「うつ伏せで寝ていると背中が痛い」
「毎朝背中が痛んで辛い」
「背中の痛みがなかなか治らない」
この記事を読んでいるあなたは、このような背中の痛みにお悩みのことと思います。
リラックスタイムや夜ベッドで寝る時など、何気なく取ることが多い「うつ伏せ」。
中には「うつ伏せでないと落ち着かない」と感じる方もいるそうです。
このうつ伏せ、しばらくとっていると背中が痛くなってしまうことがあります。
自己流で痛いところを擦ったりしても、なかなか症状は改善しないもの。
せっかくのリラックスタイムなのに、痛みに悩まされるのは嫌ですよね。
そんなうつ伏せでの背中の痛みに悩む方に、知っていただきたいことがあります。
うつ伏せでの背中の痛みは、原因の特定と正しい対策で、軽減させたり予防することができます。
この記事では、体と動きの専門家である理学療法士が、うつ伏せと背中の痛みとの関係や、おすすめの5つの対策法を紹介します。
※痛みを今すぐに解消したい方は、正確な原因究明と施術ができる専門家への相談をすすめます。
うつ伏せで背中が痛い時に考えらえること
うつ伏せで背中が痛い時に考えられることは、次の4つです。
- 背骨に問題がある
- 筋肉や筋膜に問題がある
- 腰の病気による痛み
- 内臓疾患による痛み
それぞれについて解説します。
背骨に問題がある
まず考えられることは、背骨自体の問題です。
「背中の痛み=背骨の痛み」と思っている方も、少なくはないと思います。
背中の痛みから考えられる“骨の病気”には骨粗鬆症や化膿性脊椎炎、脊椎腫瘍、脊椎過敏症が挙げられます。
骨粗鬆症は骨がスカスカになって、もろく折れやすくなった状態で高齢者の女性に多く見られます。
ふとんの上げ下ろしなど、ほんのささいなことで急に骨折しやすく、脊椎が骨折すると背中に痛みを感じます。
化膿性脊椎炎は、背骨が化膿性の細菌に感染して炎症をおこす病気です。
中高年に多く、糖尿病と合併している場合もあります。
脊椎腫瘍は背骨に腫瘍ができる腫瘍です。
中高齢者の発症割合が多く、背骨が原発巣であることもあれば、他部位の腫瘍(がん)が転移して発症することもあります。
脊椎過敏症は骨には異常がないものの、背骨のごつごつした部分を触れると、強く痛みが出ます。
特に若い女性に多く、ノイローゼやヒステリーにともなって、痛覚が過敏になっているために痛みがおこると考えられています。
ただ、背骨自体に問題がある場合は、「うつ伏せ以外の姿勢でも痛い」や、「触っても痛い」など、他の症状も見られます。
他の姿勢での腰背部の痛み、背骨の圧痛(圧迫したときの痛み)、お尻や足のしびれ、長時間の歩行困難などに心当たりがある方は、医療機関での受診をおすすめします。
実際、うつ伏せの時だけ背中が痛む場合は、背骨自体の病気というよりも、筋肉や筋膜のアンバランスにより背骨が引っ張られて痛むことが多いです。
筋肉や筋膜に問題がある
筋肉や筋膜の問題で、背中が痛いと感じることもあります。
うつ伏せは、日常生活で縮こまった筋肉が伸ばされやすい姿勢です。
特に背中、腰、鼠径部には、立ち姿勢や座り姿勢とは違った負荷が加わります。
(うつ伏せ姿勢が引き起こす負担は、下記で詳しく説明します)
日常生活での姿勢の歪みが、うつ伏せでの背中周りの痛みをさらに助長させてしまうこともあります。
腰の病気による痛み
腰の病気の症状が背中の痛みとして出ている場合もあります。
考えられる疾患には、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などがあげられます。
これらが原因の場合、背中の痛みの改善には原疾患の治療が必要となります。
腰部疾患が原因の場合、うつ伏せ以外の姿勢でも症状が起きていることが多いです。
他の姿勢での腰背部の痛み、お尻や足のしびれ、長時間の歩行困難などに心当たりがある方は、整形外科の受診をおすすめします。
内臓疾患による痛み
内蔵の不調が背中の痛みとしてあらわれることもあります。
