腕立て伏せで肩が痛くなると、「筋肉が弱いからかな。」、「弱ければ鍛えれば痛くなくなるだろう。」と思うかもしれません。
確かに、筋力の弱さも原因の1つとして可能性はあります。
ですが、腕立て伏せで感じる痛みでも、そのまま腕立て伏せを続けても良い痛みとそうではない痛みがあります。
あなたが腕立て伏せをして感じた肩の痛みは、そのまま腕立て伏せをしても良い痛みなのか、そうではないのか、本記事を読み進めるとその疑問が解決します。
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目次
腕立て伏せで肩に痛みが出る原因は『やりすぎ』や『間違ったフォーム』なの?
結論から言うと、きちんと正しいフォームで腕立て伏せができていれば、筋肉痛になります。
これはそのまま腕立て伏せを続けても良い痛みです。
慣れない運動や運動習慣がない方が運動を始めた時、筋肉痛になることがありますが、自然に数日で治りますよね。
腕立て伏せも同じで、筋肉痛であれば自然に治っていく痛みなので、それほど気にする必要はありません。
ですが、初心者の方がいきなり腕立て伏せをやりすぎる、あるいは間違ったフォームで腕立て伏せをした際に感じる痛みは、筋肉痛ではなく怪我をしている可能性があります。
これはそのまま腕立て伏せを続けてはいけない痛みです。
腕立て伏せで怪我なんてするわけないと思うかもしれませんが、肩に負担をかければ可能性は大いにあります。
腕立て伏せをした時に肩が痛い2つのケース
腕立て伏せをした時に肩が痛くなるケースは、上述した通り2つあります。
- 筋肉痛で肩に痛みが出ている
- 肩関節を怪我している
それぞれもっと具体的に解説します。
筋肉痛で肩に痛みが出ている
筋肉痛は運動によって筋繊維に小さな傷がつくことによる炎症が原因です。
炎症が起こると、痛みを起こす化学物質がそこで作られ、それによって筋肉痛が起こります。
筋肉が力を発揮する方法はいくつかに分けられますが、特に筋肉が伸ばされながら力を発揮する遠心性収縮と呼ばれる状態で筋肉痛が起こりやすいとされています。
腕立て伏せで言うと、肘を曲げて胸を地面に近づける際、二の腕の筋肉である上腕三頭筋、胸の筋肉である大胸筋が遠心性収縮の状態です。
もし、この遠心性収縮が上手くできないと、体を支えられずにそのまま地面にぶつかってしまうでしょう。
また、筋肉の特性として、伸ばされると筋肉の力は発揮しにくくなります。
なので、遠心性収縮は力が発揮しにくい状態でありながら、体を支えるために力を発揮しなくてはいけず、かなり筋肉にとっては負荷が強い状態ということです。
その結果、初心者の方が腕立て伏せを始めると、遠心性収縮で上腕三頭筋や大胸筋に強い負荷がかかり、筋肉痛が起こるという流れです。
ただ、筋肉痛が出ないからといって筋トレの効果が薄いというわけではありません。
初心者や運動習慣がない方で筋肉痛にならないのは、鍛えたい場所に負荷がかかっていない可能性がありますが、慣れてくると筋肉痛にはなりにくくなります。
なので、毎回筋肉痛になるまで追い込む必要はないので、そこは注意してください。
肩関節を怪我している
筋肉痛でない場合、肩関節を怪我している可能性が考えられます。
腕立て伏せで筋肉痛になりやすいのは、二の腕や胸の辺りが多いです。
そこではなく、肩関節の奥の方や肩甲骨の痛み、腕のしびれがある場合は筋肉痛ではなく、怪我をしている可能性があります。
間違ったフォームや短期間で腕立て伏せをやりすぎた場合、本来鍛えられるはずの二の腕や胸に効かず、別の部分に負担がかかることが怪我に繋がる原因です。
もし、二の腕や胸以外の部分が痛い場合はこのまま読み進めていただき、ご自身の痛みに該当するものはないかチェックしてみてください。
腕立て伏せで肩が痛い場合の疾患の見分け方
筋肉痛以外の痛みで、腕立て伏せで肩が痛い場合にどんな疾患の可能性があるかを解説します。
可能性がある疾患としては、主に以下の3つです。
- 肩腱板断裂、腱板損傷
- インピンジメント症候群
- 胸郭出口症候群
それぞれについて解説します。
肩腱板断裂、腱板損傷
肩腱板断裂、あるいは腱板損傷は、明らかな外傷によるものは半数で、残りははっきりとした原因がなく、日常生活動作の中で、断裂が起きます。
