産後のママは、出産時の傷の痛みや後陣痛、関節痛など、様々な「痛み」に襲われます。
「交通事故だと全治3ヶ月相当」とも言われる産後の体のダメージ。
赤ちゃんとの暮らしも、痛みがあっては辛いですよね。
その中の1つが足首の痛み。
足首の痛みは、歩くとき、授乳や抱っこなど、産後の生活のどんな時にも起こります。
産後ママにはよくある悩みですが「産後だから仕方ない」と思われがちです。
でも、そんなことはありません。
足首の痛みは原因と対処法が分かれば、予防したり軽減したりすることができるんです。
ママの健康は、赤ちゃんの健康にも繋がります。
足首に違和感を感じたら、早めに対処してほしいです。
この記事では、産後の足首の痛みに悩む方に向けて、痛みの原因や対処法を理学療法士が解説します。
「足首が痛む理由が知りたい」
「痛みが続いているけど、病院に行った方が良いの?」
「足首をケアしたいけど、赤ちゃんが小さくて外出できない」
という方は、まず足首の痛みの原因を知り、セルフケアを試してみてください。
「足首の痛みを一刻でも早く治したい」という方は、専門店への相談をおすすめします。
目次
産後に足首が痛いときに考えらえること
産後に足首が痛むのには、次の6つの理由が考えられます。
- ホルモンの影響(関節の緩み)
- 体重の増減による負担
- 姿勢の歪みによる負担
- 足の使い方の問題
- むくみ
- 関節の病気
これらを順に解説します。
ホルモンの影響(関節の緩み)
産後は手首や足首、手足の指の関節など、体の多くの関節が痛むことがあります。
これは、妊娠中の女性ホルモンの変化によって関節が緩むことが主な原因と考えられています。
足首の関節が緩むと、土踏まずが低下したり、扁平足になりやすくなります。
足にかかる衝撃を吸収しにくくなり、内くるぶしや足の裏に痛みがでることがあります。
体重の増減による負担
妊娠中は、お腹の中の赤ちゃんや胎盤の分体重が増えます。
そのため、ホルモンで関節が緩んでいる足首に、妊娠前より多くの体重がかかります。
これが産後に痛みになって出てくることがあります。
姿勢の歪みによる負担
妊娠中は、体型変化や関節の緩みにより姿勢が変わります。
この姿勢を産後に引きずると、土踏まずの低下や扁平足が助長され、痛みに繋がることがあります。
また、産後の生活の中で姿勢が歪んでしまうこともあります。
中でも、抱っこ姿勢は足首に大きく影響します。
片腕抱っこの時間が多くなると、抱っこした側の足首に負担が多くかかります。
足首の痛みに左右差がある場合は、姿勢の歪みを疑ってみると良いでしょう。
足の使い方の問題
姿勢の問題に加えて、足の使い方の問題も考えられます。
- 産後の急な運動(歩きすぎ)
- 抱っこなどしゃがみ込みからの立ち上がり
不安定な足首でこれらの動きを繰り返し行うと、足首周りの靭帯や腱に負荷がかかり、痛みの原因となることがあります。
靴との相性が悪い(すり減った靴や踵のないサンダル)ことも、足首の不安定感を増し、痛みの原因になることがあります。
むくみ
妊娠後期や出産直後は、しばしばむくむことがあります。
これは、体内の水分量やホルモン分泌量の変化、出産時のリンパ節の損傷などにより起こります。
体の中でも、心臓から遠い足や足首は特にむくみやすいです。
足首がむくむと、足首が動かしづらくなります。
むくんだ足のまま正座やしゃがみ姿勢を取ろうとすると、皮膚が突っ張り痛みを感じることがあります。
関節の病気
足首の痛みは、ほかの病気が原因となる場合もあります。
例えば「膠原病」です。
膠原病は免疫機能の異常によって、細胞同士を結び付けるコラーゲンが自分の体を攻撃する病気であり、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどが含まれます。
特に全身性エリテマトーデスは、若い女性が出産後に発症するケースが多い病気と言われます。
以下で詳しく解説します。
要注意!産後の足首の痛みで受診が必要なケース
産後の足首の痛みでも、特に気をつけなければならないのが「膠原病」です。
足首の痛みだけでなく、関節の腫れや体重の減少、発熱などの異常が見られる場合は注意が必要です。
膠原病は放置すると悪化するため、早期発見/早期治療が重要です。
妊娠前に膠原病を発症していた場合や、ご家族が病気をお持ちの場合は、医療機関への受診をおすすめします。
膠原病内科にかかりつけがあればそちらへ、初診であれば整形外科・リウマチ科を受診するのが良いでしょう。
関節リウマチ
関節リウマチとは、免疫の異常により関節に炎症が起こることで、関節の痛み、腫れ、朝のこわばりが生じる病気です。
