この記事を監修している人:木城 拓也(理学療法士免許所有)
理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。
木城先生
歩くと腰や足が痛くなって辛い。
腰を反らすと下半身が痺れる。
上記の症状で悩んでいる方は、腰部脊柱管狭窄症の可能性があります。
すでに腰部脊柱管狭窄症と診断された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、腰部脊柱管狭窄症でやってはいけないことを解説します。
また、その予防方法やおすすめの運動も併せて紹介しています。
ぜひ最後までご覧ください。
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目次
腰部脊柱管狭窄症って何?
腰部脊柱管狭窄症とは、背骨の中に存在している脊柱管という神経が通るトンネル上の管が狭くなり、神経が圧迫される名前のとおりの疾患です。
腰椎椎間板ヘルニアや腰椎すべり症の延長線の状態ともいえ、脊柱管を通る神経やその周囲の血管などが圧迫されます。
腰部脊柱管狭窄症は、主に加齢による変性が原因で中高年の男性に多くみられ、脊柱管の内面であらゆる方向から狭窄されます。
狭窄される方向は、以下のとおりです。
- 前方から狭窄される場合
- 後方から狭窄される場合
- 横から狭窄される場合
それぞれみていきましょう。
前方から狭窄される場合
前方から狭窄される場合に考えられる原因は、以下のとおりです。
- 椎間板の突出
- 椎体の後縁骨棘の突出
後方から狭窄される場合
後方から狭窄される場合、黄色靭帯の肥厚が原因として考えられます。
横から狭窄される場合
横から狭窄される場合、椎間関節が変性して骨棘で狭くなることが原因です。
腰部脊柱管狭窄症の症状について
腰部脊柱管狭窄症の症状は、以下の3つに分けられます。
- 神経根型
- 馬尾型
- 混合型
神経根型
神経根型の腰部脊柱管狭窄症は、脊髄神経から足へと分岐する神経の根元である神経根が狭窄され、片足に痺れや痛みを生じます。
歩く距離が長くなればなるほど症状が強くなるため、歩いていると症状が出始めてしばらく休憩をすると、症状が改善し、また歩けるようになる間欠性跛行も特徴的な症状の一つです。
両足に症状がみられる場合や、おしりの周囲が痺れるなどの症状がある場合は、神経根型の可能性は低いといえます。
しかし症状には個人差があるため、早めに整形外科を受診することがおすすめです。
馬尾型
馬尾型の腰部脊柱管狭窄症は、おしりの近くにある神経の束の先端が狭窄され、狭窄された部位より下の部位に痺れがみられます。
馬尾型でみられる症状は、以下のとおりです。
- 両足の痺れや重だるさ
- 臀部の痺れや痛み
- 感覚の異常(灼熱感や冷感など)
- 排尿・排便障害
混合型
混合型の腰部脊柱管狭窄症は、神経根と馬尾の両方が狭窄され、混合した症状がみられます。
混合型のおもな症状は、以下のとおりです。
- 腰から足にかけての痺れや痛み
- 間欠性跛行
- 感覚の異常(灼熱感や冷感など)
腰部脊柱管狭窄症の原因について
腰部脊柱管狭窄症の原因は、以下のとおりです。
- 加齢
- 先天的疾患
- 日常生活の姿勢や過ごし方など
1.加齢
1つ目の原因は、加齢です。
人間の身体はおおよそ20歳代半ばに身体的機能のピークを迎え、それ以降加齢に伴って少しずつ起こり始めます。
背骨の周りにも加齢による変性があり、筋力が衰え姿勢が変化してくるにつれて、以下のような変化が起こります。
- 椎骨の変形
- 椎間板の変性
- 黄色靭帯をはじめとした靭帯の肥厚
上記のような変性により、脊柱管が狭窄し痺れや痛みを起こしてしまいます。
2.先天的疾患
2つ目の原因は、先天的疾患です。
生まれつき脊柱管が狭窄している場合、先天性腰部脊柱管狭窄症を引き起こす可能性があります。
また発育の問題など、比較的若いうちから腰部脊柱管狭窄症を引き起こす可能性もあります。
特に、先天性の場合は個人差があるため、症状が出る前から定期的に検査を受けたり、医師にしっかりと相談したりすることが大切です。
3.日常生活の姿勢や過ごし方など
3つ目の原因は、日常生活の姿勢や過ごし方などです。
その原因として、日常生活においての姿勢不良や間違った身体の使い方によるものが大半を占めます。
腰部脊柱管狭窄症は、腰に問題があると認識している方がほとんどでしょう。
しかし、背骨や全身に繰り返し負荷がかかる状態が続くことでも、腰部脊柱管狭窄症を引き起こすリスクが高くなります。
腰部脊柱管狭窄症でやってはいけないこと
