「手首の、特に小指側が痛い…」と悩んでいるあなたは、たった3つの原因を知ることで適切な対処法が分かります。
- 肩周りが硬い
- 胸が硬い
- 親指が硬い
例えば、手首を動かす際、肩や肘も連動して動きますが、肩が硬いとそれを補って手が動きすぎることが痛みの原因の場合があります。
実際、手首が痛い方は肩周りが硬い方も多いです。
本記事では、『手首の痛みの中でも小指側が痛い時』に焦点を当て、原因と対処法について徹底解説していきます。
手首の小指側が痛い場合に考えられる2つの疾患

手首の小指側が痛い時に考えられるのは主に以下の2つです。
- TFCC(三角線維軟骨複合体損傷)
- 尺側手根伸筋炎
なぜ手首の小指側が痛くなるのか、痛みのメカニズムを徹底的に解説していきます。
TFCC損傷
『TFCC損傷』とは、転ぶなど外傷や仕事やスポーツなどでの手首の使い過ぎによって発症し、手首の小指側の痛みを感じる代表的な疾患です。

TFCCとは、前腕(手首と肘の間)小指側の骨と手のひらをつなぐ靭帯や腱などの総称を指します。
TFCCは手をついたり手首を動かす際、手首にかかる負担を減らしてくれるクッションのような役割があります。
主に手首をひねって受傷することが多いですが、身に覚えがないうちに損傷していることもあります。
クッションの役割が果たせなくなると、周囲の骨や靭帯、腱同士がすれて炎症を起こすことで痛みが出現します。
以下のテストで手首の小指側に痛みが出現する場合、TFCC損傷の可能性が高くなります。
炎症による痛み評価するテスト(Fovea sign)
- 手首小指側の最も外側にある骨の出っ張りをさわる
- 骨の出っ張りの手のひら側を押す
- 痛みがあればTFCC損傷の可能性あり
骨や靭帯が原因の痛みを評価するテスト(Ulnocarpal stress test)
- 手首を真っ直ぐに保つ
- そのまま手首を小指側に倒す
- 痛みが出ればTFCC損傷の可能性あり

尺側手根伸筋腱炎
手首にはいくつもの腱が通っており、その中でも手首の小指側にある腱の炎症を尺側手根伸筋腱炎と呼びます。

いわゆる、腱鞘炎ですね。
手のひらを上に向けたり下に向けたりするドアノブを回すような動きで、腱が骨やその周りの組織とすれて炎症を起こすことで痛みを感じるようになります。
このような手のひらの動きで、本来は小さな溝に収まっている尺側手根伸筋が溝から出たり入ったりします。
これが腱がすれて炎症を起こす原因となっています。
以下のテストで手首の小指側に痛みが出現する場合、TFCC損傷の可能性が高くなります。
小指側の腱鞘炎を評価するテスト(合掌回外テスト)
- 胸の前で手のひらを合わせて合掌する
- 合掌したまま、指を下に向けるように手首を動かす
- この時に痛みが出れば尺側手根伸筋腱炎の可能性あり

小指側の腱鞘炎を評価するテスト(Carpal supination test)
- 肘を90度に曲げる
- 手のひらを上に向けるように動かす
- さらに、手のひらを外に向けるように手首を動かす
- 痛みが出れば尺側手根伸筋腱炎の可能性あり
手首の小指側が痛い場合に考えられる3つの原因

