この記事を監修している人:木城 拓也(理学療法士免許所有)
理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。
木城先生
朝起きたら首が痛い、首が動かないなどつらい寝違えを経験したことはありますか?
多くの人が経験したことのある寝違えですが、意外にも対処方法や予防方法がわからない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
寝違えに対しての適切な対処法がわからなければ、数週間にわたり首の痛みと動きの制限に悩まされることも多いです。
本記事では、首の寝違えが起こる原因や予防方法について解説しています。
併せて寝違えてしまった際に効果的なストレッチも紹介します。
現在寝違えに困っている方をはじめ、寝違えやすい方もぜひ参考にしてみてください。
さらに、痛みを今すぐどうにかしたい方に向けて、あなたの痛みに効く具体的な筋膜リリースの方法をLINEから無料でお伝えしています。ぜひご活用ください。
目次
首の寝違えとは?一般的な症状を解説
寝違えとは、首周辺の筋肉が軽度の肉離れを起こしている状態です。
日本整形外科学会では寝違いの原因について以下のように解説しています。
睡眠中不自然な姿勢が続いたために一部の筋肉が阻血(血液の供給が不足)におちいり時にしこりとなっている、前日などにいつもはしないスポーツや労働をして一部の筋肉が痙攣している(こむら返り)、頸椎の後ろの関節(椎間関節)の袋(関節包)に炎症がおこる、などの原因が考えられています。筋肉の阻血・疲労や関節包の炎症を引き起こすのは、上肢の使い過ぎ(手で重いものを持つ動作は頸の後ろの筋肉に負担がでます)、同じ姿勢の持続(飲酒後の睡眠や疲れ果てての睡眠などでは寝返りが少なくなる・パソコンや事務作業が長時間に及ぶと頭を一定位置に保持するために頸部の筋肉に負担が生じる)、が原因の場合が多いと思われます。
引用:日本整形外科学会
睡眠中に長時間同じ姿勢が続いたり、変な方向に曲がったままになっていたりすることで血流の低下が起こり、首や肩の筋肉が硬まってしまいます。
筋肉が硬くなった状態で目覚め、急に首や肩を動かすことで首の筋肉の肉離れが起き、寝違えにつながります。
寝違えの症状の多くは、首周囲の痛みや首の動く範囲の制限です。
痛みが強い場合は、首を全く動かせない場合もあります。
まれに末梢神経を圧迫し、腕にかけての痺れが起こる場合もあるため注意が必要です。
首の寝違えが起こる3つの原因
寝違えは、寝ているときの姿勢や寝る前の疲労の影響で起きやすくなります。
寝違えの起こる具体的な原因は、以下の3つです。
- 睡眠中の姿勢による影響
- 疲労による影響
- 飲酒後の睡眠による影響
寝違えの原因を正しく知っておくことで、予防や正しい対処法を行えるでしょう。
詳しく解説します。
睡眠中の姿勢による影響
常に同じ方向を向いている、首が過度に上を向いているような姿勢で寝てしまうと、首周りの筋肉の血流が低下してしまいます。
その結果筋肉が硬くなり、寝違えにつながります。
枕の高さやベッドの柔らかさ、寝返りのしやすさなどの睡眠環境が影響を及ぼすため、必要に応じて睡眠環境を整えることが必要です。
疲労による影響
疲労が蓄積することで筋肉への血液の供給量が下がったり、炎症を起こしたりしている場合があります。
首の疲労だけでなく、腕の使いすぎによる過労も寝違えに影響しているとされ、腕を過剰に使う作業を行なった日に寝違えが起こりやすいとされています。
飲酒による影響
飲酒をすることで交感神経が優位に働き、眠りが浅くなります。
交感神経は、血管や筋肉が緊張しやすくなる作用があるため寝違えの原因になります。
泥酔してしまった場合はソファーや床などで眠ってしまい、普段と違う環境で寝てしまうこともあるでしょう。
そのため寝返りの回数が少なくなったり、首を過度に曲げた状態で寝たりすることで首に強い負担がかかります。
その結果、寝違えが起こりやすくなるため、飲酒をした日の睡眠には注意が必要です。
首を寝違えたときの応急処置方法
首を寝違えてしまったときの対処方法を解説します。
首の寝違えは、正しく対処しなければ症状が悪化したり、慢性的な首の痛みにつながったりする可能性があるため注意しましょう。
首を寝違えてしまったときの応急処置の方法は、以下の3つです。
- 痛みがある際は安静にする
- 炎症がある際はアイシングする
- 薬を上手く活用する
痛みがある際は安静にする
痛みが出ているときは、炎症が強く起こっていると考えられます。
炎症が強いうちにストレッチやマッサージなどをすることで、痛みが悪化したり、長引いたりする原因となります。