男性の右肩に多いことから、肩の使い過ぎが原因となっていることが推測されます。
■参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
腱板と言うのは、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋肉の総称です。
以下の検査で痛い、あるいは上手く検査をできない場合、腱板に問題がある可能性がありますので、整形外科で検査をしてもらうことをお勧めします。
Drop Arm Test
これは肩甲骨の上を通って、肩の外側に付着する棘上筋の損傷を調べる検査です。
- 椅子に座る
- 手のひらを上に向け、肘を伸ばして腕を肩の高さまで挙げる
- そこからゆっくりと腕を下ろしてくる
腕を肩の高さで止めておけない、ゆっくり下ろせない、痛みがある場合は棘上筋を断裂、あるいは損傷している可能性があります。
Empty Can Test
これは肩甲骨の後面に広く付着している棘下筋の損傷を調べる検査です。
- 椅子に座る
- 親指を下へ向け、斜め前方へ45度腕を持ち上げる
- 反対の手、あるいは他者に手首あたりを下へ押してもらう
- 押す力に抵抗して腕をそのままの高さに保つ
斜め前方へ腕を持ち上げることができない、押す力に抵抗できない場合、棘下筋を損傷、あるいは断裂している可能性があります。
Lift Off Test
これは肩甲骨の前面に広く付着する肩甲下筋の損傷を調べる検査です。
- 椅子に座る
- 手の甲を腰に当てる
- 手の甲を腰から離すように動かす
腰から手を離せない、痛みがある場合、肩甲下筋を損傷あるいは断裂している可能性があります。
インピンジメント症候群
インピンジメントと言うのは衝突という意味です。
肩関節を動かした際に、関節付近で他の骨や筋肉との衝突が起こることで、痛みが出るというものです。
具体的には、上述した腱板が肩関節を構成する上腕骨と肩甲骨の間で挟まれることで痛みを生じます。
これを繰り返すと、腱板損傷、あるいは断裂へと進行する可能性があります。
以下の検査で痛い、あるいは上手く検査をできない場合、インピンジメント症候群の可能性がありますので、整形外科で検査をしてもらうことをお勧めします。
Neer Test
- 椅子に座る
- 腕を内側にひねる
- 内側にひねった状態を保ったまま、腕を持ち上げていく
上記で痛みが出る場合、インピンジメント症候群の可能性があります。
Hawkins Test
- 椅子に座る
- 腕を肩の高さまで挙げ、肘を90度曲げて手の甲を上に向ける
- 反対の手、あるいは他者に手首を下へ押すように力を入れてもらう
- 押す力に抵抗して、手をそのままの位置に保つ
上記で痛みが出る場合、インピンジメント症候群の可能性があります。
胸郭出口症候群
胸郭出口症候群は、つり革につかまる時や、物干しの時のように腕を挙げる動作で上肢のしびれや肩や腕、肩甲骨周囲の痛みが生じます。
また、前腕尺側と手の小指側に沿ってうずくような、時に刺すような痛みと、しびれ感、ビリビリ感などの感覚障害に加え、手の握力低下と細かい動作がしにくいなどの運動麻痺の症状があります。
■参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
以下の検査で痛みやしびれが出る場合、胸郭出口症候群の可能性がありますので、整形外科で検査をしてもらうことをお勧めします。
Roos Test
- 椅子に座る
- 体の横で腕を肩の高さまで持ち挙げる
- 肘を曲げて手のひらが前を向くようにする
- そのまま手を握ったり開いたりを3分間続ける
早くから疲労や痛みで3分間続けられない場合、胸郭出口症候群の可能性があります。
Morley Test
- 椅子に座る
- 首の喉仏のすぐ横にある筋肉をさわる
- その筋肉のすぐ後ろにあるくぼみを押す
押すと痛い、あるいは肩や肘、指先まで痛みが走る場合、胸郭出口症候群の可能性があります。
肩腱板断裂、腱板損傷の原因と対処法
ここでは肩腱板断裂、腱板損傷の原因と対処法について解説します。
肩腱板断裂、腱板損傷の原因
腱板断裂の背景には、腱板が骨と骨(肩峰と上腕骨頭)にはさまれているという解剖学的関係と、腱板の老化があります。
■参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