TFCC損傷も尺側手根伸筋腱炎も突然痛くなるわけではありません。
手首の小指側が痛くなるにも原因があり、主に3つ挙げられます。
- 肩周りが硬い
- 胸が硬い
- 親指が硬い
肩や胸、親指の硬さが、なぜ手首の小指側の痛みにつながるのかを徹底的に解説していきます。
肩周りが硬い
ドアノブを回すような動きで手首の小指側に負担がかかると解説しました。
手首を動かす時は手首だけが動くわけではなく、肩や肘も一緒に動いて一か所に負担が集中しないようになっています。
なので、肩周りが硬いと手首を動かす時に肩が動かないので、手首だけでひねることになり、手首に負担が集中するというわけです。
胸が硬い
手首を動かす時、肩や肘も一緒に動いて負担が集中しないようになっていると先ほど解説しました。
しかしさらに、背骨も一緒に動いて手首にかかる負担を減らしています。
例えば、右手で目の前にある物をとろうとすると、胸の辺りを少し左へひねって腕を伸ばしますよね。
この時、胸をひねるのは背骨が左へ動いているからです。
しかし、背骨が動かないと肩や肘が余計に動かなくてはいけず、そのしわ寄せが手首に来てしまい、手首をひねる時の負担が大きくなってしまいます。
親指が硬い
ドアノブを回す動きは肘から手首までの骨がねじれることでできる動きです。
この動きが硬くなると、硬いのを補って、親指を動かして手首を無理やりひねろうとする場合があります。
例えば、手首の親指側の骨をつまんでみてください。
その状態で手首をひねろうと思ってもできません。
それでも無理やりひねろうとするとどうなりますか?
親指を内側に伸ばすか、手首を小指側に倒すかして何とかひねろうとするはずです。
そうやって、親指を使って手首をひねっていると、親指の使いすぎで硬くなってしまいます。
結果的に、親指で頑張って何とか手首をひねっていたのができないので、結局手首への負担が大きくなってしまうのです。
手首の小指側が痛い場合の対処法

日常生活に支障をきたすほど痛みが強い場合などは、まずは整形外科を受診して医師の判断を仰ぎましょう。
具体的には以下のような症状に当てはまる場合は受診を検討しましょう。
- じっとしていても痛みがある
- 手にしびれがある
- 眠れないくらい痛みがある
- 手を動かすと強い痛みがある
- 手や腕が熱い感じがする
- 痛みが次第に強くなって経過している
- 以前に原因となる疾患の診断を受けている場合
これに当てはまらない場合は、肩や親指の硬さを解消することで痛みを解消できる可能性があります。
肩、胸、親指、それぞれの動きを出すためのストレッチを紹介しますので、痛みが起こらない範囲で試してみてください。
ストレッチ
手首にかかる負担を減らすために、肩や胸、親指のストレッチを行いましょう。
肩周りのストレッチ
- 肘から手の平を壁につける
- 壁につけたまま、手とは反対方向に体をひねる
- ひねったまま10〜20秒ストレッチする
胸のストレッチ
- 横向きに寝る
- 下側の足は伸ばし、上側の足は曲げる
- 後ろを振り向くように体をひねる
- ひねったまま10〜20秒ストレッチする
親指のストレッチ
- 肘を90度に曲げる
- 親指の付け根をつまんで、外側へストレッチする
- 10〜20秒ストレッチする
サポーターやテーピング
手首の小指側が痛くなるのは肩や胸の硬さもありますが、手首の使いすぎにあります。
そのため、痛みが強い時期は安静にすることも重要です。
この時期に我慢して動かしすぎると、より炎症を強くしてしまう恐れがあるので、サポーターやテーピングを使って手首があまり動かないようにすることも必要です。
サポーターは手首が覆われているものであれば大丈夫です。
テーピングに関しては巻き方も様々ですが、簡単な方法は手首のしわより少し下をぐるっと一周巻くだけです。
これだけでも手首の動きが制限されるので、痛みが強い時は試してみてください。
まとめ
もし、TFCC損傷や尺側手根伸筋腱炎で痛みが出ているとしたら、整形外科を受診し適切な治療を受けるべきです。
ですが、そうではなく体が硬いことが原因で手首に負担をかけているとしたら、自分で解決できる痛みかもしれません。
本記事を読み、自分はどこが硬いのかを考えていただき、紹介した運動の中でも自分に当てはまる部分を中心に試してみてください。