内蔵疾患による痛みは、背中の左右一方に症状がでることが多いです。
右側の背中が痛む場合は肝臓疾患(肝炎・急性肝炎・肝癌)や胆嚢疾患(胆石・胆のう炎・胆嚢癌・胆肝癌)が考えられます。
左側の背中が痛む場合は胃疾患(胃潰瘍・胃炎・神経性胃炎)や心疾患(狭心症・心筋梗塞)、膵臓疾患(膵炎・膵癌)が考えられます。
中央部が痛む場合は帯状疱疹や急性腎炎の可能性が考えられます。
内蔵の疾患が原因の場合は、背中の痛み以外にも、それぞれの臓器特有の症状が見られます。
胃疾患であれば胸やけ・胸や胃のむかつき・嘔吐、心疾患であれば動悸・息切れ・呼吸困難・不整脈・頭痛・冷や汗などの症状です。
ご自身の症状が背中以外にもないか、一度確認してみてください。
内蔵の不調の原因はウイルス感染や過度のアルコール摂取、生活習慣病との関連があります。
痛みは一時的なものもありますが、中には心筋梗塞や急性肝炎など致命的な疾患もあります。
安静にしていても痛みが治まらず逆に悪化したりする場合は、すぐに医療機関への受診をお勧めします。
うつ伏せは背中や腰に負担がかかる?
うつ伏せは、立ち姿勢や仰向けと比べて、背中や腰に負担が集中しやすい姿勢です。
その理由は、反り腰が強調される、硬くなった背中や股関節の筋肉が引き伸ばされるからです。
一般的に、うつ伏せでは全身のほとんどの筋肉の力は抜け、リラックスしています。
そのため、反り腰が強調されやすい姿勢です。
立っているときも腰は反っていますが、反りすぎないように筋肉で支えています。
ところが、うつ伏せでは筋肉の力が抜けるため、反りすぎている腰を筋肉で支えられません。
さらに、うつ伏せでスマホをいじるとき、肘をついて上体を起こした姿勢を取る方も多いです。
この姿勢は、反り腰がより強調されます。
短時間であれば問題ありませんが、この時間が長く続くと、反り腰が助長され、痛みに繋がることがあります。
また、背中が丸まり、股関節が硬くなっている方がうつ伏せを取ると、背中や股関節の筋肉が一気に伸ばされてしまいます。
中でも腹筋や背筋、股関節の前側の筋肉は、うつ伏せにより伸ばされます。
筋肉が一気に引き伸ばされると、筋肉はリラックスできず、逆に力が入ってしまいます。
そのため、うつ伏せはリラックスできず、むしろ力が入って落ち着かない姿勢になってしまうんです。
これら2つの理由から、うつ伏せは背中や腰に負担が集中しやすい姿勢と言えます。
背中の丸まりや股関節の硬さは、デスクワークなど普段の生活習慣などによるものが多いです。
うつ伏せで背中が痛いのは良くなる?
実際、うつ伏せでの背中の痛みは『筋・筋膜』によるものが多いです。
不適切な姿勢により筋膜が硬くなったり、滑りが悪くなっていることがあるからです。
このような痛みは、ただしい対処法(特に筋膜のケア)を取ることで、症状が改善できることが多いです。
ここからは、ご自身で試せる5つの対処法を解説します。
長引く痛みをいち早く解消したい方は、筋膜のケアの専門家への相談をおすすめします。
うつ伏せで背中が痛いときの対処法5つ
うつ伏せで背中が痛いときにできる対処法は、次の5つです。
- ストレッチ
- 筋トレ
- 寝る姿勢を見直す
- 寝具やマットレスを見直す
- 普段の姿勢を見直す
1つずつ解説していきます。
ストレッチ
デスクワークなどで縮こまった体は、うつ伏せでリラックスする前に、一度ストレッチで伸ばしてあげることをおすすめします。
ここでは座り姿勢で縮こまりやすい胸・体幹・股関節のストレッチを紹介します。
胸のストレッチ
胸から肩につく筋肉(大胸筋)のストレッチです。
デスクワークや猫背姿勢では、この筋肉が硬くなりがちです。
この筋肉が柔らかくなると、背中を伸ばしやすく、背もたれやヘッドレストが使いやすくなります。
以下の手順でやってみましょう。
- 壁に対して横を向いて立つ
- 肘を肩の高さまで挙げ、手のひらから肘を車につける
- 手のひらから肘を車につけたまま、手と反対から後ろを振り向くようにする