炎症が強く筋肉の緊張が高い時期は、安静にすることも治療の一つのため、痛みが出ているときは安静にすることを心がけましょう。
炎症がある際はアイシングする
炎症がある場合は痛みのほかに熱をもったり、腫れたりする場合があります。
炎症が起こることで血管が広がり、血液とともに炎症を引き起こす物質も多く流れ込むため、熱や赤み、腫れなどを引き起こします。
適度にアイシングを行うことで、炎症物質の流入を抑えることが可能です。
痛み以外に炎症兆候がある場合は、アイシングを効果的に使用しましょう。
薬を上手く活用する
痛みが強い場合、薬を活用して一時的に痛みを軽減させることも効果的です。
ロキソニンなどの抗炎症成分の入っている非ステロイド抗炎症剤には、痛みの発生物質を抑えて炎症を和らげる働きが期待できます。
痛みの原因や妊娠中、合併症によっては使用ができない場合もあるため、専門機関や薬局で相談してから使用しましょう。
寝違えに効果的なストレッチを3つ紹介
寝違えの解消に効果的なストレッチを紹介します。
痛みや炎症がそこまで強くない場合は、ストレッチにより痛みの軽減が図ることが可能です。
肩関節のストレッチを行うことで、腋窩神経と呼ばれる首から脇腹にかけて通る神経の通りを改善し、痛みの軽減が期待できます。
首の痛みがある時期に首のストレッチを直接してしまうと、症状が悪化してしまう原因となるため肩関節のストレッチを中心に、以下の3つをぜひ行いましょう。
- 肩のストレッチ(伸展)
- 肩のストレッチ(内旋)
- 肩のストレッチ(外転)
肩のストレッチ(伸展)
肩を後ろに引くことで、胸についている筋肉のストレッチを行います。
痛みのない範囲で行うようにしましょう。
肩関節伸展ストレッチの方法は、以下のとおりです。
- 背中側でタオルをつかむ
- ゆっくりと後ろに下げる
- ゆっくりと元に戻す
肩のストレッチ(内旋)
肩の後ろについている筋肉を伸ばします。
首のすぐ下につく筋肉がストレッチされるため、首の負担の解消が期待できます。
肩関節内旋ストレッチの方法は、以下のとおりです。
- 首が痛い方の手を背中側に回す
- 反対の手で肘をつかみ、前に引っ張る
- 30秒キープ
- ゆっくりともとの位置に戻す
肩のストレッチ(外転)
胸の前~肩の前にかけての筋肉のストレッチを行います。
肩関節外転ストレッチの方法は、以下のとおりです。
- 腕を90度横に挙げて肘を曲げる
- 壁に肘の内側をつける
- 身体を反対側に捻る
- 30秒キープ
- ゆっくり戻す
寝違えに効果的な運動を3つ紹介
寝違え解消に効果的な運動を3つ紹介します。
ストレッチに加えて適切な運動を行うことで、首周りの筋肉の緊張を緩和でき、首への負担軽減につながります。
今回紹介する運動は、以下の3つです。
- 頚部運動
- 頚部モビリゼーション
- 肩関節の運動
頚部運動
首の運動を行うことで首周りの筋肉の緊張を緩和し、首への負担が軽減できます。
日頃から意識して行うことで、再発防止にも効果的です。
頚部運動の方法は、以下のとおりです。
- 片方の手を胸、もう片方の手で顎を抑えて首を後ろに倒す
- 両手を頭の後ろに回しゆっくりと首を前に倒す
- 首を右に倒し、右手で頭の上を軽く抑える
- 反対も同様に行う
2種類の動画を参考に痛みの出ない範囲で行いましょう。
頚部モビリゼーション
首の関節を動かすことで可動域の改善を図り、寝違いの解消を図ります。
頚部モビリゼーションの方法は、以下のとおりです。
- 首の後ろにタオルをあてる
- タオルを上に向かて斜め前に軽く引っ張る
- 首を後ろに反らす
- 痛みのない範囲で数回繰り返す
肩の運動
肩の運動を行うことで、肩回りの筋肉の負担が解消されるため首への負担の軽減が図れます。
肩こりも寝違えの大きな要因となるため効果的です。
肩関節の運動方法は、以下のとおりです。
- 椅子に座り、背中と腰を壁につける
- 顎を引き、そのまま腕を前へ上げる
- 顎が上がらないように注意しながら繰り返す
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寝違えを早く治す方法はある?治し方を紹介
寝違えを早く治すための基礎知識を紹介します。
治し方の基礎知識を覚えておくことで、寝違えの症状を長引かせずに改善することが可能です。
治るまでの日数や早く治すためのコツ・ポイントを、以下で紹介します。
また、痛みが強いときの対処法と病院に行くべきかどうかの解説も併せてご覧ください。
治るまでの日数について
一般的に、寝違えが治るまでの日数はおおよそ3日~1週間程度です。
