ダイエットの難題である下半身太り。
比較的短期間で効果が出やすい上半身とちがって
ただの食事制限や闇雲な運動では下半身は細くならない
そう気づいている人も多いのではないでしょうか?
頑張り屋さんの人ほどやり方を間違ってしまうと
- 余計な筋肉がついてゴツく見えてしまう
- 上半身だけが痩せて余計に太って見えてしまう
頑張っていることが逆効果となってしまうことも少なくありません。
本記事では、そんな下半身太りに悩む人に向けて
根本的な原因から解消法まで理学療法士が詳しく解説していきます。
長年【下半身太り】に頭を悩ませてきた人は必見です。
目次
上半身が痩せて下半身が痩せにくい理由
食事制限を中心としたダイエットをしていると
- お腹周りは比較的すぐ痩せる
- 肋骨や鎖骨が浮き出てしまう
- 上半身が全体的に薄っぺらくなる
このような上半身の変化は比較的早い段階で訪れます。
しかし、反対に痩せてほしい下半身はずっしりとしたままなので
全体的な体のバランスが悪くなり返って下半身が太っているように見えてしまいます。
これには、
- 上半身と下半身につく脂肪の種類の違い
- 脂肪の種類による燃焼のされ方の違い
- 基礎代謝のしくみ
の3つが関係しています。
食事制限によって、エネルギー不足となった体は
蓄えていた脂肪をエネルギーとして燃焼し始めます。
これはダイエットに励む皆さんならご存知かと思います。
ここで知っておいて欲しい重要なポイントは
燃焼される脂肪の種類の違いが下半身痩せを左右するということです。
体脂肪には
- 内臓脂肪:お腹の周りや消化管の周りにく(男性に多い)
- 皮下脂肪:お尻や太ももなどの皮膚の下につく(女性に多い)
の2種類があります。
そして、その燃焼のされ方の違いはというと、
- 内臓脂肪はエネルギー不足になった際に、すぐに反応し燃える
- 皮下脂肪はゆっくりと燃焼されるため、なかなか燃えにくい
- 内臓脂肪が多い上半身は痩せやすく、皮下脂肪が多い下半身は痩せにくい
皮下脂肪は過剰エネルギーをゆっくりと脂肪として蓄積していきますが、内臓脂肪は速やかに反応します。逆に空腹時や運動に対してもゆっくりエネルギーを出す皮下脂肪に対して内臓脂肪はすぐ燃えます。
参照元:厚生労働省 e-ヘルスネット
短期間の食事制限で上半身は痩せるのに下半身は痩せない
根本的な理由はここにあるんです。
基礎代謝の使われ方の面でも、下半身の痩せにくさが考えられています。
基礎代謝とは、私たちが生きていく上で最低限必要なエネルギー量のことで
横になって安静にしている状態で消費されていくカロリーのことを指します。
言い換えると、運動などを頑張らなくても
ただ横になってじっとしているだけで燃焼されるカロリーがある
ということです。
いったい、どこがそんなにカロリーを消費してくれるのかというと、
表1:人の臓器・組織における安静時代謝比率2)一部引用 臓器・組織 比率(%) 骨格筋 22 脂肪組織 4 肝臓 21 脳 20 心臓 9 腎臓 8 その他 16 参照元:健康長寿ネット
脳活動や心臓、消化・吸収など
上半身に位置する部分でより多くのエネルギーが使われていることがわかります。
これが上半身と下半身の痩せやすさに関係している可能性があります。
ひどい下半身太りになってしまう4つの原因
下半身太りに悩まされる人にはある程度共通の原因があります。
- 筋肉や脂肪で太って見える
- 骨盤や姿勢で太って見える
- 歪んだ歩き方
- むくみ
1.筋肉や脂肪で太って見える
下半身太りの主な2つの原因は筋肉と脂肪によるものです。
それぞれには以下の特徴があります。
- ゴツゴツとした見た目で触ると硬い:筋肉太り
- 全体的にボテッとして触るとタプタプ:脂肪太り
どちらも体を作る上では必要な要素ですが、
過剰に付いてしまったり、バランスの悪い付き方によって
太って見えてしまうものです。
筋肉太りのタイプでは
- 太ももの前側がパンパン
- 太ももの外側がムキッと盛り上がる
- ふくらはぎがムキムキとしている
といった太ももの前・外側やふくらはぎの太さに悩んでいる人に多いです。
そしてそれは、
- 姿勢の悪さ
- 骨盤の歪み
- 足の使いが悪い
- 誤ったフォームでの無理な筋トレ
が原因となり無駄な筋肉をつけて足を太く見せてしまっています。
脂肪太りのタイプでは
- お尻がボテッとたるむ
- 太ももの内側に隙間がない
- 膝上に肉がのっかっている
とお尻まわりや太ももの内側の太さに悩む人に多いです。
そして、それは
