「長く座っているとお尻が痛くなってくる」
「座っていてお尻が痛いのは病気?」
などと悩むことはありませんか?
座りっぱなしでお尻が痛くなってしまうのは座り姿勢が悪い場合もありますが、
坐骨神経痛や椎間板ヘルニアなど病院に行くべきケースもあるため、見極めが必要です。
本記事では、動作や痛みの専門家である理学療法士が座りっぱなしでお尻が痛くなる原因や対処法について詳しく解説していきます。
目次
座りっぱなしでお尻が痛い時に考えらえること
そもそも座りっぱなしでお尻が痛いのはなぜでしょうか?
座りっぱなしでお尻が痛い時に考えられることは主に以下の4つです。
それぞれ確認していきましょう。
- 座り方に問題がある
- 筋肉の痛み
- 神経による痛み
- その他(環境要因)
座り方に問題がある
座りっぱなしでお尻や腰が痛くなってしまう原因として、まず考えられるのは座り方がに問題があるケースです。
最初は背筋を伸ばして座っていても、それが長時間となるとだんだん楽な姿勢をとってしまいがちです。
この崩れた座り方こそが、痛みに直結してしまっているケースが多いです。
その問題の座り方というのが以下の2つです。
- ずっこけ座り(仙骨座り)
- 足を組んで座る
ずっこけ座り(仙骨座り)
ずっこけ座り(仙骨座り)とは、
椅子に浅く腰掛け、上半身を椅子の背もたれによりかかる座り方です。
この姿勢は背もたれによりかかるため一時的にはとても楽な姿勢ですよね。
しかしこの姿勢で長時間座っているとお尻にある”仙骨”という骨に負担がかかります。
負担がかかることで腰からお尻にかけて痛みが起こりやすくなります。
また背中が丸まった姿勢になるため、腰にも大きな負担をかけるため、
腰痛につながったり、将来腰椎椎間板ヘルニアなどの病気につながることもあります。
足を組んで座る
足を組んで座るクセがある方も多いと思います。
足を組んで座っていると骨盤の傾きや歪みにつながってしまいます。
骨盤が歪んだ姿勢が長く続くと身体のバランスが崩れ、腰やお尻・股関節などの痛みにつながります。
具体的には、傾いた体を真っ直ぐに戻そうとして、常に背骨が曲がった状態にってしまいます。
この姿勢が長く続くと、負担のかかる腰〜お尻への痛みにつながります。
悪化すると変形性腰椎症などの疾患につながり場合もあります。
筋肉の痛み
長時間同じ姿勢で座っていると、腰〜お尻にかけて筋肉痛のような痛みが生じることがあります。
お尻の大きな筋肉である大臀筋は、長時間同じ姿勢で座っていると過度に緊張した状態となります。
また、坐骨神経痛の原因ともなる梨状筋は長時間体重がかかりっぱなしになると、これも硬くなってしまいます。
このような緊張状態長く続くことや、同一姿勢による筋肉への過度な圧迫により痛みにつながります。
神経による痛み
神経による痛みで多いのが坐骨神経痛です。
坐骨神経痛による痛みはお尻から足にかけて、しびれのような痛みが起こります。
しびれは「ビリビリ」「ピリピリ」「チクチク」「ジンジン」など、
痛みは「ズキズキ」などと表現される事が多いです。
痛みは片側だけに起こる場合が多いですが、両側にあらわれることもあります。
その他(環境要因)
他にも環境的な要因で痛みが起こることがあります。
- 座面が硬すぎる
- 椅子や椅子の高さが高すぎる/低すぎる
といった不具合が生じると姿勢が崩れてしまいやすくなります。
無理な姿勢が長時間続くと腰やお尻・足などに痛みが起こる場合があります。
座りっぱなしで骨があたって痛むなら?
「骨があたって痛い」と感じる場合もあるかと思います。
特に、ずっこけ座りのように座り姿勢が崩れてしまうと、仙骨というお尻の上の骨が椅子と当たって痛みが生じてしまいます。
こういった場合は、座り方を直す・正しい姿勢で座ることが大切です。
また、痩せ型でお尻の筋肉量が少ない人では、お尻の尾骨という骨が椅子に当たって痛みが起こる場合が考えられます。
この場合では、痛みを減らすためにクッションを椅子の座面に引くなどの対策がおすすめです。
座りっぱなしでお尻周りがズキズキ痛むなら?