腰部脊柱管狭窄症でやってはいけない事は、以下のとおりです。
- 筋トレやウォーキング(痛みがあるとき)
- ゴルフやヨガなど腰に負担のかかるスポーツ
- 重い荷物を持ち上げる
それぞれ解説します。
1.筋トレやウォーキング(痛みがあるとき)
1つ目は、腰に痛みがあるときの筋トレやウォーキングです。
筋トレやウォーキングは腰椎への負荷を増加させ、腰部脊柱管狭窄症の症状を悪化させる可能性があるため行わないようにしましょう。
痛みがある場合、筋トレによる背中やお腹の筋肉への負荷は緊張を強めてしまうため、柔軟な動きができなくなります。
それによって背骨周囲の柔軟性も乏しくなり、症状を悪化させる可能性が高まります。
また痛みがあるときは、ウォーキングも気をつけることが必要です。
腰部脊柱管狭窄症の症状に、間欠性跛行があります。
間欠性跛行は、歩くことで背骨周囲の血の流れが悪くなり、背筋の活動により脊柱管が狭窄されることが関係しています。
2.ゴルフやヨガなど腰に負担のかかるスポーツ
2つ目は、ゴルフやヨガなど腰に負担のかかるスポーツです。
ゴルフのように、スイング時に大きく捻って早いスピードで身体を回転させるスポーツは、腰の筋肉や背骨に急激な負荷がかかります。
そのため、痺れや痛みなどの症状を悪化させる可能性が高まります。
また、一見腰痛に効果がありそうなヨガも注意が必要です。
ヨガによる無理な体勢は、腰部脊柱管狭窄症を悪化させる可能性があります。
よってゴルフやヨガなどのスポーツは、痺れや痛みなどの症状が落ち着いてから徐々に始めるようにしましょう。
3.重い荷物を持ち上げる
3つ目は、重い荷物を持ち上げることです。
痺れや痛みなどの症状があるときに重い荷物を持つと、その症状が強くなる恐れがあります。
前かがみの姿勢になり低い位置で荷物を持ち上げると、腰の筋肉が硬くなり血管や神経が圧迫されてしまいます。
またこれらの動作は、ぎっくり腰と呼ばれる急性腰痛症にならないためにも、できるだけ避けるようにしましょう。
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腰部脊柱管狭窄症でやってはいけないストレッチはあるの?
腰部脊柱管狭窄症でやってはいけないストレッチは、背筋を伸ばして身体を反らすようなストレッチです。
背筋を伸ばして身体を反らす動作は、脊柱管を通る神経を圧迫して痺れや痛みの症状を悪化させてしまいます。
そのため背筋を伸ばしたり、身体を反らしたりするような動作を伴うストレッチは避けるようにしましょう。
また、身体を捻る動作も避ける必要があります。
腰部脊柱管狭窄症の方がやってはいけないストレッチでも、詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。
腰部脊柱管狭窄症の検査について
腰部脊柱管狭窄症の検査は、以下のとおりです。
- 神経学的筋力検査
- 下肢の感覚検査
- 下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)
- 大腿神経伸展テスト(FNSテスト)
腰部脊柱管狭窄症は、診察で上記の方法で検査します。
狭窄の原因となる椎間板や黄色靭帯は、X-線検査(レントゲン検査)では写りません。
そのため神経症状がみられる場合は、MRI検査(磁気共鳴映像)を行います。
腰部脊柱管狭窄症の治療について
腰部脊柱管狭窄症の治療法は、以下の3つです。
- ブロック注射
- 服薬による治療
- 手術による治療
それぞれ解説します。
1.ブロック注射
1つ目の治療法は、ブロック注射です。
腰部脊柱管狭窄症で痛みが強い場合、その痛みが起きている神経の周囲に直接薬剤を注射するブロック注射を行います。
痛みが生じて血行不良が起こり、発痛物質がたまりやすくなることでさらに痛みが生じて、神経が敏感になってしまうという悪循環に陥る場合がほとんどです。
ブロック注射は痺れや痛みを軽減させるだけでなく、神経を落ち着かせて血流を正常に保ちその悪循環を抑制します。
2.服薬による治療
2つ目の治療法は、服薬による治療です。
腰部脊柱管狭窄症と診断された場合、服薬による治療が行われます。
プロスタグランジンE1による神経への血行改善を行う場合が多く、神経根型の場合は3ヵ月ほどで改善するケースがほとんどです。
神経根型で痛みが強い場合は、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)が用いられることもあります。
また馬尾型の場合、痺れに効果的な神経障害性疼痛治療薬であるプレガバリンが用いられます。
