比較的よく起こる背中の痛みは珍しい症状でもないことから、痛みが出てもついつい我慢してやり過ごしてしまう人も多いと思います。
しかし、実は肩甲骨の内側に痛みが出るのは危険なサインです。
というのも、そのままにしておくと症状が悪化してしまったり、危険な病気を見過ごしてしまうケースも多いんです。
本記事では、肩甲骨の内側が痛い時の原因や対処法を体の専門家である理学療法士がわかりやすく解説しています。
最後まで読むことで、あなたの痛みの症状から原因が特定でき、正しい対処法がわかりるようになります。
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肩甲骨の内側が痛い時に確認するべきこと
肩甲骨の内側が痛い時に確認するべきこととしては以下の3つが挙げられます。
- 心臓は痛くないか?
- 呼吸は苦しくないか?
- 痛みがあまりにも激しくないか?
上記に当てはまる場合、危険な場合があるので、ご自身に当てはまらないかどうかよく読むことをお勧めします。
心臓は痛くないか?
心臓に問題がある場合、肩甲骨の内側の痛みに加え、心臓のある胸の左側に痛みを感じることがあります。
胸の痛みは、締め付けられるような激痛が特徴的です。
その場合、肩甲骨の内側の痛み以外にも以下のような症状がないか確認しましょう。
- 動悸
- 息切れ
- むくみ
- 冷や汗
- 吐き気
少しでも当てはまる場合、心臓に何らかの問題がある可能性があります。
心臓の問題の場合は自分で対処できることはないので、すぐに病院へ行って循環器内科を受診しましょう。
呼吸は苦しくないか?
肺に問題がある場合、肩甲骨の内側の痛みを感じることがあります。
痛みに加えて息苦しさを伴う、呼吸で痛みを伴うことが特徴的です。
肩甲骨の内側の痛み以外にも以下のような症状がないか確認しましょう。
- 咳
- 呼吸困難感
- 息切れ
- 息苦しさ
少しでも当てはまる場合、肺に何らかの問題がある可能性があります。
心臓と同じく、自分で治すことはできませんので、病院へ行って呼吸器内科を受診しましょう。
※他にも息を吸うと肩周りに痛みが出る際に考えられる疾患や対処法を下記の記事にまとめていますので、チェックしてみてください。
痛みがあまりにも激しくないか?
心臓、肺に問題がある場合の症状に当てはまらなくても、以下に当てはまる場合は念のため病院で受診することが望ましいです。
- 経験したことのない激しい痛み
- 痺れを伴う痛み
- 安静にしていても強い痛みがある
- 痛みが強いまま良くならない
- 生活に支障が出るほど強い痛みがある
筋肉のこりなどで痛いのとは違って、何らかの問題が見つかる可能性があるので、受診することをお勧めします。
異常がなかったとしても、痛み止めを処方してもらうことはできるので、痛みが強い間は痛み止めを使いつつ、良くなるのを待つのも1つの手です。
肩甲骨の内側が痛い時に考えられること
上述した危険な痛みには当てはまらない場合、以下の3つが原因として考えられます。
- 筋肉の痛み
- 内蔵由来の痛み
- 神経の痛み
それぞれ解説します。
筋肉の痛み
寝違えやぎっくり背中による筋肉の痛みの可能性があります。
寝違えなどによる筋肉の痛みは、筋筋膜性疼痛症候群と呼ばれるものである可能性が高いです。
簡単に言うと、筋肉のこりによってもたらされる痛みを指します。
例えば、寝違えでは、睡眠中不自然な姿勢が続いたために一部の筋肉が阻血(血液の供給が不足)におちいり時にしこりとなっている、前日などにいつもはしないスポーツや労働をして一部の筋肉が痙攣しているなどの原因が考えられています。
■参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
このように、不自然な姿勢や慣れない運動などによって起こるしこりや痙攣が筋肉のこりを生み出し、それが筋筋膜性疼痛症候群と呼ばれているのです。
寝違えやぎっくり背中の多くは一時的なもので、次第に回復へ向かいますが、日常的に不自然な姿勢や無理がかかる姿勢をとっていたり、ハードなスポーツや労働をしている方は筋肉のこりが慢性化してしまう可能性はあります。
内臓由来の痛み
上述したような心臓や肺の問題とは別に、内臓の異常まではいかなくても不調があると、内臓が位置する辺りの筋肉の痛みとして現れることがあります。
左肩甲骨の内側に痛みがある場合
身体の左側に位置する胃やすい臓に不調があると、左の肩甲骨の内側に痛みが出る可能性があります。
胃は左の肋骨の一番下から少し上辺りまでに位置し、すい臓は胃の後ろ辺りに位置しています。
なので、肩甲骨の下の方の痛みの場合、胃やすい臓の不調が原因かもしれません。
