ある日突然訪れる背中の激しい痛み。
その原因がぎっくり背中と言われて、
「痛みを取りたいけど、どうしたら良いかわからない」
「ツボ押しが良いって本当?」
「ツボ押しってなんだか怪しい」
こんな疑問や不安を抱えていませんか?
この記事では、
ぎっくり背中に対するツボの効果、痛みの原因、痛みへの対処法を理学療法士が徹底的に解説していきます。
ぎっくり背中の痛みにお悩みの方や、ぎっく背中へのツボ押しに興味がある方はぜひご覧ください!
目次
ぎっくり背中で痛みが出る本当の理由
そもそも、ぎっくり背中というのは正しい病名ではありません。
正しくは筋肉や筋膜が原因で起こる「筋筋膜性疼痛症候群」と呼ばれているものです。
筋膜性疼痛症候群(Myofasical pain syndrome, MPS[エム・ピー・エス])とは、いわゆる「筋のコリ」による症状をきたす、世界中で一般的な病気です。
参照元:一般社団法人日本整形内科学研究会
ぎっくり背中で痛みが出る理由としては、
「背中の筋肉や筋膜が、過度なストレスや筋肉の緊張で軽い肉離れの様な状態になってしまう」
という事です。
そのため、ぎっくり背中の痛みを軽減させる為には、筋肉や筋膜の状態を改善させる必要があります。
ぎっくり背中の症状としては、
- 痛くて動けない
- 体を動かすと痛い・痺れる
- 背中の一部分を押すと痛い
- 時間が経つと症状の出る部分が移動する
などがあります。
重症な人では、痛くて動けない事や、呼吸をするだけで痛くなる場合があります。
ぎっくり背中にツボは効果あるの?
ぎっくり背中にツボは効果あるのかと言うと、
「一時的な痛みの緩和には効果ありますが、根本的な治療にはならない」
と言うのが答えです。
それではなぜ、ツボ押しが一時的な痛みの緩和に効果があるかを説明していきます。
そもそも「ツボ」とは、経穴と呼ばれる場所の事を言います。
経穴 (けいけつ) とは、中医学、漢方医学、経絡学の概念で、体内の異常に応じて体表の特定の部位に対応して現れるもので指圧、鍼、灸で刺激を与えることで体調の調整、諸症状の緩和を図るものである。一般には「ツボ」とも呼ばれる。筋筋膜性疼痛症候群におけるトリガーポイント(たとえば腰痛の原因となる筋・筋膜内の好発部位)と大半が一致する
中医学、漢方医学、経絡学から、身体の様々な症状に対して効果的な経穴(ツボ)の場所がある程度わかっています。
その経穴(ツボ)に刺激を加える事で、症状を改善するというのがツボ押しの効果です。
その為、一時的には身体の症状が改善する事があります。
しかし、身体の症状の根本の原因から改善しなければ、再び身体の症状として現れる可能性が高いです。
たとえば、姿勢が悪い状態で長時間パソコン作業をしている為に腰が痛い人がいるとします。
腰の痛みに効果的なツボを押せば一時的に腰の痛みが改善するかもしれません。
しかし、再び姿勢が悪い状態で長時間パソコン作業をしてしまえば、また腰が痛くなってしまいます。
この様に治療をするならば、根本の原因からの治療が重要です。
ぎっくり背中の症状も同じです。
それでは、根本から治していくにはどうすれば良いのか?
それをここから解説していきます!
ぎっくり背中になる3つの理由
ぎっくり背中になりやすい理由として大きく3つあります。
- 背中が硬い
- インナーマッスルの低下
- 姿勢が悪い
一つ一つについて詳しくみていきましょう。
背中が硬い
背中が硬い人は、身体の支柱となる背骨を支える為の背中の筋肉が硬くなっている可能性があります。
背中の筋肉が硬くなってしまうと、背中の筋肉が常に緊張した状態となり、背骨や背中の動きがスムーズに行えなくなってしまいます。
そのような状態で、背中をひねったり、過度なストレスが加わる事で、
背中の筋肉が軽い肉離れの様な状態になってしまいます。
また、過度に筋肉が緊張しすぎてしまい、ぎっくり背中となってしまう可能性があります。
特に、
- 身体の硬い男性
- 普段の仕事で背中に負担がかかっている人
などに多い傾向があります。
インナーマッスルの低下
背骨の周りには内側から体を支えるインナーマッスルが付着しています。
このインナーマッスルがしっかりと働くことで、ある特定の部分ばかりにストレスをかけることなく体の軸が整い安定します。
しかし、インナーマッスルが機能しなくなると、
背骨を安定して支える事が難しくなり、背中の筋肉に負担がかかりやすい状態となります。
背中の筋肉に負担がかかる様な状態が続いてしまう事で、ギックリ背中にもつながってしまいます。
特に、
- 事務作業など座る時間が長い人
- 運動などの習慣がない人
などに多い傾向があります。
姿勢が悪い
姿勢が悪い人もぎっくり背中になりやすいです。
たとえば、
猫背の人は、背中が丸くなることで筋肉が常に伸びきった状態となります。
筋肉の緊張は高い状態が続くと、ぎっく背中になりやすくなってしまいます。
また、反対に反り腰などの人も、背中の筋肉が過剰に緊張した状態となり、
背中の筋肉が硬くなることで、ぎっくり背中になりやすい状態となります。
この様に、姿勢が悪い状態で生活する事で、
背中の筋肉に負担がかかる様な状態が続いてしまう事で、ギックリ背中に繋がってしまいます。
特に、
- パソコン作業などで座る時間が長い人
- 同じ姿勢で長い時間作業する必要がある人
などに多い傾向があります。
ぎっくり背中で受診するべき危険なケースは?
