座っていると、腰から足にかけて痛みが出てくる。
ずっと同じ姿勢でいると、足全体が痺れてくる。
このような足の痺れや痛みは腰椎椎間板ヘルニアと呼ばれる病気が原因かもしれません。
ヘルニアによる痛みや痺れは本当に辛いですが、ストレッチや筋トレなどの方法を試しても中々良くならない場合も少なくありません。
そんな方は鍼灸による治療を試してみると良いかもしれません。
ストレッチや筋トレ以外には、鍼灸もヘルニアに対する治療として効果のある方法の1つです。
そこで、今回はヘルニアに対する鍼灸の効果や治療の実際を解説します。
腰椎椎間板ヘルニアとは?
腰椎椎間板ヘルニアになると、腰や臀部が痛み、下肢に痺れや痛みが放散したり、足に力が入りにくくなります。
■参照元:公益社団法人日本整形外科学会
人によって痛みの範囲は異なりますが、腰の辺りから足首や指先にかけて痛みが広がるように起こる放散痛と呼ばれる痛みが特徴です。
椎間板は繊維輪と髄核でできていて、背骨をつなぎ、クッションの役目をしています。
その一部が出てきて神経を圧迫して症状が出ます。
■参照元:公益社団法人日本整形外科学会
たとえば、一般的な腰痛では、腰の筋肉がこわばって痛みが出ている場合、そのこわばっている筋肉自体、あるはその周りが痛みます。
ですが、ヘルニアによる放散痛は、椎間板が神経を圧迫することで起こるので、圧迫された神経が支配する範囲全体にかけて痛みが走ります。
これが一般的な腰痛とヘルニアによる腰痛、あるいは足の痛みの違いです。
症状としては、圧迫された神経と対応する部分の痛みや痺れの他に、筋肉に力が入りにくくなることもあります。
筋肉は背骨から出た神経を通して命令を受け、力を入れたり抜いたりすることができます。
腰から出ている神経は、太ももやふくらはぎの筋肉を支配しているので、ヘルニアによって腰の神経が圧迫されると、太ももやふくらはぎの筋肉に力が入れにくくなる場合があります。
ヘルニアの痛みの原因
ヘルニアによる痛みの原因としては、おもに以下の3つ考えられます。
- 神経の炎症
- 神経周囲の癒着
- 神経の圧迫
それぞれ解説します。
神経の炎症
本来、背骨の後ろにある神経は腰の曲げ伸ばしなどによって、何にも邪魔されることなく自由に動くことができます。
それが、椎間板が後ろへ飛び出ることで神経を圧迫すると、腰の曲げ伸ばしをする際に椎間板に引っかかって神経は自由に動くことができません。
そのような状態で腰を動かしていると、神経は椎間板や背骨との間でこすれて摩擦が加わり、それが炎症を起こす原因になります。
炎症が起こると、痛みを起こす発痛物質と呼ばれるものが作られるので、それによって痛みが起こります。
神経周囲の癒着
椎間板が後ろへ飛び出し、神経を圧迫したまま長期間いると、神経は椎間板や周りの組織と癒着してしまいます。
癒着というのはかさぶたのようなもので、神経と椎間板の間にかさぶたができて、神経が動きにくくなってしまう状態を指します。
すると、本来は自由に動くことができる神経が癒着のせいで動きにくくなっており、その状態で腰を曲げ伸ばしすると、動きにくくなっているところに無理やり動く力が加わるので、神経にゆがみが起こってきます。
それがまた痛みの原因となるのです。
神経の圧迫
上述した通り、椎間板が後ろへ飛び出すことで神経が圧迫されることで、痛みや痺れが起こります。
椎間板が飛び出る程度や方向は様々ですが、飛び出た椎間板によって神経が後ろの背骨に押し付けられると、より症状が強く出やすいです。
何故なら、背骨は骨なので、筋肉や脂肪と違って硬い組織です。
硬い組織に押し付けられるほど、強く圧が加わるので、それだけ神経にかかる負担も大きくなってしまうからです。
ヘルニアの治療方法
ヘルニアに対する治療法としては、大きく分けて手術をしない保存療法と手術療法の2つに分けられます。
鍼灸は手術をしない保存療法に含まれます。
保存療法と手術療法について解説します。
保存療法
ヘルニアは自然に体内に吸収され、神経の圧迫が解消される場合もあります。
なので、ヘルニアがあるからといっていきなり手術というわけではなく、リハビリや薬で様子を見つつ、経過を見ることがほとんどです。