以下に当てはまる方は胃やすい臓に負担をかけている可能性があるので、注意が必要です。
- 暴飲暴食
- 飲酒量が多い
- 脂っこい食事が多い
- 精神的なストレスを感じている
右肩甲骨の内側に痛みがある場合
身体の右側に位置する肝臓に不調があると、右の肩甲骨の内側に痛みが出る可能性があります。
肝臓は右の肋骨の一番下から少し上、横にも比較的広い範囲で位置しています。
以下に当てはまる方は肝臓に負担をかけている可能性があるので、注意が必要です。
- 飲酒量が多い
- 肥満気味である
- 暴飲暴食
神経の痛み
肩甲骨の内側、正確にはあばら骨に沿うように肋間神経という神経が走っています。
肋間神経が原因で痛みが出ることを肋間神経痛と呼び、背中側で肋間神経痛が起こると肩甲骨の内側に痛みを起こす可能性があります。
神経痛の特徴としては、以下のようなものがあります。
- 電気が走るような痛み
- ビリビリ、チクチクとした痛み
- 安静にしていても痛むことがある
- 鋭い痛み
肋間神経痛が起こる原因としては、胸椎椎間板ヘルニアや背骨に腫瘍ができた場合や帯状疱疹によるウイルス性のものがあります。
※肩の痛みに関連する疾患について、見分け方や症状別に詳しく知りたい方は、過去の記事にもわかりやすくまとめていますので覗いてみてください。
肩甲骨の内側が痛くなりやすい人の特徴
肩甲骨の内側が痛い時に考えられることとして3つの原因を挙げましたが、多くの場合は筋肉の問題が原因です。
筋肉が原因で肩甲骨の内側が痛くなりやすい人には、以下の5つの特徴があります。
- 普段の姿勢が悪い
- 同じ姿勢を長時間することが多い
- 筋肉が硬い
- 肉体労働で体を使う
- 立ちっぱなしの仕事が多い
それぞれ解説します。
普段の姿勢が悪い
多いのは、デスクワークで背中が丸く、頭が前に出てしまうような姿勢です。
この姿勢では、肩甲骨の内側にある菱形筋や僧帽筋は引き伸ばされている状態です。
そのまま長時間作業していると、常に筋肉に伸ばされるストレスが加わり、大きな負担となります。
また、筋肉は伸ばされると力を発揮しにくくなる特徴があります。
菱形筋や僧帽筋が適切に働けば、背中を伸ばしてくれますが、伸ばされて弱くなると姿勢を戻すことが難しくなります。
そうして、悪い姿勢が定着し元に戻るのが難しくなると、筋肉にもずっと負担がかかるので、筋肉のこりによる痛みに繋がります。
同じ姿勢を長時間することが多い
長時間同じ姿勢でいると、常に同じ筋肉に負担がかかっていることになります。
またデスクワークを例に挙げると、背中が丸くなると菱形筋など肩甲骨の内側の筋肉が伸ばされます。
筋肉は伸び続けるわけではなく、一定の長さまで伸びるとそれ以上伸ばされないように力を発揮して、ブレーキがかかります。
つまり、菱形筋は背中が丸くなると伸ばされますが、一定以上は丸くならないようにブレーキをかけて姿勢を保ってくれているのです。
ただ、長時間その姿勢でいると、菱形筋は常にブレーキをかけていなくてはいけず、負担がかかり続けることになってしまいます。
それが筋肉のこりになり、肩甲骨の内側の痛みに繋がります。
筋肉が硬い
単純に筋肉が硬いと痛くなりやすいです。
例えば、寝返りを打つ際、下になる肩甲骨は腕と一緒に動くので、外側へ動きます。
この時、菱形筋が硬いと肩甲骨が外側に動くのを邪魔します。
ですが、その時に無理に菱形筋が伸ばされることで、筋肉に小さな傷がつくと、それ自体が痛みの原因になります。
また、それが炎症を起こすことで、傷自体の痛みとは別の痛みも起こしてしまいます。
筋肉の硬さは関節の動きを制限しますが、それを超えた動きが求められた時に傷を作ってしまう可能性があるのです。
肉体労働で体を使う
これは筋肉の使い過ぎが原因です。
慣れない運動をすると、筋肉痛になることがあると思います。
あれは、筋肉に強い負担がかかった結果、筋肉が緊張して血流が悪くなり痛みを起こす物質が作られたり、筋肉に傷ができることが原因です。
筋肉が運動の負担に慣れれば、筋肉痛は起こりにくくなります。
ですが、肉体労働などで強い負担をかけ続けると、筋肉は慢性的に緊張した状態が続くため、やはり血流が悪くなり、痛みに繋がります。
立ちっぱなしの時間が多い
立ちっぱなしは肩甲骨の内側の痛みと関係がないように思うかもしれません。
ですが、良い姿勢を保とうと過剰に胸を張って立つ、あるいは、猫背で背中が丸くなった状態で立つような方がいます。
胸を張って立つと、姿勢は綺麗に見えます。
でも、胸を張るために左右の肩甲骨を引き寄せなくてはいけず、菱形筋が常に働いて肩甲骨を寄せたまま保たなくてはいけません。
この状態で長時間立つことは、菱形筋が常に緊張した状態となるので、筋肉のこりや血流が悪くなることに繋がり、結果的に肩甲骨の内側の痛みへと繋がります。