ただのぎっくり背中だと思っていても中には病院を受診した方がよい危険なケースもあります。
ぎっくり背中が1ヵ月以上治らない人で、以下の項目に当てはまる人はなるべく早めに受診しましょう。
- 転んでしりもちをついたなどの外傷がある
- 65歳以上の女性で背中や腰に強い痛みを感じた
- 横になってじっとしていても疼くような痛みがある
- 鎮痛剤を1か月使っても頑固な痛みが取れない
- 肛門や性器の周りが熱い、しびれる感覚が鈍い
- 足に力が入らない、つま先歩きが難しい
ぎっくり背中の痛みに効果的な4つの対処法
ぎっくり背中の痛みに効果的な4つの対処法としては
- 痛みが強い時は安静
- 患部を冷やす
- ストレッチ
- 姿勢を見直す
この4つが効果があります。
痛みが強い時は安静
基本的に動くのが困難なほど痛みが強い場合は安静が優先です。
筋肉に炎症が起きているため、無理をして動くほど炎症を強めて症状を悪化させてしまいます。
痛みが落ち着くまでは、横になって静かに休むようにしましょう。
運動や仕事も可能な場合はお休みし、まずは体をしっかりと治すことに専念しましょう。
2〜3日の安静で改善しない場合や、余計にひどくなっていくときなどは、 他の疾患も考える必要があります。
足に痛みやしびれがある場合や、感覚障害がみられる場合や排尿障害などを伴っている場合などは
椎間板ヘルニア、脊椎すべり症、腫瘍なども考えられます。
高齢の方で、骨粗鬆症と診断された方は圧迫骨折などの可能性もあります。
その様な方は、病院での受診をおすすめします。
患部を冷やす
基本的に、痛みが強い場合、熱を持っている場合など、
発症からまもなく炎症が起きている場合は冷やすのが効果的です。
氷嚢やタオルを巻いた保冷剤などを患部に当てて15分程度冷やしましょう。
痛みや熱が少なくなってきたら、冷やす事は辞めても大丈夫です。
ストレッチ
痛みがある程度落ち着いて動かせるようになってきたら、硬くなっている背中の筋肉をほぐすためのストレッチが効果的です。
朝の起床後や入浴後、長時間同じ姿勢が続く合間などに行うことがおすすめです。
ここでは簡単に行えるストレッチを紹介します。
背中のストレッチ①
体を反らせながら肩甲骨まわりから背骨まわりをほぐすストレッチです。
猫背気味の方に効果的なストレッチとなります。
左右の肩甲骨をしっかりと寄せる意識で行うとより効果的です。
- 背筋を伸ばして座り、後ろで両手を組む
- 組んだ手の平を外側に向け、背中側で左右の肩甲骨をギュッと寄せる
- その状態で10秒キープ
- 力を抜いて元に戻る
- 2〜3回行う
背中のストレッチ②
先ほどのストレッチとは反対に、背中を丸めながら筋肉を伸ばすストレッチです
反り腰の方へオススメのストレッチです。
ゆったりとした呼吸で行うとより筋肉がほぐれて効果的です。
- 両手を胸の前で組み前に突き出す
- 左右の肩甲骨が開くのを感じながら背中を丸める
- 深呼吸をしながら10〜20秒キープ
- ゆっくりと元に戻る
- 2〜3回行う
姿勢を見直す
根本的に治すことを考えた時、一番大切なのが日常生活動作や姿勢の見直しです。
普段から猫背や反り腰など崩れた姿勢でいると、背中の筋肉の緊張を高めてしまい、ぎっくり背中再発の原因となります。
- 背筋を伸ばし、つむじの辺りから紐で空に吊られているようなイメージで生活する
- パソコンの高さめ目線に合わせるなど、デスクワークの環境を整える
- 座っている時間を意識的に少なくする
- 重たい物を持つときはなるべく体に近づける
- しゃがむときは足幅を広げるか、片膝をつける
- 高い所にある物を取るときは足台を利用する
上記にあるように、生活の中でも過度に背中を反らせたり屈めたりしないような工夫も大切です。
ぎっくり背中の痛みを緩和するツボ
ぎっくり背中の痛みを緩和するツボの位置は、
骨盤の出っ張りから指4~6本分くらい上の、“肋骨の真横辺りにある隙間”を押しましょう。
押したままゆっくりと呼吸をし、上半身を左右にねじるとより効果的です。
- ツボの押し方:指の腹で気持ち良いと感じる強さで垂直に押します。
- 時間:3〜7秒かけて、ゆっくり押して、ゆっくり戻す。
- 回数:1日4〜5回が目安です。
- 痛みが出ないように優しく押すのが大切です!