手足の指・手首から症状が出ることが多く、進行すると関節の変形や機能障害を来たします。
原因は未だ不明ですが、遺伝や生活習慣(喫煙、歯周病)が考えられています。
また、全身倦怠感や微熱、食欲低下などの全身症状、膠原病を由来とする他の病気(シェーグレン症候群など)を合併することもあります。
産後は、リウマチが悪化しやすいと言われています。
リウマチの病状が妊娠中に落ち着いて産後に悪化することが多いのは確かです。妊娠前にリウマチが落ち着いていない場合に悪化しやすいと言われています。
参考:国立成育医療研究センター
関節が炎症を起こしている時に抱っこや家事を進めてしまうと、痛みを悪化させてしまうだけでなく、関節の変形を引き起こす危険もあります。
一度変形してしまうと、手術なしでは矯正ができません。
一刻も早く症状を落ち着かせるために、療養や服薬が必要です。
授乳中は使える薬が限られているため、その旨を医師に伝えて適切な指示を仰ぎましょう。
全身性エリテマトーデス
全身性エリテマトーデス(SLE)とは、全身の臓器に炎症や障害を起こす自己免疫疾患です。
症状は多彩であり、発熱、倦怠感などの全身症状、関節痛、皮疹、光線過敏症、脱毛、口内炎がしばしばみられる症状です。
病気の原因は不明ですが、20〜40歳代の女性に発症しやすいことが知られています。
SLEは、産後に悪化しやすいと言われています。
妊娠は、SLEの症状が悪化する要因にもなります。一般的に、妊娠14週まではSLEが悪化する傾向があり、その後分娩までは症状が軽くなり、分娩直後から再び悪化する場合が多くみられます。
妊娠中や出産後、ステロイド薬などの服用については、必要に合わせて医師が判断します。自己判断で中止しないように注意しましょう。また出産後は、育児による心身への負担が大きくなります。治療を続けながら、家族や周囲の人の理解を得つつ、十分に休息をとるようにしましょう。
参考:SmiLE.jp
妊娠前にSLEを発症していた方は、妊娠中・産後も治療を継続していることと思います。
かかりつけの医師に関節痛のことを伝え、SLEとの関連を検査してもらうと良いでしょう。
産後に足首が痛い本当の理由
足首の痛みの理由をいくつか紹介しましたが、実際に起こる産後の足首の痛みのほとんどは姿勢の歪みが原因です。
関節の緩みや体重の増減は、それだけでは痛みが起こる人も起こらない人もいます。
これらに姿勢の歪みが加わることで、痛みに繋がる可能性が高くなります。
産後の足首の痛みを早く治す意外なポイント
産後の足首の痛みを早く解消するための対処法は、意外とシンプルです。
そのポイントは「硬い部分をほぐす」と「弱い部分を鍛える」の2つです。
これらを組み合わせて、足首の歪みを整えることが、痛み解消への近道です。
さらに、足の使い方を見直しを併せると、痛みの再発予防策にもなります。
産後に足首が痛いときの対処法5つ
具体的な対策として、次の5つのセルフケアを見ていきましょう。
- マッサージ
- ストレッチ
- 筋トレ
- 姿勢の見直し
- 足の使い方の見直し
マッサージ
足首が痛むときには、周りの筋膜が硬くなりがちです。
育児の合間にケアしてみましょう。
全てのセルフ筋膜リリースは以下の手順で行いましょう。
- 筋膜の硬い部分(コリ)を見つける
- コリの場所を3〜10分間前後刺激する
- コリが複数箇所ある場合は、他の部分で①②を繰り返す
ここで重要なのは、同じ症状でもコリの場所は人によって違うことです。
足関節捻挫の場合、すねの外側の筋膜が硬い方もいれば、すねの内側の筋膜が硬い方もいます。
なので、必ずご自身のコリの状態や症状を確認しながら行うようにしましょう。
では、実際の様子を部位別にみていきましょう。
すねの内側の筋膜リリース
- 脛の内側の骨(脛骨)の後ろに指を当てる
- 膝と足首の真ん中から足首に向かって、少しずつずらしながら触る
- 硬い場所(コリ)・押されて痛みがある場所・滑りが悪い場所を見つける
- 上下・左右・斜めなどいろんな方向にマッサージする
踵の内側(外側)の筋膜リリース
- 踵の硬い骨(踵骨)を探す
- 踵と内(外)くるぶしとの間で、踵の骨の際を探す
- 骨の際をたどり、硬い場所(コリ)・押されて痛みがある場所・滑りが悪い場所を見つける
- 上下・左右・斜めなどいろんな方向にマッサージする
ストレッチ
ストレッチは、産後でも簡単にできる対策です。
足首の硬さが気になる場合には、ふくらはぎのストレッチから始めてみましょう。
