「登山をするとどうしても膝が痛くなる」
「登山は楽しいけど、膝が痛くて・・」
こんな悩みを抱えていませんか?
登山中に起こる”膝の痛み”は起こりやすいトラブルの一つです。
それにも関わらず、多くの人は単なる筋肉痛や疲労、年齢によるものと我慢してしまいます。
しかし、意外にもこれらの原因は登山中の歩き方に問題があることが多く、歩き方次第で何倍も痛みが誘発されやすくなってしまうんです。
そもそも膝は、登り下りをする際の衝撃を吸収してくれる役割があります。
そのため、膝に負担のかかる歩き方で長時間の登山を続けると何かしらのエラーが生じて痛みにつながってしまいます。
本記事では、動作や痛みの専門家である理学療法士が登山の膝痛の原因や対処法・登山の正しい歩き方について詳しく解説していきます。
正しい歩行の仕方を身につけて、膝の痛みを減らしていきましょう。
目次
登山は膝痛になりやすい?
登山において、膝の痛みは最も起こりやすいトラブルです。
膝は登山において負荷がかかりやすい部位のため、痛みや違和感を感じやすいです。
登る動作でも痛みは起こりますが、特に下山時に痛みや違和感が起こるという方が多いのではないでしょうか。
登山で膝の痛みを感じる場合、考えられる原因としては、炎症や筋肉痛・疲労によるものが多いです。
重い荷物を持って舗装されていない道を長時間歩行するため、膝には大きな負担がかかります。
膝に大きな負担がかかった状態が長く続くと、膝関節の炎症や周囲の筋肉の筋肉痛・疲労などの症状として現れます。
痛みのほとんどが一時的なダメージであり、登山後に安静にしたり筋トレをすることで軽減します。
しかし、中には関節に問題があるケースもあるため、原因や対処法を確認していきましょう。
登山の膝痛で考えられること
登山で起こりやすい膝痛の原因を4つ挙げたので順番に解説します。
以下の4つの原因が多いです。
- 膝の炎症
- 変形性膝関節症
- 筋肉による痛み
- 疲労によるもの
膝の炎症
登山では膝の炎症がおこりやすいです。
登山では普段歩かないような舗装されていない道を重い荷物を背負って長時間歩きます。
その際、膝は体重を支えたり、転ばないようにする役割を担っています。
膝を支える筋肉として太ももに前側についている大腿四頭筋という筋肉があります。
大きい筋肉で、登山の登り下り動作でも中心的な役割をしてくれます。
特に下り動作で”ドスン”と勢いよく着地をしたり、大股の速いスピードで下り動作を長時間続けていると、大腿四頭筋には非常に大きな負担がかかります。
この状態になると大腿四頭筋についている腱や膝関節周囲の組織は炎症をおこし、膝関節周囲の痛みや腫れ・膝に熱っぽさにつながります。
基本的に炎症は2〜3日程度で治るため、膝に負担がかかる過度な筋トレや運動は避け、安静に過ごすことをおすすめします。
炎症は登山を始めたばかりの方、久しぶりに登山をする方、普段よりも険しい山に挑戦した時などに起こりやすく、登山に慣れていたり、頻繁に登山をする方は起こりにくいです。
変形性膝関節症
変形性膝関節症も膝痛の原因となります。
変形性膝関節症は膝関節にある関節軟骨という部分がすり減ったり、弾力性を失うことで起こる病気です。
原因は関節軟骨の老化によることが多く、肥満や素因(遺伝子)も関与しています。また骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として発症することがあります。
加齢によるものでは、関節軟骨が年齢とともに弾力性を失い、遣い過ぎによりすり減り、関節が変形します。 参照元:日本整形外科学会
膝にある関節軟骨は膝にかかる衝撃を吸収するクッションの役割や、関節の曲げ伸ばしをスムーズにする役割があります。
この関節軟骨の機能が低下すると、膝にかかる衝撃を吸収できず、痛みが出たり、膝関節が変形してしまいます。
変形性膝関節症は女性に多く、高齢になるほど変形性膝関節症になる人は増えます。
主な症状としては、膝の痛み・膝関節の変形です。
初期は歩き始めや立ち上がり・階段の昇り降りなどの動作時だけ膝が痛くなります。
徐々に悪化すると、安静にしている時も膝が痛い状態になります。
膝が痛いことによって、歩行や移動が大変になり日常生活に介助が必要となる方もいます。
