スポーツ中にボールや相手選手とぶつかってから手足に痛みがある。
久々に走ったり、スポーツをした後から足が痛い。
力を入れると痛みがある。
このように、運動したり手足に力を入れた時に痛みがある場合、筋挫傷と呼ばれる状態かもしれません。
筋挫傷を聞き慣れない、どういう状態なのか分からない
という方もいるかもしれません。
そこで、今回は筋挫傷とはそもそも何なのか、原因から治すために何をするべきか、予防法まで解説していきます。
筋挫傷(肉離れ)とは?
筋挫傷とは、簡単に言うと筋肉の繊維が損傷することを指します。
よく似た言葉に肉離れがありますが、肉離れは走ったりジャンプしたり、自分自身の力によって急激に強い力が加わった時に筋肉が損傷することを指します。
筋挫傷と肉離れは厳密に言うと意味は異なり、筋挫傷は自分自身の力による損傷ではなく、物にぶつけたり体の外からの力によって筋肉が損傷することを指します。
このように、両者の意味合いは微妙に異なるのですが、一般的には同じ筋肉の損傷として使われる言葉なので、ここでも同じ意味として解説していきます。
症状としては、筋繊維が損傷しているので、筋肉を伸ばしたり力を入れると痛みが生じます。
また、程度によりますが、筋繊維が損傷すると炎症が起こって患部に腫れ、熱感を生じます。
炎症が強い場合は患部を動かさなくても痛みが出る場合もあります。
筋挫傷(肉離れ)が起こる原因
筋挫傷が起こる原因としては、スポーツによるものが多く、典型的なふくらはぎの肉離れは、下腿三頭筋の内側頭の筋肉の部分断裂です。
大腿部のものは、前面は大腿四頭筋、後面はハムストリングスの筋部分断裂です。
■参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
筋挫傷が起こるきっかけは、筋肉が伸ばされながら収縮する時に多いです。
例えば、鉄アレイを持って肘を曲げる時、この時は筋肉が縮みながら収縮しています。
対して、肘を曲げたところからゆっくりと伸ばす時、この時は筋肉は肘が急に伸びないようにコントロールして、伸ばされながら収縮しています。
負担が大きいのは、圧倒的に伸ばされながら収縮する時です。
何故なら、筋肉は収縮すると縮みますが、それとは反対の伸ばされる動きをしながら収縮するという相反する動きが同時に起こっているからです。
なので、筋肉に加わる負担が大きくなるため、筋挫傷が起こりやすいと言えます。
筋挫傷(肉離れ)を早く治すために大事なこと
筋挫傷を早く治すために大事なこととしては、主に以下の3つが挙げられます。
- RICE処置
- 筋肉の柔軟性を高める
- 筋力を強くする
それぞれ解説していきます。
RICE処置
筋挫傷を起こした時にまずすべきこととしては、RICEを優先しましょう。
RICEとは、以下の4つの頭文字をそれぞれ取ったものです。
- REST:安静
- ICING:冷却
- COMPRESSION:圧迫
- ELEVATION:挙上
この4つが筋挫傷をはじめ、捻挫や打撲をした際の応急処置としてまずすべきことになります。
REST(安静)
安静にしていると、治りが遅くなるのではないかと心配になる方もおられるかもしれません。
ですが、筋挫傷は筋繊維が損傷している状態なので、その状態で動くとかえって損傷を強くしてしまったり、痛みも強くなってしまう恐れがあります。
安静にすることも立派な治療の1つなので、まずは安静にすることを考えましょう。
筋挫傷を起こすと、損傷した筋繊維を治すために患部に血液が集まるため、炎症が起こって腫れます。
ここで無理に動くと、損傷した筋繊維が中々くっつかず、治りが遅くなりますし、むしろ炎症や腫れが強くなってしまう可能性もあります。
炎症や腫れが長引くと、損傷した筋繊維だけでなく、周りにある他の筋肉や腱、靭帯などの動きも悪くなり、関節の動きを硬く制限してしまいます。
その結果、筋繊維が治っても、関節や筋肉が硬くなっているので、再びケガをするリスクが高くなってしまうのです。
なので、まずは安静を優先し、必要があればサポーターやテーピングをして患部が動きすぎないようにすることが大切です。
ICING(冷却)
冷やすことは、炎症や腫れ、内出血を抑え、組織の回復を早める効果が期待できます。
ケガをした時、温めた方が良いのか冷やした方が良いのか分からないかもしれませんが、筋挫傷をした直後は冷やした方が良いです。
筋挫傷の直後は、炎症が起こっているので、温めてしまうと炎症をかえって強くしてしまい、痛みも強くなりますし、治りも遅くなってしまいます。
なので、まずは冷やして炎症を抑えながら、損傷した筋繊維が修復されるのを待つことが大事です。
具体的なICINGの方法ですが、簡単なのはビニール袋やアイスバックに氷を入れ、それを患部に当てることで冷やします。
