朝目を覚ますと、腰にうずくような痛みを感じることがありますか?
起床時の腰の不快感を和らげるのに苦労していませんか?
このような悩みを感じているのはあなただけではなく、何百万人もの人々が毎日腰の痛みを経験しています。
そんな朝起きた時の腰の痛みに対して、適切にストレッチすることで和らげることが可能です。
今回は理学療法士が起床時の腰痛に対して効果的なストレッチとそのポイント、ストレッチ以外の対処法も解説します。
目次
朝起きたら腰が痛いときに考えられること3つ
朝起きた時に腰がこわばり、それが続く場合は、考慮すべき3つの原因があります。
それが以下の3つです。
- 筋肉や筋膜の痛み
- 関節の痛み
- 炎症による痛み
それぞれ解説していきます。
筋肉や筋膜の痛み
朝起きた時の腰痛の原因として、ほとんどが筋筋膜性疼痛症候群と呼ばれるものです。
筋筋膜性疼痛症候群(Myofasical pain syndrome, MPS[エム・ピー・エス])とは、いわゆる「筋のコリ」による症状をきたす、世界中で一般的な病気です。
■参照元:一般社団法人日本整形内科学研究会
長時間同じ姿勢で座ったり横になったりすると、関節に過度なストレスがかかり、時間の経過とともに筋肉の緊張につながる可能性があります。
それが腰の筋肉で起こると、腰痛につながるというわけです。
筋肉が緊張状態になると、筋肉内にある血管は圧迫されてしまいます。
血管が圧迫されると、血液に乗って筋肉へ供給される酸素や栄養が上手く供給されず、筋肉が酸欠に陥ってしまいます。
すると、痛みを起こす発痛物質というものが作られるため、腰痛の原因になりますし、筋肉のコリの原因にもなります。
関節の痛み
背骨と関連する関節の動きが制限、あるいは不安定であることが原因の場合があります。
背骨の腰にあたる部分を腰椎と言いますが、腰を反らすと腰椎は安定、曲げると不安定な状態になります。
安定と言うと聞こえは良いですが、硬く動きが少ない状態とも言えます。
特に腰椎は曲げ伸ばしは得意ですが、ひねりの動きは苦手という特徴があります。
寝返りを打つ際に腰をひねった時に、腰椎の動きが硬く制限されていると、過剰に負担がかかり痛みにつながります。
また、腰椎が曲がっていて不安定な状態でも同様のことが言えます。
寝狩りを打つ際に腰をひねった時に、腰椎が不安定だと、過剰に腰に負担がかかり痛みにつながります。
関節が原因の場合、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の可能性も考えられます。
腰椎椎間板ヘルニアとは、椎間板が後ろへ飛び出すことで、すぐ後ろに位置する神経を圧迫し、痛みやしびれ、筋力低下などの症状が生じます。
椎間板は繊維輪と髄核でできていて、背骨をつなぎ、クッションの役目をしています。
その一部が出てきて神経を圧迫して症状が出ます。
椎間板が加齢などにより変性し断裂して起こります。
■参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
腰部脊柱管狭窄症とは、背骨の中にある脊柱管と呼ばれる神経の通り道が狭くなる病気です。
加齢、労働、あるいは背骨の病気による影響で変性した椎間板と、背骨や椎間関節から突出した骨などにより、神経が圧迫されます。
■参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症について詳しくは下記の記事でまとめてあります。
炎症による痛み
腰に限らず言えることですが、炎症が起こると患部では痛みが起こります。
上述した筋肉の緊張があると、血管が圧迫され筋肉が酸欠に陥ると言いましたが、それが慢性的に続くと炎症も起こります。
また、寝ている時に起こるとは考えにくいですが、関節に繰り返し大きな負担が加わることで炎症が起こる場合があります。
寝ている時がきっかけでは起こらないかもしれませんが、普段から腰を酷使するような姿勢や動き、スポーツなどをされている方であれば、寝ている時に寝返りなどでさらに腰に負担がかかり、炎症につながるケースはあるかもしれません。
朝起きたら腰が痛い|危険なケースはコレ
筋肉や筋膜、関節が原因の腰痛であれば、緊急性はありませんが、中には緊急を要する危険なケースも存在します。
以下に危険な腰痛のサインを挙げました。
- 発症年齢<20歳または>55歳
- 時間や活動性に関係のない腰痛
- 胸部痛
- 癌、ステロイド治療、HIV感染の治療
- 栄養不良
- 体重減少
- 広範囲に及ぶ神経症状
- 構築性脊柱変形
- 発熱
これらはレッドフラッグと呼ばれ、重篤な病気が潜んでいる可能性があります。
朝起きた時の腰痛に加え、上記に当てはまる項目がある場合、危険な腰痛である可能性があるので、すぐに整形外科を受診することをお勧めします。
この場合はストレッチで何とかなる腰痛ではないので、必ず受診して医師の指示を仰ぎましょう。