治療としては症状が軽い場合は、痛み止めの内服や関節内の注射・リハビリテーション・装具の着用といった治療が適用となります。
リハビリテーションでは、変形性膝関節症が悪化しないよう、膝周囲の筋肉の筋力強化や痛みが少ない日常生活の動作練習などを行います。
症状が進行し、日常生活を送ることが困難な事例では、手術が検討されます。
内視鏡で行うものや人工の関節に変える手術もあります。
変形性膝関節症の状態で登山を行うと、膝の痛みが出やすくなります。
膝の痛みが強い・痛みが引かないなどの場合は、変形性膝関節症の場合もあるため整形外科への受診をおすすめします。
筋肉の痛み
膝の炎症と同様に筋肉による痛みが原因の場合も多いです。
筋肉の痛みとはいわゆる筋肉痛のことです。
筋肉痛は、普段使わない筋肉を使用したり、同じ動作を繰り返すことで起こります。
登山では斜面を昇り降りするため、足の筋肉痛がおこりやすいです。
膝を支える大腿四頭筋やハムストリングスといった太ももの筋肉や、前脛骨筋や下腿三頭筋などのふくらはぎの筋肉も登山では筋肉痛になりやすいです。
筋肉痛は運動によって筋肉の繊維に小さな傷ができ、その傷が治る過程で炎症がおこります。
その炎症が痛みや損傷部位の熱感として現れます。
症状は運動した日の夜~翌日・翌々日に起こるなど発生するタイミングは人によって違いますが、数日で自然に回復します。
疲労によるもの
疲労によって膝の痛みが起こる場合もあります。
登山では重い荷物を背負って長時間舗装されていない道や斜面を歩くため、日常生活以上に膝には大きな負担がかかり、膝周りの筋肉が疲労し痛みが出現する場合もあります。
筋肉や筋肉周囲の組織に炎症がおこり、痛みの症状が出ます。
痛みがおこりやすいのは、膝周囲の筋肉です。太ももの前側にある大腿四頭筋や太ももの外側にある腸脛靭帯などが多いです。
一時的な炎症のため、2〜3日程度で炎症が治まり痛みは軽減しますが、重症例では強い痛みや痛みの治りが遅くなることもあります。
登山で膝痛になる7つの原因をチェック
登山において膝が痛くなる原因を7つ挙げましたので、1つずつチェックしていきましょう。
- 関節に問題がある
- 筋力不足
- 体が硬い
- 歩き方に問題がある
- 歩き過ぎ
- 荷物が重すぎる
- 靴が合っていない
関節に問題がある
上記で解説した変形性膝関節症や関節炎・半月板損傷など膝関節におこる病気などを指しています。
関節に問題がある場合、登山の斜面を昇り降りする動作によって膝に負担がかかり、痛みが出現しやすくなります。
軽症の場合、登山時のみ膝が痛くなりますが、進行してくると日常生活の階段の昇り降り動作や坂道の歩行などでも痛みが出現します。
筋力不足
足の筋力は関節にかかる体重や負担を減らす役割があります。
そのため、足の筋力が弱くなると、関節に大きな負担がかかります。
特に太ももの筋肉(大腿四頭筋など)は膝を支える大切な筋力です。
筋力が不足している状態で登山を行うと、膝に大きな負担がかかり痛みをおこしやすいです。
この記事の後半でおすすめの筋トレを解説しています。
体が硬い
体が硬すぎる場合も痛みの原因になります。
特に、股関節や足首が硬く関節の動く範囲(=可動域)が狭くなってしまっていると、登山の際に股関節や足首が上手に使えず、膝関節が代償することになります。
股関節・膝・足首それぞれの周りにある筋肉を上手に使えると負担を分散することができます。
しかし体が硬いと、膝関節や膝周りの筋肉が過剰に働くことになり、大きな負担となってしまいます。
この状態のまま長時間の登山を行なっていると、膝周囲の筋肉や関節に痛みが現れやすくなります。
関節の可動域を広げるためには筋肉を伸ばすストレッチがおすすめです。
この記事の後半でおすすめのストレッチを解説しています。
歩き方に問題がある
登山の際の歩き方によって痛みを起こすこともあります。
もともと膝がO脚やX脚などの変形がある・痛みを抱えているといった方などは特に注意が必要です。
体の外側に重心が偏ってしまうガニ股歩きや、膝とつま先がバラバラの方向を向いてしまうといった姿勢で歩いているケースがほとんどです。
この状態で登山を繰り返していると、膝周りの筋肉や関節に痛みが生じてしまいます。
また、膝への負担は特に下山の際にかかりやすくなります。
特に、
- 下る際に前側の足に重心を残したまま”ドスン”と勢いよく着地する
- 大股の速いスピードで下る