保存療法には以下のような方法があります。
- リハビリ
- 薬物療法
- 物理療法(牽引療法、電気刺激療法、温熱療法)
- ブロック注射
- 鍼灸
リハビリでは、足や体幹の筋力トレーニング、ストレッチ、有酸素運動、動作指導などによって、腰部への負担を軽減すること、体力をつけることを目的に行います。
それと並行して、神経痛や炎症に効く薬を飲み、痛みの緩和を図ります。
場合によっては、牽引療法で背骨と背骨の間を広げることで、痛みの緩和を図ったり、電気刺激や温熱刺激で痛みを緩和したり筋肉のこわばりを和らげることもあります。
ブロック注射というのは、痛みの原因となっている神経の近くに麻酔薬を注射し、神経の過活動を抑えることで痛みの緩和を図るというものです。
痛みが強い場合は薬だけではあまり効果がないこともあり、リハビリも思うようにできないこともあります。
ブロック注射なら原因となっている神経に直接作用させることができるので、痛みの緩和に高い効果を発揮します。
また、ブロック注射で痛みが緩和するのなら、その神経が原因で痛みが出ていたと考えることができるので、治療だけでなく評価としての意味合いもあります。
鍼灸は腰の筋肉に鍼を刺し、血流を改善することで筋肉のこわばりを緩和して痛みを緩和するという効果が期待できます。
手術療法
手術療法は保存療法で経過を見ても、痛みが軽減しない場合だったり、足が脱力して力が入らない、尿が出ない、あるいは自分でコントロールできない場合に適応になります。
方法としては、原因となっているであろう神経の近くを切開し、ヘルニアを摘出するという方法になります。
手術直後は切開したことによる炎症があるので、痛みはありますが、徐々に軽快し、個人差はありますが2週間から1ヵ月程度で退院となります。
手術後は元々の身体能力にもよりますが、1ヵ月から3ヵ月もすると学校や仕事への復帰など、元の生活に戻ることができます。
ヘルニアに対する鍼治療
鍼治療による効果としては、鍼灸による刺激が、自律神経や免疫の働きなどに作用することで、筋肉の緊張を和らげたり、血液やリンパ液の流れを良くすることで、自然治癒力を高めることに働くとされています。
また、鍼を刺してそこに微弱な電気を流すことで、深部の筋肉を刺激してこわばりを緩和させたり、神経への血流も良くすることで、神経の過活動を抑制する効果も期待できます。
このように、ヘルニアに対する鍼治療はヘルニア自体に作用させるわけではなく、腰の筋肉や神経の周りに対して施術します。
それによって、痛みを緩和したり、治癒力を高めることがおもな目的になっています。
リハビリでは痛みが強いと中々運動することもできませんが、鍼治療であれば安静にしながらでも施術することができるので、その点はメリットの1つとなっています。
理学ボディのおすすめ
ヘルニアに対する痛みや痺れには、理学ボディで施術を受けることもおすすめです。
理学ボディでは筋膜という組織に対して施術を行い、最短で痛みを軽減させることにこだわっています。
ヘルニア自体を筋膜への施術で何とかすることはできませんが、ヘルニアによる神経の圧迫以外が痛みの原因となっている場合もあります。
腰椎椎間板ヘルニアは骨折のように突然受傷するわけではなく、長年の姿勢や動作による負担やスポーツによる負担が蓄積することで発症します。
その経過の中で、筋膜が硬くなってしまうことで、ヘルニアのような腰から足にかけての痛みを起こす場合があります。
ヘルニアと診断を受けていても、ヘルニアのある神経と対応する場所とは違う場所が痛いと言われる方も少なくありません。
その場合、痛みはヘルニアによる影響は少なく、筋膜の硬さが原因のことがあります。
筋膜への施術はそういった場合に特に効果的です。
特に理学ボディのセラピストは、筋膜に精通しているので、そのセラピストに硬くなった筋膜をほぐしてもらうことで、痛みや痺れの軽減を図ることが出来ます。
もし、ヘルニアと診断されて治療を受けているが中々良くならない、治療は終わっているが良くならずどうしていいか分からないという方は、是非一度理学ボディで施術を受けてみてください。