「腰痛がなくなったらもっと楽しく生活できるのに。」
「長年腰痛に悩んでいるけど、良くする方法はないだろうか。」
こんなふうに悩んでいませんか?
長年悩まされるくらいの腰痛の場合、その腰痛は「すべり症」である可能性が考えられます。
腰痛に悩んでいる方なら、ストレッチなど自分で治そうと色々試しているかと思いますが、すべり症の場合はやってはいけない逆効果になってしまうストレッチもあります。
本記事では、すべり症の症状や原因を解説しつつ、すべり症にやってはいけないストレッチ、効果的なストレッチについてまとめました。
あなたの腰痛はすべり症かも?
そもそもすべり症とは、腰椎がずれることによって脊柱管が狭くなり、馬尾神経や神経根が圧迫されて症状が出るものを指します。
■参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
背骨の後ろには脊柱管と呼ばれる神経の通り道があり、それが背骨の腰部分にあたる腰椎がずれることで圧迫されると、痛みやしびれが出現します。
すべり症の症状
特徴的な症状は、間歇性跛行と呼ばれるものです。
これは、少ない距離なら歩けるのですが、立ったり・歩いたりしているとお尻や太ももの部分が痛くなって、歩けなくなります。
けれども、少ししゃがんで休めば楽になって、また歩けます。
■参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
反対に、座っている時や安静にしている時は症状はあまり感じず、休息を繰り返しながらでないと歩けないのがすべり症の特徴的な症状です。
似たような症状が出現するものには、腰部脊柱管狭窄症という病気もあります。
すべり症の原因
原因は、脊柱管が腰椎がずれることで、神経の通り道が狭くなった結果、神経が圧迫されやすくなることです。
脊柱管は姿勢によって狭くなったり広くなったりしますが、上述したように立ったり歩いたりする時には脊柱管は狭くなるので、痛みやしびれなどの症状が出やすくなります。
反対に、座っている時は脊柱管が広くなるので、症状は出にくく痛みやしびれは和らぐというわけです。
何故腰椎がずれてしまうかですが、加齢や腰椎に繰り返し物理的な負荷が加わることが原因と考えられています。
腰痛への物理的な負荷とは、例えば、重い荷物を何度も持ち上げる仕事をしているとか、腰をかがめたまま、あるいは曲げたり伸ばしたりを繰り返すような動きを指します。
そうした腰への負担が、加齢とともに腰に蓄積し、結果的に腰椎がずれてしまうということに繋がると症状が出現してしまいます。
すべり症の対策
すべり症の対策としては以下の5つが挙げられます。
- 安静
- コルセット
- 痛み止め
- 手術
- ストレッチ
それぞれ解説します。
安静
すべり症の特徴的な症状は間歇性跛行ですが、座ったり安静にしていても痛みが強い場合もあります。
そういった場合は、腰で炎症が起こっている可能性があるので、無理に動かず安静にすることが大切です。
安静にしていれば痛みがなくても、動くと痛みが強い場合も無理に動かず安静にする方が良いでしょう。
炎症がある時期に無理に動くと、かえって炎症が強くなってしまう可能性があり、余計に痛みを強くしてしまう恐れがあります。
安静にすることも立派な治療なので、痛みが強い場合は安静第一に考えましょう。
コルセット
痛みが強い場合は安静にすることに加えて、コルセットを装着することも効果的です。
コルセットを装着すると、腰の動きが制限されるので、腰が動くことで起こる痛みを予防することができます。
必要以上に腰が動かないので、炎症がある場合は炎症を強くしないことにも効果があります。
ドラッグストアやスポーツ用品のお店なら簡易的なコルセットを購入できるはずです。
ですが、コルセットを装着していれば絶対大丈夫というわけではなく、コルセットは万能ではないので、その点には注意が必要です。
あくまでも補助的な役割だということを覚えておきましょう。
痛み止め
痛み止めの薬を飲むことも痛みを和らげるには効果的です。
ですが、痛み止めはあくまでも痛みを和らげるだけで、根本的な解決にはなりません。
痛み止めを飲んで痛みが和らいだからといって、すべり症が治ったわけではないことに注意しましょう
また、市販の痛み止めを飲むよりは、病院で整形外科を受診し、医師の診察を受けた上で薬を処方してもらう方が良いです。
痛み止めと言っても種類は様々で、市販の痛み止めではあまり効果のない場合もあるからです。
手術
上記に挙げた安静やコルセットであまり効果がなく、痛みが強い場合、手術が必要になる例もあります。