- 足を捻った状態で着地する
などの歩行は特に膝を痛めやすいです。
身体への衝撃を和らげようと、膝や膝を支える大腿四頭筋が過度に働いてしまいます。
何度もこの衝撃が加わることで膝関節やその周囲の筋肉を痛めてしまうのです。
歩き過ぎ
登山は平地の歩行よりも多くの筋力や体力を使います。
そのため、特に下山時になると体力的にも足の筋力的にも疲労してきます。
歩き過ぎて疲労してくると、足全体の筋力が使えず、使いやすい大腿四頭筋ばかりに頼った歩行となってしまいます。
大腿四頭筋ばかりに頼った歩行を繰り返していると、太ももの前側〜膝の上側が痛くなったり、膝がガクガクする、太ももの前側に力が入りにくくなるなどの状態になります。
この状態で長く登山を続けていると痛みにつながります。
荷物が重すぎる
荷物が重すぎることも膝の痛みの原因になります。
荷物が重すぎると荷物の重さで後方重心になりやすかったり、反対に猫背の姿勢でリュックを背負ってしまいがちです。
このような普段の姿勢とは異なる崩れた姿勢で登山を続けると、膝に限らず、腰や肩など身体全体の痛みの誘発につながります。
靴が合っていない
登山靴はさまざまなタイプのものがあります。
登山靴は長時間歩いても負担が軽減できるよう靴底部分が硬くなっています。
靴底を硬くすることで、舗装されていない道でも安定して歩くことが出来るようになっています。
また他にもくるぶしまでカバーできるようになっている登山靴もあり、バランスを崩した時や舗装されていない場所に着地した際に、足首が捻挫しないようにする役割もあります。
合わない靴を着用したまま長時間の登山を続けると、膝や股関節が庇うようため、関節に負担がかかり痛みの誘発につながります。
特にサイズの合っていない靴や靴底の薄い靴などを履いていると足底に力が入りにくくなり、足全体の力を使えず、使いやすい大腿四頭筋に頼った歩行となり膝に痛みが起こりやすくなります。
登山の膝痛に効く7つの対処法
膝痛に効く対処法を7つまとめました。
1つずつ確認していきましょう。
- 痛みが強い時は安静
- ストレッチ
- マッサージ
- 筋トレ
- 歩き方の見直し
- 荷物を減らす
- 足に合った靴を選ぶ
痛みが強い時は安静
痛みが強い時は、筋肉の繊維や関節内の組織が炎症をおこしている場合が多いです。
そのため炎症がおさまるまでは、安静にすることも大切です。
炎症は安静にしていると2~3日で治ります。
炎症が起きている時に、痛みがある場所の筋トレなどをするのは逆効果です。
筋トレや負荷の高い運動はせず、クーリングなどをして安静に過ごすようにしましょう。
ストレッチ
股関節や足首が硬いと膝への負担が大きくなります。
ストレッチは関節の可動範囲を拡大することができるため、体が硬い方におすすめです。
体が柔らかい方でも、運動前にストレッチを行うと筋肉を痛めにくくなります。
おすすめのストレッチを2つ紹介します。
- 前もものストレッチ
- ふくらはぎのストレッチ
- 床に座って脚を真っすぐ前に伸ばす
- 体を前に倒して、手をつま先まで伸ばす
- ゆっくり元の体勢に戻す
膝を伸ばして行った方が筋肉が伸びますが、体が硬く痛みがある方は少し膝を曲げた状態で行いましょう。
マッサージ
膝のお皿(膝蓋骨)の周りには脂肪体という膝の動きを滑らかにする組織があります。
その脂肪体が固くなると関節が動かしにくくなり、痛みにつながります。
脂肪体は膝のお皿の下や横部分に多いため、マッサージしてほぐすだけでも関節が動かしやすくなるため効果があります。
筋トレ
太ももの筋肉は膝関節にかかる負担を減らしてくれるため太ももの筋力強化も大切です。
おすすめの筋トレを2つ紹介します。
- スクワット
- プランク
<方法>
- 足を肩幅より大きく開きます
- つま先が45度程度外側に開きます
- 腰が反らないようにしながら膝が直角になるまで腰を落とします
- はじめは10〜20回程度行い、慣れてきたら回数を増やしましょう
<目的>
大腿四頭筋や内転筋・臀筋の強化につながります。特に大腿四頭筋を強化すると膝にかかる負担を減らしてくれるため、筋力低下による膝の痛みが軽減します。
<方法>
- 両肘を床につけ、うつ伏せになります
- 腰を浮かせ、背筋をまっすぐに伸ばす頭・背中全体・腰・かかとが一直線になるように姿勢をキープします