- 下半身の筋肉量が少ない
- デスクワークが中心で移動が少ない
- 運動をする習慣がない
- 足の使い方が悪い
といったような「動かなすぎ」によって生じる影響が大きいです。
2.骨盤や姿勢で太って見える
同じ体型や体重でも、骨盤や姿勢の崩れによっては太って見えてしまいます。
太って見えるNGパターンの例を前から見た時・横から見た時に分けてみてみましょう。
- 猫背で骨盤が開いている
- 内ももやお尻の筋肉が働きにくくなる
- バランスをとるために足の外側で体重を支える
- 全体的に外に広がって太く見える
- 猫背で骨盤が後ろに倒れる
- お尻が下に垂れて太ももとの境目がなくなる
- お尻の位置が下がり足が短く見える
- 短くなることで太さが増して見える
鏡の前でやってみるとわかるように、
どちらも「猫背」「骨盤が歪む」といった姿勢の悪さが引き起こして
足を太く見せてしまっています。
このように、骨盤傾きや姿勢の崩れがある人は
実際の太さよりも太く見えてしまっているかも知れません。
3.歪んだ歩き方
先ほどの姿勢の話とも関連しますが
歪んだ姿勢で歩くことで、足の筋肉の使われ方もアンバランスになってしまいます。
特に女性で多いのが、
- 猫背で骨盤が倒れたまま歩いている
- 反り腰で内股歩き
の2つです。
猫背で骨盤が後ろに傾いた姿勢では
腹筋や背筋の力が抜けてしまい、
下半身に上半身の重さが余計に掛かってしまいます。
その状態で
- 太ももの外側
- ふくらはぎの外側
が過剰に働くため、足の外側がパンパンになってしまいます。
踵の高い靴やヒールを履く女性に多い反り腰で内股歩きの人は
足のつま先ばかりに重心が偏っています。
そのため、
- 太ももの前側にある前ももの筋肉
- つま先重心を支えるふくらはぎの筋肉
が過剰に働くため、前ももやふくらはぎがムキムキと太くなってしまいます。
このように歪んだ歩き方によっても足は太くなってしまいます。
4.むくみ
足の太さに一番大きな影響を与えているのがむくみです。
どんな人でも、デスクワークや立ち仕事をしていると
夕方には足がむくんでパンパンになってしまう
といった経験があると思います。
このようにむくみがあると
脂肪でも筋肉でもなく
むくみによって本来の足の太さよりもはるかに太く見えてしまいます。
そもそも体に取りれられた水分は、
消化吸収され血液となり全身に巡り
余剰分は老廃物と一緒に尿や汗となって排出されます。
しかし、
- 水分不足で血の巡りが悪くなる
- 下半身の筋力不足で血の巡りが悪くなる
- 塩分の取りすぎで水分を体に溜め込んでしまう
といった原因により、上手く排出されなくなるとむくみが出てきてしまいます。
下半身は重力の影響から上半身よりもむくみの影響を受けやすいため、
筋肉と脂肪に含まれた水分が足を太くしてしまうのです。
下半身太りがひどい方がやるべき3つの解消法
下半身太りに悩む女性に行なってほしい解消法が
- むくみをとる
- 姿勢や歩き方の矯正
- 下半身を鍛える
の3つです。
1.むくみを取る
実際にはそこまで太くない足を太く見せてしまう
むくみの解消をまず行なっていきましょう。
- 1日に1.5〜2リットルを目安に必要な水分を取る
- 塩分の取りすぎに注意する
- 湯船につかり、体を温める
- 下半身を鍛えて、ポンプ作用を強化する
- マッサージをする
むくみの原因によっても対処法は異なりますが
必要な水分をしっかりとり、体を冷やさないように心がけ
全身の血の巡りを良くすることが基本です。
その上で下半身がむくみやすい人は④下半身を鍛える方法 を参考に
下半身に溜まった水を引き上げるための筋力をつけることが大切です。
⑤のマッサージは、むくみが気になるときに
下から上に溜まった水分を引き上げるイメージで
足先から太ももの付け根のリンパ節に向かって行いましょう。
これだけでも、見た目上の足の太さは随分と変わってきます。
2.姿勢や歩き方の矯正
まずは、猫背や反り腰などの不良姿勢かどうかを自分でチェックし正していきましょう。
- 壁に背中をつけて立つ
- 左右の腰骨が同じ高さにあるかをチェック
- 腰骨と壁の間に手の平一枚分の隙間があるかをチェック
⇨間が空きすぎていると骨盤前傾
⇨手が入らない/頭が壁につかないと骨盤後傾タイプ
③で隙間が開きすぎている人は、反り腰で骨盤が前に倒れてしまっています。
手のひら一枚分になるようにお腹に力を入れてみると
自然と前に倒れすぎていた骨盤が正しい位置に戻ります。
反対に頭がそもそも壁につかなかったり、手の平が壁に入らない人は