炎症がなければ3日~5日程度で症状は緩和しますが、炎症が強い場合は1週間程度かかる場合もあります。
神経症状も多くは2~3日で症状がなくなることが多いですが、1週間以上継続する場合は寝違え以外のけがの可能性もあるため注意が必要です。
そのほか背骨の周りの靭帯や筋肉の腱が傷ついている場合は、2週間ほど症状が続くこともあるため痛みや症状に合わせて、専門の医療機関へ相談しましょう。
治すための工夫について
寝違えを早く治すためのコツ・ポイントは2つあります。
1つ目は、寝違えてすぐの時期はとにかく安静を保つことです。
最も炎症が強い時期でもあるため、痛みが出る動作は可能な限り避けてください。
この時期に無理をしてしまうと、炎症を悪化させたり、症状を長引かせたりする原因になるため安静にすることが最も重要となります。
2つ目は、痛みが和らいできたら首周りや肩への血流を促し、回復を促すことです。
血流改善にはストレッチやマッサージ、軽い運動が効果的です。
そのほか、タオルやホットパックを利用して首を温めることも有効です。
炎症の有無や時期、適切な方法は病態により異なるため、専門家の指示に従って行いましょう。
痛みが強いときの対処法
寝違えの痛みが強いときは、タオルやマフラーなどで首を巻いて「首置き」を作ることが効果的です。
首の動きを抑えて、顎を安定させることが目的で、そこまで強く巻きつける必要はないでしょう。
首にタオルやマフラーを巻くのが難しい場合は、腰にコルセットを巻くことも効果的です。
コルセットを巻くことで体幹が安定するため、首周りの筋肉の負担を軽減することができます。
病院に行くタイミング
寝違えは、基本的に病院へ行く必要はありません。
多くの寝違えの場合、放置していても数日から数週間で症状が消失します。
早く症状を緩和させたい場合は、病院を受診しても良いでしょう。
頻繁に寝違えが起こる場合は、首の骨が本来の位置からずれている可能性もあるため、医療機関を受診することをおすすめします。
ストレートネックなどは、日常的に首周りの筋肉に負担をかけている可能性があるため、適切に対処する必要があります。
ぶり返さないための首の寝違え予防法
寝違えをぶりかえさないための予防方法を紹介します。
寝違えは睡眠時の姿勢が大きく関わっていますが、予防のためには日頃の生活習慣が重要です。
寝違えの予防として特に気をつけてほしい習慣は、以下の3つです。
- ストレッチの習慣化
- 過度な飲酒を控える
- 身体に適した寝具を使う
ストレッチの習慣化
日頃からストレッチをしておくことで筋肉の血流が改善でき、首の負担を軽減できるため寝違えを予防する効果が期待できます。
寝違え直後の痛みが強い場合は、ストレッチを行うと逆効果となるため痛みが軽減してからストレッチを習慣化するようにしましょう。
過度な飲酒を控える
寝る前に飲酒をすると寝つきが良くなると感じている方も多いでしょう。
しかし飲酒は深い眠りを妨げ、交感神経の働きを優位にします。
寝違えを予防するためには、寝る前に体内のアルコールが分解されていることが理想です。
また、過度な飲酒し泥酔することでソファーや床で寝るなど首に負担のかかる姿勢で寝る頻度も多くなります。
寝違えを予防するためにも、寝る前の過度な飲酒は注意しましょう。
身体に適した寝具を使う
寝具が合っていないと寝ている間の首への負担が大きくなります。
また眠りも浅くなり、疲労がたまる原因にもなるため注意が必要です。
寝具を選ぶ際のポイントとして、以下の3つが挙げられます。
- 頭、おしりの割れ目が一直線で、身体全体が一直線になっているか
- 力を入れずに楽に寝返りすることができるか
- 硬すぎたり軟らかすぎたりしていないか
近年、少しずつ寝具の重要性は広まってきていますが、睡眠環境を整えることで身体の負担や疲労の軽減が見込めます。
寝違えやすさも格段に変わるため、自身に合った寝具を使用して睡眠環境を整えることで寝違えを予防しましょう。
まとめ
本記事では、寝違えの原因や対処法について紹介しました。
寝違えは比較的頻繁に起こりやすい症状ですが、痛みや首が動かせないことで日常生活に影響を及ぼします。
間違った対処法は、症状を悪化させる可能性もあるため注意が必要です。
首の寝違えは、放っておいても時間の経過とともに自然に症状が消失します。
しかしなかには、なかなか痛みが引かない方や、何度も繰り返し寝違えてしまう方もいるのではないでしょうか。
その場合は、首回りや肩回りの筋肉が原因かもしれません。
もし病院や治療院へ通ってもなかなか症状が改善しない場合は、筋膜のプロである私たちに一度ご相談ください。
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