当院の新型コロナ対策

手首が腫れて痛い場合に考えられる3つの原因と対処法を理学療法士が解説

手首の痛みというと、これまでは年齢による関節の摩耗が原因と考えられていました。

しかし、パソコン作業やスマホの操作などが増えた近年では、手の使い過ぎによる痛みや腫れを訴える若年層が増えています

最近ではコロナの影響もあり、特に在宅ワークが増え、パソコン仕事が増えた結果、手首の痛みに悩まされ当院にくる方も増えている状況です。

本記事ではそんな、手首が腫れて痛い場合に考えられる原因を突き止め、なるべく最短で解決できる方法を解説しました。

 

手首が腫れて痛い場合に考えられる3つの原因

手首の痛みや腫れの原因となる疾患は様々ですが、特に多いものが

  • 腱鞘炎
  • 関節リウマチ
  • 骨折(橈骨遠位端骨折とうこつえんいたんこっせつ

の3つです。

それぞれの原因や痛みのメカニズムについてポイントをおさえておきましょう。

腱鞘炎

手首の痛みや腫れの原因で多いのが、手首の使い過ぎが原因で起こる腱鞘炎です。

痛みのメカニズム

手には5本の指それぞれに2つの腱(曲げるときに働く腱:屈筋腱くっきんけん、伸ばすときに働く腱:伸筋腱しんきんけん)があります。

この2本の腱は手指に向かう途中で腱鞘けんしょうというトンネルの中を通ります。

日常生活やスポーツ、仕事で手を使い過ぎると、腱が傷ついたり、腱鞘との間で摩擦が起き腫れや痛みを引き起こします。

例として、特に多い親指の筋の腱と腱鞘に障害が起こる場合のメカニズムを挙げてみます。

親指を伸ばす短母指伸筋腱たんぼししんきんけんと親指を外に開く長母指外転筋腱ちょうぼしがいてんきんけんの使い過ぎによって、腱鞘けんしょうとの間に障害が起き、痛みや腫れが生じてしまいます。

痛みの原因

基本的には使い過ぎが原因なので、安静にしていれば腫れや痛みは落ち着きますが、無理をして使い続けてしまうと腱鞘炎につながってしまいます。

  • 手の平側に症状が起こるのを「バネ指
  • 親指の付け根に症状が起こるのを「ドケルバン病

と分類されます。

もし『腱鞘炎』かもしれないとお悩みの方は『腱鞘炎の対処法』を覗いてみましょう。

 

関節リウマチ

関節リウマチの症状の一つにも、手首や指先の痛みや腫れがみられます。

特徴的な症状としては、左右どちらかの手首だけではなく両側に同じような症状が現れます。

また、初期症状として朝にこわばりを感じ、しばらく関節が動かしにくくなったり、熱っぽさや怠さを感じるのも関節リウマチに特有の症状です。

痛みのメカニズム

関節リウマチは自己免疫疾患じこめんえきしっかんのひとつとして分類されています。

これは、本来ウイルスや細菌などの外敵から身を守る免疫機能めんえききのうが、何らかの理由で異常をきたし、自分の関節を守る組織や軟骨・骨などを外敵と勘違いして攻撃してしまうために起こります。

これにより、関節に炎症や痛みが生じ関節が動かしにくくなったり、ひどくなると変形を伴ってしまいます。

痛みの原因

リウマチにより手首の痛みや腫れの原因は炎症によるものですが、そもそもリウマチを発症させる原因は明らかになっていません。

体質や遺伝、細菌やウイルス感染、ストレスや喫煙など様々な要因が関係していると考えられています。

もし『関節リウマチ』かもしれないとお悩みの方は『リウマチによる手首の痛みへの対処法』を覗いてみましょう。

 

骨折(橈骨遠位端骨折とうこつえんいたんこっせつ

転んで手をついてしまったときに、前腕の親指側の骨【橈骨とうこつ】の先端(手首側)折れてしまうことをいいます。

痛みの原因とメカニズム

転倒直後にどんどん腫れや痛みが強くなってきたときや、手首が「伏せたフォーク」のような形に変形し、力が入りにくくなるなどの症状がみられる場合はこちらを疑います。

骨粗鬆症こつそしょうしょうで骨が脆くなってしまった高齢者や、閉経後の女性に多くみられますが、若年層でも交通事故による外傷や、高所からの転落などの際にみられます。

もし『骨折』かもと考えている方は『骨折(橈骨遠位端骨折)の対処法』を覗いてみましょう。

 