猫背で骨盤が後ろに倒れてしまっています。
お尻の穴を壁に向けるような意識で骨盤を立たせて正しい位置に戻してみましょう。
これが基本の姿勢となります。
ここから歩き姿勢を正していきます。
- (先ほど整えた姿勢で)顎を引き背筋を伸ばした状態からスタート
※重心はやや後ろに位置させ猫背にならないように
- 踵⇨土踏まず⇨指先の順に、出した足に真っ直ぐ体重を乗せる
- つま先と膝が真っ直ぐ前を向くように意識
- 後ろ足の太ももの付け根の伸びを感じるまでしっかりと伸ばす
- 腕はスッと伸ばし、後ろに引くように軽く振る
特に背骨と骨盤がガチガチになってしまっている猫背タイプの人は
股関節まわりをしっかりと動かす意識で歩くと
太ももの脂肪燃焼にもつながります。
反り腰タイプの人は
いったん踵の高い靴をやめてスニーカーなどを履いてみましょう。
しっかりと踵から足をつける感覚がわかってくると
自然と歩き姿勢も直しやすくなります。
それでもわかりにく場合は、その場で踵歩きを数回行ってみることもおすすめです。
3.下半身を鍛える
下半身には全身の筋肉量の約70%が存在していると言われています。
トレーニングで下半身の筋力を鍛えることはダイエットにも効果的です。
下半身痩せを考えたときに優先的に鍛えたいのは
- お尻の筋肉
- 内ももの筋肉
の2つです。
普段、意識しないと使われにくく
脂肪が溜まって太く見えやすいこの部分をしっかりと鍛えていきましょう。
下半身痩せに効果的なトレーニング
お尻と内ももの筋肉を同時に鍛えられるトレーニングです。
ポイントは腰を下げた時に、しっかりと膝を開いておくことです。
上級者の方はダンベルを持ったり、腰を下げるスピードを変えて行うこともおすすめです。
- 肩幅以上に足を開き、つま先はやや外側に広げる
- 膝とつま先が同じ向きとなるように注意しながら腰を下ろす
- 踵で地面を押し上げるように元に戻る
- 20回 1〜2セット行う
運動で下半身太りを解消する時に陥る落とし穴
正しい知識がなく、自分の足の使い方のクセなどがわからない状態で
ただ焦って下半身太り解消のトレーニングを始めると
気づいた時にはムキムキでゴツい足になってしまう
という残念な結果になってしまいます。
トレーニングがブームになっている今、
一番失敗してしまいやすいのが下半身です。
頑張れば頑張るほどムキムキになり、
理想と違う体になってしまうと、誰でもイヤになってしまいますよね。
そうなる前に、
- 自分の下半身太りの原因は何か
- 骨盤や姿勢の歪みはどの程度か
- 立ち方や歩き方がどう影響しているのか
これらを理解した上で適切な対処をすることが重要です。
【大注目】筋肉をつけずにひどい下半身太りを解消する方法
余計な筋肉をつけずに下半身太りを解消するためには、
- 骨盤や姿勢の歪みを理解する
- 歪みを整える
- 整えた状態で下半身を鍛える
この順番を正しく守ることが近道となります。
歪みの原因となる
- 片足重心
- 足を組む
- 猫背
- 反り腰
といった習慣がある人はまずは取り除いていきましょう。
その上で、歪みの影響を受けやすい
骨盤周りの柔軟性をしっかりと整えておくことが下半身痩せに効果的です。
猫背タイプの人におすすめのストレッチ
骨盤が後ろに倒れている猫背タイプの人におすすめのストレッチです。
ガチガチになったお尻のインナーマッスルをしっかりと伸ばす意識で行いましょう。
- 背筋を伸ばし腰を立てて椅子に座る
- 伸ばしたい方の足首を反対の太ももにのせる
- 膝を外に倒しながら体を前に倒す
- 伸ばしたい方のお尻がしっかりと伸びている状態で20秒キープ
- 左右同様に 2〜3セット行う
反り腰タイプの人におすすめのストレッチ
反り腰タイプでつま先重心の人は、前ももがガチガチに張ってしまっています。
この前ももの筋肉をしっかりと伸ばすことが、下半身太り解消には重要です。
朝・晩の2回、毎日習慣にすると効果的です。
- 四つ這いの姿勢から片膝を前に出す
- 前に出した足に体重を掛け、後ろ側の前ももを伸ばす
- 20〜30秒キープ
- 左右同様に 2〜3セット行う
まとめ
多くの女性が悩む下半身太りは、なかなか解消するのが難しい部分です。
ダイエットに必死になると、トレーニングや食事制限に必死になってしまいますが
太く見えてしまう原因をしっかりと理解して、それに合わせた対処を取ることが重要です。
本記事を参考に、体の歪みを整えてからしっかりと鍛える方法で
理想の下半身に近づけていきましょう。