ストレッチで逆に痛みが増す場合は、無理せず他の対処法を試してみてください。
ふくらはぎのストレッチ
- 壁に向かって立ち、足を前後に開く
- 壁に両手をついて、後ろ側の足の膝をゆっくり曲げる
- 伸ばした状態で20秒間キープする
- 反対側も同様に行う
股関節前側のストレッチ
産後の生活は、座る、しゃがむ、またぐ、階段を昇るなど、股関節を曲げる動きが多く、股関節を伸ばす動きは少ないです。
これが習慣的になると股関節の前側(付け根)が硬くなりやすいため、ストレッチで伸ばすことが必要です。
- 壁に対して横向きに、膝立ちになる
- 壁と反対側の足を前に出す
- 前に出した足に体重をかけ、壁側の股関節の付け根をストレッチする
- 20秒程度キープし、元に戻る
- 繰り返し行う
腰を反らないように下っ腹に軽く力を入れておくこと、へそは真っ直ぐ前に向けておくことがポイントです。
腰が反ると上手く股関節の付け根がストレッチされないので、注意が必要です。
筋トレ
足首の痛みが落ち着いてきたら、再発予防のために足首周りの筋トレをしてみましょう。
ここでは、自宅でも簡単にできるトレーニングを1つ紹介します。
足首の筋トレ
産後の足首は関節が緩んでいるため、筋肉で支えなければいけません。
特に土踏まずが潰れ扁平足になりやすいので、反対に土踏まずを保つ筋肉が重要です。
次の手順でやってみましょう。
- 左右のかかとをつけて立つ
- かかとが離れないようにしつつ、親指側、小指側へ均等に体重をかけ、つま先立ちになる
- ゆっくりと元の姿勢に戻る
- 10〜20回繰り返す
土踏まずが潰れるのを防ぎ、足首を安定させてくれます。
姿勢の見直し
徐々に体を起こす時間が増えてきたら、姿勢を見直してみましょう。
足首への負荷を軽減させるためには、歪み姿勢の改善が大切です。
ここでは、足首に関わる立ち姿勢のポイントを、3つに絞ってお伝えします。
- お腹を前に突き出さない
- 赤ちゃんの抱っこ位置はできるだけ高く
- 左右の時間を均等に
お腹を前に突き出した立ち姿勢は、歪み姿勢の最もメジャーな例です。
足首への負荷を軽減させるためには、お腹を前に出さずに立つように心がけましょう。
赤ちゃんの縦抱きは、赤ちゃんの頭とママのあごがぶつかるくらいの高さが理想です。
横抱きの場合も脇を締めて手首の力は抜き、できるだけ赤ちゃんを胸に近づけましょう。
この姿勢を長続きできるよう、抱っこひもの調整も大切です。
足の使い方の見直し
足首への負荷を軽減させるには、足の使い方を見直してみるのも1つの手です。
産後は何かと床にしゃがんだり、立ち上がったりすることが多いです。
床に降りたり、床から立ち上がるときは、片膝立ちを経由することをおすすめします。
両膝を揃えてしゃがむと、足首を深く曲げることになります。
片膝立ちを経由すると、しゃがむ時と比べて、足首を深く曲げずに済みます。
足首がむくんで動かしにくい時や、床に寝ている赤ちゃんを抱き上げるときに気をつけてみてください。
なかなか取れない痛みでお悩みの方へ
産後の足首の痛みは、これら5つの対処法を試してみてください。
ですが、今すぐにどうにかしたい痛みをお持ちの方は「筋膜リリース」をおすすめします。
筋膜リリースは、筋膜を柔らかくし滑りを良くして、解きほぐす方法です。
産後の硬く滑りが悪くなった筋膜を筋膜リリースで解きほぐすと、痛みが解消されることが多いです。
理学ボディでは、筋膜リリースの専門家が、全身の筋膜の状態をみながら、時には症状がある部位から離れた筋膜にアプローチすることができます。
ご自身でのケアに限界を感じたら、私たちプロを頼ってください。
理学ボディは全員が理学療法士という国家資格を取得しており、医学的知識をもとに施術します。
また、私たちは筋膜に特化した施術(筋膜リリース)を行います。
そして3回以内に卒業できることにこだわっています。
もちろん、全員が1〜3回の施術で改善するわけではありませんが、他の整体や病院に行くよりは少ない回数で改善できる自信があります。
ですので、短期間で骨盤痛を改善させたい方は、一度ご相談いただければと思います。
理学ボディは北海道から九州まで店舗を展開しています。
症状にお困りの方は、一度お近くの店舗にご相談ください。
まとめ
この記事では、産後の足首の痛みの原因や対処法を理学療法士が解説しました。
足首の痛みは5つのセルフケアで対処すると共に、無理せず私たち理学ボディを頼ってください。
現在、理学ボディではLINEで痛み診断や改善動画のプレゼントを行っています。
ご自身の痛みが気になっている方は、気軽にお問い合わせください。