腱板は上記の位置関係にあるため、骨と骨に挟まれて腱が断裂、あるいは傷がついて損傷しやすいという特徴があります。
明らかな外傷による断裂は少ないので、腕立て伏せで過剰に肩周りの筋肉を使った結果、腱板が骨に挟まれて断裂、あるいは損傷してしまう可能性はあります。
肩腱板断裂、腱板損傷の対処法
対処法としては、手術療法と手術をせずに治療する保存療法の2つあります。
手術療法は、保存療法で痛みが改善しなかった場合に選択され、断裂や損傷した部分を縫合して治癒するのを待つという方法です。
保存療法のメインは運動で、断裂した腱板は手術をしない限り元には戻りませんが、それ以外の腱板の筋肉を運動で活性化させることで補うという考え方です。
ただ、断裂や損傷の程度、腱板の中でもどの筋肉に問題があるのかでするべき運動も異なるので、医師の診断を受けることが必要です。
インピンジメント症候群の原因と対処法
ここではインピンジメント症候群の原因と対処法について解説します。
インピンジメント症候群の原因
腱板が骨と骨に挟まれることで痛みが出ますが、何故挟まれてしまうかと言うと、肩関節や肩甲骨の動きの悪さが原因です。
本来なら挟み込まれることなく、肩を動かすことができますが、肩関節や肩甲骨の動きが悪いと本来の起こらないような異常な動きになってしまいます。
なので、その異常な動きを正すためには、肩関節や肩甲骨の動きの悪さを改善する必要があります。
インピンジメント症候群の対処法
肩関節や肩甲骨の動きの悪さを改善するためのストレッチを紹介します。
肩関節のストレッチ
肩関節で硬くなりやすいのは、肩の後ろ側に付着する筋肉です。
肩の後ろ側は、多くの筋肉が密集している部分なので、肩の動きに大きく影響する部分です。
なので、肩の後ろ側の筋肉がほぐれると、肩の動きも良くなります。
- 手のひらで頭頂部をさわる
- その腕の肘をつかみ、頭に向かって引き寄せる
- 脇の辺りから二の腕が伸びる感覚を感じつつ、10〜20秒ストレッチする
肩甲骨のストレッチ
胸から肩甲骨に向かって伸びる小胸筋という筋肉があります。
小胸筋は、腕立て伏せで鍛えられる大胸筋のすぐ下に位置しています。
腕立て伏せでは、大胸筋をよく使うので硬くなりやすく、小胸筋も近い位置にあるので、一緒に硬くなりやすいです。
その影響で、肩甲骨は前側に引っ張られ、動きが悪くなってしまうので、小胸筋をストレッチすることが重要です。
- 座った状態で、肘を伸ばし、両手をお尻後ろ辺りにつく
- 指はお尻側へ向ける
- そのまま胸を張る
- 10〜20秒ストレッチする
胸郭出口症候群の原因と対処法
ここでは胸郭出口症候群の原因と対処法について解説します
胸郭出口症候群の原因
腕や肩周りの筋肉の動き、感覚を支配する神経は首から出ています。
首から出て、指先へ向かう間に首の筋肉や鎖骨、肋骨などに圧迫されると、その神経が支配している部分に痛みやしびれが起こります。
筋肉の緊張で直接圧迫されたり、筋肉に鎖骨が引っ張られて神経を圧迫することなどが原因として挙げられます。
胸郭出口症候群の対処法
腕立て伏せで症状が悪化するのなら、痛みが和らぐまでは控えた方が良いでしょう。
他にも、日常的に腕を高く挙げたままの作業や重いリュックなどを背負うことも控えましょう。
そして、腕立て伏せでも力が入りやすい首の筋肉の緊張も原因の1つなので、そこをストレッチでほぐすことも効果的です。
具体的な方法は以下の通りです。
- 椅子に座る
- 首を後ろに反らす
- ②のまま、首を痛みがある側とは反対へ倒す
- ③のまま、痛みがある側へ顔を向ける
- そのまま10〜20秒ストレッチする
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まとめ
腕立て伏せで肩が痛い3つの原因と対処法について解説しました。
胸や二の腕の痛みは筋肉痛の可能性が高いので、それほど気にしなくても良いですが、肩の奥の方の痛みやしびれがある場合は注意が必要です。
今回解説した3つの疾患に当てはまるものがないか、記事中の検査を試してみてください。
もし、検査で痛みが出る、検査を遂行できない場合はすぐに整形外科を受診することをお勧めします。
症状が軽い場合は、記事中で紹介したストレッチも試してみてくださいね。