「お尻から足にかけてズキズキと痛い」
「お尻が痺れるような感じがする」
このような場合は上記でも挙げた坐骨神経痛の可能性があります。
坐骨神経痛とは坐骨神経という腰から足先までつながっている太くて長い神経が圧迫されておこる痛みの総称です。
この坐骨神経が圧迫されると、電気が走ったような痛みや痺れ・麻痺などを起こします。
「ビリビリ」「ピリピリ」「チクチク」「ジンジン」「ズキズキ」などの痛みは坐骨神経痛かもしれません。
痛みが出る部位は人によって異なります。
腰からお尻・太ももにかけてのしびれや痛みが多いですが、人によってはふくらはぎ、ひざの裏、すね、足先などに痛みが出ることもあります。
この坐骨神経痛が起こる原因は様々ありますが、梨状筋症候群と呼ばれる疾患が原因の場合があります。
坐骨神経はお尻の深いところにある梨状筋の中を通っており、梨状筋に負荷がかかって筋肉が硬くなると、坐骨神経を圧迫しお尻や太ももなどにしびれや痛みを起こします。
これを梨状筋症候群と呼んでいます。
この梨状筋症候群は、長時間のデスクワークや運転などの座った姿勢や、中腰の姿勢など梨状筋に負担がかかる状態が長く続くと起こります。
梨状筋症候群はストレッチや筋膜リリース・姿勢の改善などで症状を軽減することができる場合が多いです。
見過ごすと危険な3つのケース
「休めば治るから」
「生活は出来ているから」
などと長期間放置しておくと痛みや痺れが悪化するケースもあります。
最悪の場合、歩くことが難しくなったり、生活や仕事に支障をきたすこともあります。
ここでは見過ごすと危険な3つのケースについて解説します。
- 腰部脊柱管狭窄症
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰椎すべり症
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは、背骨の間にある椎間板が変形し神経を圧迫することで様々な症状が起こる病気です。
症状としては腰痛や足のしびれがあります。
腰痛は安静にしているとほとんど症状がありませんが、歩いている時や立っている時は痛みが起こりやすくなります。
痛みは歩いている時や立っている時に強くなり、座っていたり前かがみの時は軽減することが多いです。
合わせて太もも〜足にかけてしびれが起こることもあります。
進行すると、下肢の力が落ちたり、肛門周囲のほてりや尿の出がわるくなったり、逆に尿が漏れる事もあります。
また間欠性跛行という特徴的な症状があります。
間欠性跛行とは、歩くと足にしびれや痛み・疲労感などが起こり、座って休むと症状が軽減し、再び歩くと、また痛みやしびれが起こるという症状で、連続して長い距離を歩くことが難しくなります。
脊柱管は背骨、椎間板、関節、黄色靱帯などで囲まれた脊髄の神経が通るトンネルです。年をとると背骨が変形したり、椎間板が膨らんだり、黄色靱帯が厚くなって神経の通る脊柱管が狭くなって(狭窄)、それによって神経が圧迫を受け、神経の血流が低下して脊柱管狭窄症が発症します。
進行すると、歩行や日常生活に支障をきたすため、重症例では手術も適応になります。
治療としては、筋力低下を予防するリハビリテーションやコルセットの着用、
重症例では神経ブロック注射や手術が適応となることもあります。
腰椎椎間板ヘルニア
腰痛椎間板ヘルニアとは、背骨の間にあるクッションの役割をしている椎間板が、神経を圧迫してしまう病気です。
症状は腰やお尻〜足の痛み・足に力が入りにくいなどの症状があります。
ヘルニアは上記の狭窄症と症状が似ていますが、痛む動作が異なります。
狭窄症は腰を反った状態(歩く・立つ)で痛みが強くなり、座った状態など腰を丸めると症状が軽減します。
ヘルニアは反対に腰を反った状態の方が痛みが少なく、腰を丸めた状態では痛みが強くなる傾向があります。
治療としてはコルセットの着用や痛みや炎症を鎮めるための薬の内服、筋力低下を予防するリハビリテーションなどが適応となります。
重症例では神経ブロック注射や手術が適応となることもあります。
腰椎すべり症
腰椎すべり症とは、積み木のように連なっている背骨にある骨が文字通り前方へ滑り出してしまい、様々な症状を引き起こす疾患です。
腰椎には馬尾神経を入れた硬膜管が通っている孔があり、これを脊柱管といいます。
「すべり症」では腰椎がずれることによって脊柱管が狭くなり、馬尾神経や神経根が圧迫されて症状が出ます。
腰椎すべり症は、大きく背骨や椎間板などの変性によって起こる「変性すべり症」と、腰椎分離症に続発する「分離すべり症」とに分けられます。
神経が圧迫されると、腰部脊柱管狭窄症と同じような症状が起こります。
腰痛や足のしびれなどの症状が起こります。腰部脊柱管狭窄症と同様に間欠性破行も起こります。
治療としてはコルセットの着用や筋力低下を予防するリハビリテーション・痛みを減らすための内服治療などがあります。