朝起きたら腰が痛いときにやるべきストレッチ5つ
朝起きて腰が痛い場合、その時がストレッチを始めるタイミングかもしれません。
年齢を重ねるにつれて、筋肉は自然に柔軟性を失い、椎骨や関節の摩耗や損傷が増加する可能性があります。
加齢と共に弱くなっていくことは分かっているので、如何に背骨を健康で自然なカーブを保つことが重要です。
そこで、背骨を支える筋肉を定期的にストレッチすることで、痛みを防ぐことができます。
朝起きて腰が痛い時にするべき、理学療法士が推奨する5つのストレッチを次に示します。
チャイルドポーズ
腰を中心に背骨の筋肉をストレッチできます。
- 四つ這いになる
- 四つ這いの手の位置から、少し前方に手をつく
- おしりをかかとにつけるように、おしりを後方へ動かす
- おしりをできる範囲で後方へ動かした位置で、15〜20秒キープする
- 2〜3セット行う
ポイントは、肩に変に力を入れずにリラックスして行うことです。
肩がリラックスしていないと、背骨も上手くストレッチされないので注意しましょう。
キャットアンドカウ
背骨全体を曲げたり、反らしたりすることで、腰とお腹の筋肉をストレッチすることができます。
- 四つ這いになる
- 尾骨から順に、腰、背中、首を丸める
- 首から順に、背中、腰、尾骨を反らす
- 交互に10回程度繰り返す
ポイントは、背骨全体を動く範囲でめいいっぱい丸める、反らす動きを行うことです。
例えば、背中だけ丸まって腰があまり丸まっていない場合、腰の筋肉はあまりストレッチされていないので、効果的なストレッチにはなりません。
スフィンクスのポーズ
お腹の筋肉をストレッチすることができます。
- うつ伏せになる
- 両手を顔の横につく
- 両手でベッドを押しながら、頭、首、背中、腰の順に反らす
- 腰まで反らした位置で、15〜20秒キープする
- 2〜3回繰り返す
ポイントは、肛門を絞めるようにおしりに力を入れたまま行うことです。
腰が過剰に反ってしまうと、腰痛を誘発してしまう恐れがありますが、おしりに力を入れると過剰に腰が反るのを防いでくれます。
広背筋ストレッチ
広背筋は腰から腕まで伸びる大きな筋肉で、腰の動きに直接関わるわけではありませんが、硬くなると腰の動きを制限しますので、ストレッチしておくことで腰痛には有効です。
- 正座になる
- 片手を身体の反対側の前方へ、できる限り前につく
- 尾骨を床へ近づけるように腰を丸める
- そのまま15〜20秒ストレッチする
- 左右それぞれ2〜3セットずつ繰り返す
ポイントは、手をしっかりと身体の対角線に伸ばし、腰を丸めることが大事です。
広背筋は腕から反対側のおしりへ向かって伸びているので、対角線にストレッチすることがポイントです。
大殿筋ストレッチ
おしりの大きな筋肉である大殿筋をストレッチできます。
大殿筋は股関節と骨盤の動きに関わる筋肉で、腰椎と隣接する関節なので、腰の動きに大きく関わります。
大殿筋が硬いと、腰自体が硬くなくても動きが制限されて負担になるということがあるので、しっかりストレッチしておきましょう。
- 仰向けになる
- 片膝を立てる
- 反対側の足首を膝の上に乗せる
- 膝を立てた側の太ももを抱え、胸に向かって引き寄せる
- そのまま15〜20秒ストレッチする
- 左右それぞれ2〜3回ずつ繰り返す
ポイントは、足を引き寄せる際に腰が丸まりすぎないように注意しましょう。
腰が丸まると、それに伴い骨盤は後ろへ傾きます。
大殿筋は収縮すると骨盤を後ろへ傾けるので、ストレッチするには骨盤を前へ傾けないといけません。
なので、腰が丸くなると骨盤が後ろへ傾いて上手くストレッチできないので、なるべく丸くならないように注意が必要です。
朝起きたら腰が痛い|ストレッチのポイント3つ
ストレッチの目的としては筋肉を伸ばすことですが、闇雲にストレッチすれば良いわけではありません。
ストレッチする秒数や頻度など、適切に行うことで効果を最大限発揮することができます。
以下にストレッチの適切なタイミング、頻度、秒数、強さを解説します。
ストレッチをやるタイミングは?
ストレッチの効果としては、筋肉の柔軟性改善による関節の可動域の改善です。
ストレッチをするタイミングとして、就寝前と起床後に行うのが良いでしょう。
朝起きて腰痛があるということは、寝ている間に何らかの負担が腰にかかっていると考えられます。
なので、寝ている間の負担を大きくしないためにもストレッチをしてから就寝する方が良いです。
そして、起床後にストレッチすることで、その後の1日を良い状態で過ごせるので、腰にかかる負担を和らげることができます。
ストレッチの頻度は?
ストレッチの頻度としては、1回2〜3セット行うのが推奨されています。
また、1日2日で効果が出るわけではないため、継続して行う必要があります。
個人差や筋肉の硬さによって差はでますが、おおよそ2〜3ヵ月程度は続けることで効果が出ます。
ストレッチは何秒?
