この記事を監修している人:木城 拓也(理学療法士免許所有)
理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。
木城先生
日常生活を送るなかで、手首の痛みを感じることはないでしょうか。
手首の小指側だけ痛い場合、TFCCと呼ばれる部位が原因となっていて、本格的な治療が必要になる可能性もあります。
本記事では、手首の小指側の痛みの原因や診察方法と併せて、予防法も紹介していきます。
手首に痛みを感じる方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
手首の小指側が痛い。もしかするとTFCC損傷?
手首の小指側が痛いと感じるときは、TFCCが損傷している場合が考えられます。
人間の手首にはTFCCと呼ばれる部位があり、痛みの原因になることがあります。
TFCCとはどのような働きをする部位なのでしょうか。
また、なぜこの部位に痛みが発生するのでしょうか。
1つずつ解説していきます。
TFCCってなに?

TFCCとは、「Triangular Fibro Cartilage Complex」の略で、日本語に訳すと三角線維軟骨複合体です。
TFCCは手根骨と呼ばれる骨の一部で、小指に近い手首部分に位置しており、手と手首の安定化や、手首の曲げ伸ばしの動きを支えている存在です。
三角線維軟骨とは?
三角線維軟骨複合体(TFCC)は、手首の小指側にある身体の組織で、手根骨と前腕骨の間に位置します。
三角線維軟骨複合体は、手首の安定性を保ち、荷重を分散させる役割を果たす存在です。
橈尺靭帯とは?
橈尺靭帯は、手首にある重要な身体の組織で、トライアングル・ファイバーカーティラージ・コンプレックス(TFCC)とも呼ばれます。
この部位は手首と腕の間で円盤のような役割を果たし、手首の適度な動きを維持し、荷重を分散する役割を担う部位です。
TFCC損傷の症状について
三角線維軟骨複合体(TFCC)の損傷は、特に手首の小指側に痛みを引き起こします。
TFCCを損傷していると、以下のような動作をするときに痛みが強く出ます。
- 手首を曲げる
- 物をつかむ
- 重いものを持ち上げる
- 押したり引いたりする
TFCCの損傷によって、まれに手首の腫れや可動域の制限などのほかの身体的な症状が現れることもあります。
さらに重症な場合には、手首全体に渡る慢性的な痛みや小指側の痛みが伴い、物を握る力が弱くなるなどの症状が現れることもあるでしょう。
TFCC損傷の原因について
TFCC損傷の原因は、以下のとおりです。
- 手首の捻挫や挫傷
- 手首の使用過多
- 日常的に運動をしている
- 肉体労働が多い
- 加齢に伴う摩耗
- 骨の異常
- 関節炎
日常的に運動をしている方や、肉体労働の多い方は、TFCCを損傷しやすい傾向があります。
また、加齢に伴う一般的な摩耗や骨の異常や関節炎も、TFCC損傷の原因の一つです。
手首の痛み以外にも症状が出ている方に向けた記事も紹介しております。
ぜひ参考にしてください。
TFCC損傷の診断方法について
TFCC損傷の診断方法について、実際に検査の際に行われる確認方法やMRI検査の重要さも含めて解説します。
診察・診断方法について
TFCC損傷の診断は、おもに症状と物理的診察、そして画像診断により行われる検査からなります。
診断方法は、以下のとおりです。
- 医師による患部の痛みや違和感、手の動きに制限があるかの聞き出し
- 手首の動作確認
- 特定の押し方で痛みが増したりするかどうかの物理的な診察
- MRIやX線などの画像診断
これらの診断方法により、TFCC損傷は正確に診断されます。
MRI検査について
TFCC損傷の診断には、MRI検査を行うこともあります。
手首の痛みは、リウマチ性疾患や腱鞘炎などほかの疾患でもよく現れる症状です。
それらの症状が、ほかの病気によるものではないかを確認するために、MRI検査はとても有効です。
TFCC損傷の治療について
TFCC損傷の治療は、部位の損傷具合によりリハビリで回復できる場合もあります。
その一方で、手術が必要になることもあります。
それぞれの治療法は、以下のとおりです。
スプリント療法
1つ目の方法は、スプリント療法です。
TFCC損傷が軽度の場合、この療法が適応されます。
患部に適したスプリント(装具)を装着し、手首の安静化を図ることで自然治癒を促し、その後リハビリを行うのが一般的です。
TFCC損傷のリハビリテーションは、痛みの軽減や手首の可動域の回復、筋力の強化を目指すもので、必要に応じて理学療法士によって組み換えられます。
外科的手術
2つ目の方法は、外科的手術です。
1つ目で紹介したスプリント療法や、薬物療法や理学療法などでも回復が見込めない場合に、外科的手術が行われます。
外科手術には、手首の内視鏡である関節鏡を使用した関節鏡下手術があります。
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TFCC損傷の予防法について
TFCC損傷を予防するために、注意すべき点は大きく分けて以下の2つです。
- 手首に負担をかけない
- 準備運動を行う
順番にみていきましょう。
予防法①:手首に負担をかけない
1つ目の予防法は、手首に負担をかけすぎないことです。
具体的には、手の使い方を工夫することから始めます。
たとえば、物をつかむときや作業を行うときには、関節や筋肉に無理な負荷をかけないよう、適切な力加減と持ち方を心がけましょう。
また、手首の健康を保つためにストレッチングやエクササイズを定期的に行うことも有効です。
筋力を適度に維持し、柔軟性を保つことで手首の保護が期待できます。
またスポーツを行うときには、テーピングを施すことで手首をサポートし、手首への負担を減らすことができます。
これにより、手首に過度なストレスがかかることを防ぎ、TFCC損傷を未然に防げます。
予防法②:準備運動を行う
2つ目の予防法は、適切な準備運動を行うことです。
スポーツ活動や重労働を行う前に、適切なストレッチや体操などの準備運動を行うことで筋肉や関節をほぐし、血流を良くします。
これにより、急な動きや衝撃からTFCCを保護し、損傷のリスクを減らすことが可能です。
手首や腕を頻繁に使用する活動を行う前には、十分な準備運動を行いましょう。
TFCC損傷時のセルフストレッチ
TFCCの損傷による痛みを和らげるためには、セルフストレッチが有効です。
セルフストレッチの方法は、以下の通りです。
- 前腕を伸ばし手首を軽く曲げ、指を天井に向けて伸ばす
- 手首をゆっくりと内側と外側に回転させる
この2つのストレッチを行うことにより、以下のような改善が見られます。
- 関節の可動域を広げる
- 筋肉と靭帯を伸ばす
- 手首周辺の筋肉をほぐす
それによって、TFCCの痛みを軽減します。
この2つのストレッチは、TFCC損傷の治療に対するセルフケアの一部です。
また、セルフストレッチに短時間の効果を求めて無理なストレッチを行うと、身体に負担がかかり逆効果になる可能性があるため避けましょう。
TFCC損傷から回復するためには、じっくりと時間をかけて身体に優しいケアを心がけることが大切です。
手首の小指側の痛みは放っておかず改善を
今回は、TFCCについて解説しました。
軽度であれば、リハビリや手首の固定で回復させることもできますが、重症だと手術が必要になる症状です。
TFCCの予防やセルフストレッチは、比較的気軽に行うことのできる内容です。
自分だけでは難しいと感じる場合や、ストレッチを行っても痛みが軽減されない場合には、身体のプロである私たちに一度ご相談ください。
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