※他にも肩を上げた時や肩の付け根の痛みでお困りの方は、過去の記事に原因や対処法を記載していますので、参考にして見てください。
肩甲骨の内側が痛い時の対処法
肩甲骨の内側が痛い時の対処法としては、以下の5つが挙げられます。
- 冷やす・温める
- 安静にする
- マッサージ
- ストレッチ
- 日常生活動作の見直し
以下では、それぞれについてくわしく解説していきます。
冷やす・温める
冷やすことは、炎症や内出血、むくみを抑え、組織の回復を早める効果が期待できます。
温めることは、筋緊張の緩和、血行の促進、痛みの緩和などの効果が期待できます。
基本的には、捻挫や打撲などの受傷直後の痛みに対しては、炎症や内出血が起こっている可能性が高いので、冷やすことが効果的です。
反対に、肩こりや腰痛などの慢性的な痛みやこりに対しては、温めることで筋緊張の緩和や血行を促進することで、効果が期待できます。
ですが、肩甲骨の内側の痛みに関しては、寝違えやぎっくり背中による小さな傷がつくことで炎症が起こっている可能性もありますし、炎症はなく筋肉が緊張しているだけの場合もあります。
なので、どちらも試してみてご自身の症状に合う方を選んで試してみるのが良いでしょう。
温めることに関しては、湯船につかることやホッカイロを当てたりするだけでも良いです。
冷やすことに関しては、以下に具体的な手順をまとめました。
- ビニール袋に氷を入れる
- 患部に氷袋を当てる
- 10~20分程度当て、感覚がなくなったら終了する
安静にする
筋肉に傷ができていたり、炎症が起こっている場合は、痛みがあるのに無理して動くとかえって悪化させてしまう恐れがあります。
痛みが強い場合は、安静にすることも大事な治療の1つです。
楽な姿勢を探し、痛みが和らぐまでは無理なく動ける範囲で生活することが大切です。
マッサージ
マッサージは筋肉の緊張を緩和させる効果があり、こりや痛みに効果的な方法の1つです。
ですが、肩甲骨の内側は自分でマッサージするには難しい場所です。
そこで、お勧めするのは脇の後ろ側のマッサージです。
ここの筋肉は、肩甲骨の内側の菱形筋などの筋肉と拮抗する筋肉で、脇の後ろが硬くなると菱形筋の働きを邪魔してしまいます。
なので、脇の後ろをマッサージして硬さを和らげると、菱形筋への負担も減るので効果的です。
- 片手で脇を下からつかむ
- 脇の後ろの人差し指~薬指が当たる辺りを上下に揉んでマッサージする
- 指で脇の後ろを押さえたまま、肩を前後に大きく回す
- ②と③を気持ち良い程度に繰り返し行う
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ストレッチ
肩甲骨の内側の菱形筋が短くなって硬い場合はストレッチが効果的です。
ですが、猫背のような姿勢の方は、菱形筋が伸びきって硬くなっていることが考えられるので、ストレッチをすると逆効果になる可能性があります。
なので、ストレッチの前にご自身が猫背かどうかチェックしてみましょう。
- 壁に背中を向けて立つ
- 背中とお尻を壁につけ、あごを軽く引く
- この時、頭がぴったりと壁につかない場合は猫背の可能性あり
上記の方法で猫背となった方は、以下のストレッチを試してみてください。
- 左右の手のひらと肘を合わせる
- 手のひらと肘が離れないように上下に動かす
- 可能な方は、手の甲と肘を合わせて同様に行う
- 10~20回程度繰り返す
日常生活動作の見直し
上記で解説した対処法は、あくまでも痛みやこりに対する対処法です。
日常生活で痛みやこりを作ってしまう原因があれば、それが改善されない限り再発してしまう恐れがあります。
肩甲骨の内側が痛くなりやすい人の特徴で解説した5つの特徴をよく読み、ご自身に当てはまるものがあれば改善していきましょう。
簡単に改善できるものとして、例えば、長時間同じ姿勢になりがちな方の場合。
30分~1時間ごとに背伸びをしたり立って軽く体を動かすだけでも効果的です。
解説した4つの対処法も実践しつつ、生活の中で変えられるものは変えていくように心がけましょう。
まとめ
肩甲骨の内側に痛みが出る場合、心臓や肺に問題による危険なサインである可能性があることを解説しました。
心臓や肺が肩甲骨の内側の痛みに繋がることはイメージしにくいかもしれませんが、ありえないことではないので、今一度ご自身の症状と照らし合わせてみてください。
それに当てはまらないのであれば、多くは筋肉のこりによる症状なので、ご自身でも和らげることが出来る可能性が高いです。
対処法として5つ挙げましたので、ご自身に合う方法を実践してみてください。
いますぐ何とかしたい痛みでお困りの方は、ぜひ一度当院へご相談ください!