重症例では骨を固定するための固定術などの手術が適応となる場合もあります。
座りっぱなしでお尻が痛い時の5つの対処法
ここまで座りっぱなしでお尻が痛くなる原因について解説してきました。
ここからどうすれば痛みを減らすことができるのか対処法を解説します。
ここでは対処法を5つ紹介します。
- 座り方を見直す
- ストレッチ
- マッサージ
- 適度に休憩する
- 椅子やクッションを見直す
座り方を見直す
痛みをなるべく起こさないために正しい座り方を解説します。
以下の2つのポイントを押さえて、正しく座ることで痛みが起こりにくくなります。
- 椅子に深く座る
- 背もたれに沿うように座る
椅子に深く座る
椅子に座る際は、深く座ることがポイントです。
椅子に深く腰かけ骨盤を立てた状態がおすすめです。
背もたれに深く座り状態を起こすと、お尻がしっかりと椅子についた状態になりこの姿勢が良い姿勢です。
反対に椅子に浅く座ってしまうと背中と背もたれの間に距離ができてしまいます。その状態で背もたれに寄りかかると、ずっこけ座り(仙骨座り)になってしまいます。
仙骨座りは一時的にはとても楽な姿勢ですが、長時間続くと腰やお尻周囲に痛みが起こる場合があります。
背もたれに沿うように座る
背もたれに強く寄りかかるのではなく、軽く沿うようにするのがおすすめです。
背もたれに強く寄りかかると、お尻が前方に滑りやすくなり姿勢が崩れて仙骨座りになりやすくなります。
ストレッチ
梨状筋が硬くなることで坐骨神経痛などの痛みやしびれが起こりやすくなります。
ここでは梨状筋をほぐすストレッチを紹介します。
椅子でできるストレッチとうつ伏せで行うストレッチの2種類を紹介します。
- やや浅く椅子に腰かけます
- 右足首を左ひざに乗せます
- そのまま股関節から上半身を前に倒します
- お尻が伸びているのを感じる位置で深呼吸しながら30秒〜1分キープします
- 元に戻って反対も同様におこないます
- 片側2〜3回ずつ繰り返します
<ポイント>
足の裏が床につく高さの椅子でおこないましょう。
胸に足を近づけるイメージで上半身を倒し、腰や背中が丸まり過ぎないようにしましょう。
- 床にうつ伏せになります
- 右手で右足首をつかみます
- そのまま外側から内側、内側から外側へ揺らすように10回動かします
- 外側に引っ張って20〜30秒キープします
<ポイント>
うつ伏せで行えるストレッチです。
ヨガマットやカーペットの上などで行い、足が痛くならないようにしましょう。
マッサージ
テニスボールやマッサージボールを用いたマッサージもおすすめです。
一番簡単な方法としては、お尻の下にテニスボールを置き、転がす方法です。
自分で力加減を調整することができるため、痛気持ちいい程度の強さで行うのが良いです。
他にも当院が紹介している下記の動画を参考に、マッサージを試してみるのもおすすめです。
適度に休憩する
良い姿勢で座っていても長時間同じ姿勢で過ごしていると、腰やお尻などに痛みが起きてしまう場合も多いです。
最低でも2時間に1度程度は立ち上がり休憩することも大切です。
椅子やクッションを見直す
椅子やクッションなど環境を見直すことも大切です。
適切な椅子は、座った時の姿勢で、膝と足首が直角(90度)になる高さの椅子が自分に合っている椅子です。座面が高すぎても低すぎても痛みにつながってしまいます。
椅子を選ぶことができる際は膝と足首が90度になる椅子を選びましょう。
クッションなどを用いて高さを調整することもおすすめです。
また、座面が硬すぎる場合は座面にクッションを敷くことで痛みを軽減できます。
特に体格が痩せすぎの方は座面が硬いとお尻が痛くなってしまうため、クッションを敷くことをおすすめします。
体圧を分散するゲルクッションなども商品もありますので、気になる方は検索してみてください。
今すぐ痛みをどうにかしたいなら?
「なかなか痛みが軽減しない」
「ストレッチや筋トレの方法が合っているかわからない」
などの方は、理学ボディでの施術を受けることをおすすめします。
理学ボディは全国各地に店舗があり、スタッフが全員理学療法士の資格を保持していることも特徴です。
国際的に認知されている筋膜リリースという技法を用いてあなたの痛みを即時的に解消する施術を行っております。
痛みや痺れなどの症状が悪化してしまう前に、ぜひ一度当店へご相談ください。
まとめ
座りっぱなしでお尻が痛くなる原因と対処方法について解説しました。
座りっぱなしでお尻が痛くなってしまうのは座り姿勢が悪い場合もありますが、
坐骨神経痛や椎間板ヘルニアなど病院に行くべきケースもあるため、見極めが必要です。
良い姿勢で座ること・椅子を見直すこと・ストレッチをすることなど様々な対処方法を解説しましたので、参考にしてください。
「痛みを早く取りたい」「専門家の施術を受けたい」などとお考えの方、
当院は最短で痛みを改善させる事に全力を注いでいる整体です。
ぜひ、お気軽に相談ください。