手術には2パターンあり、神経を圧迫している部分の圧迫から解放するような手術と腰椎が動かないように固定するという手術があります。
前者はすべり症の程度が比較的軽く、腰痛はあまりなく足の痛みが強い場合に適応となります。
こちらは手術による傷は軽度で済み、足の痛みの改善には効果が高いですが、腰痛は残ってしまうことが多かったり、再発してしまう可能性もあります。
後者はすべり症の程度が重度で腰痛も強く、比較的若い年代で活動性が高い方の場合に適応となります。
こちらは手術による傷は重度ですが、腰痛、足の痛みともに高い効果があります。
腰椎が動かないように固定してしまうので、同じ部分で再発する可能性はほぼありませんが、固定して動かない分を補って、固定した部分に近い背骨が過剰に動くことで痛みが出てしまう可能性があります。
また、手術費用も高額になってしまうというデメリットもあります。
もし、手術が必要な場合は整形外科医の判断になるので、しっかりと相談の上でよく考えて決めましょう。
ストレッチ
すべり症は腰が反る方向へ動くと、腰痛などの症状が出現しやすいです。
これは腰が反ると脊柱管が狭くなるからですが、腰を反らす働きのある筋肉が硬くなると、より腰が反りやすくなるので、すべり症の症状が出現しやすくなってしまいます。
なので、腰を反らす筋肉のストレッチは腰痛などの症状を和らげるのに効果的です。
すべり症を自分で治すならストレッチが効果的
上述したように、腰を反らす筋肉のストレッチは脊柱管が狭くなることを防げるので、すべり症による腰痛などの症状を和らげるのに効果的です。
すべり症の対策をいくつか挙げましたが、安静やコルセットは痛みを出さないための対症療法なのに対し、ストレッチは手術以外では積極的に治すための方法です。
しかも、手術と違って自分でできる対策なので、痛みに応じてストレッチすることが望ましいでしょう。
ですが、闇雲にストレッチしたら良いわけではなく、逆効果になってしまうストレッチもありますので、下記に逆効果になりかねないストレッチを解説します。
すべり症にやってはいけないストレッチ
すべり症の症状を強くしてしまうのは、腰を反らす作用のある筋肉が働くことです。
なので、反対の腰を丸める作用のある筋肉をストレッチで伸ばしてしまうと、腰は反りやすくなってしまいます。
腰を丸める作用のある筋肉は主に以下の3つです。
- 腹筋
- お尻
- 裏もも
腹筋はあばら骨と骨盤をつなぐように位置しており、腹筋が働くと両者が近づくように作用するので、結果的に腰は丸くなります。
うつ伏せで両肘、あるいは両手をついて体を起こすようなストレッチは腹筋が伸ばされるのでやってはいけません。
お尻と裏ももの筋肉は骨盤を後ろに傾ける作用があり、腹筋と同じく、腰を丸めるように働きます。
仰向けで膝を曲げた状態、あるいは伸ばした状態で足を抱えるようなストレッチは、お尻や裏ももの筋肉が伸ばされるので、やってはいけません。
すべり症に効果的なストレッチ
すべり症に効果的なストレッチは、やってはいけないストレッチとは反対に腰を反らす作用のある筋肉のストレッチです。
腰を反らす作用のある筋肉は主に以下の2つです。
- 背筋
- 前もも
背筋は背骨と背骨をつなぐように位置しており、背筋が働くと両者が近づくので、結果的に腰は反るように働きます。
ストレッチするには背骨と背骨を離すようにしたら良いので、以下のように行います。
- 椅子に腰かける
- 両手を組んで、前に突き出す
- 突き出した手とお腹の間に丸い空間を作るように、背中から腰を丸める
- 5~10秒キープする
- 元に戻る
組んだ手とお腹の間で大きな風船が膨らむイメージを持つと良いでしょう。
前ももの筋肉は骨盤から膝にかけて伸びており、骨盤を前に倒す働きがあります。
骨盤が前に倒れると、腰も骨盤に引っ張られて反るように働くので、前ももも腰を反らせる働きのある筋肉です。
前もものストレッチは以下のように行います。
- 正座する
- 両肘を体の後ろにつくように、体を後ろへ倒していく
- できるなら肘を離して背中全体を床につける
- そのまま10〜20秒キープする
正座のまま行うのが難しい方は、片膝ずつ行っても良いです。
まとめ
すべり症は腰椎がずれることで、脊柱管内の神経が圧迫されて起こる腰痛や足の痛みです。
立ったり歩いたりする際に症状が出現するのが特徴的です。
それは、立ったり歩いたりする時には、腰が反るように働いて脊柱管が狭くなりやすいからです。
なので、腰を反らす働きを持つ背筋や前ももの筋肉をストレッチすることが効果的ですが、反対に腹筋やお尻の筋肉をストレッチすると逆効果になりかねません。
ご自身の症状がすべり症に当てはまるのなら、腹筋やお尻のストレッチは避け、背筋や前もものストレッチをしましょう。