患部の感覚がなくなるまで、15~20分くらいを目安に冷やすのを止め、痛みが再び出てきたらまた冷やしましょう。
大体1~3日くらい続けると良いでしょう。
COMPRESSION(圧迫)
圧迫することで、患部の腫れや内出血を抑えることが期待できます。
筋挫傷を起こすと、炎症が起こり、血管から浸出液と呼ばれる液体が血管の外へ染み出てきます。
これが患部の腫れの原因になるので、圧迫することで浸出液が染み出るのを防ぎ、血管の中へ戻すのを促すという効果が期待できます。
具体的な方法としては、患部を弾性包帯で巻いて圧迫します。
弾性包帯というのは、伸縮性があり、関節の固定や圧迫に適した包帯で、医療現場で幅広く用いられている包帯です。
ただ、注意点として、強く巻きすぎると血管が圧迫されるので、血流障害を起こす可能性があります。
患部から先が冷たくなったり、痺れてきていないかを確認しながら行いましょう。
そこまで強く巻かなくても、包帯のたわみが取れるくらいまで引っ張り、そこから少し伸ばす程度の強さで大丈夫です。
ELEVATION(挙上)
挙上は患部を心臓より高い位置に挙げることを指します。
高い位置に挙げる目的としては、患部の腫れを和らげることです。
腫れている状態というのは、血液や滲出液がそこに溜まっている状態なので、いつまでも溜まらないように循環させる必要があります。
本来、血液は心臓から出て、手足を巡って再び心臓まで戻ってくることで循環しています。
この循環が上手くいっていないのが腫れる原因なので、患部を心臓より高い位置に挙げることで、重力の力を利用して、自然と患部から心臓へ血液が戻るようにすることが期待できます。
枕やクッション、バスタオルを丸めるなどして、患部を心臓より高い位置になるようにしましょう。
筋肉の柔軟性を高める
筋肉の柔軟性を高めることは、再発予防の観点からもとても重要です。
筋挫傷を起こしてしまった時も、筋繊維が治る過程で筋肉は硬くなってしまうので、少しずつストレッチすることが大切です。
ただ、筋挫傷をした直後からストレッチするのは、むしろ治りを遅くしてしまうので控えましょう。
受傷直後は筋繊維の一部、あるいは全てが断裂している状態です。
その状態の筋肉をストレッチすると、断裂している筋繊維をさらに断裂する方向へ引っ張ってしまう恐れがあります。
ストレッチをし始める目安としては、損傷した筋繊維が治るのがおおよそ2〜3週間かかるので、それくらいの期間が経過していることと少しストレッチしてみて痛みがないことを確認しましょう。
痛みがあるのにストレッチしても十分な効果が得られないですし、まだ筋繊維が完全に治っていない可能性があります。
その場合は、ストレッチは控えて少し関節を曲げ伸ばしするくらいにしておきましょう。
ここでは、筋挫傷を起こしやすいふくらはぎの下腿三頭筋、前ももの大腿四頭筋、裏もものハムストリングスのストレッチを紹介します。
下腿三頭筋のストレッチ
- 足を伸ばしてすわる
- 足の裏のつま先部分にタオルを引っかける
- タオルを引っ張ってつま先をすねに近づけるように動かす
- ふくらはぎが伸びている感覚が得られたら、そこで10〜20秒キープする
- 3回程度繰り返す
下腿三頭筋は腓腹筋とヒラメ筋という2つの筋肉の総称です。
腓腹筋は膝を伸ばした状態、ヒラメ筋は膝を曲げた状態でより伸ばされるので、膝を伸ばした状態と軽く膝を曲げた状態の2パターンでストレッチを行いましょう。
大腿四頭筋のストレッチ
- 正座になる
- ストレッチしない側の足は真っ直ぐ伸ばす
- 体の後ろに手をつき、少しずつ体を後ろへ倒していく
- 可能なら肘をつける位置まで体を倒していく
- その状態で10〜20秒キープする
- 3回程度繰り返す
ポイントは、ストレッチしている時は腰を軽く丸くするように意識しましょう。
そうすることで、より大腿四頭筋がストレッチされます。
また、肘をついてもまだ余裕があるなら、背中を完全に床につけてしまっても大丈夫ですが、最初のうちは肘をつく位置くらいにとどめておき、慣れてきてからの方が良いです。
ハムストリングスのストレッチ
- 椅子に腰かける
- ストレッチする側の足を真っ直ぐ伸ばす
- 伸ばした足へ向かって体を倒していく
- 裏ももが伸びている感覚が得られた位置で10〜20秒キープする
- 3回程度繰り返す
ポイントは、伸ばしている足の膝が曲がらないようにすることです。
膝が曲がると、ハムストリングスはあまり伸びないので、曲がらないくらいの位置でストレッチしましょう。
筋力を強くする
筋力を強くすることも、再発予防や早く治すためには重要です。
一度筋挫傷を起こした筋肉は、筋繊維が治れば完全に元通りになるわけではありません。
治る過程で炎症などの影響を受け、筋肉が硬くなっているので、以前より柔軟性は低くなりますし、筋力も発揮しにくくなっています。
