エプロンの付け外しや髪の毛を束ねる時、
着替えの時などに必要となる『腕を後ろに回す』動き。
この『腕を後ろに回す』という動きは
『腕を後ろに引く+腕を内側にひねる』
という2つの動きと、
それを可能にする体の柔軟性が必要となります。
簡単な動きのように見えても、実は色々な要素が加わることで初めて可能となる複雑な動きでもあります。
特に猫背や巻き型の姿勢の方は、肩が丸くなることで肩関節の位置がどんどん前方にずれてしまい、腕を後ろに引くこと自体が難しくなります。
ここで更に腕を内側にひねる動作が加わると、関節にストレスが加わり痛みや炎症につながってしまいます。
本記事では、腕を後ろに回すと痛い場合に考えられる原因と対処法を理学療法士が詳しく解説していきます。
※当院では、国際的に認知されている筋膜リリースという技法を用いてあなたの痛みを即時的に解消する施術を行っております。
当院だからこそ出来る筋膜リリースの施術やその驚きの効果についてもっと詳しく知りたい方は、下記の記事を覗いてみてください。
さらに、痛みを今すぐどうにかしたい方に向けて、あなたの痛みに効く具体的な筋膜リリースの方法をLINEから無料でお伝えしています。ぜひご活用ください。
腕を後ろに回す時の痛みのメカニズム


腕を後ろに回す動きで痛みが生じることは実は多く、代表的な動きは
- 結帯動作:エプロンなどの付け外しの動き
- 結髪動作:頭の後ろに手を回す動き
と言われています。
病院のリハビリの際も、セラピストはこの動きができるかどうかをまずチェックしています。
この2つの動作で痛みが生じてしまう原因をみていきましょう。
腕を後ろに回すのに必要な動き
腕を後ろに回す動きは
- 腕を後ろに引く肩の「伸展」
- 腕を内側に捻る肩の「内旋」
- 肩甲胸郭関節の可動性(肩甲骨が胸郭の周りをしっかりと動けること)
この3つの複合した動きが必要となります。
それぞれの動きに必要な筋力や柔軟性が低下すると痛みや動作の制限が生じてしまいます。


痛みのメカニズム
腕を後ろに回した時に特に痛みが出やすいのは肩の前側・後ろ側です。
伸ばされたような痛みやズキズキとした鋭い痛みなど、痛みの種類によって原因は異なります。
巻き肩や猫背などの不良姿勢が続くと、肩を支える筋肉や靭帯などの組織にアンバランスが生じ、肩の関節が前方にずれてしまいます。
この状態での動作の反復により関節内に異常な圧がかかってしまったり、関節内の組織が摩耗してしまうと炎症や痛みにつながってしまいます。
- 伸ばされたような痛み⇨不良姿勢により伸びにくくなった組織が原因
- ズキズキした鋭い痛み⇨関節の摩耗や無理な圧が加わることで起きる炎症が原因
このアンバランスな状態を引き起こさないよう、日頃から行える対策を覗いてみましょう。
腕を後ろに回すと痛い場合に考えられる原因


腕や、肩を動かした時の痛みの原因疾患は、
- 肩関節周囲炎
- 腱板断裂(損傷)
- 石灰沈着性腱板炎
- 関節リウマチなどの自己免疫疾患
- 上腕二頭筋長頭腱炎
など様々な疾患があります。
その中で、『腕を後ろに回す』時に特有の痛みというと肩関節周囲炎であることが疑われます。
※肩の痛みに関連する疾患について、見分け方や症状別に詳しく知りたい方は、過去の記事にもわかりやすくまとめていますので覗いてみてください。
では、なぜ数ある原因疾患のなかでも肩関節周囲炎が疑われるのでしょうか?
それは、それぞれの疾患の原因から判断することができます。
関節リウマチを除く他の疾患(腱板断裂(損傷)、石灰沈着性腱板炎、上腕二頭筋長頭腱炎)は、いずれかの筋の付着部である腱が原因で起こる疾患です。
この場合、肩を支える筋肉自体に力が入らなかったり、『腕を後ろに回す』以外の動きにも鋭い痛みが生じます。
特に、石灰沈着性腱板炎や関節リウマチなどの炎症性の疾患は、動かさなくてもズキズキと鋭い痛みを伴います。
加齢による関節の摩耗や変形で生じる肩関節周囲炎は、その人の肩の変形の仕方に応じて、無理な動きをとった際に痛みが生じます。
その変形の形で多いのが、初めにも述べたような肩の関節が前にずれてしまうものです。
長時間のデスクワークや猫背・巻き肩により徐々に肩だけでなく、脊柱にも変形が進み、中々日常生活で使わない腕を回す動きに痛みや制限が生じてしまいます。
痛みの原因:肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)
中高年以降で突然発症するのが特徴で、40〜50歳代に好発することから軽いものでは『四十肩・五十肩』とも呼ばれています。
加齢による関節の摩耗や、肩を上げる動作の繰り返しにより徐々に肩関節周囲に強い痛みが生じ、ひどくなると肩を上げるのも困難となります。


