海馬と前頭葉と呼ばれる部分であると言われています。
海馬はおもに人間の記憶力を左右する部分で、前頭葉は判断力や意欲・感情をコントロールする部分です。
これらの血流が促進され、脳活動がアップすることで、頭がスッキリとして仕事や勉強が捗るなどの嬉しい効果が得られます。
メンタル向上
前述しましたが、ジョギングやランニングをすることでセロトニンと呼ばれる「幸せホルモン」の分泌が促されます。
セロトニンは、特にストレスに対する耐性が強く、心の平常を保つ働きがあります。
このセロトニンは日光を浴びることや、リズミカルな運動を行うことで分泌が促進されるため、朝に行うランニングやジョギングは、実はメンタルの向上に絶大な効果が得られるのです。
また、走っている最中は自分の呼吸や足音などに集中が高まり、軽い瞑想に近い状態に陥ります。
心を「走っている今その瞬間」に集中することは、近年注目されているマインドフルネスにも近い状態であり、これが心の安定やメンタルの向上にも繋がると考えられています。
まとめ
今回はジョギングとランニングの違いについて解説してきました。
おもにジョギングは健康のための運動、ランニングはスポーツ競技やアスリートのトレーニングのための運動というイメージで考えるとわかりやすいかと思います。
同じ走る運動でも、その走る速さの違いによって得られる効果に違いありましたが、ダイエットや健康面では同じように嬉しい効果が得られます。
是非、これから運動を始めようと思っている人は、本記事を参考に、自分の得たい効果や目的、体力に合った方法を選んでみてください。