- 胸の筋肉が伸びる位置で10~20秒ストレッチ
壁から手のひらから肘が離れると、十分に筋肉が伸びないので注意しましょう。
体幹のストレッチ
背中を含めた、体幹全体を引き伸ばすストレッチです。
長時間の座り姿勢で縮こまった腹筋や背筋を伸ばし、リフレッシュさせる効果があります。
以下の手順でやってみましょう。
- 両手を頭の上で組み、手のひらが空を向くように返す
- 足裏全体が地面に付くよう意識する
- 踵と手のひらを引き離すように、体幹全体をゆっくりと引き伸ばす
- 気持ちよく引き伸ばしたところで20秒ストレッチ
- さらに手を右に倒し、左脇腹を20秒ストレッチ
- 手を左に倒し、右脇腹を20秒ストレッチ
- 背中から前に倒れるようにして背筋を20秒ストレッチ
- みぞおちを引き上げるように軽く後ろに倒れて腹筋を20秒ストレッチ
※⑦や⑧は背部痛が悪化するようであれば控えましょう
このストレッチは手に意識が向きがちですが、踵が浮かないよう足裏は常に地面につけておくことがポイントです。
元々背部痛や腰痛のある方は、より頻回にストレッチを取り入れるよう心がけましょう。
股関節前面のストレッチ
股関節前面(そけい部)のストレッチです。
座りっぱなしでは、股関節が曲がったまま長時間過ごすことになります。
その後うつ伏せをとるときに股関節が伸びにくくなってしまいます。
デスクワーカーなど、座りっぱなしが多い方は、一度股関節を伸ばしてから、うつ伏せになってみましょう。
- 立って足を前後に開く
- 前の足の膝は曲げ、後ろの膝は伸ばしたまま、体重を前の足に乗せる
- 伸ばした足の股関節の付け根が伸びるのを意識し、10〜20秒キープする
- 足を入れ替えて同様に行う
体重を前の足に乗せるときは、おへそが正面を向いたまま行いましょう。
筋トレ
うつ伏せを多くとりたい方は、筋トレもおすすめです。
筋トレというと『ムキムキになる』イメージをお持ちの方が多いと思います。
ですが、この筋トレは筋力アップではなく、しなやかで柔軟な筋肉を鍛える目的で行います。
しなやかな筋肉作りには、ピラティスがおすすめです。
動画を見ながら一緒にやってみましょう。
もしうつ伏せでの運動で背中が痛むようなら、四つ這いでの運動から始めてみましょう。
どちらの運動でも、腕や足を持ち上げる時には、下っ腹は脱力せず常に力を入れておきましょう。
腰を反るのではなく、指先からつま先までをできるだけ遠くに離すイメージで運動してみましょう。
寝る姿勢を見直す
うつ伏せへのこだわりがなければ、横向きや仰向けで寝ることをお勧めします。
横向きはうつ伏せと違って、腰が反ったりしないため、背中や腰の筋肉にかかる負担は少なくなります。
ただ、下側になる肩は圧迫されてしまうので、長時間同じ向きのままではなく、反対側を向いたりすることも必要でしょう。
仰向けは体の左右へのねじれや傾きがなく、一番バランスのとれた寝方です。
ですが、どうしてもうつ伏せでないと寝れないという方もいると思います。
そんな方は、抱き枕やクッションを抱えるような姿勢で寝るシムス位と呼ばれる寝方がお勧めです。
これは妊婦さんにも推奨される寝方で、リラックスしやすい姿勢です。
具体的な方法は以下の通りです。
- 抱き枕やクッションを片手で抱える
- 抱えた手とは反対側へ寝返る
- 下側になる手は肩を後ろへ抜いて体の後ろへ伸ばす
- 上側の足は曲げて抱き枕やクッションの上に乗せる
さらに抱き枕やクッションを使うと、体との接触面積が増え、よりリラックスしやすい姿勢が取れます。
寝具やマットレスを見直す
寝姿勢と関わりの深い寝具やマットレスを見直すのも1つの手です。
一般的にはマットレスが柔らかくなるほど、うつ伏せで腰が沈み込み、反り腰が強調されてしまいます。
そのため、うつ伏せの背中の痛みに関してだけ言えば、柔らかすぎるマットレスには注意した方が良いと思います。
マットレスは、芯材が適度に硬いものを選ぶことがポイントです。