なので、筋繊維自体は治っていても、上手く力を出せないので、再発しやすく、完全に治ったとは言えないでしょう。
筋肉を鍛えつつ、以前のように筋力を発揮できる、以前より強い筋力を発揮、より強い負荷に耐えられるだけの筋力をつけることが完全な回復のためには重要です。
また、筋力を強くするために筋トレすると、筋肉が収縮したり伸びたりを繰り返すので、血流が促進します。
血流が促進されることは、組織を回復させるためには大事ですし、むしろ痛みをみながら積極的にやっていくべきです。
ここでも、筋挫傷を起こしやすい下腿三頭筋、大腿四頭筋、ハムストリングスの筋トレを紹介します。
下腿三頭筋の筋トレ
- 椅子に腰かける
- 足の裏全体が床につくようにする
- つま先に体重をかけ、かかとを持ち上げる
- 元に戻す
- 10〜20回繰り返す
ポイントは、親指と小指の根元へ均等に体重をかけた状態でかかとを持ち上げることです。
どちらかに偏ってしまうと、下腿三頭筋の中でも外側だけ、あるいは内側だけ鍛えることになってしまうので、バランス良く鍛えるには体重も偏らないようにかけて行いましょう。
大腿四頭筋の筋トレ
- 椅子に腰かける
- 片足の膝を真っ直ぐ伸ばす
- 元に戻す
- 10〜20回繰り返す
ポイントは、膝を伸ばした時、腰が丸まったり体が後ろへ倒れないようにしましょう。
また、膝は最後までしっかりと伸ばすようにしましょう。
ハムストリングスの筋トレ
- 仰向けで両膝を立てる
- かかとの位置は膝の真下よりも少し遠くに置く
- 足の裏へ体重をかけ、お尻を持ち上げる
- 元に戻す
- 10〜20回繰り返す
ポイントは、かかとを置く位置です。
かかとを遠くへ置くと膝が伸びるわけですが、膝がより伸びた位置で行うほどハムストリングスを働かせることができます。
ただ、かかとを遠くに置くほど負荷も強くなるので、最初のうちは膝の真下より少し遠い位にしておき、少しずつ距離を遠くしていきましょう。
筋挫傷を予防するための対策
筋挫傷を予防するための対策としては、以下の3つが挙げられます。
- ストレッチ
- 筋トレ
- ウォーミングアップ、クールダウン
それぞれ解説していきます。
ストレッチ
既に上述した通り、一度筋挫傷を起こすと、筋繊維が治ったとしても硬くなっています。
なので、ストレッチをして筋肉の柔軟性を高めておかないと、再発してしまう可能性が高くなります。
また、筋挫傷が起こりやすいのは、筋肉が伸ばされながら収縮した時です。
この時に筋肉が硬いと、伸ばされる範囲が限られていますし、その状態で筋肉が収縮するとかなりの負担がかかってしまいます。
既に解説したストレッチを継続して行い、筋肉を柔らかい状態に保ちましょう。
筋トレ
こちらも既に上述した通り、一度筋挫傷を起こした筋肉は硬く、筋力も発揮しにくくなっています。
筋肉の柔軟性を高めるとともに、筋力も併せて鍛えていくことで、より強い負荷にも耐えられるようになるため、再発する可能性は低くなります。
ウォーミングアップ、クールダウン
筋挫傷を起こしてしまう原因が、そもそもの筋肉の柔軟性の低さや筋力の弱さがありますが、運動前のウォーミングアップや運動後のクールダウンをおこたっていたということも考えられます。
ウォーミングアップをせずに、いきなり激しい運動をすると、筋肉がまだ運動できる状態になっていないので、上手く伸び縮みすることができません。
その結果、強い力が加わると筋挫傷を起こしてしまう可能性があります。
また、運動後は筋肉に負担がかかった後なので、筋肉が硬くなっています。
そのまま放置すると、筋肉が硬くなっていく傾向になるので、軽めのジョギングやウォーキング、ストレッチなどを運動後に取り入れクールダウンすることで、適度に筋肉を動かしてあげると良いでしょう。
筋肉を緩めるだけでなく、運動で傷ついた筋肉の回復を早める効果も期待できます。
理学ボディのおすすめ
筋挫傷をとにかく早く治したい、ストレッチなどをしているが中々痛みが治らないという方は理学ボディで施術を受けることがおすすめです。
理学ボディでは、最短で痛みを改善させることにこだわっており、筋膜という組織に対して施術を行います。
筋挫傷をより早く治すには、硬くなった筋膜をほぐすことが有効な場合が多く、筋膜の施術に精通している理学ボディととても相性が良いのです。
筋挫傷の後は、炎症や腫れが引き、靭帯が修復される過程で筋肉だけでなく、筋肉を覆っている筋膜も硬くなっている可能性が高いです。
RICE処置などで回復を早めることはできても、硬くなった筋膜をほぐすことは難しいです。
筋膜に精通しているセラピストにほぐしてもらうことで、治りが早くなり、痛みが長引くのも防ぐことができます。
もし、筋挫傷を早く治したくてお困りでしたら、ぜひ理学ボディにお越しいただき、筋膜の施術を受けてみてください。