その他

その他にも、手首の腫れや痛みには蜂窩織炎ほうかしきえんや皮膚炎などの炎症性疾患やガングリオンなどが原因で生じることもあります。

痛みや腫れが日増しに強くなる場合は、早めに受診しましょう。

 

手首が腫れて痛い場合に考えられる疾患別の対処法

腱鞘炎

使い過ぎが原因であるため、まずは局所の安静が第一優先となります。

場合によっては固定装具を装着することもあります。

多くは保存療法で消炎鎮痛剤の服用や、ステロイド注射などを併用します。

中々改善が見られない場合や、何度も繰り返してしまう場合は手術を行います。

 

関節リウマチ

抗リウマチ薬を使った内服での治療が基本となります。

たくさんの種類の中から、数ヵ月ごとに経過をみながら内服薬の追加や変更を行います。

リウマチには活動期(症状が悪化する時期)と、そうではない時期があります。

活動期で腫れや痛みが強い場合は無理に動かさず安静にします。

痛みが落ち着いたら、関節が硬くならないようにストレッチや運動を行います。

 

骨折(橈骨遠位端骨折)

骨折の程度によって、治療法は異なります。

骨折部にずれがない場合は、ギプスなどの固定装具を使用した保存療法が選択されます。

骨がくっつくまでは、基本的には動かす事ができず、4~6週は最低でもギブス固定が必要になります。

その際は医師の許可のもと、指先の曲げ伸ばし運動のみ行うことができます。

骨折部にずれがある場合は、手術が基本となります。

術後の経過をみながら、リハビリを行い少しずつ関節を動かす訓練をしていきます。

いずれにしても、転倒後の腫れや痛みが生じた場合は早めの受診が必要です。

 

手首の腫れの痛みを再発させない予防法

手首の痛みや腫れが強く、炎症が起きていえる時は安静が優先です。

その際は生活動作でできる工夫を優先に行います。

軽い痛みや重だるさが伴うときや、炎症症状が落ち着ついてきたら適度なストレッチ・マッサージを行い、痛みの予防をしていきましょう。

効果的なストレッチ

手首を使う仕事の前や、後に行うと痛みの予防に効果的です。

痛みが出ない範囲で行いましょう。

手首のストレッチ①
  1. 伸ばしたい方の手を前に伸ばし、手の平を上に向ける。
  2. 反対の手で親指以外の4本の指を床の方へゆっくりと伸ばす。
  3. 30秒〜60秒キープ
手首のストレッチ②
  1. 伸ばしたい方の手を前に伸ばし、手の平を下に向ける。
  2. 反対の手で親指以外の4本の指を自分に向かってへゆっくりと伸ばす。
  3. 30秒〜60秒キープ
指のストレッチ
  1. 手の平が下を向くように、机の上にのせる。
  2. 伸ばしたい指を一本ずつ机から離すように反らせる
  3. 20秒〜30秒キープ

 

手首に負担を掛けないための工夫

特に手を使う仕事やスポーツをしていなくても、パソコンやスマホの操作や家事など、日頃の生活の中で手首への負担は意外と大きいです。

日頃からの痛みの予防が大切となります。

日常生活での工夫
  • スマホは両手で持ち、長時間の利用は避ける
  • パソコン作業の前後にはストレッチ、1時間に1回は休憩を
  • 料理で使用するお鍋などはなるべく両手で持つ
  • 物を運ぶときは両手で、なるべく体に近づけて持つ
  • カバンはなるべくリュックなどを意識的に選ぶ
  • スポーツや仕事で手を使う際は、サポーターなどを利用する

 

まとめ

手首の痛みや腫れの原因は探ると様々ですが、多くは「腱鞘炎」「関節リウマチ」「骨折」が関係していることが多いです。

痛みや腫れなどの炎症症状が強いときは、基本的に安静が第一ですが、骨折などでは緊急性の手術が必要となる場合もあります。

また、そのほかの疾患でも痛み止めや内服で痛みが楽になる場合も多くあります。

無理に我慢せずに、なるべく早く受診し適切な治療を受けられるようにしましょう。

また、痛みの予防となるストレッチや日常で行える工夫を実践してみましょう。


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ABOUT US
木城 拓也
理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。 その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。 筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。
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