コイルスプリングや高密度ウレタンなどが一例です。
また、重すぎる掛け布団も、背中にかかる重みが増したり、寝返りが打ちにくくなるため、背中の痛みという観点では注意が必要です。
寝具選びのポイントは人によって違いますし、同じ寝具でも一人一人の体格によって相性が異なります。
寝具やマットレスを買い替える際は、お店の専門家の方と相談して選ぶことをお勧めします。
普段の姿勢を見直す
一見関係ないようにも思えますが、普段の姿勢を見直すことも大切です。
中でも、デスクワークなどの座りっぱなしや猫背座りは気をつけたいポイントです。
現代人は仕事や通勤など、座り姿勢で過ごすことが多いです。
そのため、意識して合間に他の姿勢を入れないと、座りっぱなしになってしまいます。
座りっぱなしでは、背中や腰、股関節を動かすことがないため、これらを動かす筋肉は短く硬くなってしまいます。
これらの筋肉はうつ伏せで引き伸ばされると、痛みに繋がることがあります。
猫背座りは、背中が丸まり頭が前に出ている座り方のことです。
猫背座りでは、背中の皮膚や筋・筋膜はピンと引き伸ばされた状態になります。
この状態が続くと、腰が重だるくなったり、うつ伏せで背中や股関節を伸ばしにくくなります。
デスクワークでの座りっぱなしや猫背座りを防ぐためには、作業環境を整えることが大切です。
下記の中から取り入れるものがあるか検討してみてください。
- 背もたれのある椅子を使う
- クッションを使う(肘の下や腰のすき間を埋めてリラックスさせる)
- 立って仕事をする
- タイマーをつける
- スケジュールでの工夫(会議と作業時間を交互に入れる)
- 机の高さ調整(肘が90°以上になるように)
- モニターの高さ調整(画面の上部が目のレベルより少し低い位置)
座りっぱなしを防ぐには、30分に一度、他の姿勢に変えることを習慣づけましょう。
トイレにいったり飲み物を取りに行くなど、短い時間でも立って歩くことをお勧めします。
今すぐ痛みをとるなら理学ボディがおすすめ
今回紹介した対処法で、背中の痛みが改善する人もいればしない人もいると思います。
痛みが改善する場合は継続していただけたら良いですが、痛みが改善しない場合はセルフケアには限界があるかもしれません。
筋膜はいくつもの層になって全身を覆っており、時に互いに影響を及ぼします。
そのため、背中の痛みの原因がふくらはぎの筋膜にある、ということもあります。
自己判断で正確に原因を特定することは難しいです。
専門家であれば、全身の筋膜の状態をみながら、時には症状がある部位から離れた筋膜にアプローチすることができます。
「少しでも早く痛みを解消したい」
「誰に頼ったらよいか分からない」
ご自身でのケアに限界を感じたら、私たち理学ボディへご相談ください。
私たち理学ボディは全員が理学療法士という国家資格を取得しており、医学的知識をもとに施術します。
私たちは筋膜に特化した施術(筋膜リリース)を行います。
そして3回以内に卒業できることにこだわっています。
もちろん、全員が1〜3回の施術で改善するわけではありませんが、他の整体や病院に行くよりは少ない回数で改善できる自信があります。
また、施術と合わせて全身の姿勢をチェックしたり、一人ひとりに合ったセルフケアの方法をお伝えすることもできます。
ですので、なかなか背中の痛みが改善しない人は、一度ご相談いただければと思います。
理学ボディは北海道から九州まで店舗を展開しています。
症状にお困りの方は、一度お近くの店舗にご相談ください。
まとめ
この記事では、うつ伏せでの背中の痛みの原因と、おすすめの5つの対策法を紹介しました。
うつ伏せでの背中の痛みに悩む方は、まず5つの対策法を試してみてください。
それでも「痛みが解消しない」「原因がわからない」と悩むようなら、是非私たち理学ボディを頼ってください。
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