筋肉の柔軟性の改善を狙う場合、2〜3分持続的にストレッチをする必要があります。
ただ、痛みがあったりすると、ストレッチした姿勢を2分以上も保持するのが難しい場合もあります。
なので、一度に2分も無理にやらなくても良いので、20秒とかで一旦やめて再度ストレッチを繰り返すという方法の方が腰への負担も少ないでしょう。
朝起きたら腰が痛い|ストレッチ以外の対処法5つ
ストレッチ以外にも腰痛への対策はあります。
特に朝起きた時の腰痛は、寝ている間に腰へ負担がかかっている可能性があるので、寝る時の姿勢や寝具についても考え直す必要があるかもしれません。
長時間の同じ姿勢を避ける
長時間の同一姿勢は腰痛との関連があると言われています。
例えば、デスクワークで長時間座っている、立ち仕事が多く立ったままが多いなどが当てはまります。
寝ている時も基本的には寝たままなので、腰にとってはあまり良いとは言えません。
寝返りを適度にしていれば良いですが、寝返りしにくい環境だと6〜7時間程度同じ姿勢のままということにもなるので、かなり腰への負担は大きくなることが予想できます。
普段の姿勢を見直す
上述したように、同じ姿勢を長時間とらないということは大事です。
続けて何時間も同じ姿勢で作業したりしないように、30分〜1時間ごとに姿勢を変えるなど工夫すると良いでしょう。
寝る姿勢を見直す
理想は適切な高さの枕を使って、仰向けで寝ることです。
仰向けが背骨の左右へのねじれや傾きがなく、一番バランスの取れた姿勢です。
例えば、横向きは重心が高く、前後にずれやすい不安定な姿勢なので、そのまま足をそろえて真っ直ぐ保つというのはほぼ無理です。
なので、体が後ろへねじれたり、足が前にずれたりと仰向けに比べると背骨にねじれや傾きが加わります。
そうした負担の積み重ねが腰痛を引き起こしているかもしれないので、できるなら仰向けで寝ることをお勧めします。
寝具を見直す
布団やマットレスが柔らかすぎると、寝返りがしにくいので、寝ている間の寝返り回数が少なくなって同じ姿勢のままで寝ている可能性があります。
上述したように、長時間の同じ姿勢は腰に良くないので、適度に寝返りできる硬さのマットレスを使用するのが好ましいです。
適度に運動する
腰の痛みは、骨折や捻挫などの怪我によって起こるわけではなく、疲労や筋肉が緊張した状態が続いた結果として現れます。
こういった急性の症状ではなく、慢性的な症状には有酸素運動が効果的です。
ウォーキングやジョギング、自転車漕ぎなど、自分に合った方法で有酸素運動を行いましょう。
時間にすると20〜30分、頻度は週に2〜3回程度行えるとベストです。
最初から20分やろうとか、早い速度でジョギングしようとしなくても良いので、少しずつ時間を増やしていければ良いです。
いきなり完璧を求めると、中々継続できずに止めてしまうことも少なくないので、それなら短い時間でも軽い運動でも良いので、継続することを大切にしましょう。
朝起きた時の腰の痛みを今すぐ取るなら理学ボディ
朝起きた時の腰の痛みを今すぐ何とかしたいという方は、理学ボディにご相談ください。
理学ボディでは、最短で痛みを改善させることにこだわっており、筋膜という組織に対して施術を行います。
筋膜は筋肉を覆っている膜状の組織で、筋膜が硬くなると筋肉の柔軟性が低下、筋力が発揮しにくいなどが起こります。
筋膜の硬さのある場所はピンポイントで存在しているため、ストレッチやマッサージでは中々ほぐすことができません。
もし、筋膜の硬さが腰の重さや痛みに影響しているのなら、ストレッチやマッサージをしていても中々改善することは難しいでしょう。
筋膜の施術に精通している理学ボディのセラピストなら、筋膜に存在するピンポイントの硬さでも見つけることができます。
もし、腰の痛みが良くならなくて困っているという方は、ぜひ理学ボディにお越しいただき、筋膜の施術を受けてみてください。
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まとめ
- 朝起きた時の腰の痛みの多くは、筋筋膜性疼痛症候群によるもの
- 筋肉や関節が原因の腰痛なら緊急性はないが、中には危険なケースもあるため、そういった場合はすぐに病院を受診した方が良い
- 加齢で衰えるのを止めることはできないが、ストレッチで健康な身体をできるだけ長く保つことはできる
- ストレッチのタイミングは就寝前と起床後がベスト
- ストレッチの頻度は1回2〜3セットを2〜3ヵ月は継続することが推奨
- ストレッチの時間は2分以上が理想だが、難しい場合は時間を短く何回かに分けて行う
- 寝る姿勢や寝具の見直しも場合によっては必要
今回は朝起きた時の腰の痛みについて、原因とそれに対するストレッチを中心に解説しました。
原因の多くは筋肉や筋膜によるものなので、ストレッチで改善できる部分も多くあるでしょう。
ただ、慢性化すると中々ストレッチでも効果が出ない場合もありますので、そうなる前に定期的に自分でストレッチをして身体をケアすることをお勧めします。