3.手術による治療
3つ目の治療法は、手術による治療です。
神経根型の腰部脊柱管狭窄症では、痛みにより仕事に支障が出たり、うつ状態になったりする場合に手術を検討します。
また馬尾型の腰部脊柱管狭窄症では、薬物療法による治療を数ヵ月行っても改善しない場合に手術を検討します。
手術の目的と種類について
腰部脊柱管狭窄症で手術を行う目的は、主に圧迫を受けている脊髄神経の減圧です。
その手術の種類については、大きく分けると以下のとおりです。
- 固定術
- 除圧術
手術後の経過について
腰部脊柱管狭窄症の手術後は、完治はしないとしても4~5年は良好な状態が続く場合が多いといえます。
術後は無理のない範囲で散歩などから動き始めましょう。
しかし、場合によっては安静時に下肢に痺れや感覚の異常が残ることがあります。
また、歳を重ねるごとに再発する可能性が徐々に高くなるため、日常生活においての動作には十分な注意が必要です。
腰部脊柱管狭窄症で本当に手術が必要なのかについても解説しています。
ぜひご覧ください。
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腰部脊柱管狭窄症の予防と対策について
腰部脊柱管狭窄症にならないための予防と対策方法は、以下のとおりです。
- 正しい姿勢で過ごす
- 同じ姿勢で居続けることは避ける
- 腰にかかる負担を減らす
- 筋肉や関節の柔軟性を高める
それぞれみていきましょう。
1.正しい姿勢で過ごす
1つ目は、正しい姿勢で過ごすことです。
普段から腰に負担をかけない姿勢を意識しましょう。
猫背や円背の姿勢で腰を丸めた姿勢は、骨盤が後傾した状態で背骨の自然な弯曲が失われて腰に大きな負担がかかります。
そのため、普段からやや骨盤を前傾させた姿勢を意識しましょう。
例として椅子に座る際に意識すべきポイントを、以下にまとめます。
- 椅子の深い位置に座る
- 背中が背もたれにつかないよう背筋を伸ばす
- 足を組まない
2.同じ姿勢で居続けることは避ける
2つ目は、同じ姿勢で居続けないようにすることです。
長時間同じ姿勢でデスクワークをしていたり、同じ動作を繰り返し行なったりしている方は、腰への負担が大きいといえます。
1時間に1回はトイレに行ったり、軽くストレッチをしたりといった立ち上がるきっかけを作りましょう。
3.腰にかかる負担を減らす
3つ目の方法は、腰にかかる負担を減らすことです。
重い荷物を持ち上げる際に、身体の使い方を工夫することで腰にかかる負担を軽減できます。
膝を伸ばした状態で腰だけ曲げるのではなく、股関節と膝関節を曲げて低い位置に腰を落とした状態で荷物を持ち上げ、腰にかかる負担を股関節と膝関節に分散させましょう。
4.筋肉や関節の柔軟性を高める
4つ目の方法は、筋肉や関節の柔軟性を高めることです。
長時間同じ姿勢でデスクワークをしていたり、重い荷物を繰り返し持ち上げる作業を行なったりしている方は、背中の筋肉や肩関節、股関節が硬くなる可能性が高いといえます。
関節の柔軟性を高めるためにおすすめのストレッチ方法を、以下で紹介します。
- 背中の筋肉のストレッチ
- 股関節のストレッチ
それぞれ紹介します。
1.背中の筋肉のストレッチ
背中にある脊柱起立筋のストレッチ方法を紹介します。
- 四つ這いになる
- おへそを覗き込むようにゆっくりと頭を動かす
- 腰を天井に突き出す意識で身体を丸める
- ゆっくりと最初の姿勢に戻る
- 10回ほど繰り返し行う
2.股関節のストレッチ
股関節のストレッチ方法を、2つ紹介します
- 四つ這いになる
- 片足を曲げる
- もう一方の足を後ろに伸ばす
- 身体をゆっくりと起こし、足の付け根を伸ばす
- 逆足も同様に行う
- 膝立ち位になる
- 伸ばしたい足と逆の足を前に出す
- 前に出した足の膝を押さえて体重を前にかける
- 身体をゆっくりと起こし、足の付け根を伸ばす
- 逆足も同様に行う
この記事のまとめ
今回は、腰部脊柱管狭窄症でやってはいけないことを解説しました。
腰部脊柱管狭窄症は、放っておくと腰から足先にかけての痺れや痛みが進行していくため、早急な対策が必要です。
理学BODYでは腰部脊柱管狭窄症の原因となる筋膜へアプローチし、症状を根本から改善と再発の予防を行います。
もし病院や治療院へ通ってもなかなか症状が改善しない場合は、筋膜のプロである私たちに一度ご相談ください。
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腰から足先にかけての痺れや痛みに悩まされている方は、以下からぜひお受け取りください。