数か月前から息子がサッカーをしていると膝が痛いと言うようになりました。
気になって見てみたら、あきらかに膝下の骨がボコッと出てるんですよ。
さすがにこれはおかしいと思って病院に連れて行ったら、『オスグッドですね』ってお医者さんに言われました。
それから、電気をかけたり湿布を貼ったりしているのですが、一向によくなりません。
もうすぐ夏の大会がはじまるので、それまでに何とかして試合に出してあげたいのですが、なんとかならないでしょうか?
そんな相談を受けることがよくあります。
結論から言うと、膝のボコッとしたのはしばらく治らない可能性が高いですが、オスグッドの膝の痛み自体は改善できることがほとんどです。
今回はオスグッドのメカニズムと、治療方法を詳しく書いていきたいと思いますので、息子さんがオスグッドでお困りのお父さんお母さんには必ず最後まで読んでいただきたいです。
目次
オスグッドシュラッター病とは
世間ではこの成長期の膝下の痛みのことを『オスグッド』と呼んでますが、正式には『オスグッドシュラッター病』といいます。
太ももの前の大腿四頭筋と呼ばれる筋肉と連結している膝蓋腱が、脛骨(下腿の骨)の上部を引っ張って発症する障害です。
膝蓋腱って?

膝蓋腱って何?という方も多いと思いますので、まずは膝蓋腱について説明させていただきます。
膝蓋腱は、前ももの筋肉である大腿四頭筋のうちの中央の大腿直筋という筋肉が、お皿の骨に付着する直前に膝蓋腱と呼ばれる腱に変わります。
要するに、膝蓋腱は前ももの大腿四頭筋の一部と考えてもらえればわかりやすいかと思います。
オスグッドシュラッター病の特徴
オスグッドシュラッター病は成長期のスポーツ障害として最も頻度が高い怪我です。
ジャンプやキックを頻繁に行うようなスポーツで特に多く見られます。(サッカー、陸上競技、バレーボールなど)
オスグッドシュラッター病の症状
- 走ると痛い
- ボールを蹴ると痛い
- ランジの動きで痛い
- しゃがみ込むと痛い
- 下腿の骨の上側のボコッとしているところを押すと痛い
などが挙げられます。
ひどくなると、歩いても痛いなんてこともあります。
オスグッドシュラッター病の原因
前ももの筋肉(大腿四頭筋)が硬かったり、負担が過度にかかったりすることで下腿の骨(脛骨)の上側を引っ張って発症します。
これは下腿の骨(脛骨)の上側に着いている膝蓋腱が前ももにある大腿四頭筋とつながっているためです。
多くの場合は、膝蓋腱が下腿の骨の上側(脛骨)を引っ張るため、そこがボコッと飛び出ています。

なぜ前ももの筋肉が硬くなってしまうのか?
前太ももの筋肉が硬いのがオスグッドシュレッター病の原因だったら、前もものストレッチをしたらいいですよね?
それは逆効果の可能性があります。
下腿の骨(脛骨)の上側が膝蓋腱に引っ張られて痛みを出しているのに、ストレッチをしたらさらに引っ張られてしまいます。
痛みがある程度落ち着いていればいいかもしれませんが、痛みが強いうちはあまりやらないほうがいいです。
それにストレッチをして前ももが多少柔らかくなったとしても、前ももが硬くなってしまう構造(姿勢だったり運動パターン)を変えなければまた時間が経てばすぐに硬くなってしまいます。
では太ももの前側の筋肉が硬くなってしまっている原因は何なのでしょうか?
- 重心が後方にある姿勢
- 体幹(コア)の筋力不足
- 骨盤が過度に後傾位
- 運動のしすぎ・ケア不足
たいていの場合この4つうちどれかが当てはまります。複数当てはまることが多いです。
ではなぜこの4つがいけないのか、説明していきたいと思います。
1.重心が後方にある姿勢
前ももの筋肉が硬くなるのは、普段からそこを使いすぎているからです。
では、なぜ普段からそこの筋肉を使いすぎているのでしょう?