- 30秒程度キープし、慣れてきからキープする時間を長くしていきましょう
<目的>
体幹の筋力強化を行うと、舗装されていない道を歩く際のふらつきが軽減するため、膝にかかる負担が少なくなり、膝の痛みを減らすことにつながります。
<注意点>
腰がそりすぎたり、反対に背中が丸まらないように実施しましょう。
歩き方の見直し
登山の歩き方によって膝の痛みをおこす方も多いため、歩き方の見直しも必要です。
登山での正しい歩き方とは
- 下る際に後ろ側の足に重心を残しながらゆっくり下る
- 小股で下る
- 足を捻らず膝とつま先の向きを揃えて登り下りをする
この3つのポイントが特に大切になります。
記事の後半で登山の膝痛を予防する!正しい歩き方を解説しています。
荷物を減らす
必要最低限の荷物にとどめ、肩・腰・膝の負担を減らしてあげることも大切です。
どうしても荷物が重くなってしまう場合は、休息を多めに取り荷物を下ろす時間を作りましょう。
足に合った靴を選ぶ
自分に合った靴を選ぶことも大切です。
- 靴のつま先部分で足指が自由に動かせる空間があるか
- かかと部分が硬くてしっかりと支えられる靴か
- 靴の全方部が柔らかく、足指の付け根が楽に曲げられるか
- 靴やマジックテープでしっかりと固定ができるか
登山の膝痛を予防する!正しい歩き方
登山で起こりやすい膝痛を予防するために正しい歩き方を確認していきましょう。
登りの場合
2つのポイントを確認しましょう。
- 体はまっすぐにする
- 足をまっすぐにして登る
- 足全体で地面に着地する
体はまっすぐにする
体が反り過ぎていたり、重いリュックによって猫背になっていたり、悪い姿勢で登っていると膝や腰が痛くなりやすいです。
舗装されていない道を登るため視線がしたに行きがちですが、なるべく前を向いて体をまっすぐにして登るようにしましょう。
足をまっすぐにして登る
つま先と膝の向きがまっすぐになった状態で登れることが理想です。
膝から下を捻ってたり、つま先が回旋した状態で繰り返し力を入れ続けていると、膝に回旋ストレスがかかり、痛みにつながりやすいです。
足底全体で地面に着地する
登り動作ではつま先だけに力を入れてしまうことも多いです。
つま先だけで登ると転ばないよう膝や股関節に負担がかかりやすくなり、膝の痛みにつながります。
痛みを起こさないように足の裏全体で地面に着地するようにすると、痛みが起こりにくいです。
下りの場合
2つのポイントを確認しましょう。
- 後ろ側の足に重心を残して下る
- 小股で歩行する
後ろ側の足に重心を残して下る
下り動作で前側の足に重心をかけてしまうと勢いよく下りそうになりため、それを制御しようと前側の足の膝に大きな負担がかかります。
そのため、後ろ側の足の膝を少し曲げて重心を後ろに残しながら下りられると膝への負担が少なくなります。
ゆっくり着地すると大腿四頭筋だけでなく足全体の筋肉を使うことができます。
小股で歩く
下り動作はどうしてもスピードが出やすく大股歩行になりやすいです。
大股歩行で歩くと”ドスン”と勢いよく着地してしまいます。勢いよく着地する動作を繰り返し行っていると、膝にとても大きな負担がかかります。
”ドスン”と着地しない程度に少し歩幅を小さくして下れると膝への負担が少なくて済みます。
今すぐ痛みをとるなら理学ボディへ
「なかなか痛みが軽減しない」
「ストレッチや筋トレの方法が合っているかわからない」
などの方は、理学ボディで施術を受けることをおすすめします。
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まとめ
登山で膝が痛くなる原因と解決方法について解説しました。
登山を長く続けるためにも、膝痛の予防は大切です。
痛みの多くが、疲労や筋力低下・炎症によるものが多いため、しっかりケアやトレーニングをすると軽減させることができます。
ストレッチや筋トレを実践して、膝痛を減らしていきましょう。
「痛みを早く取りたい」「専門家の施術を受けたい」などとお考えの方、
当院は最短で痛みを改善させる事に全力を注いでいる整体です。
ぜひ、お気軽に相談ください。
前ももが固くなると股関節の動きが悪くなり、膝で代償をすることで膝痛につながります。
登山前にストレッチをすると筋力が発揮されやすくなるので、登山前に行うのもおすすめです。