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ツボを押すときは、指の腹で垂直に押します。強さは、気持ちいいと感じるくらい。かるくで十分です。3~7秒くらいかけてゆっくり押し、ゆっくり戻しましょう。回数は1日4~5回が目安。押した直後に痛くなったり、押したところがあざになったりしたらやり過ぎです。「このくらいがちょうどいい」と自分で見極めることも大切ですよ。
ぎっくり背中の痛みは筋膜リリースが効果的
ぎっくり背中への対処法を紹介してきましたが、特に効果的な対処法が筋膜リリースです。
近年では、筋膜の硬さがぎっくり背中に影響するメカニズムがわかってきています。
筋膜は筋肉を包む膜で全身繋がっているため、筋膜が硬くなる事で筋肉も硬くなってしまいます
また、筋膜は全身に繋がっているため、背中に繋がっている筋膜が硬くなる事でもぎっくり背中を引き起こしてしまいます。
具体的には、
- 胸
- お腹
- 腰
- 首
など、
身体の様々な場所の筋膜の硬さが、ぎっくり背中に影響する可能性があります。
ぎっくり背中の原因が筋膜である場合は、「筋膜リリース」が効果的です。
筋膜リリースとは、筋膜が硬くなっている部分に対して穏やかな伸張刺激を与えつつゆっくりと伸ばすことです。
筋膜の硬さが痛みの原因の場合、ストレッチやマッサージで筋肉をほぐすことに加え、
筋膜リリースで筋膜の硬さもほぐしていかないと根本的な解決には繋がりません。
また、筋膜リリースは自分ですることも不可能ではありませんが、やり方には注意が必要です。
本来の筋膜リリースは筋肉を覆っている薄い筋膜に対して刺激を与えるものなので、筋肉自体を強く押したりはしません。
ですが、一般的に知られている筋膜リリースはフォームローラーなどを使って、筋膜をほぐしたい部位に対してゴロゴロするものですが、
これでは筋膜だけでなく、筋肉にも強い刺激が加わってしまいます。
筋膜もほぐせるかもしれませんが、筋肉の損傷や炎症を起こす原因になり、
痛みを良くしたくてやったのに、かえって痛みが強くなってしまう可能性もあるので注意が必要です。
ぎっくり背中をいますぐ治すなら理学ボディ
そんな筋膜リリースですが、理学ボディでは筋膜リリースを専門にやっています。
なので、適切な部位に正しく筋膜リリースをすることができ、
多くの方が3回以内の施術で症状が改善しています。
こちらの記事では、実際にぎっくり背中の痛みに悩まれて当院を受診し、
一回の施術でぎっくり背中の痛みが改善した方の実例も紹介しています。
実際の施術例から詳細を知りたい方はぜひご覧ください!
もちろん、必ずとは保証できませんが、自信を持って施術していますので、
ぎっくり背中の痛みを何とかしたいと思うなら、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
ぎっくり背中に対するツボの効果や痛みへの対処法を紹介しました。
痛みが弱い場合や痛みへの対症療法としてツボ押しを行う事は効果的です。
しかし、痛みが強い場合や病院の受診が必要です。
また、ぎっくり背中を根本から改善したい場合は、姿勢の修正や身体の使い方の見直しが必要です。
筋膜リリースを行い、根本からの治療をする事も効果的です。
癖になりやすい「ぎっくり背中」への対処法を適切に行い、痛みなく快適な生活をお過ごしください。