問題は体の使い方や、普段の姿勢にあります。
例えば、猫背の人。
一見関係なさそうに思われる猫背ですが、猫背は、太ももの前側の筋肉を硬くします。
猫背は背中が丸まっているので重心が後ろになりやすいです。
重心が後ろになると、何もしなければ体は後ろに倒れてしまいます。
そうすると前側では、後ろに倒れないように同じ力を作らないと立っていられません。
シーソーを思い浮かべてもらうと分かりやすいかと思います。
この倒れないように使う前側の同じ力が、前ももの筋肉なのです。
試しに、息子さんの太ももの前後を触って、そのまま息子さんに重心を後ろにしたり前にしたりしてもらってみてください。
必ず、重心が後ろにあるときは、後ろももが緩んで、前ももが硬くなります。
逆に重心が前のときは後ろももが硬くなって前ももが緩みます。
つまり、日常的に後ろ重心の人は、前ももの筋肉が硬くなっています。
この記事を読んでくれているお母さんとお父さんは、一度自分の息子さんの姿勢を確認してみてください。
2.体幹(コア)の筋力不足
体幹の筋力、いわゆる世間で『コア』と呼ばれる筋肉が不足していることです。
また、これによって1の後方重心の姿勢が作られやすいです。
一見姿勢がよく見えても、体幹の筋肉が不足していることによって、スポーツ中に後方重心が著明の体の使い方になって痛みが出ているケースも多いです。
3.骨盤が過度に後傾位
骨盤が正常の人より後ろに傾いていると、これも前ももが張る原因となります。
上で説明した大腿四頭筋(前ももの筋肉)は骨盤から膝蓋腱と連結してに下腿の骨(脛骨)の上側ついています。
その大腿四頭筋(前ももの筋肉)がついている骨盤が後ろに傾けば、単純に大腿四頭筋(前ももの筋肉)は引っ張られ、下腿の骨(脛骨)の上側にもストレスが加わり続けるためです。
4.運動のしすぎ・ケア不足
1~3がそれほど顕著ではなくても、単純に1日何万回もジャンプをしていたり、毎日重りをつけて何kmも走っていますみたいな少年がいれば残念ながら膝はいつか痛くなってしまうのはお分かりいただけると思います。
この仕事をしていると、あきらかに練習をやらせすぎのチームや、時代錯誤の非合理的な練習メニューを日常的にやっているチームがあり、驚かされることがあります。
これだと根性は鍛えられるかもしれませんが、少年時代は体もまだ未成熟で、過度なトレーニングは怪我や骨格の偏り(歪み)を起こしやすいのであまり良くありません。
また、少年達はストレッチや柔軟体操を日ごろから怠りがちです。
そういう私も少年時代ろくにやっていませんでした。
今になってすごく後悔しています。
ストレッチや柔軟体操って少年からするとすごくかったるいんです。
なんのためにやっているかもよくわかってないし。
でも体の勉強をした今だからわかります。
怪我の予防だけでなく協議能力を向上させるためにも、ストレッチや柔軟体操はめちゃくちゃ重要だということが。
イチロー選手を見ていただくとわかると思いますが、彼は全身のストレッチや柔軟体操を毎日異常なほどしています。
オスグッドシュレッター病になったからといって、急に前もものストレッチをしてもダメですが、普段から運動後にストレッチや柔軟体操をすることで怪我をしにいくい動けるいい体になります。
この記事を読んでくれているお母さんやお父さんは、改めて息子さんにストレッチや柔軟体操をしっかりやるように伝えてもらえると嬉しいです。
私のサロンでもオスグッドシュラッター病を改善する運動や施術を行っています
試合が近いのにオスグッドが痛くてなかなかよくならないという方
病院で湿布や電気治療を処方されているけどほとんど変わらないという方
オスグッドを治したいけどどこに行けばいいかわからないという方
私のサロンでもオスグッドシュラッター病を改善するための運動や施術を行っています。
私自身も学生時代怪我で高校最後の大会に出場できず、悔しい想いをした経験があります。
あの時しっかりした知識のある専門家に出会えていれば・・・。
今でもそう思うことがあります。
自分と同じように、怪我でスポーツをできずに悔しい想いをしている少年たちの力になりたい。
心からそう思っています。
もし少しでもオスグッドシュラッター病で困っている選手が周りにおられましたら、1度私にご相談ください。
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