腕を後ろに回したときに痛むのも、この肩関節周囲炎に特徴的な症状のひとつです。
症状は3つの経過をたどり、回復に向かいます。
自分が今どの位置にいるか理解することが回復への第一歩となります。
- 痛みの強い「炎症期」
- 肩が拘縮(硬くなり動かしにくくなる)が進む「拘縮期」
- 徐々に改善がみられる「回復期」
特に痛みが強い炎症期は、対処法によってはさらに症状を悪化させてしまうので注意が必要です。
肩関節周囲炎の痛みを解消したい場合には『痛みが強い時の対処法』をご覧ください。
※他にも肩を上げた時の痛みや肩の付け根の痛みでもお困りの方は、過去の記事に原因や対処法を記載していますので、参考にして見てください。
腕を後ろに回すと痛い場合の対処法


では、実際に痛みが出てしまっている時は、どうすれば良いのか?
ここでは、自分でできる対処法をご紹介していきます。
なお、この時点でどうにもならない痛みでお困りの方は、無理なセルフケアが返って痛みを悪化させてしまう可能性もあります。
その場合は、当院がLINEでお伝えしている「あなたの痛みに効くおすすめの筋膜リリース動画」を、ぜひお試しください。
炎症症状・ズキズキするような痛み
腕を後ろに回す痛みに加えて、安静にしてても痛い、夜間痛みで起きてしまうほど痛むのは炎症が強い時期です。
この場合は、炎症を抑えることが第一優先となります。
痛みの出る動作は避け、早めに受診しましょう。
内服薬や外用薬、関節内注射での治療で痛みがすっと和らぐ場合もあります。
反対に、手術が必要となる場合もあるので注意が必要です。
病院に行くまでにできる生活の工夫としては
- 前開きの服を選ぶ
- 夜寝る時は仰向けか、痛くない方を向いた横向きで抱き枕を使用
- 荷物は痛くない方の手で持つ
- 背中を洗うときは柄の長いブラシを活用する
など、できるだけ肩に負担をかけないことが大切です。
ストレッチ
肩の痛みが少し和らいできたら、痛みの原因となっている肩の前の部分の硬さや、背中のストレッチを行います。
肩の前側をしっかりと柔らかくすることで、『腕を後ろに引く動き』が出来るようになります。
背中のストレッチをすることで、背骨の動きを出しやすくし肩甲骨がしっかりと動く土台作りにつながります。
また、腕を内側に捻る筋肉は背中側から腕の内側に位置しています。
ここをしっかりと柔軟に保つことで『腕を後ろに回したときの痛み』の改善につながります。
痛みのない範囲で無理なく行ってみましょう。
- 長座の姿勢で両手を後ろにつく
- ゆっくりと体を反らすように胸を張り、両肩の前側〜胸を伸ばす
- 余裕があれば、両手の位置を後ろに少しずつずらしていく
※20〜30秒ほど行う
- 両手を壁につける
- ゆっくりと体を前に倒し、両脇〜背中を伸ばす
※20〜30秒ほど行う
腕を後ろに回す時に起こる痛みの予防法


ここでは、痛みの予防のために日頃から行って欲しい2つの体操を紹介します。
痛みの予防体操①
首〜肩にかけてつながる筋肉をほぐす運動です。
姿勢の修正だけでなく、肩周りの筋肉への血流を改善することで痛みの予防につながります。
- 息を吸いながら両肩を上に持ち上げる
- 息を吐きながらストンッと脱力する
※10回2セットを行う
痛みの予防体操②
可動範囲が広いことが特徴でもある肩の関節ですが、後ろに回す動きだけでなく、日頃からどの方向にも動かすように心掛けることが大切です。
どの動きもまんべんなく動かせる以下の体操を習慣にしていきましょう。
- 腕を組むように両肘をつかむ
- 息を吸いながら、頭の上まで上げる
- 息を吐きながら、両手を離し横から下げる
※5回2セットを行う
まとめ
腕を後ろに回したときの痛みの原因は、主に肩関節周囲炎が関連していることが多いです。
感じている痛みの種類が「ズキズキしている」のか「伸ばされたような感じ」なのかによっても原因や対処法が異なります。
痛み原因を正しく判断し、対処することが解決への第一歩となります。
また、セルフケアで良くなる場合と、それではどうにもならない場合があります。
色々試してみたけどなかなか痛みが取れない場合は、来店から3回以内の改善を目指す当院へぜひ一度ご相談ください。
※当院の施術の特徴や3回以内で痛みの改善ができる秘訣は、下